BMW X1(初代)▲FRの3シリーズをベースに開発されたX1。3シリーズと同じ2750mmというホイールベースはライバルたちより長く、乗り心地の向上に有利。もちろん、BMWらしく意のままに操れる楽しさを兼ね備えていた

プレミアムコンパクトSUV時代の幕を開けたBMWのSAV

SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)ではなくSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼ぶBMW。そのSAVの末弟として2010年4月に加えられたのが初代X1で、ライバルとなるメルセデス・ベンツのGLAやGLB、アウディ Q3より一足早く登場した。

ライバルたちと大きく違ったのがFRベース、しかも当時の3シリーズ(E90)のプラットフォームが用いられたことだ。そのため、FFベースのライバルよりスペース効率は劣るものの、代わりにBMWらしいコーナリングの楽しさや、ロングホイールベースによる乗り心地のよさをウリにしたSAVだ。

デビューから10年以上経ち、中古車の平均価格はいよいよ100万円を切りそうになってきた。現在の相場状況をさらに詳しく見てみよう。

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平均価格100万円切りは間もなく!? 経年相当に順当に値落ちしている

初代X1の平均価格は、2021年6月あたりから100万円のラインを挟んで微動しており、一時100万円を切ったことがあった。

今年に入ってからも順調に値下げ傾向が続き、直近9月には年初に比べ約10万円ほど安い100.6万円となり、再び100万円以下になるのも時間の問題だろう。

BMW X1のグラフ

掲載されている中古車の年式を見ると、2010~2013年式までのものが多く、いずれも50~60台ほど見つかる。また、前期型だけではなく2012年9月のマイナーチェンジ以降のモデルも多い。

走行距離別に見ると、ボリュームゾーンは4万~9万km以下。つまり、初代X1がここにきて安くなっているのは、「多走行の前期型が多いから」などといった理由ではなく、人気モデルとはいえデビューから10年が経ち順調に値落ちしてきた結果だろう。

また、後継モデルの2代目X1も、デビューから6年が経ち中古車が流通していることや、ライバルたちの中古車も増えてきたことで値落ちしているのも理由にあげられそうだ。

そのうえで考えてみれば、10万km以下の中古車が多く、フタケタ万円で狙えるようになっている現在の状況は、X1を手頃に手に入れるいい時期になったということ。

これ以上待っても、走行距離が延びてコンディション面での不安も大きくなるから、狙うなら今ではないだろうか。

以下、初代X1について詳しく見ていこう。

希少なFRモデルが設定されていたBMWのSAV末弟

BMW X1(初代)▲開発時点から日本市場が考慮され、日本の一般的な機械式駐車場にも収まるよう、全幅1800mm×全高1545mmとされた。全長は3シリーズ(E90型)より60mm短い4470mm

先述のとおり、3シリーズをベースにして2010年4月に登場した初代X1。2代目はFFベースに変わったため、このクラスでは希少なFRベースのSAVということになる。

それをアピールするかのように、デビュー時から2L×2WD(FR)のsDrive18iがラインナップ。もちろん、4WDで3Lエンジンを積むxDrive25iもあり、いずれも6速ATが組み合わされた。

最高出力/最大トルクは、18iが150ps/200N・m、25iが218ps/280N・m。デビュー時の車両本体価格はsDrive18iが363万円、xDrive25iが480万円だった。

2011年10月には最高出力184ps/最大トルク270N・mの2Lターボ×4WDのxDrive20iと、245ps/350N・mの2Lターボ×4WDのxDrive28iが追加された。ただし、こちらの2台にはどちらも8速ATが与えられている。

BMW X1(初代)▲前後にアンダーガードを備えるなどSAVテイスト。全高は1545mmに抑えられているが、最低地上高はライバルより高い195mm確保されているので、石が転がるような荒れた道や雪道でも進んでいきやすい
BMW X1(初代)▲1シリーズとも3シリーズとも異なる独自のインテリアが与えられた。12V電源ソケットがセンターコンソールに3ヵ所、ラゲージルームに1ヵ所の合計4ヵ所も備えられた
BMW X1(初代)▲ラゲージ容量は通常時で420L、後席を倒すと最大1350L。初代アウディQ3の460Lより狭いが初代メルセデス・ベンツGLA(421L)と同等。ラゲージ床下に収納もある

2012年9月にはマイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインが変更された。また、xDrive20iの燃費が向上するとともに、同エンジンを搭載したFRモデルのsDrive20iが追加されている。併せてsDrive18iの燃費も向上している。

2013年4月には全車に車速感応式パワーステアリングのサーボトロニックが標準で備えられた。これは、駐車時などの低速時によりラクにステアリング操作ができるというもの。なお、この時同時にsDrive18iがラインナップから外れている。

2015年4月には従来オプションだった「iDriveナビゲーション・システム・パッケージ」と「パーキング・サポート・パッケージ」が価格据え置きで全車に標準装備された。純正ナビゲーションシステムとバックモニターなどが備わったことで、さらにドライブが便利に、駐車がラクになったというわけだ。

そして、2015年10月にFFベースの2代目X1が登場したことで販売が終了した。

BMW X1(初代)▲2012年9月のマイナーチェンジでフロントまわりのボディ同色部分が拡大。また、ドアミラーにサイドターンライトが備えられた。さらに、力強さを表現するパーツを備える「xLine」とスポーティさを強調する「スポーツ」が各グレードに追加設定されている

希少性と選びやすさが両立したsDriveモデルがオススメ

初代X1は希少なFRのSAVと書いたが、街乗り中心を想定して購入した人が多かったのか、中古車の約7割がFRモデル。それに、平均価格を見ると4WDよりも安く選びやすいため、今回はFRモデルをオススメしたい。

中でも、2011年10月から投入された2Lターボ×8速ATのsDrive20iなら、動力性能に不満を感じることはないはずだ。

原稿執筆時点でFRモデルは200台あり、sDrive20i系グレードに絞ると65台がヒットし、支払総額100万円から狙え、走行距離5万km未満に絞っても支払総額120万円程度のものが見つかるためお買い得感がある。しかも、ほとんどがカーナビ&バックモニター付きなのもポイントだ。

掲載台数も多くはないため、はじめはあまり条件を絞らず、まんべんなくsDrive20i系の物件をチェックすることをオススメする。

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文/ぴえいる、写真/BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。