Z4 ▲新車価格の度重なる値上げが行われている現行型BMW Z4。中古車の流通量も少なかったわけですが、ここへきて全国で100台レベルに達し、その価格もある程度こなれてきました。ということで、今こそ注目してみるべき「中古の現行型BMW Z4」について考えてみましょう!

新車価格は700万円を超えてしまったが、低走行中古車なら約500万円から!

イカしたオープン2シータースポーツであるBMW Z4。その中でも2019年3月に発売された3代目となる現行型は特にイカしてるように思えます。

がしかし、その新車価格は度重なる価格改定により、今や相当なモノになってしまいました。

最量販グレードである「sドライブ 20i Mスポーツ」を例にとると、デビュー時の新車本体価格は665万円だったのですが、その後5回にわたる値上げが行われたことで、気がついてみたら直近の新車本体価格は713万円に。

さすがにちょっと二の足を踏んでしまうわけですが、でも大丈夫。ここ最近、以前はかなり数が少なかった「現行型Z4の中古車」が、ごく普通に出回るようになってきました。

具体的には2022年10月下旬現在、約100台の中古車が流通しており、そのほとんどは走行距離2万km台以下。それでいて中古車本体価格は、新車価格より断然お安い「500万円前後から」という状況なのです。

本稿では、そんなニュアンスで「最初の買い時」を迎えた現行型Z4の中古車事情について、もろもろ考えてみたいと思います。
 

Z4▲エクステリアだけでなく、こういったインテリアの細部までイカしているのが現行型BMW Z4の魅力

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モデル概要・走行性能:3L 直6ターボのM40iは確かにすごいが、2L 直4ターボの軽快さも◎

まずは現行型Z4の成り立ちについて、ざっとおさらいしておきましょう。

通算3代目のZ4となる現行型が日本へ上陸したのは2019年3月。ボディサイズは全長:4335mm × 全幅:1865mm × 全高:1305mmで、先代よりひと回り大きくなりましたが、ホイールベースは25mm短縮されています。

そして先代が金属製のリトラクタブルハードトップを採用していたのに対し、現行型は初代同様の伝統的なソフトトップに回帰。走行中でも50km/hまでなら、約10秒でオープン/クローズが可能です。
 

Z4▲こちらが現行型BMW Z4。写真はトップグレードの「M40i」
Z4▲スリーサイズは旧型よりひと回り大きくなったが、ホイールベースは少々短縮され、従来型以上の「踏ん張り」と「俊敏さ」が感じられるフォルムおよびコーナリング特性に変わっている
Z4▲先代では電動開閉式のメタルトップが採用されたが、現行型はクラシカルなソフトトップに回帰。クラシカルといっても、もちろん電動式

日本仕様に搭載されたパワーユニットは最高出力197psの2L 直4ターボと、Mパフォーマンスと呼ばれる同340psの3L 直6ターボの2種類。両エンジンともトランスミッションは8速ATです。

インテリアはフルデジタルメーターと、ダッシュボード上部に10.25インチのコントロールディスプレイを配置。AI技術の活用により、音声会話だけで車両の操作と情報へのアクセスが可能となる最新の機能も備えています。

乗車定員は従来型までと同様の2名です。
 

Z4▲フルデジタル化されたメーターを採用する現行型Z4のコックピット。写真は英国仕様だが、日本仕様も全車右ハンドル

日本に当初導入されたグレードは「sドライブ 20i」のスタンダード(標準モデル)と、同スポーツおよび同Mスポーツ、そして前述の強烈な3L 直6ターボを積む「M40i」の4種類。ただし、直近は「sドライブ 20i Mスポーツ」と「M40i」の2グレードに整理されています。

「sドライブ 20i Mスポーツ」はMスポーツサスペンションに加え、オプションで電子制御ダンパーの「アダプティブMスポーツサスペンション」を装備可能。

「M40i」はアダプティブMスポーツサスペンションが標準装備となっており、コーナリング後の加速性や安定性を向上させる「Mスポーツディファレンシャル」も標準搭載されています。

