Aクラス ▲円安や様々な世界情勢の影響を受け、4年間で新車価格が100万円以上値上がりしてしまったAクラス。でも「ほぼ新車みたいなもの」と言えなくもない走行距離1万km台までの中古車なら、4年前の新車価格と同じぐらいか、もしくはそれ以上にお安い予算でイケるのです!

新車は100万円以上値上がりし、しかも納期は約8カ月!

日本の道で扱いやすいサイズに、最新のメルセデス品質と哲学、そして最新のデザインが詰まっている現行型メルセデス・ベンツ Aクラス。「……欲しい!」と思うわけですが、現在、新車の納期は様々な事情により「おおむね8ヵ月待ち」となっているようです。

そして新車は「価格」も大幅に上がってしまいました。

2018年のデビュー直後は、A180という最廉価グレードの新車価格は322万円とまあまあお手頃だったのですが、直近のA180新車価格は、なんと427万円まで上がっています。

車両427万円にオプション装備代と諸費用を合わせた支払総額は、まぁ400万円台の後半ぐらいにはなってしまいますので、「気軽に買える」とは決して言えない状況でしょう。

しかし、だからといって購入をあきらめる必要はまったくありません。

「2018~2019年式付近の中古車でも良し」と考えるのであれば、支払総額330万円前後、つまり当初の新車本体価格とだいたい同じぐらいの予算で、現行型Aクラスを購入できるからです。

「でも3~4年落ちの中古車は走行距離がけっこう延びてるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。「走行距離1万km台までの中古車」を、この総額で狙えるんです。

「とはいえ3~4年もたってると、デザインとか装備の内容とかが大幅に変わっちゃってるんじゃない?」との声もありそうですが、それもありません。いやさすがにちょっとは変わってますが、決して「大幅」には変わっていないのです。

コンディションもデザインも装備内容も新車とくらべてさほど遜色がなく、なおかつ8ヵ月待ちではなく「即納」も可能な、現行型Aクラスの中古車。その魅力と選び方について次章以降、じっくり検討してみることにしましょう。
 

Aクラス▲こちらが現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの初期年式

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メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型) × 全国
 

モデル概要:スポーティかつエモーショナルな5ドアハッチバック

まずは現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの概要をざっくりとおさらいしておきます。

通算4代目となる現行型Aクラスが日本で発売されたのは2018年10月のこと。

メルセデスの最新デザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」によって無駄なラインやエッジが減らされたエクステリアは、先代以上にスポーティかつエモーショナルな雰囲気に。

水平基調の上下2分割式ダッシュボードを採用したインテリアも、メーター部のひさしを廃してワイドスクリーンを配置し、タービンを模したエアベントを採用するなど、斬新でクールなデザインに仕上がっています。

さらに室内空間は、先代と比べて全長が120mm、ホイールベースは30mm延ばされた恩恵により後席スペースが拡大。ラゲージスペースも先代比で29L増の370Lになるなど、空間効率も大幅にしています。

また、「ハイ、メルセデス」と声をかけると起動する対話型インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」が採用されたことも2018年当時、大きな話題になりました。
 

Aクラス▲他クラスのメルセデスと同様の最新デザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」に基づいてデザインされたエクステリア。先代以上にシュッとしていて、どことなく“色気”もある
Aクラス▲グレードやパッケージオプションによって細部は異なるが、現行型Aクラスの運転席まわりはおおむねこのような世界観。エアコン吹き出し口は「タービン」の造形を模している
 

導入当初のパワーユニットは最高出力136psの1.3L 直列4気筒ガソリンターボで、トランスミッションは7速DCT。

発売翌年の2019年3月に最高出力150ps/最大トルク320N・mの2L 直列4気筒ディーゼルターボを追加し、その他「メルセデスAMG A35 4マチック」などのやや特殊なスポーツモデルには、最高出力300psを超えるハイチューンな2L 直列4気筒ターボが与えられました。

