スカイライン ▲スカイラインの中でも人気モデルのハコスカこと3代目スカイライン。モデル概要や現在の中古車事情をチェックします!

国産旧車の中でも圧倒的知名度を誇る1台

ここ数年、高い人気を維持し続けている国産旧車たち。その中でも圧倒的な人気と知名度を誇るのが、「ハコスカ」ではないでしょうか?

ハコスカとは、日産 スカイラインの3代目モデルの通称であり、「箱型のスカイライン」の略。ただ現役当時からそう呼ばれていたわけではなく、4代目スカイラインが登場した後に(4代目モデルに対して)角ばった旧モデルと区別するために呼ばれるようになったのが始まりといわれています。

そんなハコスカが高い人気を誇る理由のひとつとして、かの有名な“GT-R”モデルが初めて設定されたスカイラインであるということが挙げられるでしょう。そのためスポーティな印象が強く、レースでの伝説的な活躍も含めていまだに高い人気を誇っていると言えるのです。

そんな大人気モデルの概要を振り返りつつ、現在の中古車事情をのぞいてみましょう。
 

スカイライン

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日産 スカイライン/スカイラインセダン(3代目)×全国
 

モデル概要:初めは実用車だったがモータースポーツを通し伝説のスポーツカーに

スポーティなイメージの強いハコスカではありますが、実は1968年8月のデビュー当初は4ドアセダンと5ドアのステーションワゴン、そしてワゴンのボディを流用したバンという3つのバリエーションしかなく、搭載されるエンジンも1.5Lの直列4気筒のみのどちらかというと実用的なラインナップとなっていました。
 

スカイライン ▲1968年式のセダン、1500デラックス
スカイライン ▲1970年式の1800エステートスポーティワゴン
スカイライン ▲1968年式のバン、1500ツーリングデラックス

しかし登場から2ヵ月後には、直列6気筒の2Lエンジンを搭載する「GT」系グレードを追加。2代目スカイラインにもモデル途中で6気筒仕様が追加されていますが、ハコスカは当初から6気筒モデルを搭載する前提で開発されていたことがうかがえます。
 

スカイライン ▲1970年式のセダン、2000GT

この6気筒モデルは2気筒分伸びたエンジンを搭載するためにフロントノーズが延長されていましたが、あまりに6気筒モデルが主流になりすぎたため、先にデビューしていた4気筒モデルの方が「ショートノーズ」と呼ばれる逆転現象が巻き起こっているのはご愛嬌。

そして同年に開催された第15回東京モーターショーにはレース直系エンジンをベースに開発されたS20型エンジンを搭載した「スカイラインGTレーシング仕様」を参考出品。これが言わずと知れたGT-Rの原型となり、翌69年2月にスカイラインGT-Rが誕生することになったのです。
 

スカイライン ▲160psを発生させるS20型エンジン

なお、当時のハコスカにはまだ2ドアモデルが設定されていなかったため、GT-Rももちろん4ドアセダンがベース。そのためGT-Rの本質はセダンであると考える往年のファンも少なくないとか。

このレース直系のS20型エンジンは、プロトタイプレーシングカーのR380に搭載されていたものをデチューンしたものといわれており、当時としては異例の1気筒当たり4バルブをもつDOHCエンジンで、まさにレーシングスペックと言えるもの。
 

スカイライン ▲レースマシンのR380とGT-R

日常使用での使い勝手も考慮してノーマルでは160psに抑えられていましたが、少し手を加えるだけで200ps級の出力をマークしたといわれるところはさすがレース直系。

それだけのポテンシャルをもつ車両だけにモータースポーツの世界で大活躍を見せ、諸説あるものの40以上の連勝記録をマークした他、最終的には50勝以上の勝利を収めているのです。
 

スカイライン ▲オートモビルカウンシル2019出展された、GT-R 1969 JAFグランプリ優勝仕様車

その後もハコスカは改良を続け、1969年8月には4気筒エンジンに1.8Lモデルを追加し、1970年10月のマイナーチェンジのタイミングで2ドアハードトップを設定。

1.5Lと1.8Lの4気筒を積むショートノーズ版と直6 2Lを積むロングノーズ版、そしてS20型エンジンを搭載するGT-Rとすべてのエンジンバリエーションを網羅しました。なお、GT-Rはこのタイミングで4ドアは消滅し、2ドアに一本化されています。
 

スカイライン ▲1970年式の2ドアハードトップの2000GT-R(KPGC10型)
 

【中古車情報】掲載台数は比較的豊富! 一方価格はレジェンド級

もはや走る歴史と言っても過言ではないほどの存在となったハコスカ。それだけに中古車市場では価格の高騰が続いています。

掲載台数は60台ほどと、年式を考えれば台数は豊富とも言えますが、最も安いものでも300万円台中盤。ただこの車両は4気筒モデルとなっており、6気筒モデルとなると最も安いものでも600万円弱~というのが現状です。

人気の高いクーペモデルになると900万円台がスタートという価格帯となっており、レストア済のものでは1500万円前後も珍しくない状態となっており、気軽に手を出せるレベルではないというのが正直なところ。

GT-Rについてはほとんどの物件が“応談”となっており、プライスが掲げられているものでも2700万~4000万円弱と、すでにスーパーカーの領域に突入しています。

また、掲載されている物件のほぼすべてがGT-Rを含む6気筒エンジン搭載モデルとなっており、4気筒モデルやバン、ワゴンといったモデルはかなりレア。こちらのモデルを狙う場合は6気筒モデルよりも少ない予算で狙えそうな反面、かなり根気強く探す覚悟が必要と言えるでしょう。
 

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日産 スカイライン/スカイラインセダン(3代目)×全国

※記事内の情報は2023年2月22日時点のものです

文/小鮒康一 写真/日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。