スバル フォレスター▲2022年8月にフォレスターシリーズのラインナップに加わったSTI Sport。今回は、自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による雪上インプレッションをお届けする

STIがチューニングしたフォレスターに雪上で試乗

5代目となるスバル フォレスターは、2021年の夏に大きな改良モデルが発売された。

ヘッドライトの形状が大きく変わったのが特徴だが、これによりライト内部のLEDを個別に細かく制御して車体の前や遠くを確実に照らすことができるようになった。

同時に、スバルを飛躍させたアイテムである運転支援システムの「アイサイト」も新世代へと改良された。

そして、今回試乗するモデルは、改良後モデルの中でも2022年夏に新たに加わった「STI Sport」。雪上を含む公道で試乗することができたので、その際のインプレッションをお届けしよう。
 

スバル フォレスター▲後期型となりフロントフェイスのデザインが変更された。ヘッドライトの性能がアップしている
スバル フォレスター▲AWD技術に絶対的な自信を持つスバル。このフォレスター STI Sport はいかがだろうか?

ドライ路面はスタッドレスでも快適

目的地はスキー場が点在する長野・蓼科方面である。ヨコハマタイヤ製のスタッドレスタイヤ「iceGUARD」を装着して都内を出発する。

フォレスター STI Sport 搭載されたユニットは、2020年に導入された1.8L直噴ターボ(DIT)だ。扱いやすいトルクフルなパワーユニットである。

トランスミッションはスバルの真骨頂と言えるCVT。スロットルの開閉度と車速、状況に応じた最適なギアレシオの制御を行ってくれる。

CVTの利点は、なんといっても変速比が連続的でエンジンの“おいしい部分”を得られやすく、スムーズな移行が可能なことだ。

正直申し上げて改良前のフォレスターはギクシャク感が否めなかったが、このSTI Sportでは大きく改善しているようだ。

ドライのアスファルトでは、ロードノイズは全く気にならない。そして、必要にして十分に路面とコンタクトするハンドリングだ。車の特性上、制動時の剛性感は落ちるがふらついたりすることはない。

高速道路ではADAS(先進運転支援システム)を使って快適にクルージングだ。これらのシステムによってスタッドレスタイヤの爪先立った感覚が補正され、余計な疲れを抑えてくれる。

余談にはなるが、自らの運転力量を過信するのではなく、運転支援機能を適宜使用することは、事故をなくす手段のひとつだと考えている。

そして、乗り心地が非常に良くなったことに気づく。スタッドレスタイヤの弾性による心地もあるが、それらを加味してもショックアブソーバーとスプリングのマッチングがしっかりと路面を捉え、しかも程良い収束の速さでステアリングの反応に一役買っている。
 

スバル フォレスター▲ノーマルタイヤと比較して柔らかいスタッドレスタイヤ。乗り心地は良い

雪上では専用ショックアブソーバーがいい仕事をする

いよいよ積雪地帯へと入る。雪上で大切なのは高い路面との追従性。だからと言って過度に動きをよくすると、慣性によって不安定な足元となってしまう。

圧雪路で後続車の気配がないことを確認し、ブレーキフィールを感じ取る。ABSが介入することなくスムーズに止まれる。

さすがに凍っている部分ではABSが介入するが、コントロールできる点をしっかりと残している制御は評価できる。

ちなみに、夜間も走行したのだが、新しい形状のヘッドライトの照射は以前のものよりも奥を照らす様子で、雪道でもちょっとした起伏の陰影をつかみやすい。

今回の試乗で何よりも感じたのは、スタビリティが以前に増して向上しているということだ。これは、STI Sport専用のサスペンションの恩恵によるところが大きい。
 

スバル フォレスター

STI Sportに採用されているショックアブソーバーは、初耳の方も多いかもしれないが「日立Astemo」製。

これは、「ショーワ」というホンダ系のショックアブソーバーメーカーが経営統合してできたブランドだ。

ショーワは日本のショックアブソーバーメーカ-として1960年代よりホンダF1に供給しており、マクラーレンホンダでもショーワ製のアブソーバーを使っていた。とにかく極限下でのノウハウが半端ではないのである。

雪上の凸凹とした路面でのコーナーリングも、iceGUARDのコンタクトに反応したダンピングでしっかり路面と対話をし、結果として安全なドライビングを促す。

専用ホイールとのマッチングも良好で、ひとつ上の専用サスペンションは価値あるものだ。

フォレスター STI Sportにこのシステムを装着したのは、STIが育んできた歴史と合致しているのであり、こういうのがスバル本来の姿ではないかと感じた。

STIというとガンガンのスポーツ性をイメージする人も多いかと思うが、これぞターマックやグラベル、雪上のラリーで鍛えたデータを市販車にフィードバックしたものと言っていいだろう。

電子デバイスを通じて最善の制御を行い安全性を高める。しかし、コントロールするのはあくまでもドライバー自身であるという明確さは失わない。それがSTIの本質なのではないかと感じた試乗であった。
 

スバル フォレスター

▼検索条件

スバル フォレスター(5代目・現行型)× STI Sport × 全国
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
● STI Sport

型式 4BA-SK5 最小回転半径 5.4m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.64m×1.82m×1.72m
ドア数 5 ホイールベース 2.67m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.57m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.13m×1.55m×1.28m
4WS - 車両重量 1570kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 1845kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.22m
マニュアルモード    
標準色

ホライゾンブルー・パール、クリスタルブラック・シリカ、アイスシルバー・メタリック、マグネタイトグレー・メタリック、カスケードグリーン・シリカ、オータムグリーン・メタリック、ブリリアントブロンズ・メタリック、サファイアブルー・パール

オプション色

クリムゾンレッド・パール、クリスタルホワイト・パール

掲載コメント

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型式 4BA-SK5
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション CVT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ホライゾンブルー・パール、クリスタルブラック・シリカ、アイスシルバー・メタリック、マグネタイトグレー・メタリック、カスケードグリーン・シリカ、オータムグリーン・メタリック、ブリリアントブロンズ・メタリック、サファイアブルー・パール
オプション色 クリムゾンレッド・パール、クリスタルホワイト・パール
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.64m×1.82m×1.72m
ホイール
ベース
2.67m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.57m
室内(全長×全幅×全高) 2.13m×1.55m×1.28m
車両重量 1570kg
最大積載量 -kg
車両総重量 1845kg
最低地上高 0.22m
掲載用コメント -
エンジン型式 CB18 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
種類 水平対向4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 ターボ 燃料タンク容量 63リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 16.5km/L
総排気量 1795cc 燃費(WLTCモード) 13.6km/L
└市街地:10.3km/L
└郊外:14.3km/L
└高速:15.2km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準
達成車
最高出力 177ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
300(30.6)/3600
エンジン型式 CB18
種類 水平対向4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1795cc
最高出力 177ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
300(30.6)/3600
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 63リットル
燃費(JC08モード) 16.5km/L
燃費(WLTCモード) 13.6km/L
└市街地:10.3km/L
└郊外: 14.3km/L
└高速: 15.2km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準 達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。