広い室内、優れたハンドリング、スムーズな乗り心地
とても「良い車」だが、唯一足りないのは個性か

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コンセプト

良い車ならあえて車名にこだわる必要なし

すでに皆さんご存じの通り、今回のスカイラインは2000年の夏くらいまで違う車(前回の東京モーターショーではXVLという車名)として企画されていた。

コンセプトは「大人のためのプレミアムスポーツセダン」である。スカイラインというより高級なローレルに近い。しかも開発の段階から「スカイラインとバッティングしない車を作ろう」と考えただろうから、丸いテールや直列6気筒エンジンどころでなく、2ドアもMT車もない。車名を引き継ぐフルモデルチェンジで、ここまで先代モデルとの関連性が薄いケースは世界的にも希少かも。でもワタシは良い車なら車名なんかにこだわる必要はないと思う。後はユーザーが「好き」か「嫌い」かを決めればいいんじゃなかろうか。
室内&荷室空間

シーマにも匹敵するゆったりした快適な室内

全長4675mmと、マークIIより60mmコンパクトな全長であるものの、乗員スペースに決定的な影響を与えるホイールベース(キャビンスペースは前輪と後輪の間にあるため長ければ=広い)はセドリックを凌ぎ、シーマに匹敵する。乗ると運転席はもちろん、リアシートのレッグスペースが広い!

車格的にはセドリックと同等だと思ってよかろう。また、リアシートにリクライニング機能が付いているから(このあたり、いかにも“高級なローレル”らしい)、ゆったり座れる。試乗車の運転席は左上面にスイッチをもつパワーシート付きで、操作しやすかった。ハンドルが小さいのはスポーティな雰囲気を演出するためだろう。3L車は全グレードBOSEのオーディオシステムが標準装備される。
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ドライブフィール

「スカイラインらしさ」にはいささか欠けるか?

スカイラインである、という先入観をもたなければ、なかなか良い車だと思う。細かい突き上げ(専門的にはハーシュネスなどと呼ぶ)を吸収する新開発のリップルコントロールショックアブソーバーを採用しているため、乗り心地はとても滑らか。ハンドリングも日産の車らしく素晴らしいもの。ただ細かい突き上げはキチンといなしてくれるのだが、路面の継ぎ目のような大きい凸凹を通過すると、ドシンという普通の日本車のような乗り心地になってしまう。このあたりはBMWやM・ベンツなどに一日の長がある。

エンジンは215馬力の2.5Lと260馬力の3Lの2タイプ。両方とも試乗してみたが、2.5Lエンジンだと同じエンジンを積むセドリックのような動力性能だ。これではホントに高級なローレルになってしまう。せっかくスカイラインを買うのなら、よりパワフルな3L車を勧めておく。安い買い物ではないのだから、少しでもワクワクする車を選びたい。あまりにも洗練されすぎているため、「スカイラインはかくあるべし」という過大な期待をするとやや拍子抜けするが、いわゆる「良い国産車」だとは思う。
こんな人にオススメ
スカイラインの価格帯にはジャンルを問わず魅力的なモデルが多数ひしめいている。したがってまずセダンを考えているすべての人。広い室内は欲しいが大きなボディはいらない、という人。シャキッとしたハンドリングでないとイヤ、みたいなタイプの人にピッタリ。いわゆる「スカイラインが好き」というタイプのユーザーは、やがて追加されるとウワサの3.5Lを待つのが賢明か。
SPECIFICATIONS
グレード 300GT
駆動方式 FR
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4675 x 1750 x 1470
ホイールベース(mm) 2850
車両重量(kg) 1490
乗車定員 5人
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 2987
最高出力 191kW(260ps)/6400rpm
最大トルク 324N・m(33.0kg-m)/4800rpm
車両本体価格 325万円
写真:渡邉英昭 文:国沢光宏