フォルクスワーゲン ゴルフ▲2019年10月に本国ドイツで発表され、日本では2021年6月に発売が始まった8代目フォルクスワーゲン ゴルフ。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公試乗の様子をお届けする

フォルクスワーゲンを代表するモデルの最新型

フォルクスワーゲンの象徴と言えば、フェルディナント・ポルシェが設計した“ビートル”であるが、もう一つのエポックメーキングなモデルとして「今日のフォルクスワーゲン」を作ったモデルがある。それがゴルフだ。

FFとハッチバックのパッケージングとして、世界のベンチマークに君臨したモンスター的なモデルである。

そのゴルフも1974年の登場以来、本国で一昨年に登場した8代目にわたるまで、実に45年も象徴的なモデルとして生産されているのである。

では、新しいゴルフ8を見てみるとしよう。

次世代の車というのが良くわかる

まずはエクステリアだが、先代のモデルに比べると、明らかにフロントまわりの高級感が際立っている。

特にヘッドライトは、シャープな印象から優しい雰囲気へと変わり重厚感もある。

エンジンフードも柔らかい曲線とシャープなエッジを絡めて、質感を向上させようとしている狙いがわかる。

それは、フロントばかりではなくボディサイドの断面も同様で、クオーターパネルも力強い。

ゴルフに限らずだが、フォルクスワーゲン車のつくりを見ると、派手さはないもののとにかく質が良くほれぼれする。

フォルクスワーゲン ゴルフ
フォルクスワーゲン ゴルフ

ではインテリアはいかがだろうか。上質なソフトパッドを多用していて、その出来の良さにはさすがとしか言いようがない。

一方で、新たなインフォテイメントシステムの操作は少々戸惑う。そして、アメニティコントロールのデザインはカッコイイが、初見ではややわかりにくい。

恐らくデザイナーはわかりやすいアイコンを見せたくなかったのであろう。確かに、一度設定すればAUTOで快適な車内に調整してくれるため、頻繁に操作することはない。

ここは単純に慣れの問題か。とにかく、次世代へ移り変わっているということが良く理解できるポイントだ。

DSGのシフトセレクターは、ポルシェ 911に似た操作性の良いものになった。アウディもこのタイプであるから、フォルクスワーゲングループが一丸となり統一を図っているのだろう。

このシフトレバーを含め、触れる部分の質感はとにかく素晴らしい。

フォルクスワーゲン ゴルフ
フォルクスワーゲン ゴルフ▲モニター下部がアメニティコントロールスイッチになるのだが、すっきりしてスタイリッシュである一方、操作方法がいまいちわかりにくいと感じた

今回の試乗では、1.0L 3気筒ターボと1.5L 4気筒ターボの2モデルに試乗した。ともに48Vの電圧で動かすマイルドハイブリッドを搭載している。

それぞれの試乗インプレッションへと移ろう。

間違いなく1.0Lクラスで最高のモデル
フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI アクティブ(1.0L)

フォルクスワーゲン ゴルフ

まずは、1.0Lモデルから行こう。

エンジンを始動させると、3気筒とは思えない静粛性の高さに驚いた。

このエンジンの最大の特徴は、ターボチャージャーがVGT(バリアブル・ジオメトリー・ターボ)と呼ばれるタイプが装着されていることだ。

このクラスのガソリン車には本来装着されないような、コストの高いターボだ。ちなみに、1.5Lには通常のターボが装着されている。

フォルクスワーゲン ゴルフ▲1.0L 直3ターボエンジンは、出力110ps、トルク200N・mを発生。これに48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載される

エンジンは十分に温まっている。Dレンジに入れて発進だ。

マイルドハイブリッドの制御とターボによる過給によって、1.0Lとは思えないような加速だ。

アクセルを戻せば、コースティング(ニュートラル状態での惰性走行)、そしてアイドリングオフ状態になり燃料がカットされる。そのときも滑るように走り、走行抵抗も極めて少ない。

そのような状態から再度アクセルを踏めばエンジンは始動するが、今まで乗ったことのある3気筒モデルの中で最も静かである。

フォルクスワーゲンが誇るツインクラッチのDSGは、さらにスムーズになった。

シフトアップするたびに、トルクが落ち込むところをモーターが補いスムーズにさせる。48Vの電圧によって、12Vよりもきめ細かな制御ができているようだ。

上り坂や高負荷時でのトルク不足は否めないが、全負荷(スロットルを深く踏んだ状態)にしなければまったく問題ない。

1.0Lでこのドライバビリティの良さを得られることに、ただただ驚くばかりである。

走りの安定感も抜群で堅牢な走りだ。間違いなく1.0Lクラスで最高のモデルだ。

どっしり感とリアサスのしなやかさが秀逸
フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI スタイル(1.5L)

フォルクスワーゲン ゴルフ

続いて、今度は1.5Lの出番だ。1.0Lほどの感激はないにせよ試乗してみる。

エンジンを始動させると、これまた静粛性がいい。エンジンマウント技術による部分も大きいが、やはり何といってもこの「MQB Evo」プラットフォームが優秀なのだろう。

走りだすと、やはり1.5Lだということがわかる。力強い加速は、2.0Lクラスをも超える重量感あるドライバビリティだ。どっしり感が1.0Lモデルとは違う。

フォルクスワーゲン ゴルフ▲よりパワフルな1.5L 直4ターボエンジンは、出力150ps、トルク250N・mを発生。1.0Lモデル同様、48Vマイルドハイブリッドシステム搭載

しかも、リアのサスペンションがしなやかで、高級感を感じる。高速のコーナーやツイスティーなカーブが連続するところでの路面との接地性は、1.0Lモデルより柔軟だ。

明らかに1.0Lモデルを凌ぐパフォーマンスで、高速や上り勾配が続くような高負荷なシチュエーションではやはり有利である。

またしても恐ろしいハッチバックが現れたものだ、と本当に感心する。

FFハッチバックのベンチマークが一気に高くなった

今回1.0Lと1.5Lのモデルを比較したが、持ち味の違いは明確だ。

1.0Lモデルは、パフォーマンスと質感を向上させ、決して派手さはないが排気量の差によるヒエラルキーを超越した感じがある。

そして1.5Lモデルは、きめ細かな制御が可能なマイルドハイブリッドと、サスペンション性能の高さによってさらに走りの質に磨きをかけている。

同じゴルフであっても、乗り比べればキャラクターの違いがよく理解できる仕様だったが、どちらもFFハッチバックのベンチマークを一気に高めたモデルとして間違いはない。

フォルクスワーゲン ゴルフ
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●eTSI アクティブ(1.0L)

型式 3AA-CDDLA 最小回転半径 5.1m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.3m×1.79m×1.48m
ドア数 5 ホイールベース 2.62m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.51m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1310kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 -m
マニュアルモード    
標準色

ドルフィングレーメタリック、アトランティックブルーメタリック、ピュアホワイト、ムーンストーングレー、ディープブラックパールエフェクト

オプション色

ライムイエローメタリック、キングズレッドメタリック、オリックスホワイトパールエフェクト

掲載コメント

-

型式 3AA-CDDLA
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ドルフィングレーメタリック、アトランティックブルーメタリック、ピュアホワイト、ムーンストーングレー、ディープブラックパールエフェクト
オプション色 ライムイエローメタリック、キングズレッドメタリック、オリックスホワイトパールエフェクト
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.1m
全長×全幅×
全高
4.3m×1.79m×1.48m
ホイール
ベース
2.62m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.51m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1310kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DLA 環境対策エンジン -
種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 47リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 20.4km/L
総排気量 999cc 燃費(WLTCモード) 18.6km/L
└市街地:14.7km/L
└郊外:19.1km/L
└高速:20.6km/L
燃費基準達成 -
最高出力 110ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
200(20.4)/3000
エンジン型式 DLA
種類 直列3気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 999cc
最高出力 110ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
200(20.4)/3000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 47リットル
燃費(JC08モード) 20.4km/L
燃費(WLTCモード) 18.6km/L
└市街地:14.7km/L
└郊外: 19.1km/L
└高速: 20.6km/L
燃費基準達成 -


●eTSI スタイル(1.5L)

型式 3AA-CDDFY 最小回転半径 5.1m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.3m×1.79m×1.48m
ドア数 5 ホイールベース 2.62m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.51m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1360kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 -m
マニュアルモード    
標準色

ドルフィングレーメタリック、アトランティックブルーメタリック、ピュアホワイト、ムーンストーングレー、ディープブラックパールエフェクト

オプション色

ライムイエローメタリック、キングズレッドメタリック、オリックスホワイトパールエフェクト

掲載コメント

-

型式 3AA-CDDFY
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ドルフィングレーメタリック、アトランティックブルーメタリック、ピュアホワイト、ムーンストーングレー、ディープブラックパールエフェクト
オプション色 ライムイエローメタリック、キングズレッドメタリック、オリックスホワイトパールエフェクト
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.1m
全長×全幅×
全高
4.3m×1.79m×1.48m
ホイール
ベース
2.62m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.51m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1360kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DFY 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 47リットル
可変気筒装置 燃費(JC08モード) 18.7km/L
総排気量 1497cc 燃費(WLTCモード) 17.3km/L
└市街地:12.8km/L
└郊外:18km/L
└高速:19.8km/L
燃費基準達成 -
最高出力 150ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
エンジン型式 DFY
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置
総排気量 1497cc
最高出力 150ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 47リットル
燃費(JC08モード) 18.7km/L
燃費(WLTCモード) 17.3km/L
└市街地:12.8km/L
└郊外: 18km/L
└高速: 19.8km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。