先代プジョー 308SWの平均価格が1年で30万円以上ダウンし過去最安値！ 生産終了から半年、今のオススメ中古車は？

▲「ちょうどいいサイズ感」と「走行性能もかなり本格的」ということで根強い人気があるフランスのステーションワゴン、先代（2代目）プジョー 308SW。中古車平均価格は長らく「横ばい」といったところでしたが、ここ数ヵ月でダウントレンドへと転じてきました。となれば今、何年式のどんなグレードをいくらぐらいで狙うのが正解なのでしょうか？　いろいろと考えてみましょう！

1年前より30万円以上安い「過去最安値」を更新中

「2014年11月から2022年3月まで販売された2代目のプジョー 308SWは、程よいサイズ感と非常にシュアな走り、そしてステーションワゴンならではの実用性が光る1台。とはいえ一部で根強い人気があるせいか、中古車価格は長らく「ほぼ横ばい」といった傾向が続いていました。

しかし昨年の4月頃から微妙に平均価格が下がりはじめ、直近では1年前の同月より30万円以上安い“過去最安値”の173.9万円となっています。

そんな先代プジョー 308SWをもしも今買うとしたら、何年式の、どんなグレードを狙うのが正解なのでしょうか？　というか、そもそも買っても大丈夫な車なのでしょうか？ 先代プジョー 308SWの中古車価格とモデル概要を振り返りつつ、もろもろ考えてまいりましょう。
 

▲「程よいサイズのステーションワゴン」を探している人にはうってつけの存在である先代プジョー 308SW

モデル概要
ボディはやや小ぶりだが荷室はけっこう広大

まずは先代（2代目）プジョー 308SWのモデル概要について。

初代308SWは2008年9月、5ドアハッチバックである初代プジョー 308のデビューから3ヵ月後に追加されたステーションワゴン。それが約6年にわたって販売された後を受け、2014年11月に発売されたのが2代目（先代）プジョー 308SWです。

初代308SWは、前身である307SW譲りの古いプラットフォームを採用していましたが、2代目308SWは「EMP2」という新世代プラットフォームに刷新。エンジンも1.6L直4ターボから新世代の1.2L直3ターボに変わり、トランスミッションも旧態依然とした4速ATから「EAT6」に変更されました。

世間的にはCセグメントと呼ばれるジャンルに属する、やや小ぶりなステーションワゴンである先代プジョー 308SWですが、荷室な意外にも広大です。後席を立てた状態でも荷室容量は660Lとたっぷりで、後席を倒せば最大で1660Lまで拡大可能なのです。
 

▲こちらが先代プジョー 308SW。写真は初期年式である2014年モデル

▲リアオーバーハングがそこそこ長めな「ワゴンっぽいプロポーション」は、このクラスとしては希少

▲年式やグレードにより細部はいろいろ異なるが、先代プジョー 308SWの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。小径なステアリングホイールはプジョー車全般の特徴だ

▲Cセグメント（トヨタ カローラぐらいのサイズ感）のステーションワゴンではあるが、荷室は意外と広い。後席使用時でも荷室容量は660Lが確保されており、後席を倒せば最大1660Lになる

2014年11月に発売された当初のラインナップは、エントリーグレードである「プレミアム」と、電動サンシェード付きパノラミックガラスルーフを備えた「シエロ」の2種類。その後、2015年7月に専用グリルや18インチホイールなどでスポーティに仕立てた「GTライン」が追加されます。

そして、この後も様々な変更を受けていく先代プジョー 308SWなのですが、ここから先は少し入り組んでいます。

ざっくりまとめるなら「2016年7月から1.6Lと2Lのディーゼルターボエンジンが追加され、その排気量が1.5Lに変わった2018年末あたりを境に、トランスミッションは6速ATから8速ATに順次置き換えられていった」ということになります。

詳細については箇条書きにてご説明いたしますが、「値落ちした理由が気になる！」という方は、以下よりお進みください。

●2015年10月：ラインナップを整理
「プレミアム」と「シエロ」を廃止し、「アリュール」と「GTライン」の2グレードに。エンジンとトランスミッションは変更なし。

●2016年7月：ディーゼルターボエンジンを追加
1.6Lおよび2Lの直4ディーゼルターボエンジン搭載グレードを追加。「アリュールBlueHDi」は最高出力120ps／最大トルク300N・mの1.6Lで、「GT BlueHDi」は最高出力180ps／最大トルク400N・mの2L。

●2017年10月：外観と運転支援システムを変更
フロントグリルやバンパーなどのエクステリアデザインを小変更し、インテリアもタッチスクリーンの採用などでイメージを刷新。アクティブセーフティブレーキをはじめとする安全装備も強化。
 

▲マイナーチェンジを受けた後期型のビジュアルはおおむねこのような感じ

●2018年7月：GT BlueHDiのみ6速ATから8速ATに
2Lディーゼルターボエンジンを搭載するGT BlueHDiに、ドライブモードを2種類から3種類に拡充した最新の8速ATを適用。ただし他のグレードは、この時点ではまだ6速AT。

●2018年12月：ディーゼルターボ車が「1.5L+8速AT」に
それまでの1.6Lディーゼルターボエンジン＋6速ATを廃止し、最高出力130ps／最大トルク300N・mの新型1.5Lディーゼルターボ＋8速ATという組み合わせに。

●2019年5月：ガソリンエンジン車が新型1.2L直3ターボエンジン＋8速ATに
それまでの1.2L直3ターボと出力およびトルクは変わらないが、新しい欧州環境規制に対応する新型1.2L直3ガソリンターボに変更。同時にATを8速化。

●2020年10月：グレード体系を見直し
2Lのディーゼルターボエンジンが廃番となり、それまで2Lディーゼルターボだった「GT BlueHDi」のエンジンが1.5Lのディーゼルターボに。

●2022年4月：新型（現行型）プジョー 308発売
新型の発売に伴い、2代目308SWの全グレードが廃番に。
 

30万円以上値落ちした理由は「新型の登場」か？

そして先代プジョー 308SWの平均価格がこの1年で30万円ほど下がり、過去最安値を記録した理由。それは単に「モデル末期となり、そして新型が発表されたから」ということに尽きるでしょう。

長らく横ばいが続いていた先代の中古車平均価格は、新型が上陸した2022年4月を境に比較的大きく下がっていますので、これはもう「新型登場の影響で下がった」と推測するほかないのです。

もちろん機械製品ですのでマイナートラブルが発生する可能性は常にありますが、特に大きな故障が頻発している車ではないので、「値落ちした原因」について特に神経質になって探る必要はないでしょう。

以上を踏まえて次章以降、「では具体的には“どれ”がオススメなのか？」ということを、よくあるニーズ別に考えてまいります。
 

▲これといって大きな「メカニズム上の弱点」みたいなものはない車ゆえ、一般的な中古車選びの原則にのっとって探すことさえ意識すれば、特に神経質になる必要はないモデルだといえる

狙い方1｜なるべく安く、でもなるべくいい感じの先代308SWが欲しい！
→オススメは総額100万円台前半の1.2L直3ガソリンターボエンジン搭載車

先代プジョー 308SWは途中から追加されたディーゼルターボエンジンが絶品であるため、本当はBlueHDi（ディーゼル）推しでいきたいところです。しかしコンディションの良いディーゼルターボ車はほとんどが総額240万円以上になるため、「なるべく安く」というニーズにはあまり合致しません。

しかし1.2Lの直3ガソリンターボエンジン搭載グレードの、さらに初期年式（2014～2017年式付近）であれば、比較的好条件な1台を総額120万～150万円付近のゾーンで見つけることが可能です。
 

▲比較的お手頃予算で済ませたい場合は総額120万～150万円あたりのゾーンで、1.2L直3ガソリンターボエンジン搭載グレードの、走行5万km以内ぐらいの物件に注目したい

