トヨタ クラウン ▲日本が誇る高級セダンのトヨタ クラウン。ほぼ日本専売でありながら、15代目モデルはニュルブルクリンクでもテストを実施している

変革の時を迎えたトヨタのフラッグシップセダンだが……

先日発表となった新型クラウン。登場前のウワサの段階ではセダンをやめクロスオーバーSUVとなるという話でした。

フタを開けてみると、クロスオーバーの他、セダン、エステート、スポーツという4つのタイプが用意されるというもので、「クラウンといえばセダン!」というユーザーも一安心といったところではないでしょうか?

トヨタ クラウン ▲2022年7月に発表された16代目クラウンはグローバルモデルとして大きく変化を遂げた

しかし、クロスオーバーは2022年秋の発売がアナウンスされているものの、それ以外のボディタイプについては発売日はおろか詳細は発表となっておらず……。

また、セダンにおいてもグローバルモデルとなることでボディサイズがかなり大型化されるようで、従来のクラウンに興味を持っていたユーザーは複雑な心境となっているかもしれません。

そこで改めてチェックしてみたいのが、先代型となる15代目のクラウンです。

セダンボディかつFRレイアウトというプラットフォームや、1800mmに抑えられた全幅など、それまでのクラウンの伝統を受け継いだモデルとなっており、新型が発表された今こそ再び脚光を浴びるのでは!? といった1台でしょう。

この記事では、15代目クラウンの現在の中古車状況をチェックするとともに、今中古車を狙うならどんなものがオススメか見ていきたいと思います。

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15代目クラウンの中古車状況は?

執筆時点での先代・15代目クラウンの掲載台数は1000台を優に超えており、タマ数は豊富といった状況。

登場が2018年6月ということで、初回車検を迎えて代替がなされた車両だけでなく、今後は新型への代替で手放された物件も流通すると予想されるので、物件数はさらに増加すると思われます。

トヨタ クラウンの中古車延べ掲載台数推移グラフ

一方の平均価格は、2020年1月の時点では500万円を超えていたものの、年数の経過とともに順調に下落。

2021年1月には約450万円、2022年1月には400万円と、1年で約50万円ペースで下落していることがわかります。

直近7月にはやや上昇し420万円台となりましたが、新型が登場したことで再び400万円台前半に向かっていくのではないかと考えます。

トヨタ クラウンの中古車平均価格推移グラフ

というのも、クラウンのようなフラッグシップモデルに近い車格の車両は、新型であることに意義があると考えているユーザーが多いのです。

そのため、万が一新型モデルの評判が悪かったとしても旧型に戻るのではなく、他のフラッグシップモデルに乗り替えるというケースが多いようで、一部のスポーツモデルのように旧型の価格が跳ね上がるということはほとんどありません。

そのため、裏を返せば先代クラウンは今後さらに流通台数が増え、買いやすい価格帯になっていくことが期待できるとも言えるでしょう。

とはいえ、現段階でもかなりお得に狙えそうな中古車も増えているため、一度チェックしてみる価値はありそうです。

トヨタ クラウン ▲大きく変貌を遂げた新型でも、「詳細はわからないけどとりあえず注文」というユーザーは少なからずいるとのことで、代替で先代が市場に流れる可能性は高い
 

ニュルブルクリンクで鍛えられたスポーティセダン

では、先代クラウンはどんなモデルだったのかを振り返ってみましょう。

2018年6月に登場した15代目クラウンは、「CROWN BEYOND」がキャッチコピーとなっており、スポーティな輸入セダンを好む比較的若いユーザーも取り込むべく、さらにスポーティなモデルとなっていました。

トヨタの「TNGA」に基づく新規プラットフォームを採用した他、開発時にはドイツのニュルブルクリンクを走り込んでシャシー性能を鍛え上げました。

また、スタイリングも6ライトウインドウを採用した、4ドアクーペ風のスタイリッシュなものとなっています。

トヨタ クラウン ▲「TNGA」に基づいた新規プラットフォームを採用し、さらにレベルアップを果たした15代目クラウン

搭載されるパワートレインは、先代にあった大排気量のガソリンモデルは廃止となり、純ガソリンモデルは直列4気筒2Lターボの8AR-FTS型エンジン(180kW/350N・m)に8速ATが組み合わせられたモデルのみ。

ただし、ハイブリッドモデルは、直列4気筒2.5LのA25A-FXS型エンジンとモーターを組み合わせたもの(システム出力166kW)に加え、V型6気筒3.5Lの8GR-FXS型エンジンとモーターを組み合わせたもの(システム出力264kW)の2種類が用意され、2.5Lには電気式無段階変速機が、3.5Lには10段変速制御が備わる「マルチステージハイブリッドトランスミッション」が搭載されていました。

なお、駆動方式は基本的に全車FRとなり、2.5Lハイブリッドモデルのみフルタイム4WDの設定がなされています。

トヨタ クラウン ▲15代目クラウン唯一の純ガソリンモデルとなるのが、2Lターボエンジンを搭載したモデル

グレード体系もそれまでの「アスリート」と「ロイヤル」という分け方を廃止し、ガソリン車ハイブリッド車それぞれに、スポーティな「RS」系、ラグジュアリーな「G」系、買いやすい価格帯の「S」系、「B」系と一新されています。

