【試乗】新型ボルボ XC40リチャージ/XC40 ハイブリッドモデル│マイナーチェンジモデルに乗り比べてわかった共通点と相違点
2023/07/17
ゆとりある走りのリチャージモデル
XC40のプラットフォームは、電気自動車(BEV)を考えて作られたことはすでにご存じであろう。
この骨格の性能はとてもいい。なぜか? それはエンジンを搭載したモデルのFFであっても、発進時のトラクションに優れているのだ。
上位車種のXC70やV90などのプラットフォームはエンジン位置がいまひとつで、トラクションに合点がいかなかった。AWDでようやく良くなったといえる印象である。ただ、XC40よりもシャシーが弱い。
今回BEVとハイブリッドモデルの両方を試乗するにあたり、XC40がどれだけ万能で優れているかが理解できる。BEVであるXC40リチャージの方から先に試乗した。
XC40リチャージは、FWDのピュアEVである。EVとしてはボルボのラインナップの中で最も価格も抑えられているモデルだ。とはいっても639万円もする。
XC40のインテリアは非常に上品で、過度な高級感というよりも国産車と比べると日常使うには十分すぎるクオリティと考えるべきであろう。
走り出しで感じるのは、リアに荷重が強く移行するとステアリングが軽く接地感が希薄であるという印象だ。そこから加速するとさらに左右に振れやすい。
これはC40のリチャージでも同様であるが、そこまで踏み込まなければ問題はない。
このXC40リチャージモデルは、どうやら2024年モデルからはRWDになるようだ。やはり、プレミアムブランドとしてスタビリティにおけるバランスが難しかったのだろう。
今回の試乗会でボルボの広報担当者は、「前後モーターだから中間は必要なくFRのノウハウは関係ないんです」と話していた。だが、FWDからRWDに変更したことを考えると、FRのプラットフォームを作っていなかったことにより、フロントの荷重とリアへ移る過程のノウハウが足らなかったのではないかと推測できる。
AWDにすれば制御の難しさはあるものの、スタビリティは確実に確保できるのだ。
モーターはトルクの出方が内燃機関とは違う立ち上がり方で、トラクション制御が難しい。どんなに良質なFWDベースのプラットフォームであっても、リア駆動のノウハウがなければ不安定になってしまう。
ゆっくりと走らせるには静粛性に長けており、クーペタイプのC40よりも乗り心地がいい。柔らかな印象で好感が持てる。
▼検索条件
ボルボ XC40リチャージ(初代) × アルティメットシングルモーター※流通状況により物件が表示されない可能性があります
磨きをかけたハイブリッドモデル
内燃機関が搭載されたXC40の48VマイルドハイブリッドAWD仕様である「アルティメットB4 AWD」も試乗できたのでお伝えしたい。
ご承知かと思うが、ボルボは内燃機関を早くからBEVに移行すると明言している。
しかし今回のガソリンモデルは、エンジンも高効率のミラーサイクルに変更し、ATもトルクコンバータから高速時の伝達高効率というツインクラッチ式のDCTに変更した。
これにはコストもかかる。しかし燃費を考え、今ボルボでできることをすべて行っていくという企業姿勢は素晴らしいと思う。
走り出しはミラーサイクル特有の力が落ちたような感覚だが、48Vによるハイブリッドの手助けもあって極端のトルク減少ではなくなっている。安心できるパッケージングで、乗りやすい。
ブレーキのフィールも良く、コントロールしやすい。DCTとマイルドハイブリッドのコラボはまだ完成度が高いという雰囲気ではないが、スタビリティは良好だ。
エンジンの出力がマイルドなことと、DCTへの伝達がいまひとつ遅い感じがするので出力は十分でもキビキビという印象ではないが、スムーズに走らすことができる。
以前も感じたのだが、リアデフとドライブシャフトの静粛性が乏しい。個体差によるものと思いたいが、これもFRのノウハウが今となっては足らないように思える。
ハイブリッドモデルは充電も考えなくていいので、今の時点では気楽でいい。しかも、BEVに比べて価格も抑えられている。高速をよく使う私のような者には今の時点ではこれが良いかもしれない。
先代よりも燃費が向上して路面の細かな追従性も良くなり、結果として乗り心地もいい。保守的な方にはオススメのモデルだ。
加速時のエンジン音はもう少し重厚感もあっても良いと思うが、もっともジェントルな走りに全負荷は無粋だ。中速域まで加速して首都高を走る。キビキビとしてそして安定感もいい。
ステアリングの修正が小さくなった。これは疲れにくいことを意味している。落ち着きのいいサスペンションは、身体を落ち着かせ目線が動きづらい。レクサスではエントリーモデルであっても、触れる部分にしっとりとした各部のつくりは温かみを感じる。
山間部と高速を踏まえたタッチアンドゴーの約300kmドライブであったが、その距離を感じさせない。それは骨格を高めて乗り心地やハンドリングの向上した点もさることながら、およそ20km/Lという低燃費のせいでもあるだろう。
今後BEVは増えるだろう。しかし、複数の方法でカーボンフリー社会を目指すマルチパスウェイの考え方が、均一で偏りがないと個人的には思っている。
やはりハイブリッドは便利で燃費がいい。それは人里離れた場所に行くとしみじみ感じずにいられない。小柄ながら質の高いハイブリッドモデルは、気持ちがゆったりしていいと思わずにいられなかった。
走りの良さを感じさせる、マイナーチェンジの見本のような改良である。
▼検索条件
ボルボ XC40(初代) × 2022年7月~【試乗車 諸元・スペック表】
●XC40リチャージ アルティメット シングルモーター
型式 | ZAA-XE400RXCE | 最小回転半径 | 5.7m |
---|---|---|---|
駆動方式 | RR | 全長×全幅×全高 | 4.44m×1.88m×1.65m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.7m |
ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.61m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 2030kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2305kg |
ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.18m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
オニキスブラックメタリック、セージグリーン、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトパール、フィヨルドブルーメタリック、クラウドブルー、ヴェイパーグレーメタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
※Googleアプリ/サービスは購入後5年間無償です。 |
