ロールスロイス ▲新車価格が1000万円や2000万円を軽く超え、場合によっては5000万円以上だったりする「高級車」にはどんな種類があって、その中古車はいくらぐらいで買えるものなんでしょうか? 計20モデルの高級車について調査してみました!

「もしも1等7億円のジャンボ宝くじに当選したら、何を買おうか……?」

誰しも――かどうかは知らないが、まぁたぶん多くの人が一度ぐらいは、この種の妄想にふけったことがあるはずだ。

そしてまたたぶん、多くの人は「豪邸建立」「世界一周旅行へ出立」などの妄想にふけるはずだが、豪邸および世界旅行と同率1位で人気(?)を集めている妄想が「高級車の購入」である。

私やあなたがもしも1等7億円に見事当選したあかつきには、果たしてどんな高級車が買えるのだろうか? 否、どんな高級車を買うべきなのか?

当選の可能性はさしあたってまったく謎なわけだが、真剣に考えてみることにしよう。
 

Aクラスセダン▲新車価格2000万円を超えるような高級車のインテリアに使われているレザーやウッドは、いわゆる億ションに置かれているようなソファや家具などの質感ときわめて近い
 
 

そもそも「高級車」とは?

まずは「そもそも高級車とは何か?」という定義の問題を片付けておかねばなるまい。

結論からいうと、高級車の定義は――実は特にない。

例えば車両価格800万円の車は、筆者のようなド庶民からすれば間違いなく「高級車」だが、年収ウン億円の人には「お買い物に便利な実用車」に見えるはず。つまり「高級車」とは、あくまでも相対的な概念なのだ。

とはいえ、まぁ「車両価格1000万円以上または2000万円以上の車=高級車」というのが、世間一般における大まかなコンセンサスではあるだろう。
 

 

高級車“だけ”を作っている自動車メーカーはどこ?

メルセデス・ベンツやBMW、アウディといった輸入車メーカーは、基本的には「高級車を作っている自動車メーカー」とされている。

しかし例えばメルセデス・ベンツの場合、車両価格5600万円の「メルセデス・マイバッハ Sクラス」という車も作っているが、それと同時に498万円の「Aクラス」というモデルも作っているため、「高級車だけを作っているメーカー」というわけではない。

BMWやアウディにしても、そこについては同様である。

世界を見渡した際に「高級車だけを作っている自動車メーカー」はいくつかあるのだが、その中でも代表的なのは下記の3ブランドだろう。
 

■ブガッティ

ブガッティ▲400km/h以上の最高速度をマークするブガッティ ヴェイロン。その新車時価価格は1億円以上!

1909年にイタリアはミラノの芸術家一族であったエトーレ・ブガッティが設立した自動車メーカー。その後いろいろあって、現在はフォルクスワーゲングループ傘下となっているが、作っている車はすべてハイパーカー(スーパーカーをさらに上回るハイパーな性能と価格の車)。

2001年に発表されたヴェイロンは最高速度405kmを達成し、ギネスブックに「世界一速い市販車」として認定された。

ブガッティの新車は「金さえあれば誰でも買える」というものではなく、購入には代理店の審査が必要。審査に通ったうえで予約金を支払うと、ブガッティ本社から飛行機のファーストクラスのチケットが届く。そして本社で試乗を行い、自分好みの“世界に1台しかないブガッティ”をオーダーする――という仕組みなのだ。
 

■ロールスロイス

ロールスロイス▲英国発祥の超名門であるロールスロイスが作っているゴースト ブラック バッジ

1906年に英国で設立された、航空機用エンジンならびに高級乗用車を製造するメーカー。1970年代には航空部門と自動車部門が分離され、現在はBMW傘下の「ロールス・ロイス・モーター・カーズ」が、日本向け価格は5460万~6670万円となる4ドアセダンのファントムや、同じく日本向けの価格は3894.5万~3920万円となるSUVのカリナンなどを製造販売している。

ロールスロイスに関しては様々な“伝説”があり、最も有名なのは以下の話だろう。

ある大富豪がロールスロイスで砂漠を横断していたところ、車が故障してしまった。無線でロールスロイス社に連絡すると、すぐさま新車のロールスロイスがヘリコプターで輸送されてきた。

無事帰宅した大富豪は、代金を支払うためにロールスロイス社に再び連絡した。すると同社のサービスセンターはこう答えたという。「……お客さま、何かのお間違いではないでしょうか? ロールスロイスの車は故障いたしません」

まぁこの話は事実ではなく、いわゆる都市伝説なのだが、こんな話も「ロールスロイスだったら……ありえるかも!」と思えてしまうのが、このブランドのすごいところだ。
 

■フェラーリ

フェラーリ▲こちらはフェラーリ F8トリブートというスーパーカー。新車の本体価格は約3300万円
 

他にもランボルギーニやマクラーレンなど、おおむね同格といえるブランドもあるが、その中でも「特に代表的なスーパーカーメーカー」といえば、やはりイタリアのフェラーリ社だろう。

元レーシングドライバー兼レーシングチームオーナーだったエンツォ・フェラーリが1947年に創設して以来、とにかく超高性能なスポーツカーのみを製造してきたのがこのブランド。

様々な伝説的スーパーカーを多数作ってきたが、現在販売されている新車の価格は、例えばSF90スパイダーというプラグインハイブリッド車の場合で5856万円。F8トリブートというシンプルな(?)V8ガソリンエンジンを搭載するモデルでも、新車価格は3000万円を軽く超える。

そういった一般的な(?)フェラーリ車を新車として買うのもなかなか大変なわけだが、スペチアーレと呼ばれる、さらに超高性能な数量限定の記念モデルの新車は、普通は絶対に買うことができない。

仮に莫大なお金を持っていたとしても、もしもその人が“一見客”であったなら、絶対に売ってくれないのだ。過去に何台ものスペチアーレを購入した実績がある特別なお客だけに、「今度こういうのが出ますので、〇〇さまのために確保しておきました(もちろん買いますよね?)」的な連絡が届くのである。

つまりフェラーリのスペチアーレとは、「買う車」ではなく「買わせていただく車」なのだ。
 

 

今、一番高い「中古の高級車」は?

