メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲オールテレインの第2弾となる、旗艦モデルCクラスのクロスオーバー。ステーションワゴンより40mm車高の高いSUV風エクステリアを備え、カントリーロードも軽快な走りを見せる

パフォーマンスに最も個性のあるCクラス

現行型Cクラスシリーズの中で、個人的に一番期待していたモデルが、新たに追加されたオールテレインだった。理由はシンプルで、Eクラスのオールテレインが素晴らしかったから。メルセデス・ベンツ&AMGの乗用車ラインナップから1台を選べと言われたら、今でもE220d 4マチック オールテレインを筆頭に推す。それくらい気に入っている。

だから、新型Cクラスのステーションワゴンにオールテレインが設定されると知って、その上陸を今か今かと待ち望んでいたのだった。

結論から言うと、C220d 4マチック オールテレインは刺激的なワゴンではあったものの、Eクラスのときほどの感動はなく、Cの車型ベストチョイス(セダン、ステーションワゴン、オールテレイン)は依然セダンにあり、だった。
 

メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲最低地上高はワゴンより40mm高い150mmに。走破性だけでなく、アイポイントの高さもメリットとなる
メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲ホイールアーチのブラックカバーやバンパー下部のアンダーガードなどでSUVらしさが演出された

Cクラスオールテレインの見た目はかなりゴツい。車高が明らかに高く、SUVテイストをしっかり発散している。実際、ステーションワゴンに比べて全高が40mm高い。Eクラスオールテレインではステーションワゴン比で+25mmだったから、ここまでSUV風に見えなかった。

カラクリはこうだ。Eクラスオールテレインには電子制御のエアサスが奢られていた。それゆえ、ノーマル状態では車高があらかじめ落とされている。その代わり、モードを切り替えるともう20mm車高が上がる。結果、+45mm。

一方、Cクラスはというと、固定メタルスプリングサスなのでオフロード用にハナから車高を上げておく必要があった。それゆえ、ステーションワゴン比で+40mm。Eクラスより一回り小さいうえに、上がった車高寸法はEクラスのそれより5mmしか違わないわけだから、相対的にCクラスオールテレインの方がよりSUVらしく見えて当然、というわけだ。

そして、エアサスでないことが、その乗り味にも決定的な違いをもたらした。日本仕様のCクラスオールテレインには電子制御ダンパーの装備もない。つまり、スウィートスポットがずいぶん狭い。結果、Eクラスオールテレインとは真逆のキャラ=かっちりとアシのいいヤツ、に仕立て上げられていたのだった。

逆に言うと、スポーティな走りが好きだという人は格好のモデルかもしれない。路面コンディションのよろしくないカントリーロードをハイペースで移動するような場面で、想像以上の走りを見せてくれるからだ。足の長さをしっかりと使ってのコーナリング姿勢もなかなかのもの。操っているぞ! という気分にさせてくれる。

しかし、街中をゆっくり流すような場面では乗り心地の硬さ、というかアシのつっぱった感が気になってしまった。ステーションワゴンなので荷物を積めばもう少し印象の変わる可能性もあるけれど、市街地に関していえばスタンダードのワゴンの方がまだしも良質だ。ちなみに、街乗りに最適なCクラスはセダンのガソリンだと思う。今後は後輪操舵が外れるらしいので、違和感なく乗れるのではないか。なくても使い勝手にさほど影響はないだろう。
 

メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲最高出力200psを発生する2Lディーゼルターボに、マイルドハイブリッドシステム(ISG)が組み合わせられている

Cクラスオールテレインのもう一つの得意分野として高速域での巡航安定感を挙げておきたい。車高を上げ固定されているにもかかわらず、安心感もたっぷりの滑らかなクルーズフィールを味わうことができた。特に100km/hを超えたあたりからの気持ちよさは、これぞメルセデスと思わせる。

筆者の期待を上回る仕上がり、ではなかったけれど、パフォーマンスに最も個性のあるCクラスであることは間違いない。アウディやボルボといったライバルと比べて、少々割高とはいうものの、総合的には勝っている。Dセグメントのステーションワゴンを積極的に探すというユーザーはめっきり減ってはいるだろうけれど、オススメの1台ではあった。
 

メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲メルセデスのSUVモデルに共通したデザインのラジエターグリルはシングルルーバーで採用
メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲センターに配される11.9インチのタッチディスプレイなど、最新Cクラス共通のインテリアデザインを採用
メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲ドライバーの指紋や声、PINコードによる認証により、シートなどがあらかじめ設定したポジションへ自動で変更してくれる
メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲ホイールベースの拡大により、現行Cクラスは後席が旧型より広く快適になっている
メルセデス・ベンツ Cクラス オールテレイン▲ラゲージ容量はワゴンと同様の、490L~最大1510Lとなる

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メルセデス・ベンツ Cクラスオールテレイン × 全国
文/西川淳 写真/河野敦樹

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

Eクラス オールテレインの中古車市場は?

メルセデス・ベンツ Eクラス オールテレイン

メルセデス・ベンツ初のオールテレインとして、現行Eクラスに追加設定されたEクラスオールテレイン。新車時価格は861万円となる。最高出力194psの2Lディーゼルターボに4WDを組み合わせ、電子制御エアスプリングを備えたエアボディコントロールサスペンションを装着している。

登場から5年経過しているため、中古車は初期型を中心に少しづつこなれた価格に。中古車の平均価格は約600万円と、Cクラスより1クラス上のモデルながら、Cクラス オールテレインの新車車両価格と同等かそれ以下の予算でも狙うことができる。エンジンは1種類ながら、台数がそれほど多くないので、気になる仕様が見つかったら早めにチェックを。
 

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メルセデス・ベンツ Eクラスオールテレイン × 全国
文/編集部、写真/メルセデス・ベンツ日本

【試乗車 諸元・スペック表】
●C220 d 4マチック (ISG搭載モデル) ディーゼルターボ 4WD

型式 3CA-206214C 最小回転半径 5.4m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.76m×1.84m×1.5m
ドア数 5 ホイールベース 2.87m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1870kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.15m
マニュアルモード
標準色

ポーラーホワイト

オプション色

オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド

掲載コメント

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型式 3CA-206214C
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ポーラーホワイト
オプション色 オブシディアンブラック、グラファイトグレー、モハーベシルバー、カバンサイトブルー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、オパリスホワイト、ヒヤシンスレッド
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.76m×1.84m×1.5m
ホイール
ベース
2.87m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1870kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 OM654M 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 66リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1992cc 燃費(WLTCモード) 17.9km/L
└市街地:13.8km/L
└郊外:17.9km/L
└高速:20.5km/L
燃費基準達成 -
最高出力 200ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
エンジン型式 OM654M
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1992cc
最高出力 200ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 66リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 17.9km/L
└市街地:13.8km/L
└郊外: 17.9km/L
└高速: 20.5km/L
燃費基準達成 -