【試乗】新型 ポルシェ マカンGTS|さらに走りを洗練させた第3世代のトップグレード
カテゴリー: ポルシェの試乗レポート
2022/05/06
まるでスポーツカーに乗っているような感覚
いまやポルシェのベストセラーモデルであり、グローバルでの新車販売のおよそ3割を占めているのがマカンだ。マカンが日本で発売されたのは2014年。以来、2019年に1度目のマイナーチェンジが実施され、そして2021年の商品改良によって第3世代モデルとなった。
最新世代では、まず新グレードとなる「マカンT」が加わった。これは911や718などに採用されてきた伝統の「T」(ツーリング)を冠した、マカンとマカンSのあいだに位置する4気筒エンジンを搭載するモデルとなる。一方で、マカンターボの設定がなくなり、トップグレードに配置されたのが、GTSだ。
グレード名からターボがなくなったといっても、新型GTSのエンジンは先代のマカンターボに搭載されていたものを踏襲。2.9L V6ツインターボエンジンは、最高出力440ps、最大トルク550N・mを発揮する。トランスミッションは7速PDKを組み合わせ、駆動方式は4WDだ。通常時はリア寄りにトルク配分する制御が施されている。
エクステリアでは、GTSのみ差別化が図られ、フロントノーズセクションの中央部分がブラックアウトされている。サイドミラーのステー部分は空力に配慮した形状となり、サイドシルはボディ同色に、リアのLEDランプもベースモデルと差別化されたモノトーンになっている。また、リアのディフューザーにはブラック仕上げの4本出しエグゾーストパイプがビルトインされている。
インテリアも大幅に刷新された。センターコンソールまわりからは物理スイッチをなくして、タッチパネルを採用。センタースクリーンは、10.9インチのタッチ式となり、今どきの音声コマンド対応となった。ダッシュボード上部にはアナログ時計が配置されている。新デザインのマルチファンクションGTスポーツステアリングホイールは911由来のものだ。
アルカンターラで覆われたステアリングを握ると、まるでスポーツカーに乗っているような感覚に襲われる。スマートキーになったいまもエンジンを始動するために右手にあるノブをひねるのも911と同様の作法だ。ステアリングと同様にアルカンターラで仕上げられたシフトノブをDレンジに入れてアクセルペダルをそっと踏みこむと、するすると滑らかに走りだす。そして、右足に力を込めれば瞬時にパワーが湧き出てくる。ターボラグのようなものはまったく感じられない。ちなみに0-100km/h加速4.3秒(スポーツクロノパッケージ仕様車)は、タイプ 991の911カレラ4Sと同じタイムだ。
GTSの足回りは、スポーツエアサスペンションを標準装備する。先代より車高を10mm低く設定し、シャシー剛性はフロント10%、リアは15%高められている。先代のGTSで街乗りをした際には、PASM(ポルシェ アクティブサスペンション マネージメント)で「コンフォート」を選んでいても少し硬さを感じたが、この新型ではそれがまったくなかった。ワインディングなどでは「スポーツ」モードのバランスもいい。21インチサイズのピレリP-ゼロをこともなげに履きこなし、優れた快適性とダイナミック性能をうまく両立している。
デビューから8年がたったいまも、SUVとは思えないポルシェらしい走りの良さは健在だ。2023年に登場すると噂される次期型マカンは、アウディとポルシェが共同開発した「PPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)」を採用する初の電気自動車になるという。ポルシェの内燃エンジンの良さを味わいたいなら、いまのうちにというわけだ。
ポルシェ マカンGTSの中古車市場は?
GTSは2015年の登場以来、特別なモデルであるターボの下に位置する、実用性とスポーツ性能を両立させた上位グレードであった。トップグレードとなった第3世代でなくとも、ポルシェらしい走りが十分楽しめる。
人気SUVだけに、中古車はGTSだけでも60台以上が流通。600万円台から探すことができる。新車の納期が長いモデルが多いポルシェだけに、中古車で気に入った車両をすぐに手に入れるというのもオススメだ。