日産 シルビア▲AE86やシルビア、マークⅡといった定番ドリ車の現在の中古車事情にフォーカスします

今やすっかりモータースポーツのいちジャンルとして定着したドリフト走行。後輪をスライドさせながら車をコントロールしつつ、コーナーをクリアするというのは、それなりのドライビングテクニックを要するもの。ですが、キマったときの快感は何物にも代えがたいですよね?

そんなドリフト走行を楽しむのであれば、やはりフロントエンジンリアドライブのFRレイアウトの車両が最適! なのですが、なかなか適した新たな車種が登場していないため、現在でも以前からの定番車種に人気が集中しています。

そこで今回は、そんな定番ドリ車ベースの現在の中古車事情をチェックしてみたいと思います!
 

 

トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)

「ハチロク」の愛称でも知られるAE86型カローラレビン/スプリンタートレノは、トヨタの代表的な車種であるカローラとその兄弟車であるスプリンターのスポーティモデルであり、その4代目モデルとして1983年に登場したのがAE86でした。
 

トヨタ スプリンタートレノ
トヨタ カローラレビン▲上が3ドアのスプリンタートレノで下がカローラレビン

基本的なプラットフォームは、3代目モデルからのキャリーオーバーでしたが、エンジンを新たにスポーツツインカムエンジンの4A-G型としたことで、熟成が進んだ足回りとともに当時としては高いポテンシャルを発揮し、多くのモータースポーツシーンでも活躍を見せたのです。

なおレビンは、固定式のヘッドライトを採用していましたが、トレノは当時流行していたリトラクタブルヘッドライトを採用。また、ボディタイプは2ドアノッチバックと3ドアハッチバックが用意され、量販グレードとしては1.5LのSOHCエンジンを搭載した「AE85」も存在しています。
 

トヨタ カローラレビン▲こちらは2ドアレビン。大きな違いはトランク部分のデザイン

そんなAE86はすでに登場から40年が経過しようとしているいわばクラシックカーであり、走行距離や修復歴の有無というような一般的な中古車の尺度では状態を計り知ることは難しいというのが正直なところ。

流通台数は、トレノが18台、レビンが53台と、レビンが多く流通しています。

価格帯も600万円に迫るものも。安価なものでも200万円前後と、当時の新車価格をほぼほぼ上回るものとなっています。

フルノーマルに近い物件は高値になる傾向はありますが、ワンオーナー車でもない限り過去のカスタマイズ状況は判別がつかないため、現在の状態を最優先した物件選びが必要となりそうです。

特に、この年式の車両はサビや腐食が発生しやすいため、フェンダーの内側やトランク、フロアなどの状態チェックは忘れずに。
 

▼検索条件

トヨタ スプリンタートレノ(AE86・3ドア&2ドア)×全国

▼検索条件

トヨタ カローラレビン(AE86・3ドア&2ドア)×全国
 

トヨタ マークII/チェイサー/クレスタ(100系)

トヨタ マークⅡ
トヨタ チェイサー
トヨタ クレスタ▲上から100系のマークⅡ、チェイサー、クレスタ

クラウンとコロナの間を埋める車種として登場したマークIIと、その兄弟車としてリリースされたチェイサーとクレスタは、コンサバティブなミドルクラスの4ドアモデルですが、FRレイアウトとハイパワーなターボエンジンをラインナップしていたことでドリ車ベースとしても人気の高い1台です。

特に1996年に登場した100系と呼ばれるモデルは、3兄弟体制最後のモデルかつ比較的高年式ということもあって、いまだに多くのユーザーが愛用しているモデルとなっています。

基本的には大きな違いのない3車ですが、マークIIとチェイサーは4ドアハードトップでクレスタのみ4ドアセダンとなっており、クレスタのみ全高が20mm高められていました。

そんなマークII3兄弟は、2L、2.5L、3Lの6気筒ガソリンエンジンと、2.4Lのディーゼルエンジン(チェイサーのみ4気筒の1.8Lもアリ)と幅広いエンジンをラインナップしていましたが、ドリ車ベースとして人気があるのは2.5Lターボエンジンの1JZ-GTE型エンジンを搭載したモデルです。

2.5LターボエンジンはマークIIとチェイサーでは「ツアラーV」、クレスタでは「ルラーンG」というグレードに搭載されていましたが、マークIIとチェイサーには5速MTが設定されていたのに対し、クレスタは4速ATのみの設定となっていました。

ただ、現在ではMTに換装された物件や、ノンターボのグレードにエンジンとミッションを換装した物件も珍しくないため、グレードだけでの判断は難しくなっています。

1JZ-GTEエンジン搭載でMTという条件での流通量は、マークⅡが42台、チェイサーが74台、クレスタはわずか3台のみ。今回のラインナップ中では高年式ということもあり、AE86よりは台数が多いですが、ミッションの載せ替えが必要なクレスタは希少な存在です。

そんな100系のターボエンジン搭載車は、エンジンやミッションを換装した物件であれば総額200万円ほどから存在し、高額なものは500万円近いものまで様々。

高額車はフルノーマルの低走行車から即ドリフト競技に参戦できそうな仕上がりのものまで幅広くなっていますが、ドリ車ベースとして考えるのであれば、ある程度チューニング済の物件の方が、お買い得感が高そうです。
 

▼検索条件

トヨタ マークⅡ(100系・1JZ-GTE搭載モデル・MT)×全国

▼検索条件

トヨタ チェイサー(100系・1JZ-GTE搭載モデル・MT)×全国

▼検索条件

トヨタ クレスタ(100系・1JZ-GTE搭載モデル・MT)×全国
 

日産 シルビア(S13~S15)/180SX

ドリ車ベースの代名詞的な存在であるS13型以降のシルビアと、その兄弟車である180SX。基本的なプラットフォームは、S13型からS15型まで共通となっているため、チューニングのノウハウやカスタマイズのパーツの融通が利くという点も人気の理由のひとつとなっています。

