フォルクスワーゲン アルテオンの中古車平均価格が2年ちょっとで50万円近く下落……買っちゃっても大丈夫ですか?
2022/05/28
2021年前半に大幅ダウントレンドへ転換した理由は?
フォルクスワーゲン アルテオンは、2017年秋に発売されたDセグメント(メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズぐらいの車格感)の4ドアクーペ。
世界的な自動車ブランドであるフォルクスワーゲンの最新フラッグシップであり、優雅なクーペフォルムがかなり素敵な1台です。新車価格も578万9900~646万6000円と――フラッグシップですから当然ですが――なかなかのお値段です。
しかし、そんなフォルクスワーゲン アルテオンの中古車平均価格が、2年ちょっとで約50万円も下落しています。
上のグラフを見てのとおり、2020年中は緩やかで一般的な値落ちペースだったのですが、2021年には明確なダウントレンドに。そして直近の平均価格は390万円にまで低下しています。
これには何か“事情”があるのでしょうか? つまり「不具合が多発する」などのネガティブな理由があるがゆえに、平均価格が下落しているのでしょうか? それとも単純に相場が下がっただけ、つまり「普通にお買い得になった」というだけのことなのでしょうか?
……いろいろ気になりますので、検討してみることにしましょう。
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フォルクスワーゲン アルテオン(現行型)×全国電動ハッチゲートを備えた流麗な4ドアクーペ
まずはその前に、フォルクスワーゲン アルテオンという車の概略を簡単にご紹介しておきます。
アルテオンは、前述のとおり2017年10月に上陸したフォルクスワーゲンのフラッグシップ。ボディタイプとしては「4ドアクーペ」というジャンルに該当するもので、低く流麗なルーフラインとファストバックスタイルが大変に美しい仕上がりとなっています。
全長4865mm×全幅1875mm×全高1435mmというボディサイズは「現行型BMW 3シリーズより少し大きい」といったニュアンス。
ハッチバック式の電動テールゲートを備えることで、ステーションワゴンに近い使い勝手を実現しています。荷室容量は通常時でも563Lと十分ですが、後席を倒せば1557Lまで拡大可能です。
パワートレインは最高出力280ps(※後期型は272ps)の2L直4ターボ+7速DSG(DCT)で、駆動方式は電子制御油圧多板クラッチを用いた4MOTION(フルタイム4WD)。WLTCモード燃費値は11.8km/Lと公表されています。
運転支援システムは――最新世代のフラッグシップですから当然ながら――歩行者検知対応のシティエマージェンシーブレーキに加えて、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストシステム、渋滞時追従支援システム等々々々々……が全車標準装備です。
グレードラインナップとそれぞれの新車価格は、ベースグレードに相当する「TSI 4MOTION R-Line」が587万9900円、アラウンドビューカメラなどが標準となる「TSI 4MOTION R-Line Advance」が646万6000円、文字どおりエレガントな内外装装備が装着される「TSI 4MOTION Elegance」が同じく646万6000円です。
平均価格が大幅に下がった理由は……
以上のとおりの概要となるフォルクスワーゲン アルテオンは、なかなか素敵なDセグメント車であるように思えます。それがなぜ、この2年間で約50万円も平均価格を下げてしまったのでしょうか?
先代ゴルフの初期モデルであったように、DSGというツインクラッチ式ATが壊れてしまうケースが出ている?
それとも、280ps級の出力を発揮するという2Lターボエンジンが意外とスカ?
もしくは、フォルクスワーゲン車なのに高速安定性が実はイマイチ?
……こういった心配をする人もいらっしゃるかもしれませんが、結論から申し上げると、そういったことは特にありません。
個別には何らかの故障やマイナートラブルは機械ゆえに発生しているかもしれませんが、全体としては、フォルクスワーゲン アルテオンは「特に壊れやすい部分もない、よく走る、カッコいい車」と断言して間違いありません。
それがなぜ安くなってしまったかといえば……答えはカンタンで、まずは「初回車検のタイミング」です。
アルテオンが日本で発売されたのは前述のとおり2017年10月でしたが、実際のデリバリー(納車)は、なんだかんだで2018年の初頭から春頃にかけてが中心でした。
で、そこから3年が経過するとどうしても車検を受けなければならないわけですが、フォルクスワーゲン アルテオンのようなけっこう高い車を新車で買う人というのは、もちろん全員ではありませんが、3年も乗ると満足し、他の新車にとっとと乗り替える場合が多いものです。
となると、2018年の前半に納車されたアルテオンが2021年の前半に中古車市場へ数多く流れ込んできますので、必然的に平均価格は大きく下がることになります。これが「2年ちょっとで50万円以上安くなった!」という現象の根本的な原因であり、不具合うんぬんはまったく関係ありません。
また、もうひとつの根本的な理由として、「高額な車のリセール価格は、最初の3年でほぼ必ず大きく下がる」というのがあります。これはフォルクスワーゲン アルテオンに限らずメルセデス・ベンツでもBMWでも、そして日本のレクサスなどでも、ほぼ必ず起きる現象なのです。
それゆえ、「……何かネガティブな要因があるから安くなったのでは?」というのは単なる取り越し苦労なのです。
もちろん内外装のコンディションなどをしっかり確認したうえでの話になりますが、基本的には「アルテオンの中古車はどれを買ってもだいたいOK」と言うことができるでしょう。
ネガティブな要因が特にないとわかったならば、あとは「いい感じの中古車を、できればなるべく手頃な価格で手に入れる」という具体的なアクションを起こすのみです。
2022年5月下旬現在、フォルクスワーゲン アルテオンの中古車は全国で約120台が流通しており、価格(支払総額)は下が約310万円で、上が約620万円というイメージです。これらの膨大な選択肢の中から「どの1台」を選ぶのが、最終的には正解となるのでしょうか?
ケース別というかニーズ別に、考えてみましょう。
なるべくお安く手に入れたいなら「2017~2018年式R-Line 4MOTION Advance」
2018年8月から車名が「TSI 4MOTION R-Line Advance」へと微妙に変わったのですが、こちらは車名が変わる前の初期世代です。
Advanceではない素の「R-Line 4MOTION」の方がお安いのですが、こちらは新車があまり売れなかったようで、中古車は全国で5台しか流通していません(※2022年5月下旬現在)。
そのためそもそも探すのが難しいですし、やはりAdvanceならではのアラウンドビューカメラと駐車支援システム、ダイナミックライトアシストはあった方がいいと思われます。
そのため、ここは総額320万~370万円ほどのゾーンで2017~2018年式R-Line 4MOTION Advanceの、なるべく内外装がキレイな1台を探し出すのが正解となるでしょう。
ちなみに、2018年8月以降の「TSI 4MOTION R-Line Advance」を探したい場合は総額360万~410万円あたりと、ややお高めになります。
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フォルクスワーゲン アルテオン(現行型)×2017~2018年式×R-Line 4MOTION Advance×全国コスパ重視なら「TSI 4MOTION R-Line AdvanceまたはTSI 4MOTION Eleganceのラグジュアリーパッケージ装着車」
「なるべくなら安く買いたい」というのがおおむねの人情ではありますが、かといって、せっかくフォルクスワーゲン アルテオンのような「高級でカッコいい車」を買うのですから、ある程度以上のラグジュアリーな装備もないことには、人間はなかなか満足することができません。
コストとパフォーマンスの双方を重視しながらフォルクスワーゲン アルテオンを探したい場合は、TSI 4MOTION R-Line AdvanceおよびTSI 4MOTION Eleganceに装着可能だった「ラグジュアリーパッケージ」というセットオプションが装着されている中古車を探してみるのがオススメとなります。
新車時は+24万8000円だったラグジュアリーパッケージに含まれるのは、電動パノラマスライディングルーフと、デンマークのオーディオメーカーDynaudio(ディナウディオ)製のプレミアムサウンドシステム。
この2つのゴキゲンな装備が装着されている(内外装がキレイな)中古車を、総額380万~450万円ほどのゾーンで探してみるのが、多少値は張りますが、後々の満足度までを考えれば「高コスパ」な選択となることでしょう。
ちなみに、カーセンサーnetでラグジュアリーパッケージ付きのアルテオンを探したい場合は、車名表記のところに「Dynaudio」「DYNAUDIO」「パノラマサンルーフ」などと書かれていることを目印にしてください。
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フォルクスワーゲン アルテオン(現行型)×「TSI 4MOTION R-Line Advance/TSI 4MOTION Elegance」×全国※システムの都合上、ラグジュアリーパッケージ非装着車も含まれますのでご了承ください
以上のとおり、この2年で50万円以上お安くなったとはいえ、決して格安ではないフォルクスワーゲン アルテオンという車ではあります。
しかし、なんともカッコいい4ドアクーペであり、その割には街であまり見かけない存在でもありますので、購入後の「存在感」と「満足感」はかなりのモノとなるはず。まずはカーセンサーnetで、いろいろとチェックしてみてください!
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フォルクスワーゲン アルテオン(現行型)×全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。