GLクラス▲欧州SUVの中でも最大級のボディサイズとなるGLクラス。後にGLSクラスへと車名変更された

メルセデス・ベンツ GLクラスの中古車は今

2006年から2016年までの10年間、メルセデス・ベンツSUVのフラッグシップモデルだったGLクラス。

その威風堂々とした佇まい、V8エンジンによる余裕あふれる走り、ナッパレザーシートなどの豪華な装備は、今でも羨望の的に違いない。

Gクラスが悪路走破性能、タフネスさに特化した右の先鋒なら、現代の事情に合わせたオンオフ性能のバランス、上質で快適な車内空間を目指した左の先鋒がGLクラスだ。

初代は流通量こそ少ないが、中古車平均価格が220万円前後とお買い得。

2代目はデビューイヤーに物件が集中しており、途中から追加されたディーゼルはまだ少なめという状況だ。


ここではGLクラスの特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。
 

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GLクラス(初代)の特徴と中古車相場

■GLクラス(初代) DATA
生産期間:2006年10月~2013年3月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:140万~650万円
全長:5110mm × 全幅:1955mm × 全高:1840mm
 

GLクラス ▲初代はMクラスをそのままボリューム&グレードアップしたような姿と仕様で現れた

■GLクラス(初代)の特徴
GLクラスの生産は、初代も2代目もMクラスと同じアメリカのアラバマ工場。

マーケットも北米市場に主眼が置かれており、全長5110mm、全幅1955mmという巨大なボディサイズが採用された。

デビュー前はGクラスの後継車種かとうわさされたこともあったが、実際はMクラスのラージサイズ&豪華版と理解するのが正しいだろう。

ボディ形状もMクラスに似通ったタマゴ型のフォルム。それでいて寸法はフルサイズ級なのだから、車内空間の広さは想像できよう。

全車7人乗り・3列シート仕様で、2列目シートはフルフラットになる可倒式、3列目シートは電動可倒式となっている。

GLクラス ▲見た目にたがわぬ力強い走りも魅力

パワーユニットについても、当時新開発の5.5L V8ガソリンエンジン+7速AT、そしてメルセデス・ベンツ独自のフルタイム4WD機構「4MATIC」という最高峰のSUVにふさわしい内容となった。

「4MATIC」にはさらに4ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)、ブレーキやエンジン出力の制御を悪路専用に切り替えるオフロードスイッチ、急な下り坂で車速を一定に保つDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)も組み合わされ、イージーなオフロード走行が可能となっている。

もちろん、車内空間もガラス・スライディングルーフ&パノラミックリアガラスルーフやナッパレザーシート、本革素材のダッシュボード、ドアトリムの本木目パネルなどを標準装備した豪華絢爛な仕様だ。
 

GLクラス ▲本革やシルバー加飾でエレガントな雰囲気に仕上げられたインテリア。四駆らしさは希薄だ

デビュー以来、大きな仕様変更のなかった初代GLクラスだが、2010年3月にフロントマスクのリフレッシュを含む比較的大規模なマイナーチェンジが実施された。内容は下記のとおりだ。

■2010年3月 マイナーチェンジ
【エクステリア】
・ラジエターグリルとフロントバンパー、アンダーガードを大型化
・LEDドライビングライトを新採用
【インテリア】
・本革巻ウッドステアリングの素材をナッパレザーに変更
・ダッシュボードやドアトリムにアンビエントライト(間接照明)を採用
【安全性能】
・走行状況に応じてドライバーの視界をサポートするインテリジェントライトシステムを標準装備
【走行性能】
・パワーアシスト量を調整するパラメーターステアリング、ステアリングの舵角に応じてギア比が変化するダイレクトステアリングを標準装備

なお、マイナーチェンジ後のものも含め、初代GLクラスは全モデル左ハンドル仕様となっている。
 

GLクラス ▲セカンドシートまで倒すと広大な荷室が出現。実用性の高さもGLクラスの魅力

■GLクラス(初代)の中古車相場
日本では約6年半にわたって販売された初代GLクラスだが、現在、中古車市場で流通している物件は少なく、10台前後。

下は140万円から上は650万円まで価格に幅があるが、年式と価格にあまり相関関係は見られない。

価格は走行距離、オプションの装備内容など物件ごとの条件による、というところだ。

中古車平均価格(車両本体価格)は220万円前後。走行距離10万km以下の物件の場合、購入予算は170万~270万円あたりが目安となるだろう。

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GLクラス(2代目)の特徴と中古車相場

■GLクラス(2代目) DATA
生産期間:2013年4月~2016年4月
中古車流通量:約60台
中古車価格帯:360万~580万円
全長:5120mm × 全幅:1934mm × 全高:1850mm
 

