アウディ RS5スポーツバック▲今回は2019年8月に登場したアウディのハイパフォーマンスモデル、RS5スポーツバックに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が、その様子をレポートする

初めての5ドアハッチバックスタイルの“RS”

RS5は2ドアクーペを基本としたモデルで、初代は2010年に誕生した。

チューニングされたNAの4.2L V型8気筒エンジンは、スムーズに回転が上がりしかもパワフル。NAならではのメカチューンの良さがよくわかる。

さらには、2ドアクーペならではのものすごい剛性感を感じるモデルでもあった。

2017年になると、2.9L V型6気筒エンジンをチューニングしたモデルが登場した。

2.9Lにダウンサイジングされたものの、先代と同じく450psを発揮、トルクに至っては61.2kg・mと以前のモデルに比べ1.4倍も増大している。

しかもサスペンションは、さらにしなやかになり、ステアリングフィールもよく軽快で扱いやすかった。とてもラグジュアリーな乗り心地で軽快な印象であった。

トランスミッションは8速のトルクコンバーター式となり、超高性能にして極めてコンフォートなクーペである。

そして今回試乗したのが、新たに加わったRS5スポーツバックだ。

アウディ RS5スポーツバック
アウディ RS5スポーツバック

RS5が発売されてから9年を迎えるタイミングで、初めてA5スポーツバックをベースにした5ドアのRSモデルが誕生した。

クーペに比べるとおよそ60mmホイールベースを伸ばしたが、オーバーハングはほとんど変わらない寸法だ。

長くストレッチしたボディは、クーペに比べるとスタイリング的にとてもマッシブで、そこにエレガントさが混ざり合っているような雰囲気だ。

個人的には断然スポーツバックのスタイリングの方が、バランスが取れていると感じる。

単純にスペックだけを見れば、剛性が高くホイールベースも短いクーペの方が運動性能が高いと思いがちだが、RS5 スポーツバックはどうだろうか。

スポーティーなのは当然だが、心地のよさにも目を向けられている

アウディ RS5スポーツバック

内装の素材選びや色使いは、本当にセンスが際立って素敵だ。この雰囲気だけで「高級な車」なのだとすぐに感じる。実際、とても高いマテリアルを用いて、表面処理も手間をかけて行っている。

エンジンを始動する。軽やかなサウンドだが、普通のV6エンジンのような雰囲気ではなく、重厚感がある。

Dレンジに入れて走り出す。2ドアクーペよりも乗り心地がよいことをすぐに感じる。

ATは、ダイレクトにエンジンパワーをミッションに伝えるロックアップを多用し、小気味よくシフトチェンジを繰り返す。スポーティで切れがいい。

ステアリングのとられ方を見るため、わだちの多い一般道を走行する。

ブレーキをかけるときかけないとき、ともにハンドルを取られることもないしなやかさを見せる。

これが本当にスポーツ性能を突き詰めたRSシリーズなのかと錯覚するほど、ラグジュアリーで乗り心地が最高だ。

アウディ RS5スポーツバック ▲ダウンサイジングされたV6エンジンだが、重厚なサウンドを発生する
アウディ RS5スポーツバック ▲高級な素材が使われているインテリアは、手間がかかっている処理と相まって本当に素晴らしい

続いて高速道路に入るため、進入路を一気に駆け上がる。素晴らしい加速だ。

どこからでも加速する軽快なエンジンは、ターボラグも全く感じないし、コントロール性もいい。

しかも、クーペモデルよりも直進安定性がよい。

一昔前のRSシリーズに比べると、心地よい方向にセッティングされているのがわかる。

アウディは、路面とボディの間の空気の流し方が非常に上手だ。

高速コーナーはまるで地をはっているようで、速度を上げれば上げるほどさらに安定感が増す印象である。

クーペに比べて剛性感が足りない……というコアなユーザーもいるかもしれないが、少なくとも高速道路では剛性不足は全く感じない。ビシッとソリッドである。

山間部のコーナーでも細かいコントロールが可能で、しっかりとラインをトレースできて気持ちがよい。

インターやジャンクションなどにある比較的高速走行できるS字コーナーでは、路面に吸い付いているような印象を受けた。それほど上手に曲がれる車なのだ。

ドライブを終えてもほとんど疲労感がなく、先代にくらべると間違いなく疲れにくくなっている。

RS5 スポーツバックはエレガントなボディにふさわしく、ゆとりのある加速とクルージングができるモデルだ。

アウディ RS5スポーツバック
アウディ RS5スポーツバック
アウディ RS9スポーツバック
アウディ RS9スポーツバック
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
●2.9 4WD

型式 ABA-F5DECL 最小回転半径 5.5m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.78m×1.86m×1.39m
ドア数 5 ホイールベース 2.83m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.6m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1810kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.12m
マニュアルモード
標準色

ナルドグレー、ミトスブラックメタリック、ナバーラブルーメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ミサノレッドパールエフェクト、ソノマグリーンメタリック

オプション色

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掲載コメント

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型式 ABA-F5DECL
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ナルドグレー、ミトスブラックメタリック、ナバーラブルーメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ミサノレッドパールエフェクト、ソノマグリーンメタリック
オプション色 -
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.5m
全長×全幅×
全高
4.78m×1.86m×1.39m
ホイール
ベース
2.83m
前トレッド/
後トレッド
1.6m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1810kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 DEC 環境対策エンジン -
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 58リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 11.2km/L
総排気量 2893cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 H27年度燃費基準
達成車
最高出力 450ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
600(61.1)/5000
エンジン型式 DEC
種類 V型6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2893cc
最高出力 450ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
600(61.1)/5000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 58リットル
燃費(JC08モード) 11.2km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 達成車
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。