トヨタ プリウス(2代目)▲ハイブリッドカーがまだ“特別”だった頃は高く感じたが、今では多くの車がハイブリッドシステムを搭載。特別な存在でなくなった今ならお手頃価格で狙える

50万円以内でも狙えるようになった国産ハイブリッドカー

環境にもお財布にも“エコ”なモデルといえば、ハイブリッドカーを思い浮かべる人も多いのでは?

様々な特徴があるハイブリッドカーだが、なんといっても燃費の良さは大きな魅力だろう。

しかし、「なんとなく価格が高そうで、自分にはまだまだ手が届かない……」と思っている人もいるはず。

いやいやちょっと待ってほしい! 最近はエコカーの代表格でもある国産ハイブリッドカーの中に、支払総額50万円以下で狙えるようになってきたモデルがあるのだ。

ハイブリッドカーの始まりでもある初代トヨタ プリウスの登場から20年以上が経ち、ここ数年はハイブリッドシステムが当たり前のように搭載されるようになった。

そこで今回は、総額50万円以内とかなりお手頃な価格で手に入る、オススメ国産ハイブリッドカーを3モデル紹介しよう。

価格がネックでハイブリッドカーを諦めていた人は、特にチェックしてみてほしい。

 

トヨタプリウス(2代目) 10・15モード燃費:35.5km/L(1.5S)
THS IIへと進化したシステムで、当時の世界最高レベルの燃費を達成!

プリウス(2代目)▲初代はセダンスタイルだったが、2代目はハッチバックスタイルが採用された。ホイールベースが伸ばされたことで後席やラゲージスペースが広がった。全幅が1725mmのため3ナンバーサイズとなる

2003年9月に登場した2代目プリウス。初代に搭載されていたハイブリッドシステムTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)はTHS IIへと進化し、今も同社のハイブリッドシステムの基盤となっている。

2代目プリウスのTHS IIは、1.5Lエンジン+モーターという構成。モーターの出力は初代より約1.5倍に高められ、2Lエンジン車同等の出力&トルクを発揮する。

それでいて10・15モード燃費は、当時の世界最高レベルである35.5km/Lを達成。同時期の軽自動車のスズキ アルト(2004年9月~2009年11月)が24.5km/Lだから、驚くべき低燃費だ。

2代目プリウスの魅力はTHS II以外にもまだまだある。まずモーターのみで走行できる「EVドライブモード」が世界で初めて採用された。

また、駐車時にステアリング操作をアシストしてくれる世界初の機能(インテリジェントパーキングアシスト。DVDナビ装着車にオプション)も用意された。

デビュー時のグレード構成はベーシックな「S」と上級仕様の「G」。また、それぞれにスポーティな走りが楽しめるよう専用チューンされたサスペンションを備える「ツーリングセレクション」が用意されていた。

プリウス(2代目)▲車両姿勢安定制御システムVSCの進化版であるS-VSCを搭載。全車ウインドウガラスはUVカットガラスで、フロントガラスは赤外線カット機能も備わる。ニッケル水素バッテリーはトランク下に搭載

2005年11月に行われたマイナーチェンジでは内外装デザインのリファインの他、グレード構成の変更が行われた。

具体的には「S」に、より手頃な価格の「スタンダードパッケージ」が、また新たな最上級グレードとして本革シートを備える「G ツーリングセレクション レザーパッケージ」が追加されている。

デビュー時の車両本体価格は、224万~245万4000円だった。

プリウス(2代目)▲Gグレードはドアノブに触るだけで施解錠でき、ボタンを押すだけでハイブリッドシステムを始動できるスマートエントリー&スタート機能が備わる。7インチのタッチパネルにはエネルギーモニターを表示する他、エアコンやオーディオの操作画面が映し出される(写真はマイナーチェンジモデル)

装備面で「G」と遜色のない「S」は台数が多くて狙い目

原稿執筆時点の中古車台数は約100台。平均価格は約40万円で、平均走行距離は約9万8000kmだ。

最も多いのは「S」で、同グレードをベースとした特別仕様車なども含めると、全体の約7割を占める。支払総額50万円以下で絞ると約25台あり、十分探すことができるだろう。

ベーシックな「S」でも、上級グレードの「G」に装備されるクルーズコントロール機能と、6連奏CDチャージャーがないくらいで、さほど装備差を気にする必要はないだろう。

