【試乗】日産 アリア NISMO|空力を徹底的に考え抜いて生まれた、電光石火のアリア
2024/05/21
空力を考え抜いて、走りを楽しめるアリアに
アリアは日産の中でも非常にデザインとクオリティを追求したモデルだ。エクステリアには好みがあるが、インテリアは乗っていて落ち着く雰囲気が好きだ。どちらかというとモダンなリビングといった感じだろうか。
FFのB6でもB9 e-4ORCEでもパフォーマンスは申し分ない。モードによって走りがどうとかそういう次元ではなく、とにかく加速を得たければ踏み込めば電光石火のごとく加速する。ただ、FFモデルのB6はフロントのコンタクトが弱くなり気味になるので、スタビリティ的にはe-4ORCE仕様がオススメだ。
さて、本題に入ろう。これほど申し分ないモデルにもかかわらず、特別なチューニングでお馴染みのNISMO専用に作られたアリアが近いうち販売されるという。予定では6月頃とのことなので公道での試乗がとても楽しみだが、とにもかくにもプロトタイプを思う存分に加減速を繰り返してコーナリングも堪能したからこそ、そう思うのだ。
簡単にアリアNISMO B9 e-4ORCEの概要をお伝えすると、まずエクステリアは空力パーツに力を入れている。全長を55mm伸ばしていることからその意図を理解できよう。
フロントバンパーはフロントからサイドへとよどみなく流す処理をして、バンパー下部からフロアーに空気を導く。そして、リアバンパーにもう設けられたデュフューザーによってフロア下の空気の流れを尊重することで、地上高が高いSUVならではのダウンフォースを得た仕様にした。レースのノウハウをもつNISMOならではの工夫が施されている。
ドア下部のロッカーパネルに装着されたフィニッシャーもスタビリティの確保には重要な空力パーツである。このフィニッシャーのためにフロントフェンダーも変更したというから力の入れようがわかる。ちなみに、カタログにはオーバーフェンダーという記述であるが全幅に変更はない。
また、目に飛び込んでくるパーツのひとつにホイールがある。軽量化と剛性を備えた雰囲気だ。インチも標準の8インチから8.5インチに変更してミシュランの専用タイヤをあつらえた。耐荷重性と剛性を向上させたモデルだという。2.2トンの重さでスポーツ走行を可能にしたというからスペシャルもうなづける。
パワーももちろん向上している。現状の出力から10%以上向上させて、加速性能を重視したという。走行モードも「ECO」「SNOW」「STANDARD」「NISMO」の4種類だ。
そして、走りに徹しているのであればサスペンションも重要である。標準でも剛性は高いが、マクファーソンストラットは耐荷重においてはしなりが生じやすく不利な点もある。そのあたりを見越してストラットケースの素材の厚みを変更し、ねじりと曲げを剛性を向上させて路面との追従性を確保しているとのことだ。
NISMOだから楽しめる加速とキレの良さ
順番が回ってきたので試乗に移ろう。テストコースであるが限られた時間である。1周目は加速性能と軽いハンドリングを試す。静粛性は非常に良い。しかも吟味してあるサスペンションのセッティングはバネレートと減衰力を上げているというが、乗り心地は良好だ。一気に加速してもフロントは浮き上がることもなく、路面とのコンタクトも申し分ない。
モードをSTANDARDからECOに変えてみる。これでも十分なパフォーマンスだ。逆に乗りやすくていい。市街地は十分すぎるであろう。コーナリングもロールを抑えて姿勢変化を起こさないように封じ込めるが、タイトな部分では重さによるステアリングの修正は否めない。しかし、負荷をかけながら曲がるときれいにトレースして中速域を気持ちよく走る。
2周目はNISMOモードでストレートから加速した。電光石火とはまさにこれだ! 動体視力が試される。こんなに速くなくてもいいんじゃないか? とすら思えるリーサルウェポンなのだ。横須賀の追浜にある日産グランドライブというテストコースは、路面の状態が良いのでロードノイズは参考にはならないが、速度を上げても静かである。
そして、公道ではできない中速でのスラロームを試してみる。2.2トンとは思えない身のこなしだ。アクセルペダルをリズミカルに調整して走れば面白いほどグイグイと切り抜けられる。
シートも専用というが、走行能力が高すぎるのでホールド力に関しては物足りないと感じられた。とはいえ、そこはプレミアム市場に参入したSUV型BEV。基本性能が高いと、ここまでスペシャルになるのだと感じる1台だ。
【試乗車 諸元・スペック表】
●日産 アリア NISMO
【試乗車 諸元・スペック表】
●日産 アリア NISMO
型式 | ZAA-SNFE0 | 最小回転半径 | 5.4m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.65m×1.85m×1.65m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.78m |
ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.59m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 2.08m×1.54m×1.21m |
4WS | - | 車両重量 | 2210kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2485kg |
ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.17m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
ダークメタルグレーメタリック |
||
オプション色 |
ミッドナイトブラックパール、プリズムホワイト/Mナイトブラック2トーン、Dオーシャンブルー/Mナイトブラック2トーン、プリズムホワイト3コートパール、NISMOステルスグレー/Mブラック2トーン |
||
掲載コメント |
※最大出力は社内測定値 |
型式 | ZAA-SNFE0 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | その他AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ダークメタルグレーメタリック |
オプション色 | ミッドナイトブラックパール、プリズムホワイト/Mナイトブラック2トーン、Dオーシャンブルー/Mナイトブラック2トーン、プリズムホワイト3コートパール、NISMOステルスグレー/Mブラック2トーン |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
不明 |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.4m |
全長×全幅× 全高 |
4.65m×1.85m×1.65m |
ホイール ベース |
2.78m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.59m |
室内(全長×全幅×全高) | 2.08m×1.54m×1.21m |
車両重量 | 2210kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 2485kg |
最低地上高 | 0.17m |
掲載用コメント | ※最大出力は社内測定値 |
エンジン型式 | AM67 | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 435ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
-/- |
エンジン型式 | AM67 |
---|---|
種類 | 電気モーター |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | -cc |
最高出力 | 435ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
-/- |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 電気 |
燃料タンク容量 | -リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。