運転支援システムも当然ながら充実しており、衝突回避および被害軽減ブレーキシステム「アクティブブレーキアシスト」を標準装備するとともに、「レーダーセーフティパッケージ」をオプション設定。このレーダーセーフティパッケージは2020年9月以降、全車標準装備に変わっています。
 

 

デザイン:年式による違いはほとんどない

ここからは、「中古車で買える現行型Aクラスは、新車と比べてさほどの遜色はない」という事実について、具体的にご説明してまいります。まずは内外装デザインから。

これはもう「2018~2019年式ぐらいの世代も直近の新車も、デザインはほとんど同じ」というひと言で片付いてしまいます。

正確には、2020年9月にホイールのデザインを変えていますし、もしかしたら、筆者が把握できていない「超絶細かなデザイン変更」はあるかもしれません。

後者がもしもあったならお詫びいたしますが、2020年8月までのホイールデザインもそう悪くないと思えますし、そもそも「AMGライン」というパッケージオプションに含まれる「18インチAMG 5ツインスポークアルミホイール」を履いている中古車も多いものです。

そのため、ここはひとつ「2018~2019年式ぐらいの世代でもデザイン上は遜色なし!」と言い切ってしまいたいと思います。
 

Aクラス▲2018年8月の登場時から今に至るまで、大きなデザイン変更はまったくされていない現行型Aクラスのエクステリア。写真は「AMGライン」装着車
 

走行性能:「エンジンの追加」はあるが「機能の変更」は特になし

走行性能に関しても、「2018~2019年式ぐらいの世代も直近の新車も、走りの質感や諸性能はほぼ同じ」と言っていいでしょう。2018年8月のデビュー以降、ディーゼルターボやプラグインハイブリッド、あるいはAMGモデルの追加は行っていますが、「セッティングや機構などの変更」が行われたという正式なアナウンスはありません。

もちろん車というのは(特に輸入車は)、対外的なアナウンスなしで細かいところをこっそり改良したりもしますので、現行型Aクラスにおいても「それ」が行われた可能性はあります。というか、おそらくやっているだろうと個人的には推測します。

しかし、公的には「2018~2019年式ぐらいの世代も直近の新車も走りは同じ」ということになっていますし、違いがあったとしても微差に過ぎないはず。それゆえ、ここについてもさほど神経質になる必要はないでしょう。
 

Aクラス▲1.3L直4のガソリンターボエンジンを搭載するグレードの走りは、きわめてシャープというかスポーティな方向性
 

先進機能・安全装備:初期年式でも多くは「レーダーセーフティパッケージ」装着済み

いわゆる先進安全装備については、2018~2019年式ぐらいの世代と直近の新車ではけっこうな違いがあります。

前述したとおり、様々な運転支援システムがセットになっている「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備となったのは2020年9月のこと。それ以前のA180/A180スタイル/A200dでは、約25万円のオプション装備扱いだったのです。

しかしここに関しても、「実際はあまり差がない」と言うこともできます。

なぜならば、現在中古車として流通している2018~2019年式 A180/A180スタイル/A200dには、新車時のオプション装備だったレーダーセーフティパッケージが装着済みである場合がかなり多いからです。

例えば2022年9月上旬現在、2018~2019年式のA180スタイルは計64台が流通していますが、筆者が数えた限りでは、そのうち47台がレーダーセーフティパッケージ付き。装着率は実に7割を超えています。

そうなると「レーダーセーフティパッケージ非装着車」を探す方が逆に難しいということで(?)、「2018~2019年式ぐらいの世代と直近の新車では、先進安全装備に差があることは確かだが、実質的な差はあまりない」と言うことができるでしょう。
 

Aクラス▲レーダーセーフティパッケージに含まれる「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付き)」の説明図版。レーダーセンサーにより先行車を認識し、速度に応じた車間距離が維持される
 

