A5 ▲アウディ A4の4ドアおよび2ドアクーペ版である現行型アウディ A5スポーツバック/A5。その流麗さゆえに「欲しい!」と思っている人は多いでしょうが、問題は「ぶっちゃけ高い」ということ。でも中古車であれば、現行型であっても総額300万円から狙えること、ご存じでしたか?

前期型なら総額300万円から。後期型でも600万円台!

ミッドサイズセダンであるアウディ A4と基本設計を共有しつつ、流麗なクーペスタイルに仕立てられたアウディ A5スポーツバック(4ドアクーペ)およびA5クーペ(2ドアクーペ。カーセンサーnetでの表記は「A5」)。

その現行型は当然ながら大いに魅力的ですが、難点(?)は、さすがはアウディの現行モデルだけあって「決して安くはない」ということ。具体的には、新車で買うとなると、一番安いやつでも車両本体だけで639万円はします。

ということで「……欲しいけど、ちょっと難しいかな?」と思う場合が多いのですが、同じ現行型アウディ A5スポーツバック/A5であっても中古車であれば、前期型なら総額300万円から、後期型では総額600万円台から、なかなか好条件な1台が狙えてしまうのです。

そうなるともうがぜん注目してみたくなるため、「新車ではなく中古の現行型アウディ A5スポーツバック/A5」についての詳細を、あらためてチェックしてみることにいたしましょう。

なお現行型A5クーペは中古車の流通量がかなり少ないため、本稿では流通量豊富な4ドアクーペである「A5スポーツバック」を中心にチェックいたします。
 

A5▲現行型アウディ A5スポーツバックの中古車について、もろもろ検討してみましょう!

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アウディ A5スポーツバック(現行型)

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アウディ A5(現行型)
 

ボディサイズ:国産車でいうとレクサス RCとだいたい同じぐらい

A5▲こちらが現行型アウディ A5スポーツバックの前期型
A5▲全長4750mの伸びやかなフォルム。段差なしで降りていくリア部分のラインも美しい

現行型アウディ A5スポーツバックのボディサイズは前期型の場合、全長:4750mm × 全幅:1845mm × 全高:1390mm。これはレクサスの4ドアクーペである「RC」とおおむね似たような数値です。

エクステリアデザインは、先代以上にワイドなシングルフレームグリルとシャープなヘッドランプが特徴。パワードームを備えたボンネットや、フロントフェンダーとドアをつなぐように配置されたクロームのエレメントなどが、基本構造を同じくするA4セダン以上にスポーティな印象を強めています。
 

A5▲全幅1845mmということで、狭い道での取り回しがラクな車ではないが、その分だけ「踏ん張り感のあるスタンス」とでもいうべきフォルムになっている

流れるように光るウインカー「ダイナミックターンインジケーター」は、リアは全モデルに標準搭載され、フロントは「マトリクスLEDヘッドライト装着車」に搭載されました。なおA5スポーツバックの後席は3人掛けで、乗車定員は従来型の4人から5人に増加しています。

2020年12月のマイナーチェンジでは、ボディサイズはほぼ変更なしでしたが、全グレードが「ハニカムメッシュグリル」に変更され、往年の「スポーツクワトロ」をモチーフとするボンネットスリットやボディ一体型サイドスカートの採用などにより、さらにスポーティな雰囲気に変わりました。

なお、クーペのA5も同時期にマイナーチェンジが行われています。
 

A5▲グレードやパッケージオプションによって細かな違いはあるが、現行型アウディ A5スポーツバック前期型の運転席まわりはおおむねこのような世界観。とにかくクールでシュッとしている
A5▲こちらは2021年1月以降の後期型。フロントグリルがハニカム構造のデザインとなり、ボンネットやサイドスカートもより迫力のある造形に変わった
A5▲こちらは3ドアのA5。ボディサイズはA5スポーツバックと若干異なるもののほぼ同サイズ
 

パワーユニット:前期型は2Lガソリンターボが2種類。後期型からディーゼルターボを追加

2017年4月から2020年12月までの前期型に搭載されたパワーユニットは、下記の2種類です。

●FF車に搭載:最高出力190psの2L 直4直噴ターボ
●4WD車に搭載:最高出力252psの2L 直4直噴ターボ

同じ2L 直4直噴ターボではありますが、FFの2.0 TFSIおよび2.0 TFSI スポーツ用と、4WDである2.0 TFSIクワトロ スポーツ用とでは出力が異なります。トランスミッションは、いずれもダブルクラッチ式ATである「7速Sトロニック」です。

2021年1月からの後期型では、パワーユニットも大幅に刷新されました。

前期型のFF車に搭載された低出力の2Lガソリンターボは廃止され、代わりに2種類のディーゼルターボエンジンを採用。そしてクワトロ(4WD車)に搭載される高出力版の2Lガソリンターボエンジンは、さらに強力なものとなりました。

また、マイルドハイブリッド機構が加わったのも、後期型パワーユニットの特徴です。整理すると、下記のとおりになります。

●35 TDIに搭載:最高出力163ps/最大トルク380N・mのマイルドハイブリッド機構付き2L 直4ディーゼルターボ

●40 TDIに搭載:最高出力190ps/最大トルク400N・mの2L 直4ディーゼルターボ(2021年10月からはマイルドハイブリッド機構付きとなり、最高出力204psに)

●45 TFSIに搭載:最高出力249psのマイルドハイブリッド機構付き2L 直4ガソリンターボ
 

A5▲FFのガソリンターボでも走行性能は高い

走行パフォーマンスに関しては前期型のFFガソリンターボ車、つまり出力をやや抑えた2L 直4ガソリンターボエンジンを搭載した2.0 TFSIでもまずまず十分。ドライバーの意図どおりにリニアに盛り上がるパワーおよびトルクと、電光石火の変速となる7速Sトロニックの恩恵により、馬鹿っ速くはないのですが、普通に気持ち良い走りが堪能できます。

もちろん、高出力版である2.0 TFSI クワトロ スポーツであれば、さらにパワフルでさらに気持ちの良い走りとなるのは確かですが。

そして後期型のディーゼルターボエンジン搭載グレードを選べば、これまたさらにパワフル&トルクフルで、なおかつフィーリング的にも上々であることは言うまでもありません。

なお、3ドアのA5は4WDのみラインナップになっています。
 

 

先進機能・安全装備:前期型の最廉価グレード以外は普通に充実

先進安全装備の類は、さすがはプレミアムブランドのクーペモデルですから、前期型の時点から普通に充実しています。

いわゆる自動ブレーキである「アウディプレゼンス シティ」や、乗員の車外放出などを防ぐ「アウディプレゼンス ベーシック」、「アウディパーキングシステム」などは全車標準装備。

そしてもっとベーシックなグレードである2.0 TFSI以外では「渋滞追従支援機能付きアダプティブクルーズコントロール」と「アクティブレーンアシスト」も標準装備です。

2021年1月以降の後期型では、後期型の最ベーシックグレードである「35 TDI」でもアダプティブクルーズコントロール等々は標準装備となっています。
 

A5▲ロービーム用LED ライトと、ひとつのユニットに多数のLED が組み込まれたハイビーム用ヘッドライトが組み合わされた「マトリクスLED ヘッドライト」の説明図版。高速道路などで対向車や先行車を検知すると、その部分だけハイビームのLED を消灯または減光させることで、周囲に迷惑をかけることなく常時ハイビームを利用することが可能
 

中古車のオススメ1:安く買うなら前期型2.0 TFSI スポーツ

現行型アウディ A5スポーツバックのまずまず好条件な中古車を「とにかくなるべく安く買いたい!」と思うのであれば、狙うべきはFFの上級グレード「2.0 TFSI スポーツ」またはそのSラインパッケージ装着車です。

これの走行距離3万km台から4万km台の物件を、支払総額300万~370万円ぐらいで狙うというイメージになるでしょう。
 

A5▲最高出力190psの2L 直4直噴ガソリンターボエンジンを搭載するFF車、2.0 TFSI スポーツ

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アウディ A5スポーツバック(現行型) × 「2.0 TFSI スポーツ」 × 「2.0 TFSI スポーツ Sラインパッケージ」

