BYD シール▲中国メーカー「BYD」の日本導入BEV第3弾となるミドルクラスサルーン。最高出力312psのモーターを積む後輪駆動モデルと、530psのAWDモデルをラインナップする。クーペライクなスタイリングのデザインは、アルファ ロメオやアウディなどで手腕を発揮したヴォルフガング・エッガーが手がけている

少しばかり個性的でスポーティなイマドキのサルーン

シールのエクステリアデザインを屋内で初めて見たとき、昔からのヴォルフガング・エッガーファンとしてはさほど美しくもなくエレガンスが足りない気もしていたのだが、屋外で見ると意外にコンパクトでよくまとまっていると思った。少なくとも欧州Dセグメント相当のサイズにあって、上手に新しさを表現できている。少しばかり個性的で、少しばかりスポーティ。気をてらっていない。これならイマドキのサルーンとしてためらうことなく受け入れてもらえそうだ。

インテリアもまずまず。年寄りを突き放すようなモダンさはなく、さりとてこれクラシック? とやゆされるようなコンサバ風でもない。見栄え質感も高級ではないけれど、そこそこ。車格とユーザー層を考えてのデザインとクオリティだろう。

BYDの日本第3弾。3ボックスデザインのサルーンが絶滅危機にひんする中、セグメントに関わらずサルーンに見えないサルーンという形が現代の主流になりつつある。シールもその典型。日本仕様には後輪駆動と四輪駆動(AWD)を用意した。いずれもバッテリー性能は同じで82.56kWh。当然のことながらフロントにも電気モーターを置くAWDの方がパワフルで、満充電時の航続距離は少し短い。
 

BYD シール▲ヘッドライトと下部の開口部をX字型に配置。ボンネットのプレスラインがスポーティさを高めている
BYD シール▲82.56kWhのバッテリーを搭載し、一充電走行距離は後輪駆動モデルが640km、AWDモデルが575kmとなる

結論からいうとオススメは安くて長く走る後輪駆動の二駆だ。十分にパワフルで、乗り心地も悪くない。よくできた電動サルーンだと言っていい。

加速の安定感も高く、高速クルージングでも安心して使っていける。一方で狭いつづら折りの道も無難にこなし、時には楽しいと思える瞬間さえあった。中国製サルーンの進化には目を見張る思いだ。

比べてAWDはあまりオススメできない。速いのは速い。BEVらしくすっ飛んでいく。今どき、そんな加速性能だけを求めてBEVを買う人など一握りだと信じたいが、そういう向きには確かにAWDの方がいい。問題は前後モーターの制御だ。最新モデルにしては二駆と四駆のコントロールが荒っぽい。バカっ速な加速もスリリングを超えてデンジャラス。特に自制心の少なめなドライバーには乗ってほしくない。

加えてライドコンフォートでもAWDは明らかに劣った。立派なサスペンションシステムを設えているというのに、特に街中での快適性に欠ける。それなりに速度を上げていけば落ち着くけれども、少なくとも日本の一般道の常用域においては後輪駆動の乗り心地のほうに軍配を上げたい。
 

BYD シール▲室内にはレザーとスエードを用いて高級感を演出。シフトノブまわりのみにスイッチ類が備わる、BEVらしいすっきりしたインテリア。レザーとスエードを用いて高級感が演出されている
BYD シール▲フロントにはヘッドレスト一体型のスポーツシートを標準装備

その他、特筆するポイントといえば、Dセグメントにしては後席スペースに余裕のあることか。ハイヤーにも使えそう。

このセグメントでは最もユニークな見た目をもつシール。二駆であれば総合的なパフォーマンスも上々で、エンジンを積むトヨタ クラウンの好敵手になりうる。なにしろ安い。リセールバリューに不安が残るものの、目新しいもの好きの実用サルーンとしてまずは上出来というべきだろう。
 

BYD シール▲デザインと空力に配慮した格納式ドアハンドルが備わる
BYD シール▲空力により走行安定性を向上させる“ダックテール”デザインを採用
BYD シール▲15.6インチのセンターディスプレイは縦向きでも使用可能
文/西川淳 写真/井上誠

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

先に導入されたBYDモデルの中古車市場は?

BYD ATTO 3

BYD ATTO 3

2023年に日本導入第1弾として登場したBEVのコンパクトSUV。最高出力204psのモーターで前輪を駆動、58.56kWhのバッテリーを搭載し一充電走行距離は485kmとなる。

2024年7月前半時点で中古車市場には50台ほどが流通。価格帯は支払総額で300万~400万円となる。モノグレードで発売から1年程度なので物件の個体差が少なく、好みのボディカラーや装備で選ぶことができる。
 

▼検索条件

BYD ATTO 3 × 全国

BYD ドルフィン

BYD ドルフィン

BYDの第2弾がコンパクトハッチバックのドルフィン。全長4290mmと普段使いしやすいサイズのBEVだ。日本仕様は全高を一般的な立体駐車場に対応する1550mmに抑えられている。最高出力95psのモーターと44.9kWhのバッテリーを搭載する一充電走行距離400kmのベーシックモデルと、204psのモーターに58.56kWhのバッテリーで476kmの走行が可能なロングレンジの2モデルをラインナップする。

2024年7月前半時点で中古車市場には10台ほどが流通。価格帯は支払総額で320万~370万円となる。ベーシックモデルとロングレンジの物件は同数程度となっている。
 

▼検索条件

BYD ドルフィン× 全国
文/編集部、写真/ビーワイディージャパン

【試乗車 諸元・スペック表】
●ベースモデル

型式 ZAA-EKXYC 最小回転半径 5.9m
駆動方式 MR 全長×全幅×全高 4.8m×1.88m×1.46m
ドア数 4 ホイールベース 2.92m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.62m/1.63m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 2100kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2375kg
ミッション位置 不明 最低地上高 -m
マニュアルモード -
標準色

アークティックブルー、アトランティスグレー、オーロラホワイト、コスモスブラック、シャークグレー

オプション色

-

掲載コメント

※一充電走行距離(WLTCモード)640km
※交流電力量消費率 WLTCモード 148km/kWh 市街地モードWLTC-L 136km/kWh 郊外モードWLTC-M 138km/kWh 高速道路モードWLTC-H 155km/kWh

型式 ZAA-EKXYC
駆動方式 MR
ドア数 4
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アークティックブルー、アトランティスグレー、オーロラホワイト、コスモスブラック、シャークグレー
オプション色 -
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.9m
全長×全幅×
全高
4.8m×1.88m×1.46m
ホイール
ベース
2.92m
前トレッド/
後トレッド
1.62m/1.63m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2100kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2375kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※一充電走行距離(WLTCモード)640km
※交流電力量消費率 WLTCモード 148km/kWh 市街地モードWLTC-L 136km/kWh 郊外モードWLTC-M 138km/kWh 高速道路モードWLTC-H 155km/kWh
エンジン型式 - 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 312ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
360(36.7)/-
エンジン型式 -
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 312ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
360(36.7)/-
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -