シーマ ▲今回はY33型のシーマにフォーカスします! 中古車流通量は減り、絶滅寸前の存在なのです!

2代目までの和風路線から欧州車路線に変更した3代目シーマ

1988年1月に登場した初代シーマ(当時はセドリックシーマ/グロリアシーマ名義)は、伸びやかでクリーンな専用デザインをまとった3ナンバーボディをもつハードトップボディと、リアを沈み込ませながら猛然と加速するV6 3Lターボエンジンをラインナップしたことで、「シーマ現象」と呼ばれるほどの人気を獲得しました。
 

シーマ ▲こちらが初代シーマです

続く1991年に登場した2代目モデルもボディこそ4ドアセダンとなりましたが、初代に続いて「和」のイメージを継承したモデルとなっていました。そして1996年6月に登場した3代目モデルは、欧州のフラッグシップセダンを思わせる威風堂々としたスタイリングへと一新。

そんな意欲的なモデルとして登場した日産のフラッグシップセダンの3代目シーマも、デビューから25年以上が経過して気づけばネオクラシックモデルの仲間入り。それに伴って中古車の掲載台数も50台を切ってしまっているのです。

そこでこの記事では、Y33シーマの車両概要から振り返りつつ、中古車事情について見ていきましょう。
 

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【モデル概要】北米を意識して大胆なモデルチェンジを行った3代目シーマ

1996年6月にフルモデルチェンジを果たして3代目となったシーマは、前述したように和風路線から欧州車路線へとデザインのテイストを大きく変更しました。
 

シーマ ▲リアのデザインもボリュームがもたされています

これは北米市場に向けて展開している日産のプレミアムブランド、インフィニティ向けにリリースされていた「Q45」というモデルが存在し、その2代目モデルとして3代目シーマがベースとなったのも一因といわれています(ちなみに初代Q45は日本でも販売され、シーマとは別車種となっていました)。
 

シーマ ▲こちらがQ45です

そんな先代型からガラッと雰囲気を変えた3代目シーマは、ボディサイズも旧型よりも一回り拡大。搭載されるパワートレインは先代と同じくV8 4.1LのVH41DE型と、V6 セラミックターボ付き3LのVQ30DET型の2種類(どちらも270ps)で、組み合わされるトランスミッションは4速のATとなっています。

グレード体系は大きく分けて2種類で、ラグジュアリーなキャラクターをもった「リミテッド系(グレード名にLが付く)」と、スポーティなキャラクターをもった「グランドツーリング系(グレード名にTが付く)」に大分されます。どちらの仕様にもV8、V6の両エンジンが設定されていましたが、後席の快適性、機能性を高めたオプションの「VIPパッケージ」はL系の一部グレードにのみ設定されていました。
 

シーマ ▲左がリミテッド系で右がグランドツーリング系です

足回りはフロントがストラット、リアがマルチリンクと先代と同形状となりますが、「プレビュー制御」と「ハイブリッドスカイフック制御」を新たに採用した、油圧アクティブサスペンションを最上級グレードの「41LX」に標準装備。

また、日本車としては初めてSRSサイドエアバッグを全車に標準装備した他、1999年7月にはこちらも日本車としては初めての自動ブレーキング機能を有した、ミリ波レーダーセンサーを用いた車間距離自動制御システムを搭載した「41LV-Z」というグレードを新設しました。
 

シーマ ▲グリルにクリアのカバーが装着されているのが装着車の証し

そして2001年1月に4代目シーマにバトンタッチをし、3代目シーマはその役目を追えることとなりました。
 

シーマ ▲高級車らしい内装で雰囲気はばっちりです
 

【中古車状況】平均価格は78.3万円! 比較的気軽に購入できる今がチャンス!

その堂々とした欧州車テイストのスタイルによって、VIPセダンブームの頃に高い人気を誇っていた3代目シーマ。しかし執筆時点での中古車の掲載台数はわずか46台と絶滅危惧種となっていました。

価格帯は25.9万~198万円、平均価格は78.3万円となっており、高額車両の中にはビシっと決まったカスタマイズ済車両が存在しているのは当然ながら、フルノーマル低走行の状態のよいものも同じく高額な価格で並んでおり、ネオクラシック車としての価値が見いだされつつあることを感じさせます。

搭載エンジンとしては、V8 4.1Lモデルが26台、V6 3Lターボモデルが20台とほぼ半々となっていますが、元々の価格帯もV8モデルの方が高かったこともあってか比較的高額車両はV8モデルが多くなっていました。
 

シーマ ▲ボディカラーを見てみると、このようなブラック系の物件がおよそ半数を占めます

走行距離はすでに25年以上が経過しているモデルということもあって、10万kmを超えているものも珍しくない年式ではありますが、なんと掲載の46台中29台が10万km未満となっており、7万km未満も17台と、現在店頭に並ぶレベルの物件は低走行車も少なくない状態となっています。

その一方で、比較的走行距離が進んでいる物件は総額50万円以下で狙うことができるものも存在しており、二極化が進んでいる印象で、いずれにしても今後は気軽に購入をオススメできるモデルではなくなることは間違いないでしょう。
 

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※記事内の情報は2023年4月19日時点のものです

文/小鮒康一 写真/日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。