トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲ヤリスという名前は付いているものの、デザインや車内空間は別モノとして開発されたトヨタ ヤリスクロス。発売から2年がたち、中古車市場での流通量も安定してきた

中古車らしいお得な物件が増えてきた

2020年8月に発売され、瞬く間に人気車種となったトヨタ ヤリスクロス(現行型)。昨年の車名別新車登録台数はヤリス・シリーズが断トツであり、その約半数を占めたのがヤリスクロスだった。

今年8月にはマイナーチェンジを実施。待望のグレード「GRスポーツ」と「Z アドベンチャー」が新たに追加された。

しかし、昨今の半導体不足、新型コロナの影響等によって、新車の納期はかなり遅め。注文から6ヵ月以上という状態が長く続いている。

それなら中古車を狙ってみるのが得策ではないだろうか。
 

ヤリスクロス

中古車市場での延べ流通台数は今年に入ってから1300台を超えるようになり、中古車平均価格も250万円台で安定。

やや高めの水準に感じるかもしれないが、現在の中古車市場ではハイブリッドモデルや上級グレードの占める割合が多く、しかも全流通量の約半数が走行距離500km以下という新車に近いコンディション。

そんな中古車市場の中でよりお得感を味わえるのが、ガソリン車の最上級グレードである「Z」。支払総額の価格帯は210万~280万円。新車より諸費用分ほど安く手に入れられる可能性が高い。

この記事ではヤリスクロスの概要やバリエーションを紹介するとともに、今、お得感が高まっているガソリン車の「Z」に注目して中古車選びを検討してみたい。
 

ヤリスクロス ▲フェンダーやサイドシルをブラックアウトさせた頼もしい外観はまさにSUV。上級グレードでは18インチアルミホールが装備される

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トヨタ ヤリスクロス(現行型)
 

トヨタ ヤリスクロス(現行型)とは

ヤリスクロス ▲8インチの大型ディスプレイやパワーシートなど、上位車種にも負けない豪華装備が「Z」の特徴

ヤリスと同じGA-Bプラットフォームを採用しながら、ひと回り大きなボディサイズ(ヤリス比で全長+240mm、全幅+20mm、全高+90mm)のヤリスクロス。

単に車高を上げただけでなく、ボディデザイン全体を専用設計としているあたりはクロスオーバーにかけるトヨタの本気度が感じられるところだ。

ホイールベースではヤリスと10mmしか違わないが、後席の居住空間や荷室スペースをきちんと拡大しているのは見事。見た目がSUV風なだけでなく、実用的なところこそヤリスクロスの人気が高い理由だろう。
 

ヤリスクロス ▲全長4180mmのコンパクトサイズだが、後席居住性や荷室のキャパシティは十分に確保されている

パワーユニットは、1.5L 直列3気筒ガソリンエンジンと、同排気量のエンジンにモーターをプラスしたハイブリッドの2種類。

ガソリン、ハイブリッドともにFFと「マルチテレインセレクト」付きのフルタイム4WDが設定されている。トランスミッションは全車CVTだ。

グレード展開についてもガソリン、ハイブリッド共通で、新車価格の低い方から「X」「G」「Z」の3種類。ただし、ガソリン車の「X」には先進安全装備であるToyota Safty Sense(トヨタセーフティセンス)などを省き、低価格とした「X Bパッケージ」も設定される。

なお、2022年8月のマイナーチェンジで「GRスポーツ」と「Z アドベンチャー」が追加されたが、現時点の中古車市場ではまだ流通していない。

各グレード間の装備差は、ホイールの外径と素材(16インチ or 18インチ)、フロントグリルなど外観の仕上げ、シート形状や内装の質感、バックガイドモニターの有無など。

このように見た目や内装では比較的はっきりと差がつけられているが、機能面での差は意外にも少ない。

中間グレードの「G」であっても、8インチディスプレイオーディオや本革巻きステアリングが標準、Toyota Safty Senseも「X Bパッケージ」を除くグレードに装備されている。

 

お得になっているヤリスクロスの「1.5 Z」の特徴

そんな中でもガソリン車の「Z」は、18インチアルミホイールやフルLEDヘッドランプ、運転席6ウェイ・パワーシート、シートヒーターなど豪華装備が備わったグレードだ。

ガソリン車の最上級グレードだけあり、クラスを超えた豪華な装備内容となっているが、アダプティブハイビーム・システムやブラインドスポットモニター、カラーヘッドアップディスプレイなどがオプションとなっている点には注意が必要。

安全性や利便性を重視する人は、中古車での物件選びにおいてもオプション装備がどれだけ備わっているかは入念にチェックすべきだろう。

 

中古車相場:「Z」は価格のお得感、流通量ともに◎

ヤリスクロスの中古車市場におけるガソリン車、ハイブリッド車の比率はおよそ半々。

同じグレードで比べた際、新車価格が40万円近くも高額なハイブリッド車の人気がこれほど高いとは驚きだ。ハイブリッド車の多さが、ヤリスクロスの中古車平均価格を押し上げている。

しかし中古車市場で、お買い得感が高まっているのはガソリン車だ。中でも最上級グレードである「Z」は流通量が多く、価格帯も幅広い。ガソリン車「Z」の新車価格は221万円(FF・2020年8月~2022年7月)だが、走行距離100km以下の物件、登録済未使用車でも車両本体価格200万円から狙える。

新車に限りなく近いコンディションのヤリスクロスが、諸経費分まるまるお得な価格で手に入るということだ。

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ヤリスクロス(現行型) × 「Z」

ガソリン車「Z」の流通量は約280台。ヤリスクロス全体の3割近くを占めていることになり、中古車での選択肢は豊富にある。中には300万円を超える物件もあるが、それらの多くはカスタマイズされたコンプリートカーだ。

また、前述のようにオプションの運転支援機能がフル装備されている物件も価格は高め。自分にとってどの機能が必要かよく考えたうえで、それらが装着されている物件を選ぶと良いだろう。流通量が豊富だからこそなせる技だ。
 

ヤリスクロス ▲ハイブリッド車とガソリン車の外観的な差異はごくわずか。同グレードなら装備内容もほぼ一緒だ

少しでもリーズナブルな価格で手に入れたい、基本的な装備さえ備わっていればいい、という人にはガソリン車の準上級グレード「G」が候補となる。新車価格差どおり、中古車価格も「Z」よりも20万円ほど安い相場だ。

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ヤリスクロス(現行型) × 「G」

ただ、こちらの流通量は「Z」の半分以下であり、選択肢は限られるだろう。ちなみに、最廉価グレードの「X」はさらに流通量が少なく、「Z」の10分の1以下。上級グレードに人気が集中しているのもヤリスクロスの特徴だ。

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ヤリスクロス(現行型) × 「X」

余裕ある走りを求める人なら、ハイブリッド車がオススメ。

こちらも中古車市場に400台以上が流通しており、希望のグレードや装備を十分に選べる状況にある。

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ヤリスクロス(現行型) × ハイブリッド

流通量の多いグレードはガソリン車同様、「Z」。ただし、最安値の物件でも290万円以上の価格となっており(当時の新車価格は258万円)、お買い得感は相対的に低めだ。

ガソリン車との価格差を燃費だけでカバーするのは、相当な年間走行距離をこなす必要がある。パワーを求める人以外、実質的なメリットはあまりない。

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ヤリスクロス(現行型) × 全国

※記事内の情報は2022年8月3日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。