1.2Lの直3ターボというと「ショボいのでは？」と不安に思うかもしれませんが、初代よりも軽量になったボディのおかげで「かったるさ」みたいなものはほぼありません。また3気筒エンジンになって鼻先が軽くなったゆえにカーブでの身のこなしは非常に軽快でもあります。

総額100万円台前半で探せる1.2L直3ガソリンターボ搭載車のグレードは、最初期のベースグレードである「プレミアム」と、2015年10月以降のベーシックグレードである「アリュール」。そしてスポーティな意匠の「GTライン」と、パノラミックガラスルーフ付きの最上級グレード「シエロ」の4種類。

新車時は「プレミアム」および「アリュール」と「シエロ」の間には40万円ほどの価格差がありましたが、中古車となった今ではさほどの価格差はありません。そのため――もちろん基本的には「グレードではなく程度優先で選ぶ」というのが中古車選びの鉄則ではありますが、いい状態の「シエロ」がこの価格帯で見つかったならば、なかなかお値打ちな買い物となるでしょう。

ちなみに初期年式のシエロは、同時期のプレミアムと違って以下の装備類が標準装備されていました。

・バックアイカメラ
・アクティブクルーズコントロール
・ディスタンスアラート
・エマージェンシーブレーキサポート
・フルLEDヘッドライト
・パノラミックガラスルーフ（電動メッシュシェード付き）
・左右独立調整式オートエアコン
・ファブリックスポーツシート
 

狙い方2｜なるべくいい感じの先代308SWを、でもなるべく安く買いたい！
→オススメは総額100万円台後半のアリュールBlueHDi

狙い方1と似ていますが、1が「なるべく安く」に重きを置いていたのに対し、こちらは「なるべくいい」を最重要視しつつ、「でも、なるべくなら安く済ませたい」という切実な願いに対応するものです。

で、この場合は素晴らしい出来栄えの「ディーゼルターボエンジン」を選ぶのが先代308SWの場合は最適解で、そのうえで「1.6Lか2Lか？」「トランスミッションは8速ATか？　それとも6速ATで良しとするか？」を検討することになります。

結論から申しますと、このニーズに対しては「1.6Lディーゼルターボの6速AT車」、すなわち2016～2018年式のアリュールBlueHDiをオススメするしかありません。
 

▲なんだかんだでイチ推しなディーゼルターボエンジン搭載グレードを比較的手頃な予算で狙いたい場合は、総額160万～200万円あたりの価格帯に注目を。ただ、そのゾーンでのディーゼルターボ車の流通量は残念ながらやや少なめだ

走行距離を5万km以下に限定した場合、2Lのディーゼルターボエンジンを搭載する「GT BlueHDi」の、この価格帯での流通量は激少。そして8速AT＋新型1.5Lディーゼルターボエンジンになった2019年式以降の物件は総額240万円を軽く超えます。

それゆえ、「できるだけいい感じの308SWを、できるだけお手頃な予算で（具体的には総額100万円台の後半ぐらいで）」と考える場合は、1.6Lディーゼルターボエンジン＋6速ATのアリュールBlueHDiで手を打つほかないのです。

そしてそんな2016～2018年式アリュールBlueHDiも2022年8月1日現在、総額100万円台後半でイケる走行5万km以下の物件数は10台以下。……なかなかの狭き門と言えますが、本稿執筆時点ではとにかく存在はしていますので、「早い者勝ち」的な勢いで（？）問い合わせてみることをオススメしたいと思います。

この他、もしも総額240万円以上を投じるつもりがあるなら、8速AT＋新型1.5Lディーゼルターボエンジンになった世代を狙ってみるのもアリですし、先代プジョー308SWの後期型ディーゼル車とは、それだけのお金を投じる価値がある選択肢であるとも思います。

いずれにしましても先代プジョー 308SWは、総額100万円台から200万円台半ばで狙えるステーションワゴンとしては世界的にもトップクラスの実力を秘めている1台です。ぜひこの機会に、さらなる検討を始めてみることを本気でオススメいたします。
 

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者／執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。

この人の記事を読む