「2シリ」だからって侮らないで! BMW 2シリーズグランクーペは、輸入セダン好きなら一度はチェックすべし!
2022/09/07
実力的には決して“格下”ではない
BMW 2シリーズグランクーペは、日本では2019年10月に予約受注が始まり、翌2020年の4月頃からデリバリーが始まったBMWの4ドアクーペ。
かなりステキな1台ではあるのですが、2シリーズグランクーペは「コンパクト4ドアクーペ」にカテゴライズされているがゆえに、BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ CクラスなどのDセグメントセダンを好む人からは“下”に見られているような気もします。
確かに、メーカー内のヒエラルキー的には「3シリーズのひとつ下」というポジションにいる2シリーズグランクーペではあります。しかし車としての出来やクオリティ、使い勝手などから考える「実際のポジション」的には、決して“格下扱い”されるべき車ではありません。
また、サイズ的にかなり大きくなってしまった最新の3シリーズやCクラスなどと比べれば、その比較的コンパクトなサイズは「むしろ扱いやすくてイイ!」と、高く評価すべきもののようにも思えます。
本稿では、そんなBMW 2シリーズグランクーペの「ぶっちゃけ3シリーズよりお安く狙えるし」という部分も含めつつ、その魅力と特徴、そして中古車の選び方をじっくり考えてまいります。
▼検索条件
BMW 2シリーズグランクーペ(現行型) × 全国ボディサイズ:先々代3シリーズセダンとおおむね同じ寸法
まずはBMW 2シリーズグランクーペのボディサイズについて。
現行型BMW 3シリーズが全長4715mm×全幅1825mm×全高1440mmであるのに対し、現行型BMW 1シリーズのプラットフォームを流用している2シリーズグランクーペのスリーサイズは全長4535mm×全幅1800mm×全高1430mmと、特に全長に関しては「ふた回りほど短い」といったニュアンスです。
これのせいで「格下扱い」されることも多いわけですが、よく考えてみれば2シリーズグランクーペのサイズは先々代の3シリーズセダン(E90)とおおむね同じぐらいであり、その前のE46型3シリーズセダンと比べるなら「むしろひと回り大きい」といえる数字です。
それゆえBMW 2シリーズグランクーペは、いわゆる存在感に欠けるということは特にありませんし、それでいて、かなり大きくなった直近の3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスなどよりは確実に小ぶりであるため、「日本の狭い道でも扱いやすい」という美点が炸裂するわけです。
そして2シリーズグランクーペは、それまでのBMWで一般的だったFRではなく「FF」のプラットフォームを使っています。
ご存じのとおりFF車というのは、後輪に駆動力を伝えるプロペラシャフトが不要になるため、車内のスペースを広く採ることができます。そのため2シリーズ グランクーペは、最新世代の輸入車としては小ぶりであるにもかかわらず、車内はけっこう広かったりします。
もちろん流麗なクーペフォルムを採用していますので、後席の頭上スペースは「超余裕たっぷり!」というほどではありませんが、しかしごく普通に快適に座り続けられるだけのスペースは確保されているのです。
デザイン:「伸びやかさ」は十分。寸詰まり感はない
お次は「デザイン」を見てみましょう。
車両の前端に配置されるキドニーグリルは、最近のBMW各車に共通する「けっこう大型なもの」ですが、決して「バカでかい」というほどのサイズではないため、アンバランスな感じや、無駄にオラついているような感じはありません。
エクステリア全体については、通常、このようなコンパクト系の4ドアクーペまたは4ドアセダンというのは「寸詰まり感」が出てしまい、正直ちょっとカッコ悪かったりもします。
しかし、BMW 2シリーズ グランクーペのフォルムは見てのとおり、寸詰まり感をほとんど感じさせないものに仕上がっています。具体的には、ルーフの後端に優雅な弧を描かせると同時に絶妙にやや尻上がりなプロポーションとしたことで、「伸びやかさ」が感じられるのだと思われます。
またインテリアデザインについても、2シリーズグランクーペはなかなかステキです。
