ミニクラブマン ▲「ちょうどいいサイズ感のおしゃれなステーションワゴン」として人気の現行型ミニクラブマンですが、新車で買うとなると、その価格は決してお安くはありません。しかし、「前期型の中古車でもOK」なら、実は新車よりも200万円以上お安い予算で狙えてしまうのです!

低走行物件でも総額200万円前後からOK

現行型ミニクラブマンは、コンパクトハッチバックであるミニの全長を少し伸ばしたうえで、観音開きのリアゲートを付けたステーションワゴンタイプの1台。

普通のミニよりも全長が43cmほど長いことで、居住性と積載性は当然向上しているわけですが、それと同時におしゃれ感のようなものも絶妙に向上しているのが、ミニクラブマンという車の特徴です。

そんな現行型ミニクラブマンは、「おしゃれ輸入車」だけあって新車で買うとなると決して安くはなく、中間グレードでも車両本体価格は403万円。オプション装備や諸費用などを含めた支払総額は400万円台半ばぐらいになるでしょう。

そのため「欲しいけど……ちょっと無理!」となる場合も多いかと推測しますが、現行型ミニクラブマンの「前期型中古車」であれば、新車より200万円以上お安い予算で狙えることをご存じでしたでしょうか?

具体的にはおおむね総額200万円ぐらいから、走行距離2万~3万km台の現行型ミニが買えてしまうのです。

本稿ではそんな現行型ミニクラブマンの前期型中古車について、そのモデル概要と「本当にお買い得なのか?」という点について、じっくり考えてみたいと思います。
 

ミニクラブマン▲こちらが現行型ミニクラブマンの前期型。絶妙なサイズ感の、やや小ぶりなステーションワゴンだ

▼検索条件

ミニ ミニクラブマン(現行・前期型) × 全国
 

概要:やや大ぶりになって居住性と積載性が向上

まずは、現行型ミニクラブマンの概要をざっくり押さえておきましょう。

ミニクラブマンは、2代目(先代)ミニが新車として販売されていた時代に追加された、ミニをベースとする小ぶりなステーションワゴン。先代ミニをベースとする初代クラブマンは全長がさほど長くはなく、後部ドアも両側ではなく右側に1枚あるだけという変則的なパッケージングでした。

しかし、3代目ミニをベースとする現行型(2代目)ミニクラブマンは、全長4270mm × 全幅1800mm × 全高1470mmという、コンパクトステーションワゴンとしては一般的なサイズになり、後部ドアも普通に左右に設けられています。
 

ミニクラブマン▲初代ミニクラブマンの後部ドアは、右側に「クラブドア」という観音開きのドアがあるだけだったが、現行型は、ご覧のとおりの一般的なドア枚数に変わっている。リアゲートは初代同様の観音開き方式
ミニクラブマン▲現行型ミニクラブマンのインテリアはこのような世界観
 

フロントまわりの造形は3ドア/5ドアハッチバックの現行型ミニとおおむね同様ですが、リアエンドのデザインはハッチバックから大きく変更されており、言葉では何と言えばいいのか難しいですが、まぁハッチバックよりも「重厚感」が感じられるデザインだといえます。

テールゲートは伝統の「観音開き」方式で、荷室容量は5名乗車時で360L。リアシートの背もたれを倒せば最大で1250Lまで拡大することもできます。

ちなみに、2019年10月に行われたマイナーチェンジ以降の後期型は、LEDデイライトの形状が前期型の逆U字型から、ヘッドランプユニット全体を囲む円形に改められ、リアコンビランプも英国国旗をモチーフとしたデザインに変更されています。

が、「ドラスティックなまでのデザイン変更が行われた!」というほどではありませんので、前期型であっても特に“古さ”が感じられるということはないでしょう。
 

ミニクラブマン▲乗車定員は5名。5名乗車時の荷室容量は360Lと、あくまでほどほどではあるが、それでも初代の260Lと比べればずいぶん広くなったとはいえる。後席を倒した場合の最大荷室容量は1250L
 

走行性能:ワゴンタイプでも「ゴーカートフィーリング」は健在

登場時期にばらつきはあるのですが、前期型の現行型ミニクラブマンのグレードラインナップと、それぞれのパワートレインは下記のとおりです。

【ガソリンモデル】
・ワン|最もベーシックなグレード。102psの1.5L 直3ガソリンターボ+6速AT
・クーパー|ガソリン中間グレード。136psの1.5L 直3ガソリンターボ+6速AT
・クーパーS|ガソリン最上級グレード|192psの2L 直4ガソリンターボ+8速AT
・クーパーS オール4|クーパーSの4WD版。192psの2L 直4ガソリンターボ+8速AT
・ジョン・クーパー・ワークス|ガソリンスポーツグレード。231psの2L 直4ガソリンターボ+8速AT、駆動方式は4WD

【ディーゼルモデル】
・クーパーD|ディーゼル中間グレード。150psの2L 直4ディーゼルターボ+8速AT
・クーパーSD|ディーゼル最上級グレード。190psの2L 直4ディーゼルターボ+8速AT

現行型ミニクラブマンの走行性能や走行フィーリングは上記のグレードごとに微妙に異なるため、一概に「こう!」と言うのはやや難しいのですが、それでもあえて総論的なことを述べるのであれば、「いかにもミニらしい“元気のいい走り”をする車」だといえます。

現行型は初代クラブマンより2回り近く大きくなり、車重も200kgほど重くなっているのですが、ミニ一族らしいキビキビとした“ゴーカートフィーリング”は、この世代のクラブマンでも健在なのです。

そのうえで、ベーシックなクーパーやクーパーDでも動力性能は普通に十分であり、パワフルなクーパーSやクーパーSDでは「……速い!」とうなることになります。
 

ミニクラブマン▲初代と比べればずいぶんと大きく・重くなってはいるのだが、それでもミニファミリーならではの「キビキビ感」はほとんど失われていない

ちなみに、2019年10月以降の後期型ではワン/クーパー/クーパーSのトランスミッションが7速のDCT(ツインクラッチ式トランスミッション)に変更され、変速時のダイレクト感やスピードはさらに向上しています。

しかし、前期型の6速または8速ATであっても十分以上のダイレクト感と変速スピードを堪能できますので、ここはさほど気にせずともよい部分かと思います。

 

先進装備・安全装備:2017年7月以降モデルならACC付きも

長距離ドライブする際にあるとうれしいアダプティブ・クルーズ・コントロール(高速道路で前方の走行車両を追従し、自動的に速度調整や停止/発進などを行ってくれる装置。以下ACC)ですが、前期型の初期年式では、残念ながらクルーズコントロール(アクセルペダルを踏まずとも、セットした一定の速度で走ってくれる装置)しか設定されていません。

前期型にACCが標準装備されたのは2017年7月からで、このときに衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)も標準装備されるようになりました。

ACCの有無については「どちらでもいい」という人もいらっしゃるでしょうが、ACC付きであることにこだわりたい人は「2017年7月以降のモデル」かどうかに注目してください。

とはいえ、中古車の年式というのは「初度登録された年」を意味します。そのためカーセンサーnetで2017年式の中古車を閲覧しても、それだけでは、そのクラブマンが2017年の7月以降に製造された物件かどうかは判別できません。

その前期型クラブマンがACC付きかどうかは、下記3つのいずれかの方法で確認可能です。

・ステアリングホイールの向かって左側にある円形ボタンの横に、2つの小さな円形ボタンが付いているか?(※これが付いているのがACC付きで、ないのは定速クルーズコントロールです)
・「装備仕様」内の「アダプティブクルーズコントロール」のところがオレンジ色になっているか?
・車名表記欄に「ACC」と書かれているか?(※ただし、ACC付きであってもこの表記がされていない場合もあります)
 

ミニクラブマン▲やや大きめな円形のボタンの右側に、上下に2つ並ぶ小さな円形ボタンが付いている車両は「アダプティブクルーズコントロール付き」。この2つのボタンがない車両のクルーズコントロールは定速式だ
 

