素材の良さを生で味わえる、これぞ最高のゴルフ

  • VW GOLF TSI Trendline 走り|ニューモデル試乗
  • VW GOLF TSI Trendline インパネ|ニューモデル試乗
2本出しのマフラーパイプは廃され、ホイールは15インチのスチール+ホイールキャップを採用する
6代目ゴルフの本命が上陸した。1.2L直噴ターボのTSIエンジンを搭載したエントリーグレード、トレンドライン。

新開発のエンジンはオールアルミ製で、1.4LのコンフォートラインがDOHC16バルブなのに対し、SOHC8バルブというシンプル仕立て。最高出力は105ps、最大トルクは17.8kg-mと、トルクについては自然吸気1.8Lレベルだ。10・15モード燃費はコンフォートラインの16.4km/Lを上回り、歴代ゴルフ最高の17km/L。もちろんエコカー減税75%が受けられる。

たった1.2Lでちゃんと走るのか? が読者のいちばんの興味だと思うけれど、結果からいえばまったく問題ない。最大トルクを1550~4100rpmで発生することでわかるように、発進直後から1.8L級の加速が味わえるのだ。1.2Lを実感するのは、Dレンジで追い越し加速をかけた瞬間ぐらい。Sレンジを選べば低めのギアを選び、反応が鋭くなるので、その不満も解消する。

小排気量らしく、吹け上がりはなめらかで、サウンドはきめ細かく、振動はない。信号待ちではアイドリングストップとカン違いするほどだ。高回転でのノイズも、1.4Lよりむしろ小さかった。これで十分、というかこれがベストだ。

まろやかな乗り心地。基本性能の高さを体感。

  • VW GOLF TSI Trendline フロントシート|ニューモデル試乗
  • VW GOLF TSI Trendline エンジン|ニューモデル試乗
シングルチャージャーの1.2LTSIを搭載。従来の1.6L同等のパワーを発揮しながら、燃費は20%向上した。インパネ回りは他のゴルフと共通で、エアコンやカーナビに差がある程度。ESPやエアバッグなどの安全装備も他モデルと遜色ない充実ぶりだ
でも個人的なお気に入りは、エンジンよりもシャーシだった。控えめなパワー、20kg軽いボディに合わせ、タイヤはコンフォートラインの205/55R16から185/65R15になり、サスペンションもマイルド化しているようだが、これが気持ちいい。

乗り心地はまろやか。ブッシュなどの小細工に頼らず、バネとタイヤでショックを吸収する車ならではのスッキリ感がある。ハンドリングも同じ。1270kgの車重はコンフォートラインより20kg軽いものの、足は硬くないから、身のこなしはおだやかで、ロールはする。だからこそ豊かなストロークやしっとりした接地感など、基本性能の高さをストレートに体感できる。お刺身のうまさに通じる走りだ。

エアコンはシングルモードで、ステアリングにレザーは巻かれず、ホイールはアルミじゃない。国産車より高級に見えるとか、売れている輸入車とかという理由で選ぶ人は、これらを気にするかもしれない。でもホイールがアルミじゃないとゴルフじゃないのか? 素材の良さを生で味わえるトレンドライン。これこそ、最高のゴルフだ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード TSIトレンドライン
全長×全幅×全高(mm) 4210×1790×1485
車両重量(kg) 1270
エンジン種類 直4SOHC+ターボ
総排気量(cc) 1197
最高出力[ps/rpm] 105ps/5000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 17.8kg-m/1550〜4100rpm
車両本体価格 257万円
Tester/森口将之 Photo/向後一宏