BMW X1(現行型)▲中古車市場でオトクになっている現行型BMW X1の前期型。実のところ後期型との主な違いはデザインで、走行性能や機能では大きな差がない

前期型の流通量が豊富に、価格もオトクになっている

BMWのSAV(BMWのSUVの呼称)では最もコンパクト、しかしながら走りの上質感はまさしくBMWのソレ。

欧州製プレミアムコンパクトSUVの先駆けとなったのがBMW X1だ。

2代目となる現行型は2015年10月にデビュー。FRベースの駆動レイアウトだった先代からプラットフォームを一新し、FFベースとしたことで話題となった。高級感や走行性能の高さもさることながら、車内空間を広くし、SAVとしての使い勝手に優れたパッケージとなっているのが特徴だ。

そんな2代目もすでにモデル末期と言える段階に入っており、欧州では次期モデルを今年10月から発売すると発表。そうした中で、中古車市場においては2代目前期型のオトク感ががぜん高まっている。

新車価格400万円弱の「sドライブ 18i」(ガソリン)が総額200万円から、人気の「xドライブ 18d」(ディーゼル)も230万円から狙える状況だ。物件によっては新車価格より300万円近く安いものも存在する。

この記事では今、オトクになっている現行型BMW X1前期型の魅力、グレード体系を再確認しつつ、オススメのモデルを紹介していきたい。

X1 ▲Xシリーズで初めてエンジンを横向きに搭載。走りだけでなく車内の広さ、快適さも現行型X1の魅力

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【ボディサイズ・見た目・車内空間】日本で乗るのにちょうど良い!

X1 ▲国産ミドルサイズSUVと比べて全長は短めだが、パッケージを工夫することで広い車内空間を確保。後席は座面がやや高くなっている

狭い道でも使いやすいボディサイズと日本でも評判のいいX1。そのボディサイズは全長:4455mm × 全幅:1820mm × 全高:1610mmとなっている。

全幅は日産 エクストレイルやスバル フォレスターなどの国産SUVとほぼ同等だが、全長は両車より200mm以上も短い。

また、全高については機械式駐車場への入庫を意識して設計された先代より100mm以上高くなったが、それでもトヨタ ハリアーなどの国産ミドルクラスSUVより50mmほど低いロースタイルだ。

取り回しの良いコンパクトなボディサイズを実現しながら、SAVらしい存在感あるスタイリングとしているのもX1における特徴のひとつ。エクステリアでは精悍な顔立ちを強調するLEDヘッドライトや、BMW伝統のキドニーグリルに立体感をもたせた造形が採用されている。

このモデルからエンジンが横置きされたことによってフロントノーズが短くなり、車内空間が先代よりも格段に広がった。

リアシートは膝前のスペース、座面長を大幅に拡大するとともに、スライディング機構も装備。さらに着座位置を前席で36mm、後席で64mm、先代より高くしたことで、前後シートとも良好な視界が確保されている。
 

X1 ▲リアシートは3分割式。中央部分だけを倒して長尺物を載せることもできる

なお、現行型X1は2019年10月のマイナーチェンジで外観が大きく変わり、それ以降のモデルが後期型と呼ばれるようになった。

前期型では左右2分割だったフロントグリルが後期型では一体となり、フロントバンパーに設けられたエアインテークは大型化。全体的に迫力が増した印象だ。

デザインについては好みの分かれるところであり、精悍ですっきりした印象の前期型の方が好き、という人も少なくないだろう。
 

X1 ▲ちなみに、こちらがマイナーチェンジ後の後期型モデル
 

【エンジンタイプ】FFと4WDで異なるパワーユニット

X1 ▲330N・m(33.7kg・m)という大トルクを1700rpmから発生するディーゼルエンジンは、最も人気のあるパワーユニットだ

X1に用意されるパワーユニットは4種類。下記のとおりとなっている。(「」内はグレード名)

・1.5L 直列3気筒ガソリンターボ:「sドライブ 18i」
・2.0L 直列4気筒ディーゼルターボ:「xドライブ 18d」(2016年10月~)
・2.0L 直列4気筒ガソリンターボ:「xドライブ 20i」(~2021年4月)
・2.0L 直列4気筒ガソリンターボ:「xドライブ 25i」(~2021年4月)

FFである「sドライブ」に搭載されるのは1.5Lガソリンターボのみ。フルタイム4WDである「xドライブ」には2.0Lのディーゼルターボと2種類のガソリンターボが用意される……という比較的分かりやすいラインナップだ。