中古車のオススメ:A180系またはA200dのレーダーセーフティパッケージ付き

以上のとおり、2018~2019年式ぐらいの世代であってもぜんぜん十分であることがわかったお次は、「具体的なオススメ」について考えてみましょう。

「なるべく手頃な予算で、しかしコンディションの良い現行型Aクラスが欲しい」と考えるのであれば、「2018~2019年式A180」の走行距離1万km台までの物件を、総額310万~350万円のレンジで探してみることをオススメします。

そして、できれば「レーダーセーフティパッケージ」が付いている物件を選びたいところです。
 

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メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型) × 走行距離2万km以下 × A180
Aクラス▲最高出力136psの1.3L直4ガソリンターボエンジンを搭載するA180(※写真は2020年9月以降の欧州仕様)
 

ひとつ上の売れ筋グレードである「A180スタイル」とA180の主な違いは以下のとおりです。

●パークトロニック(前後バンパー付近の障害物を感知して、接近状況をインジケーターとアラーム音で知らせてくれる装置)が付かない。
●アクティブパーキングアシスト(駐車支援システム)も付かない。
●人気のパッケージオプション「AMGライン(空力パーツとホイール、マルチビームLED等々がセットになったもの)」が付かない。
●パワーシートとシートヒーターが付かない
●キーレスゴーが付かない
●その他こまごま……

上記の装備類について「どっちでもいい」と考えるならば、べーシックなA180(のレーダーセーフティパッケージ付き)でも十分かと思います。

しかし「……物足りない!」と感じるのであれば、ひとつ上のグレードだった「A180スタイル」を探してみてください。その場合、想定価格レンジは総額350万~390万円まで上昇しますが、走行距離1万km台までのレーダーセーフティパッケージ付きが普通に探せるはずです。

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メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型) × 走行距離2万km以下 × A180 スタイル

もしも総額380万~430万円ほどの予算まで見込めるのであれば、オススメはトルクフルな2Lディーゼルターボエンジンを搭載する「A200d」ということになるでしょう。

3Lエンジン並みのビッグトルクと8速DCTによる「余裕たっぷりの大人な走り」は、1.3Lのガソリンダウンサイジングターボとはまた別種の魅力にあふれています。
 

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メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型) × 走行距離2万km以下 × A200d
Aクラス▲320N・mというなかなかの最大トルクを発生する2L 直4ディーゼルターボエンジンを搭載するA200d(※写真は欧州仕様。ホイール等は日本仕様と異なります)

総額380万~430万円という予算は決して「安い」とは言えないかもしれませんが、A200dを新車で買うとなると車体だけで478万円、総額は500万円以上になります。そのため、まぁ「安い!」と言えるのではないかと思います。

A200dに関しても、この予算レンジで走行距離1万km台までの物件が狙えるわけですが、流通量が多いのは18インチのAMGホイールを履く「AMGライン装着車」です。

AMGラインが付いているA200dは確かにカッコいいのですが、ディーゼルターボエンジンには、16インチのノーマルホイールの方が合っているような気がしないでもありません。そのため、「素のA200d」もいちおう前向きにチェックしてみることをオススメいたします。

Aクラス▲「激しい車」がお好きなのであれば、写真の「メルセデスAMG A35 4マチック」を探してみるのも悪くないかも

この他、強力な2Lターボエンジンを搭載する「メルセデスAMG A35 4マチック」を総額530万~590万円ぐらいで狙ってみるのも一興です。

そのあたりは各位の趣味やご予算に応じて検討してみてください。

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メルセデスAMG Aクラス(現行型)

いずれにせよ2018~2019年式付近の現行型Aクラスは、直近の新車にほぼほぼ遜色ない魅力と実力を、新車よりも断然お安い予算と、断然早い納期にて堪能できる選択肢です。

この機会にマジでご検討されてみることを、真剣にオススメいたします。
 

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メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型) × 全国
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。