スズキ カプチーノ ▲軽自動車ながら本格的なFRレイアウトをもつオープンスポーツカー、スズキ カプチーノ

唯一無二の走りとボディタイプが楽しめる軽スポーツ

ここのところ価格の高騰が続いている、90年代の国産スポーツモデル。特に後輪駆動(FR)車は高年式のモデルが少ないこともあって高値安定となっています。

それはシルビアやスカイライン、スープラといった普通車だけでなく、軽自動車も同じこと。特に90年代に登場した"平成ABCトリオ"と呼ばれた、マツダ オートザムAZ-1、ホンダ ビート、スズキ カプチーノも現在、ジワジワと価格が上昇しているのです。

ということで、今回は平成ABCトリオの中で唯一FRレイアウトを採用していたスズキ カプチーノをチェックしてみましょう。

カプチーノは、1989年に開催された第28回東京モーターショーに参考出品されたものが原型となり、91年11月に発売がスタートしました。
 

スズキ カプチーノ ▲こちらが1989年の東京モーターショーに展示されたコンセプト版カプチーノ

コンセプトモデル時代は、550ccエンジンを搭載とアナウンスされていました。

しかし、軽自動車規格の変更に伴い、発売の際には、当時のアルトワークスなどに搭載されていた660ccの直列3気筒DOHCターボエンジンであるF6A型エンジンが搭載されました。

ロングノーズ、ショートデッキというFRスポーツカーの不文律を踏襲したスタイルに加え、3分割で取り外せるルーフと格納できるリアピラーをもっており、クーペ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンと4種類のボディ形状を楽しむことができる点も他にない特徴となっています。
 

スズキ カプチーノ ▲自分好みにルーフ形状を変えることができる点もカプチーノの大きな魅力

1995年5月にはビッグマイナーチェンジを受け、エンジンがF6A型からオールアルミニウム製エンジンのK6A型に変更。パワーは自主規制値の64psのままでしたが、最大トルクが8.7kg・mから10.5kg・mへと大きく向上されました。

また、それまでは5速MTのみだったトランスミッションに新たに3速ATが追加。平成ABCトリオの中では唯一のAT車ということで、AT限定免許のユーザーにはうれしい改良と言えるでしょう。

ちなみに、カプチーノはAT車と一部の特別仕様車を除き、パワーステアリングが装着されない仕様となっています。

軽量なFR車ということで、そこまで重いわけではありませんが、試乗のときにステアリングが重くても、それは故障ではないのでご安心ください。
 

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気になるカプチーノの平均価格の推移は?

もともと新車時は150万~160万円ほどだったカプチーノですが、すでに登場から30年以上が経過したということもあり、状態の良いものは高値となっています。
 

スズキ カプチーノ

価格の推移を見てみると、2019年時点では70万円台だったものが、徐々に値上がり始め、2021年には90万円台に。2021年11月時点では、ついに100万円台に突入しているのです。

掲載台数も2019年時点では200台を超えていたのですが、2021年には140台前後に。

これは、FRスポーツカーが人気となっていることはもちろんですが、登場から25年が経過した車両はアメリカへの輸出が容易となることで、日本国外への輸出が始まっていることも影響していると考えられます。

実際、アメリカではカプチーノが170万~300万円ほどの価格で販売されており(輸出コストなどもありますが)日本より高値となっているため、早めに購入しておかないとどんどん海外へ流出してしまうという懸念もあります。

では、今カプチーノを狙うとしたらどんな仕様がオススメなのでしょうか?

次から、詳しく見てみましょう。
 

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今から乗るならK6Aの後期型!
1995年以降 × 修復歴なし

カプチーノが現役バリバリの時代は、チューニングのノウハウが豊富なF6A型エンジン搭載車がオススメ! といわれていましたが、今から乗るとなると基本設計の新しいK6A型エンジンを搭載した後期型を狙いたいところ。

K6A型エンジンは、2018年まで生産が続けられていた先代ジムニーにも搭載されていたので、部品供給不足の心配がない点も安心感が高いポイントです。

ただ、後期型は物件数が少なく、修復歴なしも条件にプラスするとヒットするのは2021年12月時点で15台ほど。

多走行な物件では100万円を切るものもありますが、低走行となると新車価格を超えるものも珍しくなく、どちらをチョイスするかは悩ましいところです。
 

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スズキ カプチーノ × 1995年以降 × 修復歴なし × 全国

オープンエアモータリングをイージードライブで!
AT車仕様

平成ABCトリオとしては、唯一となるAT仕様をもつカプチーノ。

3速ATということで高速走行はややつらいものの、FRレイアウトということもあり、ワインディングをオープンで流す分にはAT限定免許でも走りが楽しめる点は特筆すべきポイント。

今、カプチーノを検討する人はセカンドカーとして狙う人が多いでしょうし、AT車であれば家族やパートナーとも楽しむことができることでしょう。

ただし、AT車はマイナーチェンジ後に追加されたということもあり、物件数は多くありません。それでも、MT車に比べると低走行かつ手ごろな価格の物件が多く、安いものでは車両本体価格50万円台から見つけることができました。
 

スズキ カプチーノ ▲内装も軽自動車としてはかなり上質な仕上がりとなっていた

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スズキ カプチーノ × AT車 × 全国

恐らく今後も海外への輸出が増え、どんどん価格が上がっていくことが予想されるカプチーノ。

販売期間は7年と長いものの、総生産台数は2.7万台弱とビートよりも少なかったため、気になっている人は即行動に移さないと手が出ない価格になってしまうことも十分考えられそうです。
 

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※記事内の情報は2021年12月9日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/スズキ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。