【試乗】新型 スズキ スペーシアベース|ミリタリー感を醸し出しながらも、スズキの生真面目さが伝わってくる軽バンだ
2023/01/24
ミリタリー感を感じるセンスあるモデル
軽自動車の商用バンは、妙にプロっぽいモデルになりがちであったが、ホンダN-VANの登場を境に、働く車とプライベートスペースがグッと交わりあったように思える。
職人感は薄れ、一般の人がプライベートで荷物を載せて楽しんでいる感じが強くなった。
N-VANは、おフランス系の香りもほのかに漂うかわいらしいボンネットバンでもある。
一方、今回試乗する後発のスペーシアベースを目の前にして思うことは、柔らかな表情を利かせたN-VANとは対照的なフロントマスクで、タフさもうかがえる。
しかも、試乗車はモスグレーメタリック。民生用を軍事用にした感じがして、センスがとてもいい。
そして、エクステリアのアイデアとして抜群なのは、クオーターウインドウにリブを入れたパネルをはめ込んだ部分であろう。これがミリタリー感をアップさせている。
私もミリタリー時計が好きで普段から身に着けているが、装飾的ではなく飽きがこない。そして、表示が見やすい。このスペーシアベースにも、同じような要素を感じる。
また、このネイキッドな感じがプライベートな「秘密基地」的でもある。
スズキの生真面目な愛を感じる
では乗り込んでみよう。
インテリアは落ち着いていて、エクステリア同様に民生ミリタリー感があふれていて良い。デザイン的に柔らかく、ジェンダーレスの作りも時代に合った雰囲気だ。
そして、これはスペーシアにも言えることだが、乗り降りがとにかくしやすい。利便性を追求しただけにある意味ミリタリースペックの素養があるのかと感じてしまう。
空間の使い方は個人のアイデア次第といったところだが、私は若いころに使った「背負子」を思い出した。
登山のときにシュラフやテント、コッフェルにホエーブスのストーブを持って山に入るのだが、シェラクラブのカップをぶら下げて、最小限だが何があっても大丈夫という最大の安心感があった。
車内に広がる空間には、このような安心感を感じる。
3気筒エンジンに火を入れると静かで驚く。Dレンジに入れて走り出すが、いたって乗りやすい。CVTも力強く反応も早い。
お世辞にも力があるとは言えないが、必要にして十分な走り出しである。乗り心地もすこぶるいい。これが商用車? と思うくらい快適だ。
最小半径も4.4mだから、どこでもスルスルと細かく扱うことが可能。商用車はタイヤを小さくすることで、小回りとスペースパフォーマンスを向上させる。
最低地上高はハスラーの180mmには及ばないが150mmある。クロスオーバーモデルには及ばないが、実用だけでなくアウトドアユースなどでも全く問題ないだろう。
今回は箱根の山道を中心に走ったが、操縦安定性は思った以上に良い。縦に長くナローなトレッドでも、路面としっかりコンタクトをとるように心掛けたセッティングだ。
商用車の場合、乗り心地を優先にできず、特にFFベースの場合はリアに荷物を載せたときの操安性も考慮しなければならない。
ちなみに、カタログを見ると積載量の目安として「ビールケース24箱」「みかん箱42個」と書いてある。
昭和の私からすれば、積載能力が高いと感じるが、平成世代の人はどのように感じるのであろうか?それらを例に出しているところに、スズキの生真面目な愛を感じるのである。
「ベース」とは基地という意味でも使う単語だが、その名のとおり自分自身のベースを作り、周りに流される毎日ではなく自らが作り出す毎日を演出してくれるモデル、というのがこの車の印象だ。
乗り心地よく、扱いやすく、視認性もいいし、よくできたトールワゴンである。
▼検索条件
スズキ スペーシアベース(現行型)×全国【試乗車 諸元・スペック表】
●XF
型式 | 5BD-MK33V | 最小回転半径 | 4.4m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 3.4m×1.48m×1.8m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.46m |
ミッション | CVT | 前トレッド/後トレッド | 1.3m/1.3m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 870kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | 200kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | インパネ | 最低地上高 | 0.15m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
デニムブルーメタリック、アクティブイエロー、ブルーイッシュブラックパール3、モスグレーメタリック |
||
オプション色 |
ピュアホワイトパール |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 5BD-MK33V |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | CVT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | デニムブルーメタリック、アクティブイエロー、ブルーイッシュブラックパール3、モスグレーメタリック |
オプション色 | ピュアホワイトパール |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
インパネ |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 4.4m |
全長×全幅× 全高 |
3.4m×1.48m×1.8m |
ホイール ベース |
2.46m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.3m/1.3m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 870kg |
最大積載量 | 200kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.15m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | R06A | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
---|---|---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | 27リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 25.8km/L |
総排気量 | 658cc | 燃費(WLTCモード) |
21.2km/L
└市街地:19.4km/L └郊外:22.1km/L └高速:21.5km/L |
燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +25%達成車 |
||
最高出力 | 52ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
60(6.1)/4000 |
エンジン型式 | R06A |
---|---|
種類 | 直列3気筒DOHC |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 658cc |
最高出力 | 52ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
60(6.1)/4000 |
環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
使用燃料 | レギュラー |
燃料タンク容量 | 27リットル |
燃費(JC08モード) | 25.8km/L |
燃費(WLTCモード) | 21.2km/L
└市街地:19.4km/L └郊外: 22.1km/L └高速: 21.5km/L |
燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +25%達成車 |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。