Aクラスセダン ▲日本の道路でもちょうどいいサイズのプレミアムセダンとして一部で人気が高いメルセデス・ベンツ Aクラスセダンですが、その中古車価格が今、けっこうなペースでダウンしています!

この半年で平均価格は40万円以上ダウン

2025年5月末に「ファイナルエディション」が発表され、いよいよ新車での販売も終わりが近づいているメルセデス・ベンツのコンパクトセダン、初代Aクラスセダン

そんなAクラスセダンの中古車平均価格が今、大きく下落しています。

Aクラスセダンは、直近の新車価格が525万~598万円となるプレミアムモデル。その中古車平均価格は、2024年の途中までは横ばいあるいは微上昇といったニュアンスで推移していましたが、同年11月頃から急落に転じ、2025年5月時点での平均価格は352万円に。

Aクラスセダン▲カーセンサーnetにおけるAクラスセダンの支払い総額推移

そして実際の中古車市場では、安めのモノであれば総額200万円前後から狙える状況になっているのです。

この記事では、そのようにお手頃な価格状況となってきたAクラスセダンの上手な選び方を、集中的に考えてみたいと思います。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代)
 

モデル概要|FFプラットフォーム採用の「ちょうどいいプレミアムセダン」

メルセデス・ベンツ Aクラスセダンは、日本では2019年7月に発売となったメルセデスのプレミアムコンパクトセダン。

コンパクトといっても、それは「欧州基準では」ということですので、全長4550mm×全幅1800mm×全高1430mmというボディサイズは「日本でいう普通サイズぐらい」と考えていいでしょう。
 

Aクラスセダン▲こちらがメルセデス・ベンツ Aクラスセダン
Aクラスセダン▲いちおうコンパクトセダンというジャンルに属するが、全長4550mm×全幅1800mmというのは「日本でちょうどいいサイズ感」と考えるべきかも

プラットフォームは現行型AクラスおよびBクラスと同じFF(前輪駆動)の車台で、パワーユニットは基本的に下記の3種類です。

・1.3L 直4ガソリンターボ:最高出力136ps
・2L 直4ガソリンターボ:最高出力224ps
・2L 直4ディーゼルターボ:最高出力150ps

※2021年5月にプラグインハイブリッドも追加

駆動方式はFFが基本となりますが、2L直4ガソリンターボを搭載する「A250」系は4マチックという前後トルク配分型の4WD。トランスミッションはガソリンターボ車が7速ATで、ディーゼルターボ車は8速DCTです。
 

Aクラスセダン▲スポーティさと上質感が同居しているAクラスセダンの運転席まわり

2020年9月以降は運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備となり、2023年2月に内外装の小変更を中心とするマイナーチェンジを実施。

このタイミングで2L 直4ガソリンターボエンジンが廃止され、同年11月には、1.3L 直4ターボエンジンに「BSG」というマイルドハイブリッド機構が採用されました。

それでは次章以降、メルセデス・ベンツ Aクラスセダンの具体的な狙い方について考えてまいります。
 

 

お安く狙いたいなら?|総額200万円台前半の前期型A250 4マチックまたは後半の前期型A180

2025年6月上旬現在、Aクラスセダンの中古車は総額200万~560万円付近のゾーンで流通しており、平均価格は約313万円です。

そういった状況下で「なるべくお安く」と考えるなら、予算的には「総額200万円台前半」というイメージになるはず。そしてその予算帯で最も狙いやすいのは、最高出力224psの2L 直4ガソリンターボエンジンに4WDシステムを組み合わせた「A250 4マチック」です。
 

Aクラスセダン▲2Lガソリンターボエンジンに4WDシステムを組み合わせているA250 4マチックの前期型

1.3Lの直4ガソリンターボエンジンを搭載するA180の方が新車時価格は安かったのですが、総額200万円台前半で流通している中古車は、もともとは若干高額だったA250 4マチックが中心。それでも総額220万~250万円付近にて、走行距離3万~5万kmぐらいの前期型A250を見つけることができます。

2020年途中までは「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備ではありませんでしたが、大半の中古車にはオプションとしてそれが装着されていますので、運転支援システムの面でもおおむね心配無用です。

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代) × A250

相対的に低燃費なA180(1.3L直4ガソリンターボ搭載のFF車)の前期型も総額200万円前半で見つからないことはないのですが、こちらの中心は総額240万~290万円といったイメージ。

主には総額280万円前後で、走行距離2万km台付近の中古車を見つけることができるでしょう。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代) × 2019年7月~2023年1月 × A180
 

ディーゼルターボ狙いなら?|総額300万円前後のA200 d

経済的で力強いディーゼルターボエンジンを搭載する「A200 d」の中古車流通量は全体の4分の1程度と、やや少なめではあるのですが、それでも50台以上が総額250万から560万円付近のゾーンで流通しています。

その中で「中古車として好バランス」と判断できるのは、総額260万~320万円付近で流通している走行距離2万km台から3万km台のA200 dでしょう。
 

Aクラスセダン▲トルクフルで力強い2Lディーゼルターボエンジンを搭載するA200 dの前期型

このあたりのA200 dであれば、前述したディーゼルターボエンジンならではの力強さと経済性、そして走行距離2万km台から3万km台の中古車ならではの「まだまだ普通に新しい各部のニュアンス」を、新車時の乗り出し価格(約460万円)よりも断然お安い予算で味わうことが可能です。

OM654qという2L直4ディーゼルターボエンジンも、そこに組み合わされる8G-DCTという8速のデュアルクラッチ式ATも、信頼性に関して特段の問題はありません。そのため総額300万円前後というきわめて現実的な予算にて、「メルセデス製セダンの味わい」と「ディーゼルターボ特有の美点」を長く、経済的に堪能できる選択肢となるはずです。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代) × ディーゼル
 

後期型にこだわるなら?|総額400万円台前後のA180系またはA200 d

前期型(2019~2022年式)の各グレードでも基本的には何ら問題なくメルセデスクオリティが堪能できるAクラスセダンですが、2023年2月のマイナーチェンジで小変更された内外装デザインや、後期型から採用された「MBUX AR(Augmented Reality=拡張現実)ナビゲーション」に魅力を覚える人もいるでしょう。

また、2023年11月以降のA180に搭載されたBSG(マイルドハイブリッド機構)も、力強さと省燃費性能の点で確かに魅力的ではあります。
 

Aクラスセダン▲マイナーチェンジでボンネットの形状やフトンロまわりなどのデザインを微妙に変更し、インフォテインメントシステムも最新バージョンに進化した2023年2月以降の後期型

前章までに紹介した各グレードより若干お高くなってしまいますが、もしも後期型であることにこだわりたい場合は、下記をひとつの参考にしながら中古車を探してみてください。前期型と比べて中古車流通量はやや少なめですが、前期型以上に満足度が高いメルセデスライフを送れることは間違いありません。

・後期型A180(BSG非搭載):流通量約12台|総額340万~460万円
・後期型A180(BSG搭載):流通量約5台|総額400万~560万円
・後期型A200 d:流通量約30台|総額340万~560万円

 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代) × 2023年2月~
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。