標準の5.1インチ マルチ・ディスプレイ・メーターパネル+8.8インチ コントロール・ディスプレイでも十分イカしてますが、10.25インチのディスプレイを2枚使用するオプションの「BMWライブ・コックピット」装着車であれば、ドライバー前方の視界は超絶クールです。
それに加えて、シート表皮や各部のトリム類もなかなかおしゃれなわけですが、人によっては、6色に変更可能なアンビエントライトが標準装備であるという点にもグッとくるかもしれません。
走行性能:1.5L直3ターボ+FFでも、走りはまさに「BMW水準」
BMW 2シリーズグランクーペが“下”に見られがちな要因としてもっともデカいのは、「走り」に関連する部分でしょう。
2シリーズグランクーペはBMW伝統の「FRレイアウト」ではないことに加え、M235i xDriveを除けばガソリンエンジンは4気筒ですらない「3気筒」の1.5Lダウンサイジングターボを搭載しています(※この他に2Lの直4ディーゼルターボもありますが)。
「そんなんで“BMW”を名乗られてもねぇ……」というのが、守旧派カーマニアの先入観なのかもしれません。しかし結論から申し上げると、1.5Lの直3ターボエンジンを搭載する2シリーズグランクーペの走りは「まさにBMW!」です。
エンジンを始動させても3気筒エンジン特有の「ちょっと嫌な音や振動」は感じられず、低回転域からのトルクの立ち上がりも豊かにしてシャープ。もちろん最高出力140psの1.5Lターボエンジンですから「鬼のように速い!」ということはありませんし、往年のBMW製直6エンジンのような「痛快すぎるほど痛快な回転フィール!」みたいなものもありません。
しかし、出来の良い7速DCTとの連携により、1.5L直3ターボエンジンは十分以上の力感を発揮しますし、それより何より「ハンドリング性能」というかそのフィーリングが、まさにBMWなのです。
常識的な速度で走っている限りは、コーナリング時も狙ったラインを1mmと外さずに駆けぬけることができますし、「FF車だから、コーナリング中にアクセルを踏むと外側に膨らむ」みたいなことも特にはありません。
もちろんプロのレーサーが限界付近の速度で走れば、いろいろと思うところはあるのでしょう。しかし、普通のドライバーが普通の速度で公道を走る限りにおいては、FFうんぬんを意識する機会はまったくないはずです。
ちなみに、普通に走っている分には特にお世話になることもないでしょうが、BMW 2シリーズグランクーペには「ARB」というタイヤスリップコントロールシステムが採用されています。これは、車両がタイヤスリップを感知すると、エンジンコントロールユニットが駆動力を細かく制御してトラクションをコントロールするとともに、トルクベクタリング機能も発揮されるというものです。
先進機能・安全装備:当然ながら普通に充実している
BMW 2シリーズグランクーペは最新世代のプレミアムモデルですので、当然ながら先進機能と安全装備も普通に充実しています。
レーンチェンジウオーニングと後部衝突警告機能、クロストラフィックウオーニング(リア)、アクティブPDC(パーク・ディスタンス・コントロール)、スピードリミット情報表示機能などを備えた「ドライビングアシスト」は、最初期から標準装備(※最廉価グレードである218iグランクーペを除く)。また直前50mの軌跡どおりに後退できるリバースアシスト機能を備えた「パーキングアシスト」も全車標準装備です。
さらにオプションのナビゲーションパッケージ装着車であれば、会話のみで車両の操作などが行える「BMWインテリジェントパーソナルアシスタント」も装備されています。
そして2021年6月からは、それまではオプション扱いだったアダプティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付き)が、全車標準装備に変わっています。
中古車のオススメ:総額290万~350万円の218i プレイまたは総額300万円台後半の218d プレイ
以上のとおり、BMW 2シリーズグランクーペという車はちょうどいいサイズ感の実力派であり、ひとつ上の現行型BMW 3シリーズと比較しても「大幅に劣る」という点は特にないことがおわかりいただけたかと思います。
では、そんな2シリーズグランクーペの中古車をもしも買うとしたら、具体的には「何年式のどれ」を狙えばいいのでしょうか?