型式 | ZAA-XE400RXCE |
---|---|
駆動方式 | RR |
ドア数 | 5 |
ミッション | その他AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | オニキスブラックメタリック、セージグリーン、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトパール、フィヨルドブルーメタリック、クラウドブルー、ヴェイパーグレーメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
不明 |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.7m |
全長×全幅× 全高 |
4.44m×1.88m×1.65m |
ホイール ベース |
2.7m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.61m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 2030kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 2305kg |
最低地上高 | 0.18m |
掲載用コメント | ※Googleアプリ/サービスは購入後5年間無償です。 ※WLTCモード燃費 143Wh/km 市街地モードWLTC-L燃費 120Wh/km 郊外モードWLTC-M燃費 132Wh/km 高速道路モードWLTC-H燃費 161Wh/km ※WLTCモード一充電走行距離 590km |
エンジン型式 | CCADE | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 238ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
418(42.6)/1000 |
エンジン型式 | CCADE |
---|---|
種類 | 電気モーター |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | -cc |
最高出力 | 238ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
418(42.6)/1000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 電気 |
燃料タンク容量 | -リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
型式 | 5AA-XB420TXCM2 | 最小回転半径 | 5.7m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.44m×1.88m×1.66m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.7m |
ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.63m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1720kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1995kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.21m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック、フィヨルドブルーメタリック、シルバードーンメタリック、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトプレミアムメタリック、セージグリーンプレミアムメタリック、クラウドブルー、ヴェイパーグレーメタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
※Googleアプリ/サービスは5年間無償、緊急通報/故障通報サービスは15年間無償 |
型式 | ZAA-XE400RXCE |
---|---|
駆動方式 | RR |
ドア数 | 5 |
ミッション | その他AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | オニキスブラックメタリック、セージグリーン、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトパール、フィヨルドブルーメタリック、クラウドブルー、ヴェイパーグレーメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
不明 |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.7m |
全長×全幅× 全高 |
4.44m×1.88m×1.65m |
ホイール ベース |
2.7m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.61m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 2030kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 2305kg |
最低地上高 | 0.18m |
掲載用コメント | ※Googleアプリ/サービスは購入後5年間無償です。 ※WLTCモード燃費 143Wh/km 市街地モードWLTC-L燃費 120Wh/km 郊外モードWLTC-M燃費 132Wh/km 高速道路モードWLTC-H燃費 161Wh/km ※WLTCモード一充電走行距離 590km |
エンジン型式 | CCADE | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 238ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
418(42.6)/1000 |
エンジン型式 | CCADE |
---|---|
種類 | 電気モーター |
過給器 | - |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | -cc |
最高出力 | 238ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
418(42.6)/1000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 電気 |
燃料タンク容量 | -リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。