もっともベーシックな「2.0 TFSI」であればもう少しお安くイケるのですが、2.0 TFSIの中古車はきわめて少なく、またアダプティブクルーズコントロールもオプション扱いだったため、付いていない個体もあるということで、現実的な選択肢からは外れることになります。

上級グレードである2.0 TFSI スポーツの主な特徴は下記のとおりです。

●アダプティブクルーズコントロールとアクティブレーンアシストが標準
●ホイール径が17インチではなく18インチ
●スポーツバンパー付き
●スポーツサスペンション付き
●スポーツシートが標準
●エアコンは3ゾーンオートマチック
●その他

また、人気のパッケージオプションである「Sラインパッケージ」は内外装の意匠がさらにスポーティなものとなり、「マトリクスLEDヘッドライト」も標準装備となります。
 

 

中古車のオススメ2:走りの質にこだわるなら2.0 TFSI クワトロ スポーツ

出力を抑えた2L 直4ターボエンジンを搭載する前期型2.0 TFSI スポーツの走りも悪くはないのですが、「よりダイナミックで気持ちの良い走りを堪能したい!」と考えるのであれば、選ぶべきは前期型のフルタイム4WDモデル「2.0 TFSI クワトロ スポーツ」またはそのSラインパッケージ装着車です。

これの走行距離2万km台から4万km台の物件を、支払総額360万~430万円ぐらいで探すというのが、この場合の予算イメージとなります。
 

A5▲同じ2Lターボでも、4WDの2.0 TFSI クワトロ スポーツは最高出力252psのバージョンが搭載される

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アウディ A5スポーツバック(現行型) × 「2.0 TFSI クワトロ スポーツ」 × 「2.0 TFSI クワトロ スポーツ Sラインパッケージ」

最高出力252psまで出るようにセッティングされた2L 直4ターボエンジンは、さすがに低出力版よりもパワフルなだけでなく、吹け上がりのリニア感もけっこう異なります。

また、盤石のクワトロシステム(フルタイム4WD機構)も、高速道路や山岳セクションを快走したいときにはかなりの威力を発揮するもの。中古車価格はFF車よりも50万円ほど高くなりますが、それだけの価値はあると考えられます。

装備内容は「2.0 TFSI クワトロ スポーツ」と同様ですので、アダプティブクルーズコントロールなどを含めて普通に充実しています。またSラインパッケージの内容も、前章で記したものと同一です。
 

 

中古車のオススメ3:新車とほぼ同じ「後期型」の狙い目は総額600万円ちょいのゾーン

「新車で買うのと変わらないデザインと機能を満喫したい!」という場合は、当然ですが2021年1月13日以降の「後期型」を選ぶことになります。

後期型の中古車流通量は2022年12月下旬現在、全国で約30台と若干少なめですが、35 TDI系と40 TDI系のディーゼルターボ車が約20台、ガソリンターボの45 TFSI クワトロ Sラインが10台ほど、総額510万~720万円付近のレンジで流通しています。

新車の車両本体価格が639万円(35 TDI アドバンスト)から749万円(45 TFSI クワトロ Sライン)ですので、総額600万~630万円ぐらいのレンジでオプション装備が充実している物件が見つかったならば、それは「新車を買うよりかなりお買い得」だと評していいでしょう。
 

A5▲オプション装備が充実している後期型の低走行物件であれば、総額600万円ちょいであっても、新車を買うよりは断然お安い買い物となるはず

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アウディ A5スポーツバック(現行型) × 後期型

いずれにせよ現行型アウディ A5スポーツバックは、前期型であっても大変に美しくラグジュアリーで、それでいてスポーティに駆け抜けることもできるナイスな4ドアクーペです。

ぜひこの機会に、新車だけではなく「中古の現行型A5スポーツバック」にも注目してみることをオススメいたします。

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アウディ A5スポーツバック(現行型)

ちなみに3ドアのA5の中古車平均価格は約402万円と、A5スポーツバックよりもややお安めですが、前述の通り掲載台数は約20台とかなり少数。

お目当ての物件を見つけるためには、細かく物件をチェックすることをオススメします。
 

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アウディ A5(現行型)
文/伊達軍曹 写真/アウディ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。