ちなみに2019年10月以降の後期型では、ストップ&ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールと前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキが標準装備となりました(※ワン/バッキンガムではオプション)。
 

 

中古車のオススメ:総額200万円前後のクーパーか、200万円台後半のクーパーSまたはクーパーSD

以上のとおり、現行型ミニクラブマン前期型の大まかな全貌が判明したところで、「具体的な狙い目」の検討を始めることにいたしましょう。

まず、もしも「なるべく手頃な予算で現行型ミニクラブマンを入手したい!」というのであれば、オススメは「2015~2017年式のクーパー」ということになります。

これの走行距離5万km台までの物件を、総額180万~230万円あたりのゾーンで探すのが得策となるでしょう。
 

▼検索条件

ミニ ミニクラブマン(現行・前期型) × クーパー
ミニクラブマン▲最高出力136psの1.5L 直3ターボエンジンを搭載するクーパー
 

エントリーグレードであるワンであればさらにお安く狙うことも不可能ではないのですが、流通量がいささか少なめであるため、そもそも探しにくいという難点があります。

また、ワンのエンジンはクーパーと同じ1.5Lの直3ターボとはいえ、その最高出力は109psに抑えられていますので、先代よりも大きく重くなった現行型クラブマンを小気味よく走らせるには若干ながら力不足です。

そのため、ここはおとなしく中間グレードのクーパーに絞って探すのが正解となるわけです。

あくまでも「程度」を最優先して探すべきではありますが、ミニクラブマンという車はオプション装備の種類も非常に豊富で、似たような条件のクラブマン クーパーであってもオプション装備の内容は千差万別です。

そのため、程度を最優先しつつも「自分好みのオプションが付いているか?」という点も、購入時は確認するようにしてください。

もう少し予算的な余裕が見込める場合のオススメは、総額200万円台後半の――具体的には総額250万~280万円ぐらいの、ガソリンエンジンの最上級グレードであるクーパーSか、ディーゼルエンジンの最上級グレードであるクーパーSDの二択になります。
 

▼検索条件

ミニ ミニクラブマン(現行・前期型) × クーパーS

▼検索条件

ミニ ミニクラブマン(現行・前期型) × クーパーSD
ミニクラブマン▲総額200万円台後半でもOKなら、十分以上にパワフルなクーパーSまたはクーパーSDの、比較的低走行な物件を選びたい
 

どちらのエンジンも2Lの4気筒ターボですが、ガソリンターボを搭載するクーパーSは192psという結構な最高出力を、5000rpmというまあまあの高回転域で発生させるスポーティなエンジンです。それに対してクーパーSDのディーゼルターボエンジンは40.8kg・mという、ひと昔前の4L級ガソリン車に匹敵する最大トルクを、1750~2500rpmという常用回転域でマークし続けます。

どちらを選ぶべきかは好みの問題ですが、「スパッと高回転域まで吹け上がるスポーティなニュアンス」がお好みならガソリンのクーパーS、「快適で快速な長距離クルージング性能」を重視したいならディーゼルのクーパーSDということになるでしょう。

また、クーパーSDは軽油を使用するため「燃料代が比較的安く済む」という、身も蓋もない魅力もあります。
 

ミニクラブマン▲こちらは最高出力231psの強力な2Lターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせる「ジョン・クーパー・ワークス」。あくまでもスポーティなミニクラブマンに乗りたいなら、コレを選ぶのも悪くない
 

その他、総額330万円以上を拠出して「超スポーティなジョン・クーパー・ワークスを手に入れる!」というのもステキな選択肢ではありますが、前期型の現行型ミニクラブマンは、総額200万円台までの予算であっても十分に楽しめる車――つまりデザインと走りが良くて、居住性と積載性にもまあまあ優れる車です。

それゆえ、単に実用的なだけではない「スタイリッシュな実用車」を探している人には、ぜひぜひご注目いただきたい存在なのです。
 

▼検索条件

ミニ ミニクラブマン(現行・前期型) × 全国
文/伊達軍曹 写真/BMW
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。