メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲2018年のマイナーチェンジでヘッドライトがLED化され、上位機種はSクラスと同じ「マルチビームLEDヘッドライト」が装備された。同ライトはハイビーム時に対向車を検知するとその部分だけ照射しないようにできる他、最長650m先まで照射できる機能を備えている

日本で10万台以上も売れた人気のDセグメント車

名車「190」を祖にもつメルセデス・ベンツのDセグメントセダンがCクラス。

BMW 3シリーズやアウディ A4といった競合がひしめく中、2014年7月に登場した旧型は、セダン・ステーションワゴンを合わせて日本で累計10万台以上が売れ、2015~2019年まで年間の輸入車Dセグメントのナンバーワンに輝いた人気車だ。

2021年6月に新型となる現行型に切り替わったが、先述のとおり売れに売れた旧型は中古車台数が多く、経年に沿って順調に値下がりしている。

具体的には、今年10月には前年同月比で約30万円安い約310万円に、さらに原稿執筆時点(2021年12月9日)にはいよいよ300万円を切っている状況だ。

フルモデルチェンジによる乗り替え需要で今後も値を下げるだろうが、これだけおいしくなってきた今こそ、早めにコンディションの良い中古車を狙いたい。

以下、相場の詳細を見ていくとともに、今狙うならどんな物件がオススメか、詳しく見ていこう。

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メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型・W205型)×全国 ※価格昇順

3回目の車検タイミングと、新型車登場で下落が順調に進んでいる

昨年8月に平均価格350.8万円をつけていた旧型Cクラスの中古車は、今年上旬に一気に値落ちし、3月には30万円も安い319.1万円となった。

以降、値落ちのスピードは緩やかになったもののじわじわ下がり続け、今年10月には1年前より40万円ほど安い310.1万円にまで落ち込んだ。

さらに、フルモデルチェンジによる乗り替えが順調に進むようになると、下落スピードが加速し、原稿執筆時点での平均価格は298.8万円に。ついに300万円を切るようになってきた。

メルセデス・ベンツ Cクラスの平均価格推移グラフ

流通している中古車を詳しくみると、2014年~2016年式という初期型の多くが220万円未満まで下がっている一方、2018~2020年式という高年式車の多くは400万円以上のプライスタグを掲げている。

大まかに言えば、220万円未満の初期型と400万円以上の後期型という二層構造になっていて、しかも大量の初期型が市場に流通してきたため、平均価格が下がっているというわけだ。

確かに2021年は、デビュー年の2014年から数えて7年目。そのため初期型を購入した人は、今年や来年が3回目の車検タイミングだから、新型への乗り替えがさらに進み、下取り車も増えるだろう。

そうなれば低年式で、それに相応した走行距離の中古車が増えるわけだから、平均価格はさらに下落が続くと考えられる。

とはいえ、増えるのは低年式・多走行車が多いはず。つまり、コンディションの良い旧型Cクラスを狙うなら、300万円を切り始めた今こそ正解ではないだろうか。

2018年7月のマイナーチェンジで安全機能がさらに進化

メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲アルミを大量にしたボディによって、旧々型より約70kg軽量化されるなどしたことで、優れた走行性能や低燃費化を実現した

では、旧型Cクラスとはどんなモデルだったのか、簡単に振り返ってみよう。

2014年7月に登場した旧型Cクラスの大きなトピックスは、前年に登場したSクラスと同等の安全運転支援機能「インテリジェントドライブ」が用意されたことだろう。

2つのカメラと6個のレーダーにより車の周囲360度をカバーするこのシステムは、衝突被害軽減ブレーキはもちろん、いくつもの先進技術が盛り込まれている。

まずは、ディストロニックプラス。自動で速度と車間距離を調整しながら先行車に追従する他、ステアリング操作のアシストも行ってくれる。また、ハイビームで走行中に対向車が来ると、ハイビームが当たらないように照射範囲を自動制御。

他にも、衝突被害軽減ブレーキは飛び出してきた車両や歩行者も検知し衝突を回避しようとする。これらは、「レーダーセーフティパッケージ」としてC180系はオプションで、他グレードには標準装備された。

デビュー時に用意されたエンジンは、1.6Lターボ(C180)と最高出力184psの2Lターボ(C200)、最高出力211psの2Lターボ(C250)の3種類。トランスミッションはいずれも7速ATだ。

また、ダンパーの減衰力を選べるアジリティコントロールサスペンション、それよりさらにスポーティなスポーツサスペンション、同セグメントでは初となるエアサスペンションの3種類のサスペンションが用意されている。

メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲デビュー時、アジリティコントロールサスペンションはC180、C180アバンギャルド、C200アバンギャルドが装着。スポーツサスペンションはC180アバンギャルドAMGラインが装着、エアサスペンションはC250スポーツ、C200アバンギャルドAMGラインが装着
メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲カーナビやオーディオなどを統合制御するコマンドシステムは全車に標準装備されている。USBインターフェイスが2つ備わり、Bluetooth経由でもスマートフォンの音楽を聴ける
メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲C180は運転席のみ、他は助手席も電動パワーシートが備わる。デビュー時点ではC180を除く全車にアンビエントライト(3色)が標準装備され、パフュームアトマイザーやETC空気清浄機能がオプションで用意された

2015年7月には、メルセデスAMGが開発した3L V型6気筒ツインターボを搭載するスポーツモデルのC450 4マチックが、同年9月には2.2Lディーゼルターボ(C220d)が、さらに同年12月にはCクラス初のプラグインハイブリッド(C350 eアバンギャルド)が立て続けに追加された。なお、C220dは9速AT、C450 4マチックとC350 eアバンギャルドは7速ATが組み合わされている。

メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲C450 4マチックの最高出力は367ps、最大トルクは520N・m。AMGのスポーツ走行用4WDシステムやスポーツサスペンションが組み合わされ、0-100km/hは4.9秒。左ハンドルのみで車両本体価格は863万円とCクラスで最も高かった
メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲c350 eアバンギャルドはC250の2Lターボにモーターが組み合わされたプラグインハイブリッド。システムトータルでの最高出力は279ps、モーターのみで最大28.6km走ることができる

2017年2月に一部改良が行われ、C200に4WDのC200 4マチックアバンギャルドが追加された。

同時に、C200以上に標準装備されていた「レーダーセーフティパッケージ」をいったんC180同様オプション扱いとしたうえで、その分の車両本体価格20万円を値下げし、そのうえで「レーダーセーフティパッケージ」を無料で装着できるキャンペーンが展開された。実質全車に標準装備されたようなものである。同時に、C180系とC200系のトランスミッションは7速から9速へ多段化された。

2018年7月にはマイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインが変更された他、パワートレインが見直されている。

まず、C200系は1.5Lターボ+BSGのマイルドハイブリッドとなった。また、C220dはEクラスにも搭載されている新しい2Lディーゼルターボに切り替えられた。

さらに、インテリジェントドライブも進化。渋滞時に停止した場合、30秒以内なら自動で再発進する機能や、ウインカーを出すだけでシステムが周囲の安全を確認して車線を変更してくれる機能、万が一ドライバーが走行中に気を失ったら緩やかに減速・停止する機能が備えられた。

2019年9月にはC180系のエンジンが1.5Lターボに切り替わり、モデル末期の2020年2月には「レーダーセーフティパッケージ」がC180系、C200系、C220d系に標準装備された。

2021年7月に現行型に切り替わり、販売が終了。2020年4月時点の車両本体価格は489万~686万円だった。

メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)▲マイナーチェンジでインパネに備わるディスプレイのサイズが8.4から10.25インチに拡大。また上位機種には液晶のメーターパネルディスプレイが採用された

選びやすいC200系か、トルクフルな走りのC220dがオススメ

最も多いのは、約4割を占める2WDのC200系、次いで約2割を占めるC180系。オススメはやはり台数が多くて選びやすく、充実した装備のC200系だ。その中でも、初期型なら走行距離5万km未満でも支払総額200万円以下で見つけることができ、お手頃感が高い。

なお、初期型でもレーダーセーフティパッケージが標準装備されているので安全機能面は安心。2018年7月のマイナーチェンジで安全機能がグッと進化しているが、支払総額は300万円超となるので、予算に余裕があるなら探してみよう。

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メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型・W205型)×2014年7月~2018年6月生産モデル×C200系グレード×全国

そしてもうひとつオススメしたいのが、C220d。台数はC180系とほぼ同じで、全体の2割近くあって選びやすい。

1.6LターボのC180でさえJC08モード燃費が17.3km/Lのところ、C220dは20.3km/L(マイナーチェンジ後は18.9km/L)。一方で、最大トルク400N・mは初期型のスポーティモデルである2LターボのC250の350N・mを上回る。

走行距離5万km未満で絞ると支払総額250万円あたりからになるが、それでもデビュー時の車両本体価格559万円の半額以下と十分お手頃感がある。

定期的にアドブルーを充填する手間と費用はかかるが、それでもこの低燃費とトルクフルな走りをこの価格で狙えるのは魅力的だと思うがいかがだろうか。

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メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型・W205型)×C220d系グレード×全国

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メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型・W205型)×全国
文/ぴえいる、写真/メルセデス・ベンツ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。