「なるべくお安く、でもなるべくいいモノを買いたい」という場合は、2019年10月~2021年5月に生産された初期型の「218i プレイ」を総額290万~350万円までのゾーンで探してみるのがオススメです。この価格帯であっても、ほとんどの物件の走行距離は数千kmから1万km台でしかありません。
218i プレイというのは現在の最廉価グレードですが(※登場時は「218i」というさらに廉価なグレードも存在しました)、さすがはBMWの車だけあって一般的な快適装備の類はほぼすべて標準装備ですので、いわゆる最廉価グレードっぽさは微塵もありません。ごく普通に「ややプレミアムなドイツ車」としての魅力を堪能できるでしょう。そして1.5L直3ターボエンジン+7速DCTがもたらす走りも、前述のとおり何ら不足はありません。
総額290万~350万円の218i プレイは、その大半が2021年6月の一部仕様変更前の世代です。その世代はアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)がまだ標準装備ではなかったため、このゾーンの218i プレイは、オプション装備としてACCを装着した個体と、装着していない個体が混在しています。
ACCは「絶対にないとダメ!」ということもない装備ですが、できればあった方がいいのは間違いないため、可能な限り「ACC付き」にこだわって探してみることをオススメしたいとは思います。
▼検索条件
BMW 2シリーズグランクーペ(現行型) × 総額290万~350万円×2019年10月~2021年5月生産モデル×218i プレイ×全国1.5Lの直3ターボエンジンも悪くないのですが、「しかし自分はやっぱり極太トルクを堪能できるディーゼルターボエンジン搭載グレードが欲しい!」と考える場合には、想定価格レンジを「総額340万~390万円」まで上げれば、走行数千kmから1万km台までの2020~2021年式218d系を見つけることができます。
このゾーンで選べる218dは主に「218d プレイ」または「218d プレイ エディションジョイ+」で、スポーティな内外装とスポーツサス、18インチの専用ホイールを履く「218d Mスポーツ」および「218d Mスポーツ エディションジョイ+」は希少または皆無です。
まぁMスポーツサス+18インチホイールだと乗り心地が少し硬くなりますし、Mスポーツではなくても2シリーズグランクーペのビジュアルは十分スポーティですので、「218d プレイ」または「218d プレイ エディションジョイ+」でぜんぜんOKではないかと思います。
ちなみに「エディションジョイ+」というのは、BMWがディーゼル車やEVなどに2020年5月に設定した「中身は同じだが、価格だけ戦略的に安く設定したグレード」です。
装備内容は通常グレードと同じですし、車両価格が安めだったことを示す「EDTION JOY+」みたいなエンブレムが貼られているわけでもありませんので、どちらを選んでもぜんぜんOKです。
▼検索条件
BMW 2シリーズグランクーペ(現行型) × 総額350万~390万円×218d プレイ/218d プレイ エディションジョイ+×全国この他、超強力な2L直4ツインスクロールターボエンジンを搭載する4WD車「M235i xDrive」を総額400万円以上で買ってみるのもステキですが、まぁ高額ですし、ちょっと特殊なスポーツグレードですので、それについては「各位のお好み次第」ということにさせてください。
▼検索条件
BMW 2シリーズグランクーペ(現行型) × 総額400万円以上×218dプレイ/M235i xDrive×全国いずれにしましてもBMW 2シリーズグランクーペは、「FFだから」とか「プラットフォームは1シリーズだから」などと言って敬遠すべきとは思えない、ジャストサイズな、そしてスポーティに走ることができる美しい4ドアクーペです。
3シリーズセダンを検討中だった人も、そうでない人も、ぜひこの“大穴”にご注目いただければと思います。
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BMW 2シリーズグランクーペ(現行型) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。
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この記事で紹介している物件
BMW
2シリーズグランクーペ 218d Mスポーツ エディション ジョイプラス ディーゼルターボ 純正ナビ ACC バックカメラ CarPlay 禁煙車
本体価格282.8万円
支払総額299.9万円