クロスポロ▲ベースモデルよりもちょっとだけ高い車高、アンダーガード風に処理されたフロントバンパーなど、SUV風の外観で人気となったクロスポロ

フォルクスワーゲン クロスポロの中古車は今

クロスポロの“クロス”は、“クロスカントリー”の略。

フォルクスワーゲンのコンパクトカー、ポロをベースにSUV風ルックを与えた車種だ。

基本設計はハッチバックモデルのポロと同じ。でも、遊び心を感じるルックスと、プラスアルファの車高が意外に便利、快適で人気車種となった。

初代は3年間しか生産されなかったため流通量は少ないが、走行距離の少ない良物件が多いようだ。

2代目は中古車平均価格が90万円強とリーズナブル。2010~2013年までの前期モデルが比較的多く流通している。


ここではクロスポロの特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。
 

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クロスポロ(初代)の特徴と中古車相場

■クロスポロ(初代) DATA
生産期間:2006年9月~2009年10月
中古車流通量:約20台
中古車価格帯:30万~90万円
全長:3920mm × 全幅:1670mm × 全高:1535mm
 

クロスポロ ▲初代クロスポロには、1.6Lガソリン+6速ATの力強いパワーユニットが与えられた

■クロスポロ(初代)の特徴
2006年9月、当時フォルクスワーゲンの最小車種だったポロに、SUVテイストを取り入れ登場したのがクロスポロだ。

ポロより車高を約20mmアップし、前後バンパー下部とボディサイド下部、フェンダーアーチモールをブラックアウト。

バンパー中央部をシルバー塗装としてアンダーガード風に処理し、さらにルーフレールやフォグランプを装備した。

ポロからのサイズアップはごくわずかで、5ナンバー枠に余裕で収まるサイズ。

車高アップ量はほんの20mm、駆動方式も通常のポロと同じFFだが、多少の段差は気にしなくてよいアクティブさ、シート座面が多少高いことによる乗降性の良さ&視界の高さもクロスポロの魅力となった。
 

クロスポロ ▲車高はベースモデルより20mm高いが、サスペンションがうまく調整されているため走行時の不安定感はない

パワーユニットには、1.6L 直列4気筒ガソリンエンジン+6速ATを採用。

このエンジン&トランスミッションは、