メルセデス・ベンツ Eクラス ▲新型メルセデス・ベンツ Eクラスが発表された影響を受けてのことかどうかはさておき、旧型Eクラスの中古車平均価格が今、けっこう大きくダウンしています。これを機に、まだまだ魅力たっぷりな「旧型になったばかりのEクラス」をどう選ぶべきかについて。考えてみることにしましょう!

旧型Eクラスの中古車平均価格はここ1年で80万円以上ダウン!

2024年1月、いよいよ新型メルセデス・ベンツ Eクラスが発表されました。伝統的なキャブバックワードフォルやオプションの「MBUXスーパースクリーン」など、魅力たっぷりな新型Eクラスなわけですが、実はその陰で今、旧型Eクラスの中古車価格がかなり狙いやすい水準までダウンしています。

下のグラフをご覧ください。

Eクラスの中古車平均価格推移グラフ

2022年中はおおむね横ばいだった先代Eクラスの中古車平均価格は2023年4月頃からダウントレンドに転換し、秋には300万円台に突入。具体的には2023年1月時点で466.9万円だった平均価格は、直近の2024年1月には383.2万円と、実に80万円以上も安くなっているのです。

比較的大きく平均価格がダウンした理由は特段ネガティブな何かではなく、単に「登場から約7年が経過したことで(つまり車検3回分の歳月が経過したことで)、前期型の中古車価格がこなれてきたから」ということであるはずです。

であるならば、まだまだ魅力たっぷりな旧型Eクラスにも注目してみるしかない! ということで、この記事では旧型メルセデス・ベンツ Eクラスのモデル概要を見ていくとともに、今現在のオススメ物件をケースごとに検討してみたいと思います。
 

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メルセデス・ベンツ Eクラスセダン(W213型) × 全国
 

【モデル概要】様々な新技術が投入されたプレミアムセダン

W213と呼ばれることも多い旧型メルセデス・ベンツ Eクラスが日本で発売されたのは2016年7月のこと。快適性と安全性を高める様々な新技術が導入された他、当時のメルセデスの最新デザインを取り入れたエクステリアと、Sクラス譲りの上質なインテリアが魅力の、スタイリッシュなプレミアムセダンとして上陸しました。

ボディサイズは全長4930m×全幅1850mm×全高1455mmで、ホイールベースは従来型より65mm延長。インテリアにはセグメント初となる2つの高精細12.3インチワイドディスプレイを搭載。ステアリングホイールにはタッチコントロール機能を装備し、スワイプ操作に正確に反応するタッチセンス機能付きのボタンで、ほとんどの操作をステアリングから手を離すことなくできるようになっています。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲こちらが旧型メルセデス・ベンツ Eクラスの前期型
メルセデス・ベンツ Eクラス▲すぐれた燃費と静粛性をもたらすという空力性能も魅力。Cd値は0.24
メルセデス・ベンツ Eクラス▲グレードやオプションによって細部は微妙に異なるが、旧型メルセデス・ベンツ Eクラスの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。ワイドディスプレイのサイズは12.3インチ

導入当初のパワーユニットは3種類。ひとつは最高出力184psまたは211psの2L直4ガソリンターボで、その他に同333psの3.5L V6ガソリンターボと、同195ps/最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボも用意されました。トランスミッションはいずれも9速ATです。

足回りは可変ダンピングシステム付きの「アジリティコントロールサスペンション」を基本としつつ、「E400 4MATICエクスクルーシブ」には新開発の電子制御式エアサスペンション「エアボディコントロール」が標準装備されました。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲E400 4MATICエクスクルーシブにのみ採用される電子制御エアサス「エアボディコントロール」。ランフラットタイヤであっても滑らかな乗り味が堪能できる
 

そして安全運転支援システムは「ドライブパイロット」が新たに搭載。これは特に混雑時や高速道路での渋滞時の負担を大きく軽減する、Sクラスに搭載されていたものをさらに進化させたものです。

2017年8月には装備を少々変更するとともに、プラグインハイブリッドの「E350eアバンギャルド スポーツ」を追加。そして翌2018年8月には本革シートが全車標準装備となり、それまでのE400 4MATICに代えて「E450 4MATIC」を設定。搭載エンジンが最高出力333psの3.5L V6ツインターボから、同367psの3L V6ツインターボに変更されました。

