【試乗】新型 アルファ ロメオ ジュリア GTジュニア|“黄土色”の特別仕様こそジュリアのベストバイ
カテゴリー: アルファロメオの試乗レポート
2022/06/24
往年の名車をほうふつとさせるボディカラー
リーパリオーカーという名称などこの際、どうでもいい。アルファ ロメオファンにはこの色味の方が大事だ。黄土色のアルファ。往年のGT1300 ジュニアをほうふつとさせるカラー。国内99台限定の2.0ターボ ヴェローチェGTジュニアはその名(と色味)に恥じず、今、もっともバランスのいいアルファのスポーツサルーンだった。
最新のジュリアのラインナップはシンプル。200psの2.0ターボTiがもうすぐ上陸予定の他、既存グレードは280psの2.0ターボ ヴェローチェと最上級510psのクアドリフォリオの2種類で、合計3グレードしかない。クアドリフォリオを別格と考えれば、基本、FRの200psか280psか、というチョイスになってわかりやすい。黄土色のGTジュニアは後者の280psヴェローチェがベースである。
パワートレーンはヴェローチェを踏襲するが、GTジュニアをベストと評する点は特別装備にこそある(もちろん色味もだけれど!)。それはクアドリフォリオと同じALFAアクティブサスペンションとリミテッドスリップデファレンシャル(LSD)を積んだことだ。これにより、非クアドリフォリオ ジュリアの乗り味が劇的に変わった。いっそこの仕様をスタンダードにしてくれたなら、と思うほどである。
何が違うか。ジュリアといえば、そのキレッキレのハンドリングが特徴だった。何せステアリングギアレシオは12:1とベラボーにクイックで、サルーンとしてはもはや特殊というべき領域だ。それゆえ機敏な動きに慣れない人にはまるで向かないセダンだったし、スポーツカーの運転に慣れた人でもちょっと危なっかしく思えたものだった。
もちろん、クイックさに変わりはない。けれども特にリアのしなやかなダンピングがタメとなって、フロントのクイックな動きを若干扱いやすいレベルに感じさせてくれる。さらにLSDが備わるため、リアアクスルの追従性に優れ、前輪だけがクイックに動いているという感じがしない。元々、前後重量バランスのいいセダンで、さらにリアの動きがよくなったというわけだ。そのため、今まで以上にリズミカルに、気分的には素早く連続するコーナーを駆け抜けていける。嬉しいことに乗り心地もすべての領域でかなり良くなった。
ジュリアのスポーツサルーンとしての特色はそのままに、より扱いやすくなったという点で、この贅沢なアシはいい。加えて、FRとヴェローチェの十分パワフルな280psエンジンのおかげで、いつでもアグレッシブな走りを楽しむことができる。ハンドリングと乗り心地、そして加速フィール、三拍子揃ったバランスの良さがジュリアのベストバイと断言するゆえんだ。
それにしても、この色がいい。ちょっと前に出た濃いグリーンも良かったが、リーパリオーカーはさらにいい。わずか99台という希少性と相まって、中古車市場でも期待の1台だと思う。
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
アルファ ロメオ ジュリアの中古車市場は?
アルファ ロメオ ジュリア
アルファ ロメオのスポーティFRセダン、ジュリア。現行モデルは、2022年に追加設定された2Lターボを搭載するエントリーモデルのTi、ヴェローチェ、2.9L V6ツインターボを積むハイパフォーマンスなクアドリフォリオをラインナップする。
国内導入の2017年から5年が経過し、中古車の流通台数も150台以上とイタリアンサルーンとしては豊富。価格も、初期モデルを中心に200万円台から狙うことができる。また、最新ラインナップには用意されていない、4WDやディーゼルエンジン搭載モデルが選べるのも、中古車の魅力と言えるだろう。