2023年3月中旬現在、カーセンサーnetに掲載されている中で「一番高級(高額)」な物件は、車両価格1億8000万円の2018年式マクラーレン セナだ。
 

セナ▲最高出力800psの4L V8ツインターボを搭載するマクラーレン セナ

こちらは英国のマクラーレン・オートモーティブが2018年に発表した超高性能スポーツカーで、「モノケージIII」というカーボン製モノコックボディの中に最高出力800psの4L V8ツインターボエンジンを搭載。

車体の乾燥重量は1198kgで、0-100km/h加速に要する時間はわずか2.8秒。最高速度は340km/hと公表されている。

ちなみにセナという車名は当然ながら、マクラーレンのF1マシンを駆った伝説のドライバーであるアイルトン・セナから採られたものだ。

マクラーレン セナの総生産台数は500台で、日本向けの車両価格は、2018年当時の為替レートで計算すると約1億100万円。とはいえ、2018年3月のジュネーブモーターショーで世界初公開された時点で500台はすべて完売になっていて、その後の中古車価格も上がり続けている。

なお、この2018年式マクラーレン セナをローンで買う人もいないとは思うが、念のためローンシミュレーションをしてみたところ、金利1.9%の頭金なし、120回均等払いで買う場合の支払額は「月々164万8193円」とのことであった。

……1回の支払額だけで、走行数千kmのホンダ N-BOXが買えるだろう。
 

 

憧れの高級車|スポーツカー編10モデル

「高級車の世界観」をおおむね学んだあとは、いよいよ「で、宝くじ7億円当たったら何を買うか?」ということを具体的に考えてみよう。いや“妄想”してみることにしよう。まずは「スポーツカー編」である。
 

 

1|ポルシェ 911カレラS(992型)
現行型ポルシェ 911カレラの高出力版

●生産期間:2019年7月~
●中古車価格:約1700万~2200万円
 

911▲通常の現行型ポルシェ 911カレラよりも65ps強力なエンジンを搭載する「ポルシェ 911カレラS」
 

言わずと知れた「普段づかいもできるスーパースポーツ」であるポルシェ911。その現行型であり、「カレラS」は、素の「カレラ」が最高出力385psであるのに対し、450psまで強化された3L 水平対向6気筒ターボエンジンを搭載する上位グレード。

0-100km/h加速も「カレラ」の4.2秒に対して3.7秒であり、最高速度も――どこで出すかは完全にさておき――308km/hとなっている。
 

911▲インテリアは無駄な装飾はあまりない、「クールビューティな仕事場」といった雰囲気

普通はなかなか買える車ではないが、こちとら7億円の当選金という十分な原資があるので(?)、ハッキリ言って購入は楽勝である。「豪邸を建立した際に余ったお金で買える」ぐらいの水準でしかない。

車両価格1000万円だと走行距離がやや長めになるが、2000万円以上を拠出すれば「走行距離数千kmのスポーツクロノパッケージ付き」が普通に見つかるだろう。RR(後輪駆動)だとやや不安な場合は、車両2000万~2400万円ほどで4WDの「カレラ4S」を探すという手もある。
 

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ポルシェ 911(992型) × カレラS
 

2|日産 NISSAN GT-R NISMO(R35型)
日本が誇る和製スーパーカーの、さらなる高性能バージョン

●生産期間:2014年2月~
●中古車価格:約1600万~3700万円
 

GT-R▲こちらが最高出力600psの3.8L V6ツインターボを搭載するNISSAN GT-R NISMO

NISSAN GT-Rそのものについては、さほど詳しくご説明するまでもあるまい。日産が誇る、いや日本が誇るスーパースポーツとして2007年12月に登場し、その後も度重なる改良を加えられながら、今なお進化し続けている“スーパーカー”だ。

とはいえ、初期のベースグレードは今や車両600万円ぐらいから見つかるわけだが、7億円が当たったからには、正直もっといいやつが欲しい。ならば、2014年2月に追加された高性能バージョン「NISMO」を狙いたいところだ。

パワーユニットは専用チューニングの3.8L V6ツインターボ。レース用車両である「GT-R NISMO GT3」にも使われている高効率大容量タービンや、気筒ごとに点火時期をコントロールする制御などにより、最高出力は素のグレードを50ps上回る600psをマーク。

サスペンションにも専用スプリングとビルシュタインのダンプトロニックダンパーを採用し、走行中に3パターンのサスペンションモードを選択できるようになっている。
 

GT-R▲NISSAN GT-R NISMOのインテリア(※写真は北米仕様のため左ハンドルですが、日本仕様は当然右ハンドルです)

そんなNISSAN GT-R NISMOを狙う場合のご予算は、車両価格で1600万~3700万円といったところ。高いは高いが、我々には「7億円」の現ナマがあるので何ら問題はない。

もっと言ってしまえば3000万~6000万円ほどの車両価格で、ピストンリングやバルブスプリング、コンロッド、クランクシャフトなどに高精度の重量バランス取りを行った「NISMOスペシャルエディション」を選んでもいいぐらいである。

とはいえ、NISMOもNISMOスペシャルエディションも、公道で乗るには足が硬すぎる。そのため実際には、2021年9月に発売された特別仕様車「GT-R プレミアムエディション Tスペック」を車両3300万円前後で買うのが“ちょうどいい選択”なのかもしれない。  

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日産 NISSAN GT-R(R35型) × NISMO & プレミアムエディション Tスペック
 

3|フェラーリ 458イタリア(初代)
電子制御でさらなる高みに到達したV8ミッドシップフェラーリ!

●生産期間:2010年6月~2015年4月
●中古車価格:約2000万~4000万円
 

458イタリア▲それまでのV8ミッドシップフェラーリとは一線を画すデザインおよび機能となった458イタリア

NISMOを除く高年式のNISSAN GT-Rは普段づかいにも十分対応可能な乗り心地とボディ形状だが、その「普段づかいも十分イケる」という部分が、スーパースポーツとしての価値を逆に落としているという面もある。

もっとスペシャルな、他の車では絶対に真似できないような存在感を堪能したいのであれば、やはり選ぶべきはフェラーリだろう。その中でも2010年から2015年にかけて販売された458イタリアは、コンピューター制御を多用するようになったV8フェラーリの「最初の完成形」として、大いに注目したい1台だ。

ピニンファリーナが手がけた美しきボディのミッドに搭載されるのは、最高出力570psの4.5L V8 DOHC。7速DCTを介してベタ踏みすれば、0-100km/h加速3.4秒の超絶俊足が炸裂し、峠道でステアリングを切れば第2世代の磁性流体を採用しショックアブソーバーシステムと、電子制御ディファレンシャル「E-Diff 3」とトラクションコントロールシステム「F1-Trac」を統合制御するECUなどにより、ほとんどミズスマシのように(?)、曲がりすぎるほど曲がってくれる。
 

458イタリア▲まるでF1マシンのように(?)様々なスイッチ類が並ぶ458イタリアのコックピット

車両価格6000万~8000万円を拠出して、さらに超絶高性能な458スペチアーレを買うというのも悪くないが(なにせこちとら“7億円”があるので)、素の458イタリアでも十分以上であろう。
 

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フェラーリ 458イタリア(初代)
 

4|フェラーリ F355(初代)
「永遠の美声」が魅力の可憐な(?)V8ミッドシップフェラーリ

●生産期間:1994年1月~1999年9月
●中古車価格:約2500万~3500万円(※低走行MT車の場合)
 

F355▲今なお中古車市場で絶大なる人気を誇っているフェラーリ F355

見事に統合された電子制御によって「ミズスマシのように曲がる」ようになった458イタリアも素敵だが、スポーツカーは、やはりもう少しアナログなニュアンスのほうが好ましい。そしてデザイン的にも、最近のスーパースポーツはちょっとアグレッシブすぎて――とおっしゃるのであれば、注目すべきはフェラーリ F355だろう。

1994年に誕生したV8ミッドシップフェラーリであるF355は、「フェラーリ」といえば誰もがイメージする美しくも可憐なフォルムを採用していた最後の世代。

そして最高出力380psを発生する3.5L V8自然吸気エンジンは、パワー的には今や特筆すべきものではないが、高音成分が響き渡る“音質”に関しては空前絶後。近年のフェラーリエンジンとはまったく異なる音質が、あなたの魂を震わせまくることは2000パーセント間違いない。
 

F355▲トランスミッションは6速MTの他にセミATもあるが、オススメは間違いなく6速MTのほうだ

以前は1300万円も出せばかなり状態の良い中古車が買えたものだが、その後の世界的な相場高騰のため、直近では、低走行MT車の価格は「2500万円以上」といったニュアンスに変化してしまっている。

しかし7億円の原資があれば、それも取り立てて問題にはなるまい。なるべく状態の良いモノを、金に糸目をつけずに(車両3500万円ぐらいで?)探し、十分なメンテナンスを施しながら保管して目で楽しみ、そしてたまに乗って、その超美声を堪能したいものである。
 

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フェラーリ F355(初代)
 

5|ランボルギーニ ウラカンEVO(初代)
5.2L V10エンジンを搭載する“ベビーランボ”

●生産期間:2019年3月~
●中古車価格:約3100万~3700万円
 

ウラカン▲V10エンジンにヒンジドアを合わせる「ランボルギーニ ウラカン」。その後期型が「ウラカンEVO」だ

かつては「イタリアンスーパースポーツを代表するブランドといえばフェラーリ」と決まっていたように思うが、近年は「ランボルギーニ」のほうが、インパクトの強さという面では上回っているのかもしれない。

まぁ「F」にするか「ランボ」にするかはお好み次第の問題であって、優劣うんぬんの話ではないのだが、もしもあなたが「買うならランボ!」と思っているなら、比較的手頃な(?)価格で狙えるのが、V10エンジンを搭載する“ベビーランボ”であるところのランボルギーニ ウラカンだ。

とはいえ、7億円もの原資を持つ我々が今さら前期型であるLP610-4を買う意味もないような気はする。そのため、もしもウラカンを買うのであれば、後期型に相当する「ウラカンEVO」を選びたいところだ。

日本では2019年3月に発表された「ウラカンEVO」は、前期型のハイパフォーマンスグレードである「ウラカン ペルフォルマンテ」と同じ最高出力640psの5.2L V10エンジンを搭載し、後輪操舵とトルクベクタリングシステムを統合制御する「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)」も採用。0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は325km/h以上。
 

ウラカンEVO▲ウラカンEVOのコックピット。「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」という計3種類のドライブモードを選択できる

車両価格3100万~3700万円ほどで4WDのウラカンEVOを探すのが基本線になるが、「自分は後輪駆動にこだわりたい!」とおっしゃるのであれば、2020年1月に追加された2WDモデル「ウラカンEVO RWD」を探してみるのもいいだろう。

流通量は少なめだが、4WDのEVOよりほんの少々お安い車両3000万~3500万円ほどで、走行数千kmレベルの中古車が見つかるはずだ。

とはいえ、7億円の金融資産を持つ富豪である我々ゆえ、たかが数百万円の違いを気にすることはない。あくまでも「どちらの駆動方式が好みか?」で決めるべき問題だろう。
 

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ランボルギーニ ウラカン(初代) × EVO & EVO RWD
 

6|マクラーレン 720S(初代)
これぞF1直系? とにかく速く走りたいなら最適な1台

●生産期間:2017年3月~
●中古車価格:約2600万~4200万円
 

720S▲こちらがマクラーレン 720S。新車時価格は3338万3000円~だった

ベビーランボもV8フェラーリももちろん素敵だが、もしも極論するのであれば、ランボルギーニとは「見せびらかすための車」であり、フェラーリとは「自宅ガレージの中で眺めるための車」であるという側面が、決してないわけではない。

つまり、両者は「純粋に“走るためのスーパーカー”ではない」ということだ(と言い切ってしまうのもちょっと違うわけだが、話を進めるため、あえて言い切らせていただく。すみません)。

で、もしもスーパーカーにおいて「走ること」を主眼に置きたいのであれば、選ぶベきは英国のマクラーレンしかあるまい。見栄えや音に関してはランボルギーニやフェラーリほどあか抜けてはいないが(すみません)、「速く正確に走る」という点においては、マクラーレンこそがおそらくは世界トップレベルだ。

そんなマクラーレンの中で比較的流通量が多いのが、2017年に発売された720Sである。

 

720S▲カーボンとアルカンターラでまとめられたコックピット。メータークラスターは可倒式

720Sは、マクラーレンの中核である「スーパーシリーズ」の第2世代モデル。従来型である650S以上に軽量で、より速く、そしてより大幅な性能向上が実現されている。

ボディ構造はそれまで同様にカーボンファイバー製シャシーを採用しているが、720Sでは、さらに基盤となる新しいカーボンファイバー製の「タブ」に上部構造の「モノケージⅡ」を組み合わせることでフルカーボン骨格を実現。パワーユニットも新型となり、縦置きされる4L V8ツインターボエンジンは最高出力720psをマーク。0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は341km/hであるとのこと。

「7億円」を持っている我々に、まさにふさわしい1台であるといえるだろう。
 

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マクラーレン 720S(初代)
 

7|ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)
V型12気筒エンジンを搭載する「スーパーカー・オブ・スーパーカー」

●生産期間:2011年9月~2022年12月
●中古車価格:約3700万~1億1000万円
 

アヴェンタドール▲写真は2017年4月に改良進化版として登場したアヴェンタドールS

先ほど「“走ること”を主眼に置きたいのであれば、選ぶベきは英国のマクラーレンだ」という意味のことを申し上げた。しかし冷静に考えてみれば、最高速度が341km/hにもなる車を買ったところで、公道ではその性能を試す場所はなく、サーキットでも、そこまでの超絶性能は持て余してしまうだろう。

となるとスーパースポーツの真の魅力とは、やはり「存在感」である――ということになるのかもしれない。

もしもそれが正解であった場合には、最強に近いのがコレ、ランボルギーニ アヴェンタドールである。

V10エンジン+ヒンジドアとなるランボルギーニ ウラカンと違い、こちらは正調の(?)V12エンジン+シザーズドア。……この組み合わせこそがやはり“スーパーカー”そのものであり、1970年代のカウンタックから続く“人類の夢”と言ってもいいはず。

最高出力700psの6.5L V12エンジンを搭載する初期モデル「LP700-4」は、車両3700万円付近から狙うこともできる。だが宝くじの当選効果により富裕層の仲間入りした我々としては、せめて2017年4月のマイナーチェンジで後期型となった「アヴェンタドールS」を買いたいところだ。

初期型より40ps増の最高出力740psとなった「アヴェンタドールS」はエクステリアデザインも改められ、性能うんぬんと同時に存在感も爆上がりした。そしてその中古車は車両価格5300万~6000万円といったところ。我々としては「ちょうどいい」としか言いようのないお値段である。
 

アヴェンタドール▲レザーとカーボンファイバーを贅沢に使用しているインテリア。デザイン自体は前期型とほぼ同様

もしもさらなる走行性能を追求したい場合は、2018年8月以降の「アヴェンタドールSVJ」が狙い目となり、その場合の中古車価格は9300万~9600万円が目安となる。

我々にとっては屁でもない金額だが、まぁ5000万円台の「S」でも存在感的には十分ではないかとも思う。
 

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ランボルギーニ アヴェンタドール(初代)
 

8|フェラーリ SF90ストラダーレ(初代)
システム合計出力1000psのフェラーリ製プラグインハイブリッド車!

●生産期間:2019年10月~
●中古車価格:約5400万~8200万円
 

 SF90ストラダーレ▲最高出力780psの4L V8ツインターボエンジンと3基のモーターが組み合わされたフェラーリ SF90ストラダーレ。ボディサイズは全長4710mm × 全幅1972mm × 全高1186mm

ランボルギーニ アヴェンタドールのV12エンジンが超絶素晴らしいことについては論をまたないが、とはいえ今どき「純ガソリンエンジン」というのも、21世紀を生きる人類としてちょっとどうなのか? という思いはある。

エコうんぬんもそうだが、「電気モーターのパワー」という魅力を知ってしまった今、「エレキの力が働いていない車はやや微妙」と思ってしまう自分もいるわけだ。

まぁこのあたりの感じ方は人それぞれだろうが、もしもあなたがスーパースポーツの世界においても「電気モーターのパワー」を感じていたい――と思うのであれば、選ぶべきはフェラーリのプラグインハイブリッド車、SF90ストラダーレだろう。

リアミッドの低い位置に搭載される最高出力780psの4L V8ツインターボエンジンは、3基のモーターと外部充電可能なバッテリーによるハイブリッドパワートレインを構成。システム合計出力は1000psで、最高速度340km/h、0-100km/h加速は2.5秒であるとのこと。

新形状のステアリングホイールにはタッチパッドが備わり、ステアリングから手を放さずに、コマンドの選択や実行を行うことが可能。機械式メーターに代わって搭載された16インチのフルデジタル曲面クラスターも、これまでのフェラーリ車にはなかった新デバイスである。
 

SF90ストラダーレ▲ダッシュボードやインストゥルメントパネルは専用設計。16インチのフルデジタル曲面クラスターもフェラーリとして初めて採用された

SF90ストラダーレ全体の中古車相場は車両本体価格5400万~8200万円といったところだが、よりスポーティな仕様となる「アセット フィオラノ」というバージョンは同6000万円から。

若干高額にはなるが、我々のような“7億円所有者”は、垂直荷重を増加させる専用カーボンリアスポイラーや、専用アルミ製ダンパーとチタン製スプリング、専用カーボンインテリアパーツなどが装着されている「アセット フィオラノ」を探すべきだろう。当然である。
 

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フェラーリ SF90ストラダーレ(初代)
 

9|フェラーリ 488ピスタ(初代)
中身はほぼレーシングカー? V8フェラーリのスペシャルモデル

●生産期間:2018年2月~
●中古車価格:約6800万~9000万円
 

488ピスタ▲ただでさえ高性能なフェラーリ 488GTBに、各種のさらなる超高性能を付帯させたスペシャルモデルとなる488ピスタ

前掲のプフラグインハイブリッド車、フェラーリ SF90ストラダーレは、この種のスーパースポーツとしては中古車の流通量が比較的多い。

流通量が多いというのは、物件を探すうえではありがたいことではある。だが裏を返せば、「プラグインハイブリッドのスーパースポーツを買ってはみたものの、いまひとつ満足できず、結局は早期に売却した人が多かった」という可能性もあるのだろう。

そのあたりの真偽のほどはわからないが、いずれにせよ「やはりスーパースポーツはガソリンエンジンを回してナンボ!」という部分は確実にあるはずだ。

であるならば、ここで本当に注目すべきはV8フェラーリのスペシャルモデルである488ピスタなのかもしれない。

360チャレンジ ストラダーレ、430スクーデリア、458スペチアーレの後継車となる488ピスタは、「プロでないドライバーがステアリングを握っても、様々な状況でレーシングカー並みの走りを堪能できる」というコンセプトで開発されたスーパースポーツ。

搭載エンジンは、488GTBに搭載される670psの3.9L V8ターボをベースに、ニッケル合金製エグゾーストマニホールドや軽量クランクシャフトおよびフライホイールなどの488チャレンジから採用された技術と、チタン製コンロッドなどの追加装備により、最高出力は720psまで高められ、すべての回転域で488GTBを上回るトルクを生み出している。

そしてSSC 6.0(サイド・スリップアングル・コントロール バージョン6.0)の中に含まれるFDE(フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー)は、フェラーリ自社製のソフトウエアを用いて、ブレーキキャリパーの制動圧を自動で調整するというもの。
 

488ピスタ▲フェラーリ 488ピスタの運転席まわり。多くの部分がアルカンターラで覆われている

……もはやすごすぎて、自分でも何を言っているのかちょっとわからなくなっているが、いずれにせよフェラーリ 488ピスタであれば、100年以上続いてきた「ガソリンエンジンを搭載する四輪車の最高峰」といった部分を、日々堪能できることだけは間違いない。

仮に支払総額が1億円近かったとしても、7億円の当選者である我々の手元には、まだまだ6億円以上が残る計算である。……何の問題もあるまい。
 

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フェラーリ 488ピスタ(初代)
 

10|BMW M4クーペ(2代目)
現実的にイケそうなのはコレか? BMW M社が仕上げた超絶スポーツクーペ!