この価格帯では、走行距離10万km前後がほとんどだが、走行距離だけで判断するのではなく、過去の整備履歴などもしっかりチェックして判断するようにしよう。

▼検索条件

トヨタ プリウス(2代目)×総額50万円以内×全国

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トヨタ プリウス(2代目)×全国
 

ホンダ インサイト(2代目) 10・15モード燃費:30.0km/L(1.3G)
実燃費を向上させる仕掛けがあった

インサイト(2代目)▲初代は後輪がカバーに覆われた、近未来感のあるデザインだったが、2代目はライバル同様5ドアハッチバックスタイルに。全幅1695mmと5ナンバーサイズに収められた。スマートキーシステムは全車にオプション

プリウスのように、ホンダのハイブリッド専用車種として開発されたのがインサイトだ。

2009年2月に登場した2代目は、初代より進化した1.3Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムを搭載していた。

このシステムは、エンジンをモーターがサポートするイメージ。だからプリウスのような「EVモード」はない。

10・15モード燃費は30.0km/Lと、ライバルのプリウスには及ばなかったが、それでも当時の軽自動車を軽く凌駕する数値だった。

そして、カタログ数値ではなく実際に走る際の燃費を向上させるための機能を備えていたのが、この2代目インサイトの特徴のひとつだ。

「エコアシスト」という機能が備わり、自動でエンジン出力などを抑えて燃費を向上させる「エコモード」と、スピードメーターの背景色の変化で燃費状況をドライバーに教える「コーチング機能」、運転終了後メーター内ディスプレイに採点が表示される「ティーチング機能」があった。

特にコーチング機能とティーチング機能は、ドライブをゲーム感覚で楽しみながら燃費も低減できるという面があり、ドライバーの年燃費に対する意識を高めるものだった。

デビュー時のグレード構成は手頃な価格順で「G」「L」「LS」の3グレード。車両本体価格は189万~221万円だった。

インサイト(2代目)▲ライバルよりもハイブリッドシステムがコンパクトなこともあり、システムを制御するパワーユニットとニッケル水素バッテリーをラゲージ下に収めてもトランク容量は400Lあり、ゴルフバッグを3つ積める
インサイト(2代目)▲メーター中央はエンジンの回転計で、その中にリアルタイムの燃費状況がバーグラフで表示される。上のメーターは速度がデジタル表示され、背景色は燃費がいいと緑、悪いと青に変化する。LSにはCVTながらマニュアル車感覚が楽しめるパドルシフト(7速)が備えられた

2010年10月に一部改良が行われ、操縦安定性と乗り心地が向上。また、最上級グレードのLSに本革シートがオプションで設定されるなど、装備の充実が図られた。

2011年10月にマイナーチェンジが行われ、10・15モード燃費が31.0km/L(JC08モード燃費27.2km/L)に向上。内外装のデザインが変更された他、車両姿勢安定制御システムのVSAが全車に標準装備された。

また、グレード構成も見直された。従来の「LS」がカタログ落ちするとともに、より排気量の大きな1.5Lエンジンが組みあわされた(10・15モード燃費26.5km/L・JC08モード燃費23.2km/L)「エクスクルーシブ」ラインが追加されている。エクスクルーシブには価格が手頃な順に「XG」「XL」「XLインターナビセレクト」となる。

2013年5月にも一部改良が行われ、装備の充実化が図られた。

装備の充実した「L」でも支払総額50万円で十分選べる

原稿執筆時点の中古車台数は約450台。平均価格は約35万円で、平均走行距離は約7万2000kmだ。同時期のプリウスより台数が多く、走行距離も短めので狙い目と言えるだろう。

支払総額50万円以下も200台以上あって選びやすく、さらに走行距離5万km未満・修復歴なしの中古車も30台以上見つけられた。

この価格帯で選びやすいのは、約7割を占める最もベーシックなグレードの「G」だが、オススメは1つ上のグレードの「L」。「L」でもこの価格帯で約50台、走行距離10万km未満で絞っても30台以上見つけることができる。

「L」は「G」に対してオートライト機能や集中ドアロック、本革巻きステアリング、前後シートにアームレストなどが備わるなど装備は充実している。

さすがにこの価格帯で5万km未満・修復歴なしで絞ると「L」は5台程度になるが、「G」なら30台以上。5万km未満・修復歴なしにこだわるなら、やはり30台以上ある「G」がオススメだ。

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ホンダ インサイト(2代目)×総額50万円以下×全国

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ホンダ インサイト(2代目)×全国
 

ホンダ シビックハイブリッド(2代目) 10・15モード燃費:31.0km/L(MXB)
1.8L並みのトルクでも燃費は良好!

