新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲2021年にフルモデルチェンジを行った新型Cクラス。MBUXインフォテインメントシステムやマイルドハイブリッド技術のISGを全車に標準装備した。エクステリアは、センシュアルピュリティ(官能的純粋)にのっとったデザインとなった

期待を大幅に超えた進化

実は、セダンと同時に発表されていた新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴンだが、導入は少し遅れていた。それ故に今回のC220dワゴン アバンギャルドの試乗、とても待ちわびたものだったのだ。

外観のハイライトは、やはりリアセクションだろう。従来より25mm伸ばされたホイールベースと短いオーバーハングが相まって、FR車らしくノーズの長さが強調されたセダンと共通のフロントに対して、リアはルーフラインが従来のように真っ直ぐ伸ばされるのではなく、車体後方に向かってなだらかに傾斜していくフォルムとされて、これまでにないほどの情感をアピールしているのである。

ワゴンであるからには、もちろん荷室の容量が大事。実はそれと同じくらい、豊かなライフスタイルを演出する小道具であることも重要だ。新型Cクラスワゴンが、そうした方向をより強く主張するモデルへと舵を切ったことは間違いない。

無論、だからと言ってラゲージスペースの容量が先代を下回るなんて本末転倒なことにはなっていない。後席使用時の容量は490Lと、先代を10L上回る。さらに後席バックレストを倒せば、最大1510Lもの大容量をもつ、しかもフラットで扱いやすいスペースが確保されているのだ。

使い勝手にも文句をつける余地はない。後席バックレストを倒すときには荷室側のスイッチで操作できるし、テールゲートは自動開閉式で、トノカバーは開くと自動的に折り畳まれる。そして床下には折り畳み式のボックスが収められていて、必要なときには小物などを簡単に整理しておけるという具合である。
 

新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲前後のオーバーハングを短くし、ホイールベースを長くすることで、居住性とスタイリングを向上
新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲テールライトに採用されたLEDコンビネーションランプは、中央に向かって絞られるようなシャープなデザイン
新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲AMGライン仕様のグリルは、無数のメルセデス・ベンツロゴで構成される「スターパターングリル」を装備する

では走りはどうか。従来のOM654型からOM654M型に進化した直列4気筒2Lクリーンディーゼルエンジンは、最高出力が6psアップの200psに、最大トルクが40N・mアップの440N・mに、それぞれ強化されている。しかも、新たにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が組み合わされ、20ps、200N・mの強力なアシストでドライバビリティを向上させたとうたう。

実際、ストップ&ゴーの繰り返しになる街中では、減速中やアイドリングストップの際にも、発進時の再始動時にも不快なショックとは無縁だし、アクセルを踏み込めば電気モーターが即座に加勢して、心地よいレスポンスを得ることができる。

そして高速道路に入れば、クリーンディーゼルならではの豊かなトルクのおかげで、全域走りは余裕に満ちているし、9G-TRONICギアボックスのおかげで、エンジン回転数を高めなくてもが低く保たれるため静粛性も上々。快適なクルージングが楽しめるのだ。

試乗車は、足元にAMGラインの18インチホイールを履いていたにもかかわらず、姿勢を常にフラットに保ちながら路面の不整をしなやかに、滑らかに受け流す、極上の乗り心地にしつけられていた。実はその上質なタッチをずっと味わっていたくて、思わず遠回りしてしまったほどだ。

先進感たっぷりの12.3インチのメーターディスプレイと縦型11.9インチのタッチパネルを採用しながら、オーセンティックな上質感、高級感をうまく併せ持ったインテリアや、最新鋭の運転支援装備などは、定評のセダンと変わらない。他のパワートレインの選択肢として、1.5Lガソリンターボエンジンと電気モーターを組み合わせたC200、そして新たなエントリーモデルのC180が用意されるが、こちらも同様である。

今や、このセグメントにおいて定番の地位をほしいままにしているにもかかわらず、新型Cクラスワゴンは大胆な進化を遂げて登場した。特に際立っているのは先進性、スポーティさ、そして若々しさ。いずれも期待を大きく上回る進化で、大いにうならせたのだ。
 

新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲写真は、上質な本革レザーを採用したレザーエクスクルーシブパッケージ装備車。アンビエントライトは全64色選べ、マルチカラーも設定可能だ
新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲後席は、ホイールベース拡大によってレッグルームが21mm、ヘッドルームが25mm拡大し居住性が向上した
新型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン▲11.9インチのMBUXモニターは、運転席側に6度傾けて配置される。AMGラインは、ツースポークステアリングホイールやホールド性の高いスポーツシートを装備し、さらにスポーティとなる

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メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン(現行型) × 全国
文/島下泰久、写真/郡大二郎、メルセデス・ベンツ・グループ
島下泰久

モータージャーナリスト

島下泰久

1972年生まれ。自動車専門誌から経済誌やファッション誌などに数多く寄稿、You Tubeチャンネルを主宰するなど幅広く活躍するモータージャーナリスト。「間違いだらけのクルマ選び」の著者でもある

先代Cクラスワゴンの中古車市場は?

先代メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン

2014念に登場した先代となる4代目Cクラスワゴン。流通量は400台前後、中古車平均価格は約300万円となっている。今回インプレッションした試乗車と同じ2LディーゼルのC220dは流通量80台前後で、260万円くらいから選ぶことができる。

360度カメラやシートベンチレーションを追加するレザーエクスクルーシブパッケージ付きの物件は、本体価格450万円前後から探すことができる。快適性と利便性が格段に高まる装備なので注目しておきたい。
 

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先代メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン(先代) × 全国
文/編集部、写真/メルセデス・ベンツ・グループ

【試乗車 諸元・スペック表】
●C220 d アバンギャルド AMGライン (ISG搭載モデル) ディーゼルターボ

型式 3CA-206204C 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.79m×1.82m×1.46m
ドア数 5 ホイールベース 2.87m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 1820kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.11m
マニュアルモード    
標準色

ポーラーホワイト

オプション色

オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド

掲載コメント

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型式 3CA-206204C
駆動方式 FR
ドア数 5
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 ポーラーホワイト
オプション色 オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.79m×1.82m×1.46m
ホイール
ベース
2.87m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1820kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.11m
掲載用コメント -
エンジン型式 OM654M 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 66リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 19.7km/L
総排気量 1993cc 燃費(WLTCモード) 18.2km/L
└市街地:13.9km/L
└郊外:18.3km/L
└高速:20.9km/L
燃費基準達成 -
最高出力 200ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
エンジン型式 OM654M
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1993cc
最高出力 200ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 66リットル
燃費(JC08モード) 19.7km/L
燃費(WLTCモード) 18.2km/L
└市街地:13.9km/L
└郊外: 18.3km/L
└高速: 20.9km/L
燃費基準達成 -