一世を風靡したVIPカーの3代目セルシオもいよいよ値上がり傾向に。状態の良いもの狙いなら早めの行動を!
2021/12/02
3代目セルシオは最後の日本的高級車だ
セルシオといえばトヨタが誇るフラッグシップカーであり、1989年に登場した初代モデルはその高い完成度から、欧州の高級車ブランドにも大きな衝撃を与えたことで知られる日本を代表する1台です。
海外では初代モデルから「レクサス LS」として販売されており、日本国内でも2005年からレクサスブランドが展開されたことによってセルシオの名前は3世代で終了。実質的な4代目モデルからは日本でもレクサス LSとして販売されているのは、多くの方がご存じのところでしょう。
そんなセルシオではありますが、明らかにヨーロッパ風味になってしまったレクサス LSとは違い、どことなく和風な香りが漂うモデルとして、LSが登場した今でも根強い固定ファンがいるのも事実。
さすがに初代や2代目モデルは、90年代にデビューしたモデルということもあって物件数も少なく、その結果状態の良いものは高値となりつつあります。そして、ここへきて3代目モデルもジワジワと価格を上げ始めているのです。
相場の話の前に、3代目セルシオについて簡単に振り返ってみてみましょう。
2000年8月に登場した3代目セルシオは、先代までのイメージを踏襲しながらも曲面を活用したデザインとなっており、今見ると先代セルシオと次世代のLSのちょうど中間といった絶妙なスタイリングで、今でも古さを感じさせません。
エンジンも2代目のV8 4LからV8 4.3Lへと排気量が拡大され、よりゆとりの走りを実現。排気量の拡大によって自動車税は1万円弱アップしてしまいますが、月に1000円未満の課金で余裕の走りを楽しめると考えれば決して高いものではないでしょう。
2003年8月にはマイナーチェンジが実施され、後期型へと移行。内外装のリファインだけでなく、ATが5速から6速へ、プリクラッシュセーフティシステム(衝突被害軽減ブレーキ)のオプション設定など大幅なアップデートが行われました。
そんなセルシオは、グレード体系が多岐にわたっていることでも知られていますが、大まかに分けると最もベーシックな「A仕様」系、スポーティな味付けの「eRバージョン(eR仕様)」系、エアサスを備えた上級グレードの「C仕様」系の3つに分けられます。
また、トヨタのオフィシャルチューナーとしても知られる「TOM’S(トムス)」が手がけたコンプリートモデルも存在しており(TOM'S F070M セルシオ GTやV430-R)、こちらはエアロパーツや足回り、ボディ補強に加え、スーパーチャージャーキットが装着されていて350ps前後を発生するというモンスターマシンで、特別な1台となっています。
▼検索条件
トヨタ セルシオ(3代目) ×全国ジワジワ価格上昇中の30系セルシオの物件数と平均価格は?
そんな3代目セルシオですが、冒頭にも触れたとおり、ここにきてジワジワと値段を上げているのです。
新車時は約500万~800万円という高額なプライスタグが付けられていた3代目セルシオ。その時の価格を考えると直近10月の84.5万円という平均価格は安価にも思えますが、実は2019年前半は55万円前後だったのです。つまり、およそ2年半で30万円近く値上がりしていることになります。
これは、状態の良さそうな物件が高値になっていることもありますが、いわゆる“格安物件”が淘汰されつつあるのも要因のひとつと言えそうです。
また、高値の物件を見てみると、少し前まではエアロパーツや大径ホイールで仕上げたドレスアップ系車両が中心でしたが、最近ではフルノーマルかつ低走行のものも増えてきている点も、ユーザー層の変化を物語っているように感じます。
これを裏付けるデータとして挙げられるのが掲載台数です。2019年前半には600台を超えていましたが、2021年10月には半数以下の289台となっており、これもある程度状態の良い物件のみが市場に流通するようになっていることを示しているのではないでしょうか。
では、今このタイミングで3代目セルシオを狙うならどんな条件がオススメなのか、個人的な意見でピックアップしてみました。
これからも長く乗りたいから「後期&低走行」
2003年8月以降生産 × 走行距離6万km以下
日本が誇るフラッグシップモデルということで、長くその味わいを楽しみたいと考えるのであれば、やはりメカニズム的にも装備的にもレベルアップした後期型を狙いたいところ。
また、法人ユーザーも多かったこともあって比較的距離の延びた物件が多いモデルですが、ここはあえて低走行の物件を狙うべく走行距離は6万km以下にしてみました。
この条件でヒットするのは、執筆時点で13台と決して多くはない台数でボリュームゾーンは総額180万円前後といったところでしたが、中には総額100万円以内で狙えるものもヒットします。
グレードは上級グレードのC仕様が中心となっており、大切にされてきた雰囲気のノーマル状態の物件が多いのも安心材料ではないでしょうか。
▼検索条件
トヨタ セルシオ(3代目) ×2004年式以降×走行距離6万km以下×全国オーナードライバーとして走りも楽しみたい!
eR仕様 × 修復歴なし
新車時は後部座席にVIPをお迎えするショーファードリブンとしての使い方もされていたセルシオですが、今から購入を検討するユーザーの多くは自らステアリングを握る機会も多く、走りも楽しみたい人が多いハズ。
そんな人には、専用のユーロチューンドサスペンションや18インチの大径ホイールが標準で備わっていた「eR仕様」がオススメ。
前期型では「eRバージョン」として設定されていたものですが、後期型からはひとつのグレードに昇格し、サンルーフや本革シートが標準となる点も買い得感が強いものです。
この条件では50台ほどがヒットし、中には走行5万km未満という物件も。さすがに低走行の物件は200万円を超える価格となっていますが、10万km未満で総額150万円前後の物件も多く、装備内容を考えると十分アリな選択肢となりそうです。
▼検索条件
トヨタ セルシオ(3代目) ×eR仕様×修復歴なし×全国登場から20年以上が経過し、そろそろ旧車の域に突入してきた3代目セルシオ。
当時のフラッグシップモデルということもあり大切にされてきた物件もまだまだ存在しているため、根気よく探せば極上の1台に巡り合うチャンスはまだまだありそうです。
とはいえ、先代モデルのように希少価値がアップしていることも間違いないため、気になっている人は早めに行動することをオススメします。
▼検索条件
トヨタ セルシオ(3代目) ×全国自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター、S660。