そして2019年3月にはE200系のパワーユニットを2L直4ガソリンターボから、新開発の1.5L直4ターボエンジンにBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムなどを組み合わせたものに変更。

さらに2020年9月にはマイナーチェンジを実施し、エクステリアデザインを刷新。ヘッドランプはシャープに切れ上がった造形となり、ラジエターグリルは下部が広い台形に。リアエンドのデザインも刷新され、横長な2分割型のリアコンビランプを採用することでボディのワイド感とダイナミックさがより強調されるデザインとなりました。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲デザイン変更を受けた2020年9月以降の後期型
メルセデス・ベンツ Eクラス▲リアコンビネーションランプも、従来の台形フォルムから横長のデザインに変更
メルセデス・ベンツ Eクラス▲12.3インチの液晶パネルが2枚連結して使用される後期型のインストルメントパネル

このほかにも細かな仕様変更や、ディーゼルエンジンをベースとするプラグインハイブリッド車「E350deアバンギャルド スポーツ」の追加、メルセデスAMG系各モデルの導入などもありましたが、大まかなところでは以上がW213型Eクラスのモデルヒストリーとなります。

以上を踏まえ、今旧型Eクラスを狙うならどんな物件が良いのか検討してみることにしましょう。

 

【中古車のオススメ1】とにかくお安く狙うなら「前期型E200アバンギャルド スポーツ」

旧型メルセデス・ベンツ Eクラスを極力手頃な予算で購入したい場合は、最高出力184psの2L直4ガソリンターボエンジンを搭載していた時代のE200系各グレードが狙い目となります。

その他のパワーユニットを搭載するグレードはまだいささか高めであるのに対し、これであれば総額200万円台の半ばから後半にて、まずまず好条件な1台を見つけることができるでしょう。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲高出力184psの2L直4ガソリンターボを搭載する前期型E200。「アバンギャルド」と「アバンギャルド スポーツ」の2種類に大別される

前期型E200の中では最もベーシックな「E200アバンギャルド」であれば総額240万~290万円ほどのゾーンで、その4WD版である「E200 4MATICアバンギャルド」も総額250万円前後で見つけることができるのですが、これらは中古車の流通量がかなり少ないのがネックとなります。

そのため、総額200万円台の予算にて「なるべく好条件な旧型Eクラスが欲しい」という場合には、最も流通量豊富な上位グレード「E200アバンギャルド スポーツ」がオススメです。これの走行4万kmぐらいの中古車を、総額270万円前後で探すというのがモデルケースです。

E200アバンギャルド スポーツは、日本におけるベースグレードであるE200アバンギャルドと違い、マルチビームLEDヘッドライトやアダプティブハイビームアシスト・プラス、19インチのAMG5ツインスポークアルミホイール、より上級なレザーARTICO/DINAMICAシート、レザーARTICOダッシュボード、AMGスポーツステアリングなどが標準装備。

コンディションの良い物件を総額200万円台で購入できたなら、その後の満足度はかなり高くなることでしょう。そして2L直4ターボエンジンの動力性能にも、ほとんどの人は不満を覚えないはずです。

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メルセデス・ベンツ Eクラスセダン(W213型) × 2016年7月~2020年8月生産×E200 アバンギャルド スポーツ×全国

ただし19インチのタイヤ&ホイールが標準ということで、乗り心地は若干硬めではあります。もしもそこが気になりそうであれば、流通量は少ないのですが、17インチホイールを標準装備する「E200アバンギャルド」を、総額200万円台半ばから後半で探してみてください。
 

 

【中古車のオススメ2】ディーゼル狙いなら「前期型・E220d アバンギャルド スポーツ」

トルクフルで経済的な2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載するE220d系の前期型も、ガソリンターボと同じく「アバンギャルド」「アバンギャルドスポーツ」に分かれています。

そしてこちらもベーシックな装備内容で(といっても十分以上の内容なのですが)、17インチのタイヤ&ホイールが標準となるE220dアバンギャルドの中古車流通量は少なめです。そのため、ディーゼルエンジン搭載車を購入したい場合も、狙い目は基本的には「E220dアバンギャルド スポーツ」ということになるでしょう。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載するE220d系

