新型プリウスの特徴は? 先代との違いやPHEVモデル、価格と中古車情報を徹底解説!
2023/03/19
新型トヨタ プリウスを徹底解説! どんなモデル? いくらで狙える?
ハイブリッドカーの元祖であり、日本にハイブリッド車を根付かせた立役者であるプリウス。プリウスのデビュー後、他社からもハイブリッドカーが登場しましたが、プリウスの牙城を崩すことはできませんでした。その秘密はトヨタがシリーズパラレル式を採用したことにあると感じます。
他社が採用したパラレル式はモーターがエンジンを補助するシステムで、エンジンは常に動いています。しかし、トヨタのハイブリッドはエンジンが停止してモーターのみで走行する時間もある。これにより燃費性能が向上するとともに、乗る人が「未来」を感じたのでしょう。
現行型プリウスは2023年1月にデビューした通算5代目。初代のデビューから四半世紀以上経過し、プリウス自体も大きく進化しています。
この記事では、5代目・現行型トヨタ プリウスがどのようなモデルなのかを深堀りしていきます。
トヨタ プリウスってどんなモデル?
現在のトヨタ車を見ると、多くのモデルでガソリン車とハイブリッド車がラインナップされています。プリウスはデビュー以来、トヨタのハイブリッドカーを象徴するハイブリッド専用車として販売されてきました(専用車は他にアクアがあるのみ)。
3代目プリウスからは、通常のハイブリッドに加えて外部電源から充電もできるプリウスPHVが登場。ただ、3代目と4代目ではプリウスとプリウスPHVは別モデルという扱いでした。5代目からはプリウスのプラグインハイブリッドもプリウスとして販売されます。
初代(1997年12月~2003年8月生産)
エンジンとモーターという異なるパワートレインを搭載した量産車世界初の革新的な乗用車として登場した初代プリウス。現在と違い、曲線を多用し空力性能を高めたセダンスタイルだったのが特徴です。
エンジンは1.5L直列4気筒。モーターは最高出力30kWを発揮し、燃費は10・15モードで28.0km/Lという当時としては画期的な数値を記録しました。
一方で、当時はまだハイブリッドシステムの性能が高くなく、山道などでハイブリッドバッテリーの電力残量が少なくなるとメーター内に亀マークが出て出力が制限されることがありました(が、2000年5月のマイナーチェンジでエンジンとモーターの出力がアップ。突然出力が低下するという問題はほぼなくなりました。
2代目(2003年9月~2009年4月生産)
2代目プリウスは空力性能を高めるために、セダンからおむすび型のハッチバックに生まれ変わりました。縦長のフロントライトやハイデッキのテールゲートとその下の垂直に降りるガラス部なども相まって、未来を感じさせるデザインになっています。ボディはワイド化され、全幅が1730mmになったことで3ナンバーモデルになりました。
ハイブリッドシステムは新開発のTHS IIを搭載。モーター出力が初代から1.5倍も高められ、レスポンスのいい走りを楽しめるように。燃費は10・15モードで35.5km/Lという世界最高レベルにまで引き上げられています。
インテリアではシフトセレクターが従来のノブ式から指先で軽く操作できるエレクトロシフトマチックになり、スタートもキーを回すのではなくボタン式になるなど、先進的な装備が惜しみなく投入されました。
3代目(2009年5月~2015年11月生産)
2代目が採用したトライアングルシルエットを継承した3代目プリウスは、空力性能の数値であるCd値0.25を達成。燃費は10・15モード38.0km/Lという世界トップの数値を達成しました。
ハイブリッドシステムは、新たにリダクションギアを採用した「リダクション機構付きのTHS II」になり、エンジン・トランスアクスルの高効率化、モーター・インバーターなどのユニットの小型・軽量化・高効率化などが図られました。実にシステムの90%以上を刷新する大改革です。
また、短距離ではありますがモーターのみでの走行を可能にしたEVドライブモードも搭載されています。
搭載エンジンはこの代から1.8Lに変更。モーター出力も加わり、2.4L車並みの動力性能が与えられました。パワーモードを選ぶことで、力強い走りを味わえるのもこの世代の特徴です。
インテリアはセンターコンソールが浮遊しているように見える形状を採用。高い位置にエレクトロシフトマチックが配置されたことで、自然な姿勢で操作できるようになりました。
2011年5月にはプリウスをベースに全高を高くしてリアスペースを拡大したプリウスαが登場。ステーションワゴンタイプの5人乗りと3列シートを備えた7人乗りが設定されました。
