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本格派からカジュアル派まで、トヨタのスポーツカーを一覧で紹介!

車好きなら一度は憧れたことがあるであろうスポーツカー。ラインナップは縮小傾向にあるといわれていますが、実はトヨタがリリースするスポーツコンバージョンモデルの「GR」シリーズは多種多様なモデルを取り揃えています。

本格的なクーペタイプのモデルからモータースポーツのベースになるもの、コンパクトカーにSUVと幅広くラインナップしているのも特徴で、ユーザーのライフスタイルに合わせて選べるようになっているのも嬉しいところです。

この記事では、現在新車で販売されているトヨタのGRシリーズを紹介するとともに、いまだ色褪せることのない歴代のスポーツカーを紹介していきます!
 

 
 

トヨタのスポーツカー「GR」シリーズとは?

トヨタのスポーツコンバージョンモデルに冠される「GR」の名前は、トヨタのレーシングチームとしても活動している「GAZOO Racing」の頭文字であり、レースフィールドで得た知見を市販車にフィードバックしていることを表しています。

そのGRシリーズはチューニングやカスタマイズの度合いによって3つに分かれています。

GRMN
GRシリーズの頂点に位置するのが「GRMN」となります。このGRMNはベースモデルに対して足回りやボディ補強はもちろん、エンジン内部のチューニングなども施され、過去には通常のラインナップにないボディタイプ(3ドアボディとなったヴィッツGRMN)や、トランスミッション(6速MT化されたマークX GRMN)などが採用されるほど本格的なモデルもラインナップされていました。

また、台数限定で販売されるため、スポーツカーとしてのポテンシャルはもちろんのこと、希少性も高いモデルとなっています。

なお、現在ラインナップされているのはGRMNヤリスのみですが、残念ながらこちらはすでに完売となっています。
 

GRMNヤリス▲500台限定で販売されたGRMNヤリス。写真はスーパー耐久シリーズ参戦からフィードバックを受け、ロード性能を突き詰めた“Circuit package”で、50台限定となる

GR
続く「GR」は、通常販売されるカタログモデルでありながらスポーツ性の高いモデルとなっており、車名の頭に「GR」が付けられるのが特徴です。

このシリーズは2019年に登場したGRスープラからスタートし、GRヤリス、2代目となってGRの仲間入りを果たしたGR86、そして昨年登場したGRカローラが該当し、どれも本格的なスポーツモデルとして高い評価を集めています。
 

GRスープラ▲2002年に生産終了した先代モデルから17年ぶりに復活した、トヨタのフラッグシップスポーツ・GRスープラ。この代より車名に「GR」が冠されるようになった

GR SPORT
そして最後が「GR SPORT」。こちらは通常モデルのグレードの中のひとつという扱いとなっており、足回りやボディ補強、エクステリアパーツなどに手が加えられていますが、エンジン本体はノーマルのままの比較的ライトな仕様です。

とはいえ、しっかり手が加えられていることで、ノーマル仕様とは一線を画す走り味を楽しむことができ、コンパクトカーや軽自動車、SUVなど車種のラインナップが幅広い点も特徴と言えるでしょう。
 

ヤリスクロス▲コンパクトSUVのヤリスクロスにもGR SPORTがランナップされる。剛性アップとともに専用サスペンションなどが採用され、実用性を損なうことなくスポーティな走りを楽しむことができる

以上がGRの名を冠したモデルたちの概要となりますが、それ以外にもディーラーオプションのカタログに掲載され、ユーザーの好みによってチョイスが可能な「GR PARTS」や、往年の名車の部品を復刻販売する「GR Heritage Parts」といった活動もGRシリーズの中のひとつとなっています。

それでは、以下からGRシリーズを1台ずつ詳しく見ていきましょう!
 

 

トヨタ GRMNヤリス(現行型)

GR86▲ただでさえ高いポテンシャルをもつGRヤリスをさらにチューニングしたGRMNヤリス

2022年の東京オートサロンで発表されると、500台限定が瞬く間に完売となったGRMNヤリス。すでに購入できない仕様ではありますが、GRヤリスの派生車種ということでここでご紹介します。

このGRMNヤリスはGRヤリスのフルチューンドモデルとなっており、2シーター化に始まりカーボンパーツの多用、専用クロスレシオミッション、ボディ補強に加え、ユーザーの使用用途によって「サーキットパッケージ」と「ラリーパッケージ」を用意。
 

GR86▲リアシートをなくした2人乗り仕様となるため、フロントシートは本格的なバケットシートとなる

ベースの時点で700万円オーバーとなっていたGRMNヤリスの中古車は現在3台が掲載されており、いずれも1300万円前後の超プレミア価格となっています。
 

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トヨタ GRカローラ(現行型)

GRカローラ▲エアダクトが追加され、ボリューミーなフェンダーを備えるなど、通常モデルとは明らかに違うオーラを放つ

ハッチバックタイプのカローラスポーツをベースに、GRヤリスにも搭載される1.6L 3気筒ターボエンジンを専用チューンしたものと4WDシステムを搭載し、ワイドボディで武装したGRカローラ。

本来はカタログモデルですが、昨今の半導体不足なども影響し、現時点では500台限定でのリリースとなりすでに完売。また、よりスペシャルな「モリゾウエディション」は70台限定でこちらも完売となっています。
 

GRカローラ▲エクステリアに比べると変更点の少ないインテリアだが、運転に集中できる環境は整っている

中古車は執筆時点では掲載がなく、相場も不明となっていますが、現時点では限定販売となっているため、もし物件が登場してもプレミア価格となることは間違いなさそうです。
 

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トヨタ GR86(現行型)

GR86▲先代のイメージを踏襲しながらも、よりスポーティな雰囲気をプラスしたGR86

スバルとの共同開発で誕生したFRスポーツの86の2代目モデルは新たにGRブランドからのリリースとなり、エンジンも水平対向の2.4Lへとスープアップ。

プラットフォームは先代のキャリーオーバーとなりますが、着実に進化を果たしており、ポテンシャルは大幅にアップしています。にもかかわらず、300万円を切るエントリー価格というのも魅力のひとつと言えるでしょう。
 

GR86▲スポーツカーらしい低い着座位置で、いやが応でも走りの雰囲気を醸し出すコックピット

中古車としては200台ほどの掲載があり、装備充実のSZグレードのMT車でも総額300万円を切るものも登場し始めています。
 

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トヨタ GRヤリス(現行型)

GRヤリス▲車名こそヤリスと付くが、ワイドな3ドアボディはほぼ専用設計で全くの別物となっている

トヨタのエントリーモデルであるヤリスの名前を冠してはいますが、もともとラリーフィールドで勝つために生まれたモータースポーツベース車であり、一部の灯火類以外は通常のヤリスと共通する部分はないといわれるほど専用設計となっています。

搭載エンジンは200kWを発生する3気筒1.6Lターボに4WDシステムの組み合わせと、こちらもヤリスとは全くの別物となっていますが、RSグレードのみ、通常のヤリスと同じ1.5LのNAエンジンとCVTの組み合わせで前輪駆動となる仕様となります。
 

GRヤリス▲モータースポーツベース車ではあるものの、上級グレードではディスプレイオーディオなどの快適装備も備わる

中古車は100台ほどの掲載があり、RSグレードであれば総額250万円以下から狙える一方、それ以外のグレードでは総額400万円を切るかどうかという価格が下限となっており、ややプレミア価格化が続いています。
 

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トヨタ GRスープラ(現行型)

GRスープラ▲スポーツカーらしいロングノーズ、ショートデッキの不文律を守るスタイルのGRスープラ

2019年に17年ぶりの復活を果たしたスープラは、BMWと共同開発によって生まれ、Z4との兄弟車となりました。ただし、チューニングに関してはトヨタ独自のものとなっており、クーペボディであることも含め、Z4とは全く異なる乗り味の車に仕上がっています。

搭載エンジンはスープラ伝統の6気筒エンジン(3L)の他、チューニングの異なる4気筒2Lエンジンを2種類用意し、グレードは上から「RZ」、「SZ-R」、「SZ」となっており、当初は8速ATのみの設定でしたが、2022年4月にRZに6速MTの追加が発表されました。
 

