80系マークII 3兄弟が絶滅寸前! トヨタ 80系マークII、チェイサー、クレスタの流通台数は約40台に
2023/04/23
80年代後半に爆発的人気を得た80系マークII 3兄弟
1980年代中盤に隆盛を極めたハイソカーブーム。このハイソカーとは、「ハイソサエティカー」、つまり上流階級の車を意味する和製英語であり、とりわけマークII 3兄弟は幅広い層から支持を集める人気車種となっていました。
そしてその人気を保ったまま1988年に登場した80系のマークII 3兄弟は、高い人気を誇った70系のイメージを色濃く残しながら、多くをアップデートしたトヨタらしい隙のない1台に仕上がっていたのです。
ではまず80系3兄弟の車両概要から振り返りつつ、3兄弟それぞれの中古車事情について見ていきましょう。
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トヨタ マークⅡ/チェイサー/クレスタ(80系)×全国【モデル概要】販売チャンネルごとに差別化された80系マークII 3兄弟
1988年8月に揃ってフルモデルチェンジを果たしたマークII 3兄弟。マークIIはトヨペット店扱いで通算6代目、チェイサーはトヨタオート店扱いで4代目、クレスタはビスタ店扱いで3代目となるモデルとなっていました。
今でこそ販売チャンネルの違いはなくなり、トヨタ車であればどのディーラーでもすべての車種を購入することができるようになっていますが、当時は各メーカー様々な販売チャンネルをもち、それぞれのチャンネルにあった車種ラインナップをもっていたのです。
そのため、マークII 3兄弟も基本的なプラットフォームは共通でありながら、各車販売チャンネルに合わせて微妙な違いをもたせて差別化が図られていました。
その最も大きな差異はボディタイプのラインナップで、チェイサーは4ドアハードトップ、クレスタは4ドアセダン、そしてマークIIはハードトップとセダン両方をラインナップするというもの。
ちなみに当時のコンセプトはチェイサーが「ハイセンス&優雅」、クレスタが「プレステージ&洗練」、マークIIのハードトップが「スポーティ&高品位」、マークIIセダンが「格調&気品」となっていましたが、それをすべて理解していた人がどれだけいたのかは不明です。
エクステリアのデザインは先代のテイストを色濃く残すものとなっていましたが、プラットフォームは一新され、搭載されるエンジンもガソリンモデルは全車ツインカム化がなされるなど大幅に進化。
当初のエンジンラインナップは直列6気筒2Lのツインターボ(1G-GTE型)、スーパーチャージャー(1G-GTE型)、ツインカム(1G-GE型)、ハイメカツインカム(1G-FE型)、直列4気筒1.8Lハイメカツインカム(4S-Fi型)、そして直列4気筒2.4Lのディーゼルターボ(2L-T型)とディーゼル(2L型)の7種類をラインナップ。
デビュー翌年には直6 3L DOHCの7M-GE型を搭載する3ナンバーモデルが追加となり、ボディサイズも大型化(といってもサイドモールの追加で全幅を1710mmにしただけ)。
そして1990年8月に実施されたマイナーチェンジで、1JZ型の直列6気筒2.5Lエンジンを搭載。ターボ(1JZ-GTE型)とNA(1JZ-GE型)が用意され、ターボモデルは自主規制値いっぱいの280psを発生していました。
これと入れ替わりで1G型のツインターボとスーパーチャージャーモデルはカタログ落ちとなりますが、残念ながら1G型ツインターボモデルに設定されていた5速MT仕様が1JZ型のツインターボモデルには設定されていないのが残念なポイントとなっていました。
その後は1992年10月に90系が登場するまで販売が続けられた80系マークII 3兄弟ですが、マークIIセダンのみ、90系が登場した後も営業車やタクシー、教習車需要があったため併売されており、1995年12月に実質的な後継車種であるコンフォートが登場するまで継続販売されていました。
【マークⅡの中古車状況】セダンと合わせても流通台数は30台以下
3兄弟の中では最も掲載台数の多いマークIIですが、それでも掲載台数は19台のみ。価格帯は57万~238.8万円で、平均価格は124.6万円となっています。
最も掲載台数が多いのは、最量販グレードでもあった2Lのグランデ系となっており、比較的高年式となる後期型が中心。
2.5Lエンジンを搭載した後期のツインターボモデルや5速MTをラインナップしていた前期ツインターボは1~2台ずつしか掲載がなく、高値安定状態。一時期はドリフト車のベースにもなることが多かった80系マークIIですが、執筆時点でそのようなカスタムがなされた物件は掲載されていませんでした。
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トヨタ マークⅡ(80系・ハードトップ)×全国また、90系が登場した後もビジネスユースのユーザー向けに販売が継続されていた80系マークIIセダンですが、ビジネスユーザーが多かったこともあってか掲載台数は9台と少なめ。価格帯は49万~159.8万円、平均価格は80.9万円となっています。
こちらもグレードとしてはパーソナルユースにも対応していた2Lのグランデが最も多く、4気筒の1.8Lエンジンを搭載したモデルは比較的安価となっていましたが、ビジネスユースのグレードだけに装備がかなり縮小されている点には注意したいところでしょう。
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トヨタ マークⅡ(80系・セダン)×全国【チェイサーの中古車状況】流通の中心は量産グレード「アバンテ系」
マークIIやクレスタに対し、若いユーザーの多かったトヨタオート店扱いということもあってか、3兄弟の中では最も月販販売計画台数が少なかったチェイサー。ただ中古車となってからはその比較的若々しいスタイルが人気となっています。
そんなチェイサーの価格帯は65万~248万円、平均価格は136.4万円となっており、掲載台数が最も多いのは最量販グレードのアバンテ系となっていました。
一方、高値となっているのは前期型の2.0GTツインターボの5速MT車で、200万円を超えるのもこの組み合わせの物件です。
走行距離も1万km未満という驚きの低走行車も掲載されている一方で、間もなく30万kmという驚きの走行距離の物件もあり、その幅広さと丈夫さには驚かされました。
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トヨタ チェイサー(80系)×全国【クレスタの中古車状況】流通台数は最も少なく1桁台に
最後のクレスタはなんと掲載台数はわずか7台。価格帯は65万~238万円、平均価格は132.3万円となっていました。
こちらも全体の台数はわずかながら、掲載台数が多いのはやはりスーパールーセント系で、3Lモデルやツインターボモデルは1台ずつの掲載で価格は応談となっています。
また、ボディカラーは当時の流行を反映してか、掲載物件のすべてが白、もしくは白を含むツートーンカラーとなっており、当時の流行ぶりを垣間見ることができました。
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トヨタ クレスタ(80系)×全国今回は80系マークII 3兄弟の中古車をチェックしてみましたが、すでに登場から30年以上が経過しているということもあって掲載台数はどれも少なく、フルノーマルに近い物件が多くなっているのが特徴となっていました。
執筆時点でも驚きの低走行車の掲載はありましたが、こういった車両が今後もどんどん出てくる可能性は非常に低いと思われます。なので、気になっている人はある程度現在掲載中の物件の中から目星をつけておかないと、いつまでたっても希望に合った車両に巡り合えないという事態にもなりかねない時期に入ってきていると言えそうです。
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トヨタ マークⅡ/チェイサー/クレスタ(80系)×全国※記事内の情報は2023年4月17日時点のものです
自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。