メルセデスベンツ Sクラス▲新型メルセデスのSクラスは高級感も扱いやすさも先代よりレベルアップ。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が試乗した際の詳細をお伝えする

上品かつ一層扱いやすくなったレジェンドサルーン

メルセデスのフラッグシップサルーン“S”クラス。

もはや宣伝や文言が必要ないほど、レジェンド的なサルーンだろう。メルセデスのSクラスといえば、国産メーカーなどは間違いなく一目を置く存在であると言える。

そのSクラスも1972年に登場以来、このたび7代目となって2021年1月に日本導入が発表された。今回、登場からすでに半年ほど経過したが、じっくり試乗することができたので、そのフィーリングをお伝えしたい。

我々が試乗したのは、“S400d 4MATIC”のルビーライトレッドだ。

まず、標準ボディのロングホイールベースは、先代より70mmほど長くなっている。

特に後ろドアの部分が長くなり、横から見た雰囲気は、以前よりもさらに威風堂々としたスタイリング。とても優雅である。

このたび日本に導入したモデルはすべて4MATICだ。もうひとつのS500L 4MATICについては、いずれ別の機会に紹介したい。

今回の試乗では、一般道よりも高速をメインに走った。スタビリティの向上と進化したレーンキープアシストやアダプティブクルーズコントロール(ACC)などを確かめることができる絶好の機会だと、気分を高揚させて乗り込んだ。

六本木ミッドタウンから出発した我々は、早速首都高速を目指した。 ステアリングを握って真っ先に思ったのは「2924ccの直列6気筒ディーゼルターボユニットの静粛性が驚くほど高い」ということだ。

そして、70kg・mをも越えるトルクはしなやかで、アクセルとのコンビネーションは極めて上品。加速と減速を繰り返す扱いやすさがある。

これは、この柔軟なエンジン特性もあるが、9速ATのきめ細かいシフト制御のたまものでもある。

ストップ・アンド・ゴーが頻繁な一般道からいよいよ、滑らかな走りを体感できる高速へと入る。

メルセデスベンツ Sクラス
メルセデスベンツ Sクラス

デザイン、足さばき、どれを取っても一級品

グッとアクセルを踏み込み、ゆとりのある加速を確かめながら本線へと合流。ミラーによる視認性はすこぶる良い。斜め後方をモニターしているため、ワーニングでの知らせも適切で信頼できる。

特にアクティブブラインドアシストは、雨の日にミラーに水滴が付着したときなどに頼りになるだろう。

シートの背もたれに身を委ね、ステアリングホイールを最小舵角でクルージングすると、たくさんの車が前後左右に走ってはいるものの、気持ちがゆったりとおおらかになる。

ヘッドレストは、まるで野鳥の巣から採取した羽毛のように優しく頭を支えてくれ、これだけでとても癒される。

東名高速に入ったので、ACCとステアリングアシストを試してみる。速度を100km/hでACCをセットだ。車間距離は広くとった。

前の車両との関係で100km/h以下で速度が上がったり下がったりと変化はするが、ブレーキングで速度を落とすのがとても上手だ。

これは、先代よりもさらに細かくなったようだ。シフトポジションも最適で自動的に加速するときも、前の車両にゆったりと追従してゆとりを感じさせる。

アクティブレーンチェンンジは、先代のモデルの方がより積極的だった印象だ。

たっぷりとしたストロークのサスペンションは、瞬時に最適な乗り心地をつくり出している。

こんなに乗り心地がいいのは、フルサイズのこのモデルクラスではピカイチだと断言できる。

メルセデスベンツ Sクラス
メルセデスベンツ Sクラス

有料道路の走行を終了し、箱根の国道1号線を走る。

とてもタイトな道幅だが、大きさを感じさせない車両感覚はSクラスの真骨頂といえる。

途中、昼食のためホテルにて車庫入れをしたが、これは他では真似できないほど楽に操作ができた。結構基本的なことではあるが、まっすぐ入れやすいというのは重要だ。

出発したときに感じたのは、リアアクスルステアリングという後輪操舵により、前方がタイトであっても思った以上に小回りが利くということだ。

それも、逆位相でタイヤが操舵しているのだが、自然な走りを体感できて好印象だ。

軽く箱根のワインディングを走ってみたが、大きく重いボディにもかかわらず、スタビリティは抜群だ。

高級サルーンながら、ロールをコントロールして車重を感じさせないハンドリングはとても良い。

メルセデスベンツの最高峰サルーンは、どんなところにもドライバーに恥をかかせない扱いやすさがある。

メルセデスベンツ Sクラス
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
●S400d 4MATIC

型式 3DA-223033 最小回転半径 5.4m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 5.18m×1.92m×1.51m
ドア数 4 ホイールベース 3.11m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.65m/1.68m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 2090kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.12m
マニュアルモード
標準色

オブシディアンブラック、オニキスブラック、ルビーライトレッド、グラファイトグレー、モハーベシルバー、ハイテックシルバー、エメラルドグリーン、セレナイトグレー、アンスラサイトブルー

オプション色

ダイヤモンドホワイト

掲載コメント

-

エンジン型式 OM656 環境対策エンジン -
種類 直列6気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 76リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 14.3km/L
総排気量 2924cc 燃費(WLTCモード) 12.5km/L
└市街地:8.8km/L
└郊外:12.5km/L
└高速:15.5km/L
燃費基準達成 -
最高出力 330ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
700(71.4)/3200
型式 3DA-223033
駆動方式 4WD
ドア数 4
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 オブシディアンブラック、オニキスブラック、ルビーライトレッド、グラファイトグレー、モハーベシルバー、ハイテックシルバー、エメラルドグリーン、セレナイトグレー、アンスラサイトブルー
オプション色 ダイヤモンドホワイト
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
5.18m×1.92m×1.51m
ホイール
ベース
3.11m
前トレッド/
後トレッド
1.65m/1.68m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2090kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 OM656
種類 直列6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2924cc
最高出力 330ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
700(71.4)/3200
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 76リットル
燃費(JC08モード) 14.3km/L
燃費(WLTCモード) 12.5km/L
└市街地:8.8km/L
└郊外: 12.5km/L
└高速: 15.5km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。