2012年1月には外部からの充電機能を備えたプラグインハイブリッド車であるプリウスPHVが登場。モーターのみの力で26.4km走行できる性能が与えられ、蓄えた電気を使い切った後は、プリウスと同じように車載の発電機を使ってハイブリッド車として走行できます。
フロントライトがブルーになり、テールライトがクリアレンズになるなど、プリウスとの差別化が図られています。
4代目(2015年12月~2022年12月生産)
TNGAの思想を採用した4代目プリウスは、低重心パッケージによるスポーティなスタイルが特徴。ボディねじり剛性は3代目より60%も向上しています。このモデルからリアタイヤをモーターで駆動させるE-Four(電気式四輪駆動)が設定されたのもトピックです。
ハイブリッドシステムは小型・軽量化され、燃費性能はJC08モードで40.8km/Lという驚異的な数値を記録しました。
歩行者検知機能付き衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロールなど当時の最先端だったToyota Safety Sense PをAとAプレミアムに標準装備。Bi-Beamヘッドライトは全グレード標準装備になります。
エクステリアは切れ長のフロントライトや鋭角なバンパー形状により先進的なイメージをアピールしましたが、2018年12月のマイナーチェンジでナチュラルなイメージに変更されています。
2017年12月には4代目プリウスをベースにしたプリウスPHVが登場。デザインはプリウスとは大きく変えられていて、プリウスよりも1ランク上の高級感が与えられています。インテリアには11.6インチの縦型ディスプレイが採用されました。
ハイブリッドシステムには大容量リチウムイオン電池を採用。EV走行距離が68.2kmに延び、EV走行最高速度が115kmに高められています。
そして、2023年1月に現行型となる5代目プリウスの販売がスタート。
ハイブリッドカーのイメージリーダーとして常に先頭を走ってきたプリウスが新たなステージに突入しました。ここからはいよいよ現行型プリウスがどのような車か詳しく見ていきましょう。
【進化ポイント】新型プリウスと旧型の違いはこれ!
まず初めに新型となる現行型プリウスは、旧型からどこが進化したかを見ていきましょう。大きく変わった点をまとめると以下の3つになります。
■第5世代のハイブリッドシステムを搭載
■第2世代TNGAプラットフォームを採用
■ハイブリッドとプラグインハイブリッドを統合
新型プリウスは2Lエンジンと1.8Lエンジンの2つのハイブリッドシステムが用意されます。2Lモデルはシステム最高出力が旧型より1.6倍も大きい144kW(196ps)を達成。燃費もWLTCモードで28.6km/Lと旧型より向上しています。
1.8Lモデルはすべての電動モジュールを刷新してWLTCモード32.6km/Lを達成。1.8Lのハイブリッドシステムを搭載するUグレードはトヨタが展開するサブスクリプションサービスであるKINTO専用モデルになります。
PHEVモデルはシステム最高出力164kW(223ps)の高い動力性能を達成。燃費性能は19インチタイヤ装着車が26.0km/L、17インチタイヤ装着車では30.1km/Lになります。EV走行距離は17インチタイヤ装着車で105kmに達します。これは旧型より75%も向上した数値になります。
5代目プリウスには特徴あるデザインやスポーティな走りを実現するために、TNGAプラットフォームをベースに改良を施した第2世代のプラットフォームを採用。5代目の特徴である低重心化や大径ホイールの採用を実現しました。リアに高出力モーターを搭載した最新のE-Fourもこのプラットフォームの採用により搭載が可能となったものです。
3代目と4代目ではプリウスとプリウスPHVは別のモデルという位置づけでしたが、現行型ではプリウスの中にハイブリッド仕様とプラグインハイブリッド仕様がラインナップされる形になります。
なお、これまでトヨタはプラグインハイブリッドを「PHV」と表記していましたが、今回から「PHEV」、ハイブリッドも「HEV」という表記になりました。そしてハイブリッドシステムの名称も「THS II」から「シリーズパラレルハイブリッドシステム」と表記されています。
【ラインナップ】新型プリウスはハイブリッドとプラグインハイブリッドを用意
新型プリウスにはハイブリッド(HEV)モデルと、プラグインハイブリッド(PHEV)モデルがラインナップされます。
・G系
2Lハイブリッドシステム搭載の量販グレード。リアバンパーやホイールアーチがオーソドックスなブラックになり、アルミホイールは17インチを履きます。運転席はマニュアル操作で、シート表皮はファブリックになります。
新車価格:320万~342万円
・Z系
