▲本人は選ぶ際の我儘度100%のつもりでも、助手席も周囲(ご近所さん)もまったく快適なので実は100%の我儘チョイスとは言えない。見栄だけで乗り回すこともぜんぜん可能だが、できれば「本籍はサーキット」というタイプに乗っていただきたい。年に数回サーキットを攻めるセレブにぜひ ▲本人は選ぶ際の我儘度100%のつもりでも、助手席も周囲(ご近所さん)もまったく快適なので実は100%の我儘チョイスとは言えない。見栄だけで乗り回すこともぜんぜん可能だが、できれば「本籍はサーキット」というタイプに乗っていただきたい。年に数回サーキットを攻めるセレブにぜひ

驚くべき快適性を持ったレーシングマシン

これ以上速い車を作ってどうするのか。それが458イタリアオーナーがまず抱いた思いだ。

しかしフェラーリは容赦なく458スペチアーレを送り出した。それはフェラーリマニアへの愛の鞭であった。

ノーマルモデルに対するアドバンテージは、街乗りではそれほど明確には感じられない。乗り心地は十分すぎるほどしなやかで、静粛性もそれほど落ちてはいない。サウンドは確かにダイレクトかつレーシーだが、音量的には住宅街でも許容範囲。もちろん加速は鋭く、コーナリングの限界は果てが見えないほど高いが、あまりにも快適すぎる。

しかしその本質は、間違いなくレーシングカーだ。

本気で攻めたときのスペチアーレのこの軽さ、ダイレクトさはどうだ。エンジンレスポンスは天を衝き、あまりにもパワフルであるがゆえに、死を覚悟しない限り全開にはできない。限界まで大径化されたカーボンセラミックブレーキは、超絶なる瞬間停止を可能にしている。さすがに走り出して1つ目のコーナーでは冷えているが、3つ目のコーナーではもうすべてのパワーを吸い取るように減速させる。このあまりにもスーパーすぎる運動性能!

これは、公道で発揮できるレベルをはるかに超えている。あまりにもレーシングカーだ。しかしレーシングカーこそフェラーリの本質であり、レーシングカーに驚くべき快適性をも持たせたのがこの458スペチアーレなのだ。

そして最後のV8自然吸気マシン。458スペチアーレは、史上最もフェラーリらしいフェラーリとして、歴史に名を残すだろう。

▲ロードカー用NAとして世界最高を誇るV8エンジン。F1のノウハウが用いられ0-100㎞/h加速は3秒となる ▲ロードカー用NAとして世界最高を誇るV8エンジン。F1のノウハウが用いられ0-100㎞/h加速は3秒となる
▲デザインの特徴を変えることなく、ボディパネルを再設計。空力性能向上と軽量化が図られた ▲デザインの特徴を変えることなく、ボディパネルを再設計。空力性能向上と軽量化が図られた
▲室内もカーボンやアルミ、アルカンターラを用い軽量化。グローブボックスも廃された ▲室内もカーボンやアルミ、アルカンターラを用い軽量化。グローブボックスも廃された

【SPECIFICATIONS】
■グレード:458SPECIALE ■乗車定員:2名
■エンジン種類:V8DOHC ■総排気量:4497cc
■最高出力:-(605)/9000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:540(-)/6000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:RR ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4571×1951×1203(mm) ■ホイールベース:2650mm
■車両重量:1290kg
■JC08モード燃費:-km/L
■車両本体価格:3390万円(税込)

text/MJブロンディ photo/大子香山