フォルクスワーゲン アルテオン▲7月に初のマイナーチェンジを行ったフォルクスワーゲン アルテオンに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が公道試乗でレポートする

デビュー3年目にして初のマイナーチェンジを行ったアルテオン

フォルクスワーゲンは、おとなしめで堅実なデザインのモデルが多いイメージが強かった。だが、“パサートCC”以降、使い勝手重視のスタイリングから、スタイリッシュな雰囲気へと変化し、2017年にCCの後継車として“アルテオン” が登場した。

シャープなボディラインによって作り出されたクーペスタイルの5ドアハッチバックは、どことなくカリスマ性のあるデザインによって、今までのフォルクスワーゲンのイメージを払拭したモデルである。

そんなアルテオンも、登場から3年目でマイナーチェンジが施された。目玉は新たに誕生した“シューティンブレーク”であるのだが、この試乗記は次の機会にして、今回はクーペスタイルの5ドアハッチバックモデルを試乗する。
 

フォルクスワーゲン アルテオン▲右が新しく追加となったシューティングブレーク

エクステリアに大きな変更点はないが、前後のデザインを少々ブラッシュアップし、以前よりも5mmほど伸ばしたスタイリングとなる。フロント下部左右の造形に動きを加え、スポーティさを強めている。
 

フォルクスワーゲン アルテオン
フォルクスワーゲン アルテオン

インテリアは、新調したダッシュパネルによって、質の高さがさらに増した。また、新世代を意識したデジタルコントロールをステアリングホイールに装備した。アメニティコントロールも新たなレイアウトとなり、水平基調がさらに強められた印象で、まとまり感がある。
 

フォルクスワーゲン アルテオン

これから試乗するのは、アルテオン TSI 4モーション エレガンスというモデル。20インチのホイールに、245/35という超ロープロファイルタイヤを装着しながらも、品よくまとめられたモデルである。

パワーユニットは、最高出力272馬力で、350N・mのトルクを発生する2L TSIエンジンである。7速DSGタイプのトランスミッションと、フルタイム4WDシステムを装備し、最適なスタビリティを提供するという。
 

柔らかな発進に質の高い乗り味。特に高速での乗り心地は抜群!

では、試乗した雰囲気をお届けしよう。エンジンを始動して感じるのは、フォルクスワーゲンの横置きエンジンは、アイドリングが非常に静かだということ。これは、他に感じたことのないほど素晴らしい技術力だと思う。

ブレーキから足をすっと離すと、DSG独特なクリープへとつながるのだが、以前よりも柔らかくマイルドな発進に進化している。

アクセルを軽く踏むと、レスポンスのいいエンジンと、ダイレクト感が強いトランスミッションによって小気味よくシフトアップしてくれる。エンジン回転を上げなくとも、余裕のある気持ちのいい加速が可能だ。

ハッチバックボディであるが、そう感じさせないほど剛性感あるボディによって、プレミアム感の高さを感じられる。
 

フォルクスワーゲン アルテオン

一般道から高速と走らせると、その加速は気持ちがいい。大トルクではあるが、4モーションシステムによって、フロントからリアに動力を分散し、確実なトラクションを路面に伝えることができる。このことにより、ステアリングに無駄な力が伝わらず、スタビリティが高くなっているのだ。

そして、以前よりも確実に乗り心地の質感も向上している。このスタイリングとタイヤからは想像がつかないほどだ。乗り心地もよく路面からの入力もうまくいなしてこなす。特に高速の乗り心地はとてもいい。

これほどスタイリッシュなモデルであっても、他のプレミアムブランドより気取らない雰囲気は、フォルクスワーゲン故に感じられる。

気取らないが、質感の高いカリスマ性が好きな方には、ピッタリなモデルと言える。
 

文/松本英雄、写真/篠原晃一
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。