走行5万km以下の中古車の価格帯は総額270万~420万円といったところですが、実際には「総額320万円前後」がボリュームゾーンです。このあたりの価格帯にて、なるべく内外装のコンディションが良好で、なおかつメンテナンス履歴も充実している走行3万km台から4万km台の物件を見つければ、かなり素敵な“Eクラス生活”が送れるはずです。

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メルセデス・ベンツ Eクラスセダン(W213型) × 2016年7月~2020年8月生産×E220d アバンギャルド スポーツ×全国

もう少し予算を足して「総額300万円台後半」を念頭に置けるのであれば、Burmesterサラウンドサウンドシステムや自動開閉トランクリッドなどがセットになった「レザーパッケージ」が付いている物件や、それらに加えてパノラミックスライディングルーフも付いた「レザーエクスクルーシブパッケージ」を装着している1台を見つけることも可能です。

このあたりは、各自の予算感や好みに応じてご検討ください。

なお、これらの物件はカーセンサーでは絞り込むことができないため、まずは下記リンクのように「E220d系」のグレードに絞り「レザー」や「エクスクルーシブ」などフリーワードでの検索を活用して探してみてください。
 

 

【中古車のオススメ3】後期型狙いなら「E200スポーツ(BSG搭載モデル)」

前期型であっても動力性能や快適性能には何ら問題はなく、見た目もまだまだシュッとしている旧型Eクラス。とはいえ、前後のエクステリアデザインが大きく変わった2020年9月以降の後期型の方が「よりモダンで、よりスタイリッシュである」とは言えるでしょう。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲前期型と比べると明らかに現代的なデザインに変更された後期型

2024年2月下旬現在、旧型メルセデス・ベンツ Eクラス全体の中古車流通量は約270台で、マイナーチェンジを経た後期型の流通量は約70台。その価格は総額530万~880万円というイメージです。

この中で特に流通量が多く、なおかつ価格も比較的お手頃なのは「E200系」です。といっても、前期型のE200系が2L直4ターボエンジンを搭載していたのに対し、後期型のE200系は1.5L直4ターボエンジンにBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)と48Vマイルドシステムを組み合わせた「BSG搭載モデル」というやつになります。

1.5Lエンジンであるという点に不安を覚えるかもしれませんが、結論から申し上げると、動力性能の面でまったく不満は感じないはずです。高速道路で長い上り坂が続くようなシーンでは「1.5L感」を少しだけ感じるかもしれませんが、その他のシーンでは何ら不満はありません。

不満はないどころか、ストップ&ゴーが続く市街地ではモーターのアシストによる滑らかで力強い加速と、BSGの恩恵によるスムーズで上質感のあるエンジン再始動を味わうことができるでしょう。

そんな後期型E200系の中でも中古車の流通量が多いの「E200スポーツ(BSG搭載モデル)」で、後期型の中では安いといえる総額480万~580万円あたりのゾーンにて、走行数千kmから2万km台の良質物件が見つかるはずです。
 

メルセデス・ベンツ Eクラス▲後期型ではEクラスとしては初めて、停車時にドアを開けようとした際に後方から迫る障害物の存在を知らせる警告機能が追加されている

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メルセデス・ベンツ Eクラスセダン(W213型) × 2020年9月~2024年1月生産×E200 スポーツ(BSG搭載モデル)×全国

2024年1月に発表された新型と比べて、旧型Eクラスの諸性能や装備、あるいはデザインテイストなどに若干劣る部分もあるのは確かです。しかし新型は、買うとなると総額で1000万円は軽く超える車です。

それを考えると、十分以上の諸性能とたたずまいの良さを依然として保ちつつ、新型のおおむね半値で買える「旧型の後期型」や、総額200万円台でもけっこういいモノが狙えてしまう「旧型の前期型」は、なんともコスパ良好な1台であると考えられます。

ご興味のある方には、ぜひ旧型メルセデス・ベンツ Eクラスの中古車をチェックしてみることをオススメします。
 

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メルセデス・ベンツ Eクラス(W213) × 全国
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ、尾形和美

※記事内の情報は2024年2月19日時点のものです。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。