X1のディーゼルはパンチ力があり、フィーリングもガソリンライク。燃費性能も19.6 km/L(JC08モード)と優秀なために最も人気が高い。

「sドライブ 18i」はエントリーグレード的な位置付けだが、軽快な走りとコスパの高さでこちらにも独自の魅力がある。

同じ2.0Lガソリンターボである「20i」と「25i」はシリンダーブロックこそ共通だが、「20i」の動力性能が最高出力141kW(192ps)、最大トルク280N・m(28.6kg・m)なのに対して、「25i」では最高出力170kW(231ps)、最大トルク350N・m(35.7kg・m)にまで高められている。

「25i」は全ラインナップ中、最もハイパワーなモデルだが、燃費性能も14.3km/L(JC08モード)と悪くない。

トランスミッションについては現行型デビュー当初、「sドライブ」が6速AT、「xドライブ」は8速ATという仕様でスタート。2017年8月のマイナーチェンジで「sドライブ」に7速DCT(ダブル・クラッチ・トランスミッション)が採用された。さらに、2018年8月のマイナーチェンジでは「xドライブ Mスポーツ」全車にパドルシフトが追加されている。
 

 

【機能・安全性能】スタンダードでも十分快適

X1 ▲「Xライン」は外装で差別化されるだけでなく、トリムやシート表皮も豪華に

スタンダードグレードの他に「Xライン」「Mスポーツ」を用意する手法は、BMW SAVの定番。「Xライン」はマットシルバーのフロントグリルやアンダーガード風に処理されたフロントエプロン、専用アルミホイールなどでたくましさを強調したモデルだ。インテリアもレザーコンビシート仕様となる。

「Mスポーツ」は、Mエアロダイナミクスパッケージと呼ばれる専用エクステリアパーツや専用サスペンション、スポーツシートなどを装備したスポーツグレード。きびきびしたハンドリングが魅力で、“BMWらしさ”を求める人にはうってつけの仕様と言えるだろう。

2015年に登場した車だけあり、「衝突回避・被害軽減ブレーキ」などの先進安全装備も充実。「iDriveナビゲーション・システム」や「LEDヘッドライト」なども標準装備であるなど、スタンダードグレードでも十分な装備内容だ。
 

 

【オススメの中古車】予算200万円から狙える「sドライブ 18i」

現行型BMW X1全体の中古車市場流通台数は450台程度。そのうち、2019年9月までに生産された前期型は320台程度と大半を占める。

とにかく安くX1をゲットしたいなら、「sドライブ 18i」がオススメだ。走行距離5万km以下の物件でも総額200万円から狙える。流通量も前期型X1全体の3割弱と意外に豊富。

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BMW X1(現行・前期型) × 「sドライブ 18i」系

スタンダードモデルはシンプルな装備内容だが、BMWのプレミアムコンパクトだけあって内装の質感などは悪くない。パワフルとは言えないものの、フルタイム4WDの「xドライブ」にはない軽快さという魅力がある。

ちなみに、同モデルの「Xライン」は約20万円高、「Mスポーツ」は30万円高が中古車市場での相場だ。
 

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BMW X1(現行・前期型) × 「sドライブ 18i Xライン」

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BMW X1(現行・前期型) × 「sドライブ 18i Mスポーツ」
X1 ▲クイックなハンドリングを味わいたいなら「Mスポーツ」がぴったり。乗り心地についても日常使用で不満を感じないレベルだ

BMWらしい高級感や余裕ある走り、4WDの安心感を求める人にはディーゼルの「xドライブ 18d」が順当な選択。流通量はX1前期型の中で最も多く、全体の約半分を占める。

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BMW X1(現行・前期型) × 「xドライブ 18d」系

中でもオススメはスポーティな走りを楽しめる「Mスポーツ」。パワースペックはスタンダードモデルと共通だが、足回りは引き締められており、BMWらしい走りを存分に堪能できる。

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BMW X1(現行・前期型) × 「xドライブ 18d Mスポーツ」

「xドライブ 18d Mスポーツ」の中古車価格帯は総額230万~430万円。「xドライブ 25i」も面白いモデルだが、中古車市場での流通量は極めて少ない。
 

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BMW X1(現行・前期型) × 全国

※記事内の情報は2022年8月24日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/BMW
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。