ZR-V(現行型)▲ラグジュアリーなクロスオーバーSUVという新機軸を打ち出して登場したホンダ ZR-V

2022年末に発表されていたホンダの新型クロスオーバーSUVのZR-Vが、2023年4月21日、ついに発売開始となった。

ホンダにはすでに大人気のコンパクトSUVであるヴェゼルがあるのにまた新型? と思った人がいるかもしれないが、ZR-Vの発表とほぼ同じタイミングでCR-Vが日本で販売終了した……と聞けば、その後継車種だと納得できるだろう。

注目の的となったZR-Vだが、4月の発売と同時に人気沸騰。今注文しても納車まで「1年以上待ち」、一部タイプについては現在注文受け付けを一時停止する状況となっている。(4月20日現在、メーカー公式サイトの情報による)

そんなに待っていられない、今すぐ乗り替えたい! という人もいるはず。それならZR-Vに近い車格、価格帯のクロスオーバーSUVを中古車で探してみるのはどうだろう?

ひとまず代替車種に乗り替え、ZR-Vの納期が短くなるタイミングを待つも良し。もしその車を気に入ったなら、そのまま乗り続けるも良し。

この記事ではZR-Vの概要を解説するとともに、代わりに選んだとしてもきっと満足度は変わらないだろうモデルを厳選して紹介する。
 

 

ホンダ ZR-V(初代)とは?

 ZR-V(現行型) ▲ZR-Vのベースとなっているのは2021年にフルモデルチェンジした11代目シビックだ

ZR-VはミドルクラスとなるホンダのクロスオーバーSUVだ。北米ではHR-Vの名前で販売される。

ボディサイズは全長:4570mm × 全幅:1840mm × 全高:1620mmと、以前、国内モデルにあったHR-Vや2代目のヴェゼルよりかなり大きい。切れ長のヘッドライト、バーチカルフロンドグリルといった外観デザインは高級感とスポーティ感を覚えさせるものだ。

ホンダの同クラスモデルだった5代目CR-Vには3列シート7人乗り仕様も設定されていたが、ZR-Vは全車5人乗りのみ。

パワートレインはガソリン車とハイブリッド車の2種類があり、ガソリン車は1.5L 直噴VTEC ターボエンジンを搭載。ハイブリッド車には2.0L 直噴ガソリンエンジンと、CVT内に内蔵される2個のモーターを組み合わせた「スポーツe:HEV」が採用された。

4WDシステムは最近のハイブリッド車で一般的になった後輪をモーターで駆動するものではなく、プロペラシャフトで直結する「リアルタイムAWD」。見た目は都会的なZR-Vだが、雪道などの走破性能についても重視されていることが分かる。
 

 ZR-V(現行型) ▲横一文字のパンチングメタル部分は全体がエアコンアウトレット。無駄を廃したデザインだ

インテリアはシンプルな造形で上質感を強調したものになっている。光沢のあるパール調表皮のソフトパッドが採用されたセンターコンソールなどは従来のホンダ車になかった品質だ。

もちろん先進安全性能も万全で、最新型の「Honda SENSING」を全タイプに標準装備。グレード体系はシンプルで、ガソリン車、ハイブリッド車ともにベーシックグレードの「X」と上級グレードの「Z」を設定、それぞれに2WDと4WDが用意される。

価格帯はガソリン車が294万9100~376万8600円、ハイブリッド車が329万8900~411万9500円。現行ホンダ車の中では上位に位置づけられる車種と言えよう。
 

 ZR-V(現行型) ▲ハイブリッドの力強い走りも魅力

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新型ZR-Vの代替モデル候補はこの5車種!

というようにZR-Vが素敵なモデルだということになんら疑いはないのだが、いかんせん納期が長い。おそらく中古車として購入ができるのも少し先になるだろう。

そこでボディサイズがZR-Vと近く、ZR-Vの新車価格と近い価格で買えるクロスオーバーSUVを中古車市場から選んだ。国産現行車種はもちろん、生産終了車種、輸入車からも幅広くチョイス。いずれもZR-Vに負けず劣らずの実力モデルを紹介しよう。
 

 

【代替モデル①】トヨタ ハリアー(4代目)

ハリアー(4代目・現行型) ▲高級クロスオーバーSUVといえばハリアーが大先輩。外観はシンプルで美しい造形だ

ZR-Vとコンセプトの近い車といえば、ハリアーを思い浮かべる人が多いだろう。流線型フォルムを採用したクロスオーバーSUVの元祖と言える存在だ。高級感あるハリアーだが、中古車ならZR-Vの新車価格同等の予算で手が届く。

4代目となる現行型は歴代に増してスマートなフォルムが特色。ボディサイズは全長こそ長めだが、全幅はZR-Vから+15mmとあまり変わらない。

パワーユニットは2.0L 直4ガソリンエンジンもしくは2.5L 直4ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドが用意される。先代までハイブリッド車はE-Four(フルタイム4WD)のみの設定だったが、現行型では2WDも選べるようになった。この点はZR-V同様だ。
 

 ハリアー(4代目・現行型) ▲包まれ感を演出するためあえて大きくし、存在感を際立たせたセンターコンソール

中古車市場には約2270台が流通。

中古車平均価格は400万円前後とやや高めではあるものの、走行距離3万km未満の物件でもガソリン車で280万円台前半から、ハイブリッド車で300万円前後から狙える。
 

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【代替モデル②】トヨタ RAV4(4代目)

 RAV4(4代目) ▲現行型ハリアーともプラットフォームを共有するRAV4。アドベンチャーは+10mmワイド仕様となる(写真は海外仕様)

2019年に3年振りの国内市場復活を果たしたRAV4も筆頭候補となる1台だ。登場から約4年たったことで中古車市場での平均価格は334万円と求めやすくなっている。

コンセプトやデザインはZR-Vよりもオフロード寄りだが、ボディディメンションはかなり近い。車内空間の頭上高さに余裕のある点、グラスエリアが広く、十分な後方視界が確保されている点などはRAV4が有利だ。

パワーユニットは2.0L 直4ガソリンエンジンもしくは2.5L 直4ガソリンエンジン+モーターのハイブリッド、プラグインハイブリッドの3種類となっている。

燃費性能はZR-Vのハイブリッド車が22.1km/L(FF・WLTCモード)なのに対して、RAV4のハイブリッド車は21.4 km/L(FF・WLTCモード)。燃料コストにはほとんど影響しない範囲の差と考えて良いだろう。
 

RAV4(4代目) ▲ラギッドなデザインで遊び心のあるインテリア

中古車市場での流通量も2400台以上と充実している。

RAV4全体のうち、ガソリン車が約75%、ハイブリッド車が約25%となっており、どちらも豊富な選択肢の中から選べる状況だ。
 

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【代替モデル③】レクサス NX(初代)

 レクサス NX(初代) ▲初代NXのボディサイズは現行型となる2代目よりもひと回り小さく、扱いやすい

ボディサイズではZR-Vと同クラスの初代レクサス NX。新車当時は428万~632.7万円という高価格帯だったが、2021年9月にフルモデルチェンジしたことで中古車相場が落ち着き、ZR-Vの新車価格で十分狙えるゾーンに入っている。

元気の良い2.0L 直4ガソリンターボエンジン(「200t(2014年7月~2017年9月)」「300(2017年9月~2021年9月)」)と、トルクと燃費性能に優れた2.5L 直4ガソリンエンジン+モーターのハイブリッド(「300h」)がある。それぞれに魅力があり、甲乙つけがたいパワーユニットだ。

ガソリン車はFFとフルタイム4WD、ハイブリッド車は全車E-Fourとなっている。

上品でありながらスポーティな乗り味が特徴で、アダプティブ・バリアブル・サスペンションやパフォーマンスダンパーを装備する「Fスポーツ」はその傾向が特に顕著。ワインディングでの操縦性は数あるクロスオーバーSUVの中でもトップクラスと思って良いだろう。
 

 レクサス NX(初代) ▲高級スポーティセダンのような雰囲気に仕上げられたインテリア

中古車市場には約1500台が流通。中古車平均価格は350万円前後となっている。

ガソリン車とハイブリッド車の比率は半々に近い。なお、2017年9月以前のモデルではプリクラッシュセーフティなどを含む「Lexus Safety System +」がオプションとなっていたので物件選びの際には注意されたい。
 

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【代替モデル④】マツダ CX-5(2代目)

CX-5(2代目・現行型) ▲ディメンションは初代とほとんど変わっていないが、デザイン変更によって全く異なる雰囲気に仕上げられた現行型となる2代目CX-5

薄型でシャープなデザインのヘッドライト、シグネチャーウイング(ヘッドライト下のクロームパーツ)を採用したことで人気沸騰した2代目CX-5。ディメンションはZR-Vとほぼ一緒、フォルムもかなり近く、ガチンコの競合車と言える。

ハイブリッドこそないが、2.0L 直4ガソリン、2.5L 直4ガソリン、2.5L 直4ガソリンターボ(2018年11月~2021年12月)、2.2L 直4ディーゼルターボとパワーユニットの種類は豊富。

経済性とトルクに優れたディーゼルをラインナップしている点はCX-5の大きなアドバンテージだ。
 

 CX-5(2代目・現行型) ▲インテリアも以前のマツダ車からは想像できないほど立派になった

中古車市場での流通量は約2660台と非常に豊富。全体の8割弱がディーゼル車だ。

中古車平均価格は240万円前後となっており、ZR-Vの新車価格で走行距離1万km未満の上級グレードが狙える。先進安全装備は全グレードへの標準装備だが、パワーリフトゲートなどの便利装備、快適装備についてはグレード別の設定だ。
 

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【代替モデル⑤】BMW X1(2代目)

 BMW X1(2代目) ▲2代目X1はコンパクトなボディサイズながら、上位のSAVにも負けない迫力あるルックス

2代目X1最大のトピックは、縦置きエンジンだった初代からパッケージを刷新し、横置きエンジンの駆動系レイアウトとしたことだ。このことで初代より全長を短くしながら、後席の居住空間は拡大されている。

BMW製SAVの中でも最もコンパクトで、全長、全幅ともZR-Vよりやや小さい。残念ながら多くの機械式駐車場には入らないサイズだが、それはZR-Vも同じだ。

エンジンは1.5L 直3ガソリンターボ、出力の異なる2種類の2.0L 直4ガソリンターボ、2016年10月のマイナーチェンジで追加された2.0L 直4ディーゼルターボの計4種類。

2017年8月のマイナーチェンジでは1.5Lガソリン車のトランスミッションが6速ATから7速DCTに変更され、よりダイレクト感のある走りが楽しめるようになった。
 

 BMW X1(2代目) ▲シンプルで機能的なインテリアデザインはBMW全モデルに共通するものだ

今年1月まで現行型だったモデルだが、中古車市場での平均価格は約284万円とリーズナブル。

走行距離1万km未満の物件でも、総額200万円台から狙うことが可能だ。ZR-Vの新車同等の購入予算で高年式の上位グレードが狙えるだろう。

新車販売が終了していることから、今後低走行の物件は増えにくい。コンディションの良いX1を狙うなら早めのアクションがオススメである。
 

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※記事内の情報は2023年4月17日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ、ホンダ、マツダ、レクサス、BMW
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。