●生産期間:2021年1月~
●中古車価格:約1000万~3000万円
 

 M4クーペ▲BMWのモータースポーツ部門を担当していた「BMW M社」が、現行型4シリーズをベースに作り上げた超快速マシンが、こちらのM4クーペ コンペティションだ

「もしも7億円の宝くじに当選したとしたら?」との前提に基づいて妄想を重ねているうちに、すっかり「本当に当選した!」という気分になってしまった筆者である。そして冷静になって考え直してみると、もちろん当選などしておらず、手元には少々の額の現金しかない。

……この状況で8000万円のフェラーリ 488ピスタを買うなど狂気の沙汰であり、実際に買えるスポーツカーは「最高でも、せいぜい車両価格1000万円くらい」といったところになるだろう。

おおむね1000万円を予算上限として改めて、冷静に考えてみると――狙い目となるのは現行型BMW M4クーペになるだろうか? ご承知のとおり現行型BMW 4シリーズクーペをベースに、BMW M社がサーキットで培った技術を投入して作られたハイパフォーマンスモデルである。

現行型である2代目のデビュー当初は、巨大化されたキドニーグリルにかなりの違和感を覚えたが、今となっては気にならないというか、むしろ素敵なデザインであるようにも思えてきている。
 

M4クーペ▲BMW M4クーペ コンペティションの運転席まわり。8速ATのシフトスケジュールは「ドライブロジック」機能によって3段階に変えることが可能

搭載エンジンはいずれも3L 直6ツインターボで、ベースグレードは最高出力480ps、「コンペティション」および「コンペティション トラックパッケージ」には同510psの仕様が搭載されている。組み合わされるトランスミッションは、ベースグレードのみ6速MTで、その他のグレードは8速スポーツATである。

ボディやドライブトレインを構成するパーツにアルミニウムを多用することで軽量化が追求され、足回りには「Mアダプティブサスペンション」を標準装備。耐熱・耐フェード性能に優れた大径ディスクローターなどからなる「6ポッドMコンパウンドブレーキ」を標準装備するが、オプションとして、より耐摩耗性能と耐熱性能を高めた「Mカーボンセラミックブレーキ」を装着している中古車も流通している。

まぁ普通に公道で乗る分にはMカーボンセラミックブレーキ付きでなくても何ら問題はないが、いずれにせよ車両価格1000万円ほど、支払総額1050万円付近で買う走行距離2万km前後の現行型BMW M4クーペ コンペティションこそが、よく考えれば7億円は当たっていない筆者にとっての「現実的なイチ推しモデル」ということになるのだろう。
 

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BMW M4クーペ(2代目)
 

憧れの高級車|セダン編5モデル

「もしも宝くじ7億円が当たったらどんな車を買うか?」という妄想、お次は4枚ドアの「セダン編」である。
 

 

1|レクサス IS 500 Fスポーツパフォーマンス ファーストエディション(2代目)
超快感な5L V8自然吸気エンジンを搭載する豪快スポーツセダン

●生産期間:2022年8月~
●中古車価格:約1100万~1200万円
 

IS▲500台限定で抽選販売されたものの、あっという間に完売となったレクサス IS 500 Fスポーツ パフォーマンス

レクサス IS 500 Fスポーツ パフォーマンスは、最高出力481psの5L V8自然吸気エンジンを搭載する超ハイパフォーマンスセダン。その国内導入に先立って2022年8月、500台限定で抽選販売された特別仕様車が「500 Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション」だ。

この5L V8エンジン自体がかなり伸びやかかつ強烈なわけだが、それに加えて、V8エンジンの存在を感じさせるフロントフードや専用のブラックキャリパー、4連マフラーなどで力強さと迫力を際立たせているのが、500 Fスポーツ パフォーマンスの特徴のひとつ。さらには、エンジンに合わせて減衰力可変ダンパー(AVS)や電動パワーステアリング(EPS)のチューニングも変更されている。
 

IS▲500 Fスポーツ パフォーマンスのコックピット。デザイン的には「質実剛健なスポーツセダン」といったニュアンスが強い

そんな500 Fスポーツ パフォーマンスの限定車である「ファーストエディション」は、用意された500台が秒で(?)完売となってしまい、全国のスポーツセダン好きを落胆させたわけだが、中古車市場をのぞいてみれば、まだいくらでも購入することはできる。

といっても、車両価格850万円で売り出されたファーストエディションが1100万円以上の中古車価格に、つまり250万円以上のプレミアム価格が付いてしまっているわけだが、我々には「1等7億円」という現ナマがあるため、そこはほとんど問題にはならない。抽選で外れてしまった人には申し訳ないが、ただただ素晴らしい国産スポーツセダンを普通に購入するのみである。
 

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レクサス IS(2代目) × 500 Fスポーツ パフォーマンス ファースト エディション
 

2|メルセデスAMG Cクラス C43 4マチック(2代目)
F1由来のターボチャージャーを採用した爆速セダン!

●生産期間:2022年10月~
●中古車価格:約1100万~1200万円
 

IS▲こちらが現行型メルセデスAMG Cクラス C43 4マチック。2022年秋に発売されたばかりということで、現時点では中古車の流通量は少なめ

レクサス IS 500 Fスポーツパフォーマンスのファーストエディションも素敵なスポーツセダンではあるが、このクラスになると「どちらかといえば、国産車より輸入車のほうが好きだ」という人も多いに違いない。

そんな場合には、IS 500 Fスポーツパフォーマンス ファーストエディションの中古車(未使用車)とおおむね同じぐらいの車両価格となるメルセデスAMG Cクラスの「C43 4マチック」がオススメとなる。

搭載エンジン「M139」はダウンサイジングされた2L 直4ターボだが、AMGの伝統にのっとってOne man, One engine(1基のエンジンの組み立て作業すべてを、1人の熟練マイスターが行う)で組み立てられたそれは、3L V6ツインターボだった先代型より18ps増強された最高出力408psを発生。

そしてこのM139エンジンに搭載されるターボチャージャーは、量産車用としては世界初となる「エレクトリックエグゾーストガスターボチャージャー」を採用している。

メルセデスがF1で磨き上げてきたこの技術は、ターボチャージャーの軸に組み込んだ電気モーターで直接ターボを駆動することで、全域においてターボラグのないレスポンスの良さと、低回転域での高トルク化が図られるというものだ。
 

C43▲ドライバーの正面には、ダッシュボードから浮かんでいるような形で12.3インチのコックピットディスプレイが配置されている

その結果として「……これが本当に2Lなのか?」と思えるほど強力なものとなったM139エンジンを、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを用いた9速の「AMGスピードシフトMCT」で操作する快感は、他の車ではなかなか味わえない超絶フィーリング。

エグゾーストサウンドをセンサーで拾い、室内のスピーカーで再生する「AMGリアルパフォーマンスサウンド」の音質も、ハッキリいってクセになる味わいだ。
 

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メルセデスAMG Cクラス(2代目)
 

3|メルセデス・ベンツ Sクラス(7代目)
これぞ「毎日使える超高級セダン」のど真ん中!

●生産期間:2021年1月~
●中古車価格:約1100万~2000万円
 

Sクラス▲十分以上なサイズと諸性能、そして十分以上の存在感を備えているメルセデス・ベンツ Sクラス。その最新世代がこちらだ

前掲のメルセデスAMG C43 4マチックがかなり素晴らしいスポーツセダンであることは間違いないが、ある種の人は「しょせんはCクラス」的に感じてしまうのかもしれない。

個人的にはCクラスぐらいのサイズ感が日本の道には合っていると思うが、もしもそうは思わないのであれば、マイバッハを除けばメルセデス・ベンツのトップレンジとなるSクラスの現行型に、ぜひとも乗っていただきたい。

2021年1月に登場した7代目となる現行型メルセデス・ベンツ Sクラスに、当初用意されたパワーユニットは2種類。「S400 d」には330psの最高出力と700N・mの最大トルクを発生する3L 直6ディーゼルターボエンジンが搭載され、「S500」は最高出力435psの3L 直6ガソリンターボエンジンと48V電気システムの組み合わせ。

同年9月には、最高出力503psの4L V8ツインターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステム組み合わせた「S580」も追加されている。トランスミッションはいずれも9速ATの「9Gトロニック」だ。
 

Sクラス▲現行型メルセデス・ベンツ Sクラスのコックピット。運転席と助手席の間には、センターコンソールとシームレスにつながったデザインの12.8インチ有機ELメディアディスプレイが装備されている

予防安全・運転支援システムが既存のシステムから大幅にアップデートされたというのもあるが、「とにかくラクに、とにかく安全に、しかし速く走ることができる」という意味では、現行型のメルセデス・ベンツ Sクラスことが――世界一であるかどうかは知らないが、間違いなく「世界トップレベル」であることは疑いようがない。

「7億円を持つ男または女」が普段づかいする車として、これ以上適切なものはなかなかないだろう。
 

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メルセデス・ベンツ S(7代目)
 

4|ベントレー フライングスパー(2代目)
W12エンジンも選べる超絶ラグジュアリーセダンの決定版

●生産期間:2019年12月~
●中古車価格:約2500万~3300万円
 

フライングスパー▲きわめて静かになめらかに走らせることも、そしてスポーツカー並みのペースで走らせることもできる、ベントレー フライングスパー

前項にて「7億円を持つ男または女が普段づかいする車として、現行型メルセデス・ベンツ Sクラス以上に適切なものはなかなかない」という意味のことを申し上げた。

大変なミステイクをおかしてしまったことをお詫び申し上げる。「ベントレー」の存在をすっかり忘れていたのだ。7億円を持つ男または女が普段づかいする車としては、なんとも断言はできない問題だが、メルセデス・ベンツ Sクラスよりもベントレー フライングスパーのほうが適切である可能性は否定できない。

ベントレーは1918年に英国で設立された高性能スポーツカーメーカー。1931年にはロールスロイス社に買収され、以降は「ロールスロイスのオーナーカー版」的な姉妹車を作り続けた。しかし現在はフォルクスワーゲン傘下となり、独自の超ハイパフォーマンス&超ラグジュアリーなスポーツサルーンを作り続けている。

で、現行型のフライングスパーは、2019年12月に上陸した同社のフラッグシップセダン。当初のパワーユニットは最高出力635psの6L W12気筒ツインターボで、組み合わされるトランスミッションはデュアルクラッチ式の8速AT。駆動方式は4WDのみだ。超ラグジュアリーなサルーンではあるが、0-100km/hの加速タイムは3.8秒と、並のスポーツカーよりも速い。
 

フライングスパー▲写真でもそのスーパーラグジュアリーな世界観は伝わると思うが、実際のそれは、上質すぎるほど上質なレザーとウッドがもたらす高級感により、思わずむせ返ってしまいそうになるほどだ

2021年の途中には最高出力550psの4L V8ツインターボエンジンが追加され、2022年後半にはシステム最高出力544psのプラグインハイブリッドモデルも登場している。

現行型フライングスパー全体の中古車価格は車両2500万~3300万円といったところだが、パワーユニット別の相場はおおむね下記のとおりだ。

●6L W12:約2700万~3300万円
●4L V8ツインターボ:約2500万~3200万円
●プラグインハイブリッド:執筆日現在、中古車の流通なし

比較的割安なのは4L V8ツインターボ搭載グレードだが、当然ながら我々富裕層は、そんなささいな価格の違いに基づいてグレード選択を行うべきではない。

まぁどちらを選んでも良いとは思うが、ここはもうせっかくだから、2024年4月に生産を終えることが決まっている6L W12エンジンを味わっておきたいところだ。
 

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ベントレー フライングスパー(2代目)
 

5|BMW 8シリーズグランクーペ(初代)
もしかしたら本当に手が届くかもしれない(?) 洒落者4ドアクーペ

●生産期間:2019年10月~
●中古車価格:約720万~1300万円
 

8シリーズグランクーペ▲こちらがBMW 8シリーズの4ドアクーペ版である8シリーズグランクーペ

前項にて「我々富裕層は、ささいな価格の違いに基づいてグレード選択を行うべきではない」という旨を書いたが、よく考えたら筆者はまだ宝くじに当選していなかったので“富裕層”ではなかった。そして、たぶんあなたもそうだろう。

であるならば、約3000万円も出してベントレー フライングスパーを買うなど愚の骨頂。というか資金不足のため、買うこと自体がままならないはずだ。

であるならば……ぎりぎりイケそうな価格である700万~1000万円ぐらいにてBMW 8シリーズグランクーペの良質物件を探すのが最適解なのかもしれない。

8シリーズグランクーペは、「クーペ」「カブリオレ」に続く第3のボディタイプとして2019年10月に追加された、いわゆる4ドアクーペ。純粋なセダンではないが、まあセダンみたいなモノであるとは断言できる。
 