シビックハイブリッド(2代目)▲8代目シビックと同じセダンボディ。全幅が1750mmのため3ナンバーだ。見た目はガソリン車とほぼ同じだが、ハイブリッドモデルには空力が考慮された専用アルミホイールやフロントスポイラーなどが備えられた

2005年9月に登場した2代目シビックハイブリッド。

コンパクトな同社のハイブリッドシステム(IMA)の特徴を生かし、同時にデビューした8代目シビックに搭載され、1.8Lガソリン車とともにシビックのラインナップに加えられた。

1.3Lエンジン+モーターという基本構成は、後に登場する上記2代目インサイトとも同じだ。

しかし、エンジン・モーターともにシビックハイブリッドの方が高出力型で、他のシビックに搭載された1.8Lガソリンエンジンなみの低速トルクを発揮しながら、10・15モード燃費は最高で31.0km/Lを実現している。

トランスミッションはガソリン車が5速AT/5速MTなのに対し、ハイブリッドはCVTが採用されている。

また、このクラスでは初となるACC(IHCC/インテリジェント・ハイウェイ・クルーズ・コントロール)や、低速域追突軽減ブレーキが一部グレード(MX)にオプションで用意されていた。

一緒に開発されたため、ガソリン車と同等の走行安定性や乗り心地、室内の広さ、静粛性等が与えられたのがシビックハイブリッドの特徴でもある。

デビュー時は2グレード構成で、車両本体価格は10・15モード燃費31.0km/LのMXBが219万4500円、28.5km/LのMXが236万2500円。

シビックハイブリッド(2代目)▲トランクスペースは、ガソリン車が438Lなのに対し350Lとなる。車両姿勢安定制御システムのVSAは「MX」グレードにオプションで用意された。リモコンでドアを施解錠できるキーレスエントリーシステムは標準装備。グレード「MX」にはキーを携帯してドアノブを握るだけで開く「スマートキーシステム」がオプションで用意された
シビックハイブリッド(2代目)▲メーター中央はエンジンの回転計、その左に回生ブレーキの状況がバーグラフで表示される。上のメーターはデジタル式の速度計。グレード「MX」にはラジオチューナー付きCDプレーヤーが標準装備されている

2006年9月に最上級グレード「MXST」(10・15モード燃費26.0km/L)が追加された。

また、2007年9月には全車に車両姿勢安定制御システムのVSAが標準装備となった(MXSTは従来から装備)。

2008年9月にはMXSTにホンダインターナビが標準装備されるなど、装備の充実化が図られた。

中間グレードの「MX」が台数が多くて選びやすい

原稿執筆時点の中古車台数は約40台と少ない。平均価格は約40万円で、平均走行距離は約7万3000km。ちなみに5万km未満はほとんどなく、10万km超は約10台見つけられた。

全体の台数が少ないが、その半数にあたる約20台が支払総額50万円以下で狙え、その約7割にあたる約15台が中間グレードにあたる「MX」だ。

ベーシックグレードの「MXB」の10・15モード燃費31.0km/Lより劣る28.5km/Lだが、その分装備が充実している。

「MXB」に対してオーディオが標準装備され、エクステリア&インテリアの加飾も充実。スタビライザーも備わるので操縦安定性や乗り心地も高くなる。

支払総額50万円以下で狙える「MX」の走行距離は5万~10万km以下がほとんどとなる。

▼検索条件

シビックハイブリッド(2代目)×全国

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シビックハイブリッド(2代目)×全国

以上、総額50万円以下から狙える国産ハイブリッドカーを3モデル紹介した。

どのモデルも今見ても一級と呼べる燃費性能を誇るが、年式的に古めのモデルというのも事実。

どんなモデルでもこの年代の車はメンテナンスが重要になってくるが、特にハイブリッドカーの場合は生命線とも言える「ハイブリッドバッテリー」の故障も念頭に入れておく必要がある。

20万kmは持つともいわれているが、過去の使用状況に応じて寿命は大きく異なってくる。

このハイブリッドバッテリーが故障すると、交換に20万円程度かかることもあるため、万が一のことを考えてある程度のメンテナンス予算を確保しておくことをオススメする。

文/ぴえいる、写真/トヨタ、ホンダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。