GLクラス ▲シャープな印象の外観となり、ヘッドランプにLEDを多用するなど先進性も表現された

■GLクラス(2代目)の特徴
2013年に登場した2代目は、大きなフロントグリル&スリーポインテッドスターなど初代の造形を残しつつ、全体的にエッジの効いたデザインとなった。

ボディサイズは初代よりも全長がやや長く、全幅がやや短く、全高はやや高い、というもの。

国産車ではトヨタ ランドクルーザー200、輸入車では2代目アウディ Q7や2代目ボルボ XC90に近いフルサイズ・カテゴリーとなる。

2代目では「GL550 4MATIC」への搭載エンジンを4.7L V8 直噴ガソリン・ツインターボに一新。最高出力435ps(320kW)、最大トルク71.4kg・m(700N・m)という強力なスペックとなっている。

さらにこの代から、5.5L V8 直噴ガソリン・ツインターボエンジンを搭載するAMGのハイパフォーマンスモデル「GL63 AMG」もラインナップに加えられた。

外観は立体的な造形のバンパー、LEDを多用したヘッドライト、大型のクロームアンダーガードなどが特徴。

インテリアでは本革シートやウッドなど、高級素材をふんだんに使用している。ダッシュボードやドアトリムなどにもARTICO(高級合成皮革)が全面に張られ、“ファーストクラスSUV”らしいクオリティとなっている。

また、「レーダーセーフティパッケージ」や「360度カメラシステム」「アクティブパーキングアシスト」など安全装備の充実にも力が注がれているのも特徴だ。
 

GLクラス ▲国内に導入されたガソリン車は全車、左ハンドル仕様だったが、ディーゼル車では右ハンドル仕様が登場。

デビュー当初のラインナップは「GL550 4MATIC」と、専用デザインの前後バンパーやオーバーフェンダー、LED照明付きランニングボード、シートベンチレーター、パノラミックススライディングルーフなどを装備する「GL550 4MATIC AMGエクスクルーシブパッケージ」、そして「GL63 AMG」の3種類。

いずれもフルタイム4WD、左ハンドル仕様となっている。

2015年1月のマイナーチェンジでは3L V 6 BlueTECディーゼルエンジンを搭載する「GL350 BlueTEC 4MATIC」および、「GL350 BlueTEC 4MATIC レザーエクスクルーシブパッケージ」が追加設定された。

こちらは、GLクラス初の右ハンドル仕様となっている。

2016年4月、外観をAMGデザインで統一、シートレイアウトを変更するとともに車名を「GLクラス」から「GLSクラス」に変更。これにより、「GLクラス」としての歴史は2代目で幕を閉じた。
 

GLクラス ▲2列目&3列目シートに電動フォールディング機構を採用するなど、究極にラグジュアリーな装備内容だ

■GLクラス(2代目)の中古車相場
「GLクラス」としての販売が約4年間と短かったこともあり、中古車市場での流通量は60台弱にとどまっている。

その約40%がデビューイヤーに初度登録された物件だ。

初代と同じく価格には幅があるが、中古車平均価格(車両本体価格)は450万円前後。

販売終了からまだ5年ほどしかたっていないため、ほとんどの物件が走行距離9万km以下となっている。

メルセデス・ベンツの中でも最高峰のSUVが400万円ほどの購入予算から手に入るという事実はある意味、お買い得と言える。

洗練されたディーゼルとして好評だった3L V6 BlueTECディーゼルエンジン搭載モデルは、全体の15%ほどというところ。価格帯は平均値よりやや高く、360万~580万円の購入予算となる。

実質的に同じ内容のGLSクラスまで検索範囲を広げると、選択肢は倍増する。

ディーゼルをリーズナブルに手に入れたい人は、もう少し待ってみるのが一案かもしれない。
 

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※記事内の情報は2021年11月1日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/メルセデス・ベンツ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。