8シリーズグランクーペ▲トランスミッションは8速AT。写真ではわかりづらいが、クリスタルガラス製シフトセレクターの内部には「8」のロゴが浮かび上がっている

当初の主なグレード構成は、最高出力530psの4.4L V8ガソリンツインターボエンジンを搭載する「M850i xドライブ」と、同319psの3L 直6ディーゼルターボエンジンを積む「840d xドライブ」、3L 直6ガソリンターボエンジンの「840i」の3種類。

2022年3月にマイナーチェンジが行われ、内外装デザインが少々変更された。

V8ガソリンツインターボの「M850i xドライブ」を狙うとなると車両本体価格900万円以上となる場合が多いが、3L 直6ガソリンターボの「840i」系で良しとするのであれば、走行距離1万km台の物件でも同850万円以下で探すことができる。

高額宝くじ当選の夢から覚めた筆者としては、このあたりのゾーンで「なるべくいい感じの中古車」を、地道にコツコツ探していきたいと考えている。
 

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BMW 8シリーズグランクーペ(初代)
 

憧れの高級車|SUV編5モデル

「もしも宝くじ7億円が当たったらどんな車を買うか?」という検討あるいは妄想、最後は今一番人気のジャンルである「SUV編」だ。
 

 

1|トヨタ ランドクルーザー300(初代)
日本を、いや世界を代表する超本格オフローダー

●生産期間:2021年8月~
●中古車価格:約940万~1800万円
 

ランドクルーザー300▲発売と同時に大量のオーダーが入り、現在は注文停止状態となっている現行型トヨタ ランドクルーザー300。写真はスポーツグレードである「GRスポーツ」

2021年8月に発売されるやいなや大人気となり、「納車は4~5年待ち」という状態になってしまい、直近では注文することもできなくなってしまった、ランクル300こと現行型トヨタ ランドクルーザー300。

庶民の皆さんは「ランクル300が買えない!」「自分が最初期に注文したやつの納車はいつになるんだ!」「早く生産再開してくれ!」等々と騒いでらっしゃるわけだが、我々7億円ホルダーとしては、もしもランドクルーザー300が本当に欲しいと思うのであれば、涼しい顔して「中古車」を買うのみである。

そう。中古車市場には、かなりの即納プレミアム価格が上乗せされてはいるものの、走行距離数千kmから1万km台ぐらいのランドクルーザー300がたくさんあるのだ。
 

ランドクルーザー300▲ランドクルーザー GRスポーツのコックピットはおおむねこのような世界観

もちろん、本来の新車価格が510万~800万円である車に、平均で1332.5万円となるプレミアム価格を支払うのが業腹でないといえば、嘘になる。できればそんなモノは支払いたくないのは当然だ。

だがそこでいちいちカリカリ怒るのは、庶民さんがやるべきことだ。我々7億円ホルダーは「金持ち喧嘩せず」ということわざのとおり、何も言わずにサッと1200万円ぐらいを支払って、ササッと走行距離5000kmぐらいのランドクルーザー300 GRスポーツを手に入れる。そしてサササ~ッと毎日の生活を充実させれば、それでいいのである。
 

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トヨタ ランドクルーザー300(初代)
 

2|メルセデス・ベンツ Gクラス 350d ヘリテージエディションまたはデジーノ マヌファクトゥーア エディション(初代)
先代となった今も存在感はまったく色あせない「元軍用車」

●生産期間:2017年11月~2018年5月
●中古車価格:約1050万~1600万円
 

Gクラス▲こちらが先代メルセデス・ベンツ Gクラス。写真は2018年4月に発売された日本限定の特別仕様車「G350d ヘリテージエディション」

トヨタ ランドクルーザー300もかなり素敵な車だが、プレミアムSUVの世界ではメルセデス・ベンツ Gクラスこそが決定版なのかもしれない。そして手元に7億円がある今となっては、やはり“決定版”こそを入手したいものである。

そう考えたときにまず候補となるのは、2018年5月まで販売されていた先代のメルセデス・ベンツ Gクラスであろう。といっても古い年式の中古車はプレミアム感にはいささか欠けるため、我々富裕層が狙うべきは末期の人気グレードである「G350d」だろう。最高出力211ps、最大トルク540N・mの3L V6ディーゼルターボエンジンを搭載するナイスなグレードである。

当初は「G350 Blue TEC」と名乗っていたこちらのグレードだが、2016年1月のマイナーチェンジで名称を「G350d」に変更し、内外装デザインも変更。そして2017年11月には「デジーノ マヌファクトゥーア エディション」という素敵な特別仕様車が、さらに2018年4月には「ヘリテージ エディション」という、これまた素敵な色使いの特別仕様車がリリースされた。
 

Gクラス▲こちらが「G350d デジーノ マヌファクトゥーア エディション」
Gクラス▲「designoブラックレザーシート」や「designoピアノラッカーウッドインテリアトリム」など、上質感を高める特別装備が与えられた「G350d ヘリテージエディション」のインテリア

我々7億円ホルダーがあえて先代のGクラスを買うとしたら、選ぶべきはこの2つのどちらかだろう。

中古車価格は約1050万~1600万円と、かなり“お手頃”である。
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(初代) × 350d ヘリテージエディション & デジーノ マヌファクトゥーア エディション
 

3|メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目)
最強レベルの走破性、そして最高レベルの“存在感”

●生産期間:2018年6月~
●中古車価格:約1300万~2800万円
 

Gクラス▲現行型メルセデス・ベンツ Gクラス。写真は2022年7月に発売されたメルセデスAMG G63の限定車である「マグノ ヒーロー エディション」

デザイン的には先代Gクラスのほうがシブいと個人的には思うわけだが、よく考えてみれば、我々7億円ホルダーが今さら“先代”を買う必要はないのかもしれない。デザインはさておき、乗りやすさ・運転しやすさに関しては現行型Gクラスのほうが圧倒的に上であり、いわゆる世間体みたいなものも、現行型のほうが当然ながら上なのだろう。

そんな現行型メルセデス・ベンツ Gクラスの新車は現在、トヨタ ランドクルーザー300の新車とある意味同様に「注文することすら困難な状態」になってしまっているわけだが、これまたランクル300と同様に、中古車市場にはたくさんの超低走行物件が普通に流通している。

これもランクル300の中古車と同様に“即納プレミアム価格”になっているわけだが、そんなささいな問題は庶民さんが心配すればいいのであって、我々富裕層にとっては知ったことではない。

車両価格1600万~1700万円あたりのゾーンに走行距離1万km台の「G350d AMGライン」が豊富にそろっているため、それをサクッと買えばいいような気はするが、ここはひとつもう少々の予算をプラスして、メルセデスAMGの「G63」を選んでもいいのかも。