2Lハイブリッドシステム搭載の上級グレード。リアバンパーやホイールアーチが艶ありブラックになり、アルミホイールは19インチを履きます。運転席は電動で、シート表皮は合成皮革になります。ステアリングにはレッドステッチが入ります。
新車価格:370万~392万円
・U系
1.8Lハイブリッドシステムを搭載するモデルで、トヨタのサブスプリクションサービスであるKINTOの専用モデルとなります。外装はG系に準じていて、インパネはシルバー塗装、シフトノブは艶ありブラックになります。前席にシートヒーターは装備されません。
新車価格:サブスプリクションサービスのみ
・X系
1.8Lハイブリッドシステムを搭載するビジネス仕様で、ボディカラーはホワイトとシルバーの2色を用意。シートはマニュアル調整でファブリック表皮になります。
新車価格:275万~297万円
・Z系
PHEVモデルはZ系のみの展開で、装備もハイブリッドのZ系に準じます。旧型のPHEVとHEVは異なるデザインでしたが、新型はほぼ同じ。ですが、ホイールデザインはHEVとは異なり、フロントのロアグリルが金属調シルバー装飾に、リアコンビネーションランプがグレースモークになるなどの差別化が図られています。駆動方式はFFのみの設定になります。
新車価格:469万円
【サイズ・外装】新型プリウスは先進性を感じさせるデザインを採用
5代目プリウスのボディサイズは全長4600×全幅1780×全高1430mm。旧型より全長が25mm、全幅が20mmとわずかに大きくなっています。
ただ、見た目の印象は大きく変わりました。
プリウスの伝統であるモノフォルムシルエット(トライアングルシルエット)を継承しながらも、より低重心下され、走りの良さを予感させるスタイルになりました。なにより驚くのはフロントガラスの傾斜具合。フロントのエンジンフードからAピラーがほぼ一直線につながるスタイルにより空力性能を高めています。一方で、サイドのシルエットは旧型より厚みを感じさせるデザインになりました。
フロントデザインはシグネチャーライトをハンマーヘッドモチーフになり、先進性を全面に打ち出しています。
【内装・荷室・装備】新型プリウスは広い室内空間を実現
5代目プリウスのインテリアは圧迫感を極力廃し、広々とした空間に仕上がっています。メーターは旧型まで採用されていたセンターメーターから、ステアリング奥に配置されるタイプになりました。
インパネ内にはイルミネーション通知システムをトヨタ初採用。これは普段はアンビエントライトとして室内をムーディーに演出していますが、Toyota Safety Senseが回避対象物を検知するとまずイルミネーションが点滅してドライバーに注意喚起するシステムです。
荷室の床面を可能な限り下げたことで、後席を使用した状態で410Lという十分な容量を確保。スーツケースを2つ積めるスペースが用意されます。バックドアがガバっと開くため荷物の出し入れもしやすくなっています。ただ、リアガラスが寝ているので高さのある荷物は積みにくいかもしれません。
先進安全装備は最新のToyota Safety Senseを搭載。後方のミリ波レーダーで後続車を検知し、接近してきたときにドライバーに知らせる「後方車両接近告知」や、後方車両が非常に接近した場合に警察もしくはヘルプネットへの接続を提案するとともに、ドライブレコーダーが付いている場合は状況を自動録画して専用の記録領域へデータを保存する「周辺車両接近時サポート(録画機能・通報提案機能)」などが搭載されました。
PHEVにはバッテリーにためた電力を外部に給電できる機能が搭載されます。そしてルーフにソーラーパネルを設置し、1年間でEV走行1250km分に相当する電力を発電するシステムをメーカーオプションで選ぶこともできます。
【中古車状況】新型プリウスの流通量はまだわずかでプレミア相場になっている
現行型プリウスの中古車は、現時点で30台ほどしか流通していません。これはまだ発売して間もないこと、新車の納期のめどが立たない状況になっていることなどが原因です。PHEVは3月15日から発売開始になったため、現状では中古車が流通していません。
HEVモデルの中古車はGがFFのみ7台流通していて、価格帯は総額390万~450万円、ZがFFとE-Fourを合わせて20台ほど流通していて、総額480万~550万円でした。新車が手に入りづらいこともあり、ビジネスモデルのXも含めてかなりのプレミア相場になっている状態です。
もちろん流通しているのは登録済み未使用車になりますが、今すぐに中古車を買うのは中古車を買うメリットとしては新車の納車を待つ時間をお金(プレミア相場分)で短縮するということになります。
▼検索条件
トヨタ プリウス(5代目・現行型)× 全国※記事内の情報は2023年3月12日時点のものです。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL