スバル レガシィアウトバックで雨の八丈島を走る! アクティビティを全力サポートする全天候型の筆頭モデル!
カテゴリー: スバルの試乗レポート
2024/06/26
スバルが確立したそのイメージは本物! 荒れる天候でもお構いなしに突き進める!
スバルの4WD に対して、みなさまはどのようなイメージをお持ちであろうか。勝手かもしれないが、筆者の場合は雨天でも雪上でも、それら悪条件のハイウェイでも、そしてグラベルでもターマックでも、氷上のようなエクストリームな低ミュー路でも一定のスタビリティを確保する性能を有している車というイメージだ。多少オーバーな解釈かも知れないが、それがスバルの作った“ブランドイメージ”だ。そして、その性能が街中でも一定の雰囲気を醸し出す。世の中には様々な4WD モデルがあるが、中でもレガシィから派生したアウトバックは、これらの条件やイメージを満たす4WD モデルと考えている。そしてここ2年で、スバルは一気にその性能を向上させた。
今回、筆者が気に入っているレガシィアウトバックで八丈島を走る機会を得た。ご存じの方もいるかもしれないが、八丈島は日頃我々自動車メディアがお世話になっている箱根ターンパイクや伊豆スカイラインと同じ「富士箱根伊豆国立公園」の最南端に位置する島なのだという。東京都とはいえ、離れた島にもかかわらず意外な感じであった。
八丈島は遠いイメージがあるが、実は天候さえ良ければ羽田から飛行機で飛べばおよそ1時間で到着する。西山と東山の2つの島から出た溶岩によってひょうたん型に形作られた島で、西山と東山の間のわずかな平らな土地を人々が往来しているようだ。その証拠に島の中心部は道の本数が多い。すなわち民家が多いということであろう。
八丈島空港に降り立ち、早速アウトバックの試乗を開始する。最初の目的地は島の南に位置する藍ヶ江港である。なぜかというと、釣りをしようという魂胆なのだ。一度、神湊にある釣具屋さんに立ち寄り釣り竿を手配して目的地の港まで向かう。
アウトバックは事前にアングラー仕様に仕立てていただいているので竿も容易に収納できる。ロッドホルダーは吊り下げタイプで、車内の気分は大物を狙って遠路はるばる移動してきた太公望の気分だ。天気はあいにくの雨で、大人3人乗車であったがいたって加速も挙動もスムーズで乗り心地は最高だ。この新型アウトバックの美徳は、後席の乗り心地が非常によいことだろう。昨今はSUVの種類も様々あるが、可倒式シートの後席の乗り心地で満足できるモデルは、この価格帯ではアウトバックだけと断言できる。
海沿いの道は風が強い。しかも逢坂橋という遠くから見るとスキーのジャンプ台のような橋の上は風がひと際強い。横風が強い上り坂でもトラクションを加えておけば、アウトバックは本当にスタビリティ高く安定した走りを見せる。縦置きボクサーユニットの利点は何といってもフロント車軸前方にエンジンがあるのでトラクションがかかりやすいことだ。
そして、後輪のトルクによって背中を押されるようにグイグイと坂を上っていくのだ。千葉県の鋸山に向かう曲がりくねった道をほうふつとさせる雰囲気が漂う狭いワインディングを抜けると、眼前に太平洋が一気に広がる。小説のワンシーンに登場するような絶景が気分を高揚させる。雨天にもかかわらず、防波堤から見る海は驚くほど透き通っている。「水はつながっている」とはいえ、人が住んでいても美しいところは美しいのである。まさに島の人の意識の高さも感じられた。
アウトバックと山と港と海。この風貌だけでも絵的に柔らかく感じるのは筆者だけだろうか。美しい景色が似合う車は、タフなSUVよりもステーションワゴン的なSUVであると思わずにいられない。
気持ちは太公望であったが、残念ながら釣り上げることはできなかった。しかし、大物の引きを2回ほど味わったので満足だ。大自然に住む魚とコンタクトをとれた嬉しさはすがすがしい。釣り竿をたたみ、気持ちよく宿泊先に向かう。
余談だが、帰りにこの坂を下っていくときにモナコGPのポルティエからトンネルに向かう道を思い出した。非常に素晴らしい絵画的な道であった。
アウトバックは、下り坂でブレーキを少しかけるだけでトランスミッションのギア比を連続的に落としながら無理のないエンジンブレーキへと導いていく。下り坂でもフロントヘビーを抑えた制動は前後のバランスがとれていて好印象だ。アウトバックのような気持ちよく走らせられるモデルはアクティビティ後の疲れをも癒してくれる。決して際立った出力や活発なハンドリングでない。だが、アウトバックとはそんなモデルである。