メルセデスAMG「G63」は、4L V8のバンク間に2つのタービンを並列配置するM177型ツインターボエンジンが585psの最高出力を発生させる、過激なバージョンの現行型Gクラス。一般的にはさておき、7億円ホルダーの愛車としては誠に妥当であるはずだ。
 

Gクラス▲ダイヤモンドステッチ入りのナッパレザーシートや、運転席・助手席のリラクゼーション機能およびシートベンチレーターなどが備わるメルセデスAMG「G63 マグノ ヒーローエディション」の車内

通常のG63であれば車両2000万~2400万円付近で相当いいモノが探せるが、車両2500万円以上を拠出すればおしゃれな「マヌファクトゥーア エディション」が。

さらに車両3300万円以上でもOKなら、2022年7月に発売されたマットカラー+ブラックアクセントがカッコいい「マグノ ヒーロー エディション」を見つけることもできる。
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目) & メルセデスAMG Gクラス(2代目)
 

4|ロールスロイス カリナン(初代)
あの「ロールスロイス」が初めて作ったSUV!

●生産期間:2018年9月~
●中古車価格:約4500万~5600万円
 

カリナン▲こちらがロールスロイス カリナン。基本的には富裕層が舗装路を走るために購入する車だが、その気になれば悪路もガンガン走破することができる

現行型メルセデス・ベンツ Gクラスのマグノ ヒーロー エディションあたりを買えばすべてOKだろうと思っていたが、よく考えてみると「メルセデス・ベンツ」というのは高級車だけを作っているわけではなく、Aクラスなどのちょっとお安い車も作っているメーカーだ。

それゆえもしかしたら、我々のような7億円ホルダーが乗る車としては、若干ふさわしくないイメージもあるのかもしれない。

「高級車だけを作っている自動車メーカー」といえば、代表的なのは英国のロールスロイスであり、そのロールスロイスが2018年9月から製造販売しているのが、超絶ラグジュアリーSUVであるカリナンである。……これこそが、私たちには最高にふさわしいSUVなのだろう。

ロールスロイスとしては初のSUVであるカリナンが搭載するパワーユニットは、最高出力571ps/最大トルク850N・mの6.75L 12気筒ツインターボエンジン。空車重量2660kgの重量級ボディを、電子制御リミッターが利く250km/hまで軽々と加速させるという。

ロールスロイス初の4WDであり、足回りにはエアサスペンションを採用。センターコンソールの走行モードセレクターを操作することで、あらゆる道に対応できるそうで、最大渡河水深は540mm。……このSUVで渡河するサムライは世界でもほとんどいないとは思うが、ただただ超絶ラグジュアリーなだけでなく「真のオフロード性能」もちゃんと用意しているという点が、英国の名門の“プライド”なのだろう。
 

カリナン▲左右対称なデザインが採用されたカリナンのインパネまわり。中央のモニターには、ロールスロイス初のタッチパネルが採用された

中古車の流通量はさすがに少なめだが、車両約4500万からいちおう見つけることができる。

車両5500万円以上出すつもりがあるなら、600psの最上位グレードである「ブラックバッジ」の購入も可能だ。
 

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ロールスロイス カリナン(初代) & ブラックバッジカリナン(初代)
 

5|ポルシェ マカン(初代・後期型)
ぜひ「後期型」を手に入れたいコンパクトな(?)ポルシェ製SUV

●生産期間:2021年7月~
●中古車価格:約870万~1600万円
 

マカン▲2021年7月に、エンジンをパワーアップするとともに内外装デザインなども変更したポルシェ マカン。写真はその世代のベースグレードで、ボディカラーは「マイアミブルー」という希少人気色

SUV編においても7億円が当たったとの妄想が加速してしまい、『車両5500万円以上出すつもりがあるなら、ロールスロイス カリナンの「ブラックバッジ」を購入することもできるだろう』などと、かなり痛いことを言ってしまった。実際の筆者は7億円に当選などしておらず、財布の中には8000円しか入っていない。

となれば「高級SUV」を買うとしても、車両価格で1000万円ぐらいがギリギリの上限か。そのぐらいなら本当にギリギリ、ローンでなんとなる可能性はワンチャンある。

予算上限1000万円でなるべく素敵なプレミアムSUVを探すとしたら――最右翼となるのはポルシェ マカンだろうか。

ご承知のとおりマカンはポルシェのコンパクトSUVだが、「コンパクト」というのは「ポルシェの基準では」であって、全長4726mm × 全幅1922mm × 全高1621mmというスリーサイズは、日本では「普通にやや大きめなSUV」であると言っていい。

そんなポルシェ マカンは、前期型の中古車であれば車両300万円台から見つけることもできるわけだが、「高級車感」があるという意味では、2021年7月に受注開始となったマイナーチェンジ後の世代を狙いたいところだ。

このマイナーチェンジでは、トップモデルとなる「マカンGTS」の2.9L V6ツインターボが従来型を60ps上回る最高出力440psになると同時に、「マカンS」の2.9L V6ツインターボは26ps増の同380psに、ベースグレードである「マカン」に積まれる新開発の2L 直4ターボは13psアップの最高出力265psになった。

そして、すべてのエンジンに7速DCT「PDK」と「ポルシェトラクションマネジメント(PTM)4WDシステム」が組み合わされ、「ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)」もマカンSおよびマカンGTSに標準装備され、マカンにはオプション設定されるようになっている。

その他もろもろの改変とともに、前後のエクステリアデザインやインテリアデザインの一部も変更され、より“高級SUV”らしくなったのが、この世代のポルシェ マカンだと言える。
 

マカン▲2021年7月以降のインテリアには、タッチパネル式のセンターコンソールや、コンパクトになったシフトレバー、新デザインの「マルチファンクションGTスポーツステアリングホイール」などが採用された

とはいえ、2.9L V6ツインターボの「マカンS」または「マカンGTS」を買うとなると、この世代は車両価格で1200万円を超えてしまう。しかし、「ぜいたくは敵だ!」ということで2L 直4ターボのベースグレードを選ぶようにすれば、2021年7月以降の世代であっても車両880万~980万円ぐらいで、きわめて走行距離の短い物件を見つけることができるはず。

「まずまず現実的だがプレミアムな選択肢」として、この世代のポルシェ マカン ベースグレードは個人的にも客観的にも、大いに注目したいセグメントである。
 

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ポルシェ マカン(初代・後期型)
文/伊達軍曹 写真/ロールスロイス、ブガッティ、フェラーリ、マクラーレン、ポルシェ、日産、ランボルギーニ、BMW、トヨタ、メルセデス・ベンツ、ベントレー、レクサス
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。