GRスープラ▲インテリアのデザインや操作系は一部BMW風となるが、走り味は完全にトヨタの味付けとなっている

中古車は90台ほどが掲載されており、SZグレードであれば総額400万円台前半から狙うことができますが、RZとなると総額550万円前後~となり、MT車に至っては900万円前後~というプレミア価格となっています。
 

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トヨタ アクア GR SPORT(現行型)

GR86▲エコカーらしいソフトな印象のエクステリアの通常モデルに対し、精悍なイメージとなるGRスポーツモデル

ハイブリッド専売のコンパクトカー、2代目アクアのGRスポーツは、アクアのもつ乗り心地のよさを継承しながらも、様々な路面に追従するような足回りを設定。

ボディ剛性の強化とパワーステアリング制御のチューニングも併せて実施し、GRシリーズに共通する専用エクステリアをまとうことで通常グレードとの差別化を図っています。
 

GR86▲黒基調となるインテリアもスポーティなムードを演出してくれる

まだ登場間もないため中古車は3台のみの掲載となっていましたが、現時点ではプレミア価格化はしておらず、一般的な登録済未使用車と同じような値付けとなっていました。
 

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トヨタ ヤリスクロス GR SPORT(現行型)

ヤリスクロス▲他のGRスポーツモデルに比べると控えめなエクステリアだが、GRエンブレムで差別化を図る

ヤリスベースのクロスオーバーSUVであるヤリスクロス。そのGRスポーツはガソリン、ハイブリッドどちらにも設定されています(ただし、4WDモデルには設定なし)。

ボディ剛性向上パーツと専用の足回り、電動パワーステアリングのチューニング、そしてSUV向けのスポーツタイヤを装着し、意のままに操ることができるハンドリングを実現している他、ハイブリッドモデルではモーターの過渡特性の最適化とドライブシャフトのねじり剛性アップもなされています。

エクステリアは他のGRスポーツに比べると変更点は少なめとなりますが、ラジエターグリルやリアバンパーのロアカバーを専用意匠としました。
 

ヤリスクロス▲使い勝手の良いコンパクトクロスオーバーSUVという美点はそのままにスポーティな雰囲気をプラス

中古車としてはハイブリッドモデルが約50台、ガソリンモデルが25台ほど掲載されており、どちらも長納期が影響してか新車価格よりも20万~30万円ほど高めの本体価格となっているようです。
 

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トヨタ ハイラックス GR SPORT(現行型)

ハイラックス▲全車4WDのディーゼルターボということで、オフロード走行も視野に入れたセッティングがなされている

現在、国産メーカーのピックアップトラックとしては唯一新車で購入することができるハイラックスのGRスポーツは、専用オーバーフェンダーの装着やグリルの「TOYOTA」エンブレムなど、ワイルドな意匠が特徴的。

もちろん足回りには専用のモノチューブショックアブソーバーや18インチのタイヤホイールを装着してステアリングの応答性やフラットで快適な走りを実現し、室内も専用スポーツシートが備わります。
 

ハイラックス▲GRシリーズ唯一の商用車登録となるハイラックスだが、インテリアは完全に乗用車のものだ

中古車は200台以上の掲載があり、総額400万円以下の物件も複数存在しているため、新車を検討している人は中古車も合わせてチェックしてみてもいいかもしれません。
 

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トヨタ ランドクルーザー GR SPORT(現行型)

ランドクルーザー300▲ランクルのGRスポーツはオフロードスポーツを意識し、ホイールはあえて20インチから18インチへ小径化

陸の王者として君臨する新型ランドクルーザーにもGRスポーツがガソリン、ディーゼルともに設定されていますが、こちらはよりオフロード性能を向上させる方向にスポーツ性をアップした仕様となっています。

そのため、タイヤホイールはあえて肉厚な18インチをチョイスし、専用チューニングの足回りに加え、電子制御でスタビライザー効果を変化させる「E-KDSS」や前後電動デフロックを標準装備する本格的なものとなっています。
 

ランドクルーザー300▲インテリアはブラックの他、ダークレッドとのコンビカラーも選ぶことができる

中古車はガソリン、ディーゼル合わせて40台弱が掲載されていますが、最も安価なものでも1000万円をわずかに下回る程度というプレミア価格は相変わらずで、高額なものでは1500万円というものも存在するほどでした。
 

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トヨタ C-HR GR SPORT (現行型)