もちろん先進安全装備などは全グレードで標準装備となり、エントリーグレードであっても通常の車のミドル~上級グレード並みの装備が備わっているのはクラウンならではと言えるでしょう。

また、この世代のクラウンは「初代コネクティッドカー」となっており、車載通信機DCMを全車に標準搭載。別途契約などは必要となりますが、スマホを使用しての車両状態の確認やメンテナンスのお知らせ、緊急時の通報機能なども有していました。

トヨタ クラウン ▲車載通信機DCMを標準搭載することで、様々な情報やサービスを受けることができるコネクティッドカーとなった

そんな日本の誇るセダンの先代クラウン、今狙うとしたらどんな仕様がオススメなのでしょうか?

 

とにかくお値打ち価格で購入したいなら、「S」系グレードが狙い目!

新車時は最もベーシックな「B」であっても車両本体価格は約460万円と、当然ながら高級車だった先代クラウン。

ただエントリーグレードの「B」はほとんど売れていなかったようで、中古車市場で買いやすい価格帯となっているのは「S」系のグレードとなります。

トヨタ クラウン ▲価格と装備のバランスに秀でた「S」グレードは、3種類のパワートレインすべてが設定されていたが、2Lターボか2.5Lハイブリッドがオススメ

中でも価格と装備のバランスが良いのがガソリン車、ハイブリッド車問わず「S Cパッケージ」で、安価なものでは総額350万円台から見つけることができ、「S」よりも掲載台数は多め。

2Lガソリンターボモデルの方が、同価格帯ではやや走行距離の少ないものが多い印象ですが、2.5Lハイブリッドモデルであっても総額380万円ほどまで予算をアップすることができれば、3万km未満の物件を見つけることもできるため、かなり買い得感は高いと言えるでしょう。

ということで、お値打ち価格で購入したいならパワートレインを限定せずに「S Cパッケージ」の物件をチェックしてみることをオススメします。

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“クラウンらしさ“を堪能したければ、「G エグゼクティブ」系がオススメ

脈々と受け継がれてきた“日本の高級セダン像“を求めるのであれば、やはり最もラグジュアリーな仕様である「G エグゼクティブ」系を狙いたいところ。

こちらはハイブリッドモデルのみのラインナップとなっており、2WDは3.5L、4WDは2.5Lとの組み合わせとなります。

装備はノイズリダクション機能付きアルミホイールや本革シートをはじめとして、リアエアコンやリアパワーシートなども標準装備となるため、法人オーナーが使用していた車両が多いのも特徴。

トヨタ クラウン ▲クラウンの最上級ラグジュアリー仕様ということで、リアシートまわりの装備が充実するのも「G エグゼクティブ」系の特徴

そのため、走行距離は多めでも整備などはしっかりされてきた物件が多く、年式から考えるとやや多走行ぎみの7万km前後の車両であれば、総額400万円を切るものも存在しているのです。

さすがに走行3万km台以下の物件となるともう少し予算アップが必要となりますが、それでも総額450万円前後からとなっており、新車価格が700万円を超える(3.5Lモデル)車種としてはかなりリーズナブルな印象です。

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ニュルで鍛えた実力を感じたければ、「RS アドバンス」を狙いたい

先代クラウンはスポーツセダンとしての実力も磨くため、ニュルブルクリンクでの走り込みも実施されていました。

そんな走りの実力を感じたければ迷わずRS系を狙いたいところですが、やはりここはシステム出力264kWを誇る3.5Lモデルをオススメします。

RS系にはドライブセレクトモードに「SPORT S+」と「SPORT S」などが追加されている他、可変ダンパーである「AVS」も標準装備。

さらに、この3.5Lモデルには対向4ピストンモノブロックキャリパーをもつフロントブレーキや、VDIM(アクティブステアリング統合制御)なども搭載されているのです。

トヨタ クラウン ▲ニュルブルクリンク仕込みの走りを堪能したければ「RS アドバンス」の3.5Lハイブリッドモデルをオススメしたい

そんな走りの楽しいモデルだけに、登場から4年ほどしか経過していないにもかかわらず、10万kmオーバーの物件も複数台存在しており、こちらは総額350万円以下とかなりリーズナブル。

さすがにそこまで走行距離が多いものは……という人でも、5万km前後の物件であれば総額400万~420万円くらいの価格帯となっているため、輸入スポーツセダンを検討中であればこちらをチェックしてみてもいいかもしれません。

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今回は先代型クラウンについてチェックしてみました。

ラグジュアリーセダンとしてはもちろんのこと、スポーツセダンとしてもかなりの進化を果たしたモデルとなっているため、輸入車のセダンモデルを検討中の人も一度候補に入れてみても面白いかもしれませんよ。

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文/小鮒康一 写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。