1988年に登場したS13型の前期型(1991年1月以前)は直列4気筒1.8LのCA18型(NA135ps・ターボ175ps)を搭載し、後期型は直列4気筒2LのSR20型(NA140ps・ターボ205ps)へとバトンタッチ。
 

日産 シルビア▲S13型のシルビア

1993年に登場のS14型では、プラットフォームこそ共通ながら3ナンバーボディとなりますが、当時は肥大化したと言われて不人気となり、柔和な印象のフロントマスクも評判が芳しくなく、1996年6月のマイナーチェンジでつり目のフロントマスクへと変更がなされました。

このS14型ではSR20エンジンもパワーアップがなされ、NAが160ps、ターボが220psとなっています。
 

日産 シルビア
日産 シルビア▲上が前期型で下が後期型のS14型シルビア

続くS15型は1999年に登場。S14型が3ナンバー化で酷評されたことを受けて再び5ナンバーサイズとなり、ターボモデルのMTが5速から6速へと多段化がなされるなど着実に進化。エンジンもNAが165ps、ターボが250psへとさらなるパワーアップを果たしています。
 

日産 シルビア▲シルビア最後のモデルとなっているS15型シルビア

そんなシルビアの兄弟車として、1989年に登場したのが180SXです。2ドアノッチバッククーペのシルビアに対し、3ドアハッチバックボディとリトラクタブルヘッドライトをもった180SXは、シルビアよりもスポーティな性格が与えられ、当初はCA18型のターボエンジンのみがラインナップされていました。

1991年1月には、シルビアとともにSR20型エンジンへと換装されましたが、車名は180SXのままで、シルビアがS14型にフルモデルチェンジを果たした後も継続販売。ただし、エンジンがパワーアップされることはありませんでした。

デビュー当初からターボエンジンのみのラインナップだった180SXですが、1996年8月のマイナーチェンジ時に遅ればせながらNAモデルを追加設定し、1999年にS15型シルビアが登場するまで販売が続けられていたのでした。
 

日産 シルビア▲リトラクタブルライトが特徴の180SX

そんなシルビア/180SXの中古車ですが、現時点で安価な物件はNAエンジンのものが中心。ただ、それでも100万円以上のプライスタグが付けられており、ベース車として考えてもなかなかしびれる価格帯といえます。

安価な物件はS14~S15が中心で、S13型においてはすでにクラシックカーの領域ということもあって、全体的に価格が高値安定となっています。

一方、ドリ車ベースに最適なターボのMT車となると、シルビア/180SXともに最低でも総額200万円~という状態で、シルビアについてはS14型が中心となっていました。

逆に高額な車両になるとS15の超低走行フルノーマルのターボモデルが800万円台、ある程度ドリ車として仕上がっている物件で400万~500万円と状況となっています。

それぞれの流通量を見てみると、S13が46台(MTターボ22台)S14が76台(MTターボ48台)S15が193台(MTターボ115台)と180SXが102台(MTターボ77台)となります。値は張るものの、台数が多い分選びやすいという点もメリットです。
 

▼検索条件

日産 シルビア(S13型)×全国

▼検索条件

日産 シルビア(S14型)×全国

▼検索条件

日産 シルビア(S15型)×全国

▼検索条件

日産 180SX(初代)×全国
 

日産 スカイライン(R34型)

直列6気筒のRB系エンジンを搭載した最後のスカイラインであるR34型も、ドリ車ベースとして根強い人気を誇るモデルです。

通算10代目となるR34型は1998年に登場。「ボディは力だ。」をキャッチコピーに高剛性ボディを売りとしており、その高いシャシー性能を生かすために、2.5Lターボモデルは当時の自主規制値MAXである280psを発生していました。

また、この代のスカイラインは2ドアクーペのみならず、4ドアセダンもドリ車ベースとして高い人気となっていますが、これは当時のD1ドライバーである野村謙氏が長らく4ドアのR34で参戦していたからにほかなりません。
 

日産 スカイライン
日産 スカイライン▲上が4ドア、下が2ドアのR34スカイライン

そんなR34型スカイラインのターボモデル、AT車であれば総額150万円前後から見つけることができますが、MT車となるとATからの載せ替え車両であっても総額200万円前後から、純正5速ともなると総額250万円からという状態となっています。

高額車両については600万円前後の物件も決して珍しくなく、どちらかというとノーマルに近い物件の方が高値となっている印象。また、クーペの方が高値安定となっているので、強いこだわりがなければセダンを中心に探す方がまだ手頃な価格の物件に巡り合うことができそうです。

流通量は、2ドアターボが59台(MT52台)、4ドアターボが63台(MT49台)となり、いずれもMT比率が高い状況です。

▼検索条件

日産 スカイライン(R34型・4ドア・ターボモデル・MT)×全国

▼検索条件

日産 スカイラインクーペ(R34型・2ドア・ターボモデル・MT)×全国

今回はいまだに高い人気を誇っているドリ車ベースの車たちをご紹介しましたが、どのモデルも最も新しい車両でも20年選手となっており、エンジンやミッションを換装した車両も珍しくない状態となっています。そのため、単純に価格や年式、走行距離や修復歴でひとくくりにすることが難しいというのが正直なところ。

そんな状態でよい物件と巡り合うためには、車選びももちろんですが、信頼できる販売店を見つけることが近道となるかもしれません。
 

※記事内の情報は2022年6月8日時点のものです。
 

文/小鮒康一、写真/日刊カーセンサー、トヨタ、日産、Photo AC
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。