低速走行時と高速走行時で前輪の切れ角やアシスト量が変化する「バリアブルスポーツステアリング」は、全グレード標準装備です。

走行性能に関しては、強力な3L 直6ターボを積む「M40i」は当然ながら鬼のように速く、コーナリング時の安定感もちょっと度肝を抜かれるほどです。

しかし、2L 直4ターボとなる「sドライブ20i Mスポーツ」も、その197psという最高出力は車両重量1490kgに対して十分以上。そして直4エンジンゆえに鼻先が軽いこともあって、日常使いをメインに考えるのであれば「むしろM40iよりも軽快で好ましい」とも言えます。

このあたりは人それぞれの好みや使い方次第ですので、「絶対にこう!」という正解はありませんし、どちらをお選びになるのも(当然ですが)ご自由です。しかし、一概に「できればM40iを選びたいところ」とは言えないことは、いちおうご承知おきください。
 

Z4▲写真は超強力な3L 直6ターボエンジンを搭載する「M40i」。かなり魅力的な存在ではあるが、最高出力197psの2L 直4ターボエンジンを積む「sドライブ 20i」でも“力不足”を感じるシーンはほとんどないはず
 

中古車のオススメ: 車両価格500万~570万円付近のオプション充実な「sドライブ 20i Mスポーツ」

そんなこんなの現行型BMW Z4の中古車を「なるべく安く狙いたい」という場合の選択肢は、やはり2L直4ターボの「sドライブ 20i Mスポーツ」になるでしょう。
 

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Z4▲こちらが「sドライブ 20i Mスポーツ」。写真は英国仕様

導入初期に存在した「sドライブ 20i」の「スタンダード(標準モデル)」と「スポーツ」ならさらにお安く狙えるのですが、この2グレードは流通量が極端に少ないため、現実的な選択肢にはなり得ません。

「sドライブ 20i Mスポーツ」の中古車本体価格はおおむね490万~640万円といったところで、当然ながら導入初年度にあたる2019年式の方が、最近の年式である2021年式よりも安いという傾向はあります。

が、「sドライブ 20i Mスポーツ」の「年式による価格差」はさほど大きくはなく、それ以上に「付いているオプション装備の充実度」による価格差の方がデカい模様です。

そのため、なるべく安価に、しかしなるべく満足度の高い「sドライブ 20i Mスポーツ」を狙いたいという場合は、中古車本体価格500万~570万円ぐらいのゾーンを目安としながら、その中で、内外装コンディションとパッケージオプションの内容がなるべく良い個体を、年式にはこだわらずに探していく――という手法が有効になるでしょう。

「イノベーション・パッケージ」というパッケージオプションが付いている中古車にはアダプティブLEDヘッドライトやヘッドアップディスプレイなどが装着されており、「ファスト・トラック・パッケージ」付きの中古車には、アダプティブMサスペンションとMスポーツ・ブレーキ、19インチの専用ダブルスポークアルミホイールが付いています。この2つのパッケージオプションに加えて、もしも「Harman/Kardonサラウンド・サウンド・システム」も付いていれば、言うことなしです。

気になる方は、装備の有無を細かく見ていく、またはフリーワード検索で「パッケージ」や「PKG」で絞ってみると良いでしょう。

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BMW Z4(現行型) × 「sドライブ 20i Mスポーツ」

一般的には「sドライブ 20i Mスポーツ」で十分以上と思われますが、「やはり自分は怒涛の動力性能を追求したい!」という方へのオススメは、当然ですが「Mパフォーマンス」の3L直6ターボエンジンを搭載する「M40i」になります。
 

Z4▲怒涛のパフォーマンスが味わえるM40i。注目の価格帯は「600万円台」となる

こちらの中古車も、「sドライブ 20i Mスポーツ」ほどではないですがまあまあの数が流通していますので、近隣の販売店やディーラーで普通に見つけることができるでしょう。

グレード全体の中古車本体価格は600万~870万円といったところですが、600万~660万円付近でも、Harman/Kardonサラウンド・サウンド・システムが付いた走行距離1万km台から2万km台の2019~2020年式を見つけることができます。

このあたりの物件が、「M40i」のさしあたっての狙い目になります。

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BMW Z4(現行型) × 「M40i」

いずれにせよ現行型BMW Z4の中古車は今、世界情勢の影響で値上げを繰り返している新車に対しての、けっこうなアドバンテージを有している選択肢です。

現行型BMW Z4にご興味のある方は、ぜひ“中古車”もチェックしてみることをオススメいたします。
 

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文/伊達軍曹 写真/BMW
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。