GR86▲クーペを思わせるアグレッシブなフォルムが魅力のクロスオーバーSUVのC-HRは唯一無二の個性が光る

トヨタのクーペSUVであるC-HRにGRスポーツが追加されたのは2019年10月のマイナーチェンジのタイミングで、ハイブリッド、ガソリンどちらにも設定。ガソリンの2WDモデルには6速MT仕様も用意される点も注目と言えるでしょう。

こちらも他のGRスポーツと同じくボディ補強や専用チューンの足回りとパワーステアリングの他、迫力の19インチホイールを採用してスポーティさに磨きがかかっているのがポイントです。
 

GR86▲クロスオーバーSUVながら、ガソリンターボモデルには6速MT仕様が用意される点もポイント

新車は今年の7月で生産終了することが決定していますが、中古車としては130台ほどの掲載があり、90台ほどがハイブリッドとなっていました。ガソリンモデルであれば総額200万円台前半から狙うことができ、MT車でも特に高値とはなっておらず、ハイブリッドモデルでも総額230万円台から見つけることができます。
 

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トヨタ コペン GR SPORT (現行型)

GR86▲現在のGRシリーズでは唯一の軽自動車かつ、オープンカーであるコペンはオンリーワンの存在

軽唯一のオープン2シータースポーツモデルとなってしまったコペンはダイハツで販売されているモデルですが、GRスポーツについてはトヨタとの共同開発で生まれ、トヨタ、ダイハツ両メーカーから全く同じ仕様で販売されています。

専用デザインのエクステリアはもちろん、ボディ補強や専用の足回り、電動パワーステアリングのチューニングといったGRスポーツお馴染みの変更の他、BBS製ホイールやレカロ社製シートなども奢られています。
 

GR86▲ステアリングのホーンパッドも含め、どこにもメーカーエンブレムが備わらないため、メーカーの違いは判断できない

中古車としては100台弱が掲載されており、安価なものでは総額200万円を切るものも存在しており、ダイハツ版も同様の価格帯となっているため、購入を検討している場合はトヨタ、ダイハツ両方の中古車をチェックしたいところです。
 

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トヨタの歴代スポーツカーは? 年代ごとに歴史をおさらい!

トヨタの現行スポーツモデルはGRシリーズに集約されていますが、過去には様々なスポーツモデルがリリースされてきました。ここからは各年代別の特徴を振り返りつつ、歴代トヨタの代表的なスポーツモデルをご紹介しましょう!

1960,70年代
1961年に登場したパブリカや66年に登場した初代カローラなど、車の大衆化が進んだ60~70年代。その時代に生まれたスポーツカーとして知られるのが、パブリカのコンポーネントを流用して生まれたスポーツ800、通称ヨタハチや、今でも歴史的な1台として語り継がれている2000GTなどが存在します。

70年代に入ると様々な組み合わせをユーザーが選ぶことができたフルチョイスシステムを導入したセリカやカローラレビン/スプリンタートレノ、“足のいいやつ”のキャッチコピーで一世を風靡したカリーナなども登場しました。
 

2000GT▲1967年、日本の自動車史に残る名車2000GTが登場した

1980年代
1980年代はバブル景気に向けて経済成長が続き、89年には昭和から平成になるなど、激動の10年ともいわれる時代となっており、1981年にはスポーティなパーソナル高級クーペのソアラが登場。

1984年には国産の量産普通乗用車としては初のMRレイアウトを採用したMR2が登場した他、今でも高い人気を誇るAE86型レビン/トレノが登場したのも80年代の出来事でした(83年デビュー)。

1986年にはセリカXXがグローバルネームのスープラとして登場し、セリカにはラリーで大活躍することとなるフルタイム4WD+ターボエンジンを搭載したGT-FOURが追加された他、コンパクトカーのスターレットにターボモデルが追加され、こちらも人気を博したのでした。
 

カローラレビン▲1983年に登場したスプリンタートレノとカローラレビン。4A-Gエンジンを搭載したAE86型は"ハチロク"の愛称で呼ばれており、今でも多くのファンが存在する

1990年代
バブル景気がピークを迎えたあと、崩壊という憂き目にあった90年代はJリーグ開幕やイチロー選手の大活躍といった明るいニュースもあった一方で、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件など、悲しい出来事もありました。

そんな90年代では新規のスポーツモデルの登場はあまりありませんでしたが、長い歴史を誇るレビン/トレノやセリカ、スープラといったモデルはモデルチェンジを重ねながらラインナップに君臨し続けていました。

新規車種としては1991年にスープラと同じ直列6気筒3Lエンジンを心臓部にもつスポーツセダンのアリストが登場したり、98年にはAE86の再来として話題を集めたアルテッツァが登場しています。

その一方で、MR2は99年にライトウェイトオープン2シーターのMR-Sに生まれ変わり、スターレットはヴィッツにバトンタッチするなど、時代の変化を感じる部分もありました。
 

スープラ▲1993年に登場した2代目・A80型スープラ。長いフロントノーズには大排気量の3Lエンジンが収められている

2000年代
2000年代の始まりはコンピューターの2000年問題で幕を開けましたが、結局大きなトラブルは発生せす。ニートや引きこもりなどが社会問題となりつつあり、リーマンショックなどもあったことで「冬」を感じさせる時代となりました。

車にとっても2000年に施行された平成12年排出ガス規制によって多くのスポーツモデルが姿を消すこととなり、トヨタも80系スープラが2002年をもって終売となった他、レビン/トレノ、セリカ、MR-Sといった長い歴史を誇るスポーツモデルも続々と姿を消しており、スポーツカーにとっても冬の時代となりました。

その一方で、ヴィッツやカローラシリーズ、オーリスなどにはホットモデルグレードが設定されるなど、決してネガティブな要素だけではありませんでした。
 

スープラ▲スポーツカー冬の時代といわれる時代だったが、2001年にはラグジュアリースポーツの4代目ソアラが登場。今では珍しい大排気量のV8エンジンを搭載していた

2010年代
2011年3月に発生した東日本大震災や2014年には消費税が5%から8%に増税となるなど、いまだに記憶に新しい出来事が多い2010年代。

相変わらずスポーツカー冬の時代といわれていましたが、2012年にスバルとの共同開発によって水平対向4気筒エンジンを搭載したFRスポーツクーペの86が登場。

また、2010年には現在のGRの前身となるスポーツコンバージョンモデルの「G’s」シリーズが発表されるなど、スポーツモデル復調の兆しを感じさせる時代となったのでした。
 

スープラ▲2012年に兄弟車のスバル BRZとともに登場した86。貴重な国産コンパクトスポーツカーだ

このように時代によって姿を変えながらもスポーツモデルの火を絶やすことはなかったトヨタ。ここからは年代別の代表的なスポーツモデルをチェックしていきましょう!
 

 

【1960,70年代①】トヨタ 2000GT

2000GT▲もはや日本の宝とも言える2000GTは、すでに手が届きにくい価格となってしまった

当時の技術の粋を集めてリリースされた日本初の本格グランツーリスモである2000GTは、DOHCエンジンや四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション、四輪ディスクブレーキ、ラック&ピニオン式ステアリングなど当時としては最新鋭の装備を多く備えていました。

価格も当時のクラウンのおよそ2倍と高額で、現在の価格に換算すると1500万~2000万円前後と高額でしたが、それでも利益はほとんど生まないといわれるほど手のかかったモデルとなっていたのです。

総生産台数は337台といわれ、中古車としての価値は上がる一方で、中古車として掲載されていても価格応談がほとんどですが、その価値は億単位ともいわれています。
 

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【1960,70年代②】トヨタ スポーツ800

スポーツ800▲現在の軽自動車よりわずかに全長が長いだけというコンパクトサイズのヨタハチは、その軽さが最大の武器

大衆車であったパブリカのエンジンやシャシーを流用し、コストを抑えてスポーティな走りを実現したのが1965年に登場したトヨタ スポーツ800、通称ヨタハチでした。

大衆車のパワートレインを使用したことでスポーツカーらしいパワフルな動力性能は実現できなかったため、軽量さと空気抵抗の少なさを追求しており、580kgという軽量ボディと空力性能で45psという最高出力ながら155km/hの最高速度を誇っていました。

当時は安価なスポーツカーとして生まれたヨタハチではありますが、すでに50年以上が経過したクラシックカーとなったことで中古車としては400万円台後半~500万円台後半という価格帯で取引されているようです。
 

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【1980年代①】トヨタ スプリンタートレノ/カローラレビン(初代)

カローラレビン▲固定ヘッドライトをもつレビンだが、実はテールランプもトレノとは異なるデザインが採用されていた
スプリンタートレノ▲頭文字Dで一躍人気車種となったトレノだが、鼻先の重いリトラがスポーツ走行には不向きといわれていた

レビン/トレノの最後のFRモデルとして人気の高いAE86は、漫画「頭文字D」の主役の愛車に抜擢されたことでその人気を不動のものとし、連載が終了した今でも憧れている人は後を絶ちません。

2台は兄弟車関係にあり、固定式ライトをもつレビンとリトラクタブルヘッドライトをもつトレノに分かれ、それぞれに2ドアノッチバックと3ドアハッチバックのボディが用意されました。また、1.6Lの4A-G型エンジンを搭載するAE86に対し、1.5Lの実用エンジンを搭載したAE85が存在しています。

中古車はレビン/トレノ合わせて80台ほどと、年式を考えれば豊富ですが、安価なものでも総額200万円超、高いものでは700万円弱と価格帯は幅広くなっています。いずれにしても40年近く前の車両であるため、それなりの覚悟が必要なことは間違いないでしょう。
 

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【1980年代②】トヨタ MR2(初代)

MR2▲ミッドシップらしい走りが手軽に楽しめたMR2だが、当時はそれゆえ危険という声も聞かれたほどだった

国産の量産乗用車としては初めてミッドシップレイアウトを採用したMR2ですが、実はコストを抑えるために当時のカローラのエンジンや足回り、トランスアクスルを流用しており、これによって現実的な新車価格を実現していました。

搭載エンジンはレビン/トレノでもお馴染みの4A-Gと、それにスーパーチャージャーをプラスした4A-GZ(86年8月に追加)、そして1.5Lの3Aエンジンが搭載され、ノーマルルーフの他、サンルーフとTバールーフ仕様が存在しています。

中古車は20台ほどの掲載があり、車両本体価格100万円を下回るものから500万円に迫るものまで幅広くなっていますが、状態の良いものは高値安定といった状態です。
 

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【1980年代③】トヨタ スターレット ターボ(EP82型)

スターレット▲実用ハッチバックに過激なターボエンジンを搭載したスタタボは、チューニング次第で格上車をも打ち負かした

前輪駆動レイアウトとなってからは2代目となるEP82系スターレットのターボモデルであるGT系(通称スタタボ)は、1.3Lながら135psを誇り、1速発進では強制的にローブーストモードになるほどのじゃじゃ馬ぶりが人気となりました。

安価な金額で購入できる入門スポーツモデルとして人気を博したスターレットターボではありますが、すでに登場から30年以上が経過し、現存数も激減。

現在カーセンサーに掲載されているのはわずか5台で、価格も総額100万円近いものから新車価格を超えるものと、もはやあの頃の入門車の価格は過去のものとなっています。
 

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【1990年代①】トヨタ スープラ(A80型)

スプリンタートレノ▲ターボのイメージの強いスープラだが、NAモデルでも大排気量車らしい余裕のある走りを楽しめる

スポーツカーらしいグラマラスなボディラインは今見ても古さを感じさせない3代目スープラは、前車直列6気筒の3Lエンジンを搭載し、ターボ仕様とNA仕様の2種類をラインナップ。ターボモデルには日本国内向けの国産車としては初となる6速MTが設定されました(のちにNAモデルにも拡大)。

通常のクーペボディの他、脱着式ルーフをもつエアロトップも用意され、優雅クーペというキャラクターももち合わせていましたが、映画「ワイルドスピード」ではこのエアロトップ仕様が劇中車としてピックアップされ、再注目されました。

そんなスープラも90年代国産スポーツカーの価格上昇の影響を受け、50台ほど掲載のある中古車の中でも車両本体価格300万円を切るものは皆無で、高額なものは1000万円超となっています。
 

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【1990年代②】トヨタ セリカ(200系)

セリカ▲写真のGT-FOURのようにラリーのイメージの強いセリカだが、流麗なクーペとしての評価も高い1台

初代モデルから数えて6世代目となる200系のセリカは、ラリーベース車として知られるGT-FOURが設定された最後のセリカともなっています。

ターボ仕様の3S-GTエンジンを搭載するGT-FOURと、スポーツツインカム3S-Gエンジンを搭載するSS-II、SS-III、コンバーチブル、そしてハイメカツインカムの3S-Fを搭載するSS-1に分けられるセリカは、GT-FOURばかりがフューチャーされがちですが、FFモデルもスポーティな走りを味わうことができる稀有な存在でした。

中古車としてのGT-FOURはやはり200万円台中盤~300万円台がボリュームゾーンとなっていますが、スポーツツインカムモデルでは総額100万円前後から狙うことができる点も魅力です。
 

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【2000年代】トヨタ ソアラ(40系)

ソアラ▲ラグジュアリーなスポーツクーペとして名をはせたソアラの4代目は電動オープントップをもつモデルに一新

スポーツ性よりもラグジュアリー性に舵を切った感のある4代目ソアラは、電動式ハードトップを備えるオープンモデルへと変貌を遂げ、レクサスブランドが国内で展開されて以降はレクサスSCと名前を変え、2010年まで販売が続けられました。

搭載エンジンはセルシオと同じV8 4.3Lエンジンで、トランスミッションは5速ATのみとなりましたが、レクサスブランドに移行してからはスーパーGTに参戦する車両のベースとなったり、D1グランプリやフォーミュラドリフトにも参戦するなど、スポーツカーらしい活動も見られました。

そんな最終型ソアラの中古車は総額60万円台から見つけることができ、ノーマル状態に近い比較的状態の良さそうなものでも総額200万円以下で複数存在しているなど、買い得感の高い1台となっています。
 

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【2010年代】トヨタ 86(初代)

ソアラ▲新型が登場してもまだまだ現役の初代86。価格もこなれてきてチューニングベースにもピッタリだ

スバルとの共同開発で生まれた、久しぶりのFRスポーツクーペである86は、その名のとおりAE86の現代版として、ユーザーとともに育てられ、成長していく車として登場しました。

搭載されるエンジンはスバル製の水平対向4気筒 2Lエンジンで、トランスミッションは6速のMTとATを用意。久しぶりの新型FRスポーツということで、アフターパーツメーカーからも数多くのチューニングパーツがリリースされており、自分らしい1台を作り上げるのに困ることはないと言えるでしょう。

中古車としてはケタ違いの1000台以上が掲載されており、AT車であれば総額100万円以下の物件も複数存在している他、MT車でも100万円台前半の物件が増えつつあります。
 

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【Q&A】スポーツカーにまつわるよくある質問

Q:スポーツカーを中古で買うときの注意点は?
A:走行距離が少なくても激しいスポーツ走行を繰り返し行われてきた車両は消耗度合いが大きいという点は注意したいところです。

激しく走り込まれてきた車両はタイヤが激しく摩耗していたり、ブレーキが高熱に晒された痕跡があるなど、普通に使われてきた車両とは異なる特徴があります。

また、チューニングパーツなどは装着するメリットとデメリットが存在するため、どんなものでも付いていればオトクというワケではなく、中には車検非対応のものもあるため気をつけましょう。

Q:ATのスポーツカーなんてあるの?
A:スポーツカーといえば、MTというイメージが強いかもしれませんが、すでにモータースポーツの世界では2ペダル車が主流となっており、「AT車だからスポーティな走りができない」というワケではありません。

むしろ、クラッチやシフトの操作が不要となることでハンドリングに集中できるとも言えるので、トランスミッションの違いはささいなものと言えるでしょう。

Q:スポーツカーの維持は大変?
A:高出力なエンジンを搭載しているがために燃費性能が犠牲となっていたり、高品質なオイルが求められていたりと、スポーツカーらしい性能を維持するには一般的な大衆車に比べると維持費がかかることは否定できません。

とはいえ、極端なチューニングなどをしていない限りは特殊なメンテナンスのサイクルなども不要であることがほとんどであるため、そこまで気にする必要もないと言えます。

※記事内の情報は2023年6月7日時点のものです
 

文/小鮒康一  写真/柳田由人、尾形和美、篠原晃一、トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。