【試乗】新型 アウディ RS4アバント│単なる移動時間を、最高のひとときへと変えてくれるモデルだ
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2019/10/14
モータースポーツのスペシャリストによって開発されるRSシリーズ
2019年の初頭、6年ぶりにアウディ RS4アバントがフルモデルチェンジを受けて登場した。初代こそ日本に正規輸入はされなかったが、今回のモデルは4代目となる。
代々のRSシリーズは、アウディの子会社である「クワトロGmbH」社が開発を担ってきた。
クワトロGmbHは、現在では「アウディスポーツGmbH」と社名を変更したが、アウディが携わるモータースポーツ車両を開発するスペシャリスト揃いの会社である。
ここで生まれたRSシリーズにはすべて試乗してきたが、どれも文句のつけようがないほどに高性能であった。
今回、4代目のRS4アバントに試乗できる機会を得たのでそのパフォーマンスをお伝えしたい。
スポーティになってもユーティリティと高い質感は健在
RS4アバントのエクステリアは、ワイドフェンダーと地をはうような車高の低さが印象的なスタイリングだ。
先代よりも全長と全幅を長くして車高を落としているので、一層地をはうイメージが強くなった。
乗る前にリアゲートを開けてラゲージスペースを見ると、普通のA4アバントと変わらない。
最速スポーツモデルでも、ユーティリティは犠牲にしていない。
ドアを開けて専用のシートに腰を落ち着ける。相変わらずシートのマテリアルは最高で、どこに触れても満足できるクオリティである。
神髄はそのワゴンらしからぬパフォーマンスにある
先代となる3代目RS4アバントは、自然吸気の4.2L V型8気筒エンジンに7速ツインクラッチシステムのトランスミッションを組み合わせたモデルであった。
エンジンの最高出力は450psと、NAとしては素晴らしいパフォーマンスのユニットだ。
しかし、今回の4代目は2.9Lにターボチャージャーを搭載したダウンサイジングユニットながら、450psを発揮する。
しかも、トルクは先代よりも170N・mも増した600N・mである。
トランスミッションは、ツインクラッチ式の7速からトルクコンバータータイプの8速に変更されて、より細かい制御が可能になり滑らかさも増した。
エンジンをスタートさせると、力強いエグゾーストノートを発する。
シフトレバーをDレンジにセレクトして、アクセルを静かに踏み込みながら走り出す。
リニアなトルクでコントロール性も申し分なく、よりラグジュアリー感が増した印象だ。
V型のバンク内に収納したターボユニットは、すこぶるレスポンスがいい。アクセルを踏めばためらいなく加速する。
ミッションは、先代のツインクラッチタイプと比べてとてもスムーズにシフトアップしていき、路面を滑るかのように加速していく。
路面から伝わってくるインフォメーションは、スポーティでカチッとした感じはあるものの驚くほど重厚感がある。
もしかすると、後席は少し硬さを感じるかもしれないが、ドライバーシートはラグジュアリーハイパフォーマンスカーのようである。
ワイドで硬いサイドウォールをもつタイヤを装着しているが、一般道のわだちでもステアリングは取られにくい。
加速がシャープなモデルほど、ブレーキの制動力が求められるが、ブレーキペダルの剛性感がとても高く安心感がある。
最高のドライビングプレジャーを得られる
一般道に続いて高速での試乗だ。
東京インターから本線に合流するため、レンジをDからSに動かすとシフトダウンして加速が一気に増す。
これは、キックダウンのようなものだが8速もあるのでスムーズで暴力的ではない。
わずか500mほどだが、このジェントルに加速していく感じがどこまでも続いていくように思える。本当ならドイツのアウトバーンで試したいところだ。
しばらくは緩やかな道が続く。大井松田付近の、ツイスティーなマウンテンセクションはとても楽しみだ。
正確無比なステアリングは、最小限の舵角をもってコーナーを次々に駆け抜ける。
サスペンションはどんな場面でも確実に路面を追従する。高速コーナーではサスペンションがじんわり沈み込む。
ホイールベースが伸び、フロントが軽くなったことで、軽快でありながらも乗り心地も直進安定性も高いという恩恵を受けることができる。
追い越しの瞬間、時間にして2秒ほど、まるで巨人に振り回されたかのような恐ろしい加速にエクスタシーを感じる。
こんな加速の中でも、フロントの動力がハンドリングを邪魔するようなことはない。
前後の動力分配が適切であるために、常に高い安定性を見せてくれる。
このきめ細かい制御性こそが、モータースポーツで培われたクワトロの素晴らしいコントロール技術のたまものなのだ。
ポテンシャルの高いモデルであると、自在に加速し、曲がり、止まれるためドライビングの楽しさが倍増する。
目的地までの単なる移動時間を、最高なひとときへと変えてくれる……それがヨーロッパ大陸で20年もの間磨かれ続けてきたRS4アバントの魅力なのだ。
【試乗車 諸元・スペック表】
●2.9 4WD
型式 | ABA-8WDECF | 最小回転半径 | 5.5m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.78m×1.87m×1.44m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.83m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.59m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1840kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ミトスブラックメタリック、ナバーラブルーメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ミサノレッドパールエフェクト、ナルドグレー、ソノマグリーンメタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
- |
型式 | ABA-8WDECF |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ミトスブラックメタリック、ナバーラブルーメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ミサノレッドパールエフェクト、ナルドグレー、ソノマグリーンメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.5m |
全長×全幅× 全高 |
4.78m×1.87m×1.44m |
ホイール ベース |
2.83m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.59m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1840kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.12m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | DEC | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | V型6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 58リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 11.2km/L |
総排気量 | 2893cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 450ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
600(61.2)/5000 |
エンジン型式 | DEC |
---|---|
種類 | V型6気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2893cc |
最高出力 | 450ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
600(61.2)/5000 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 58リットル |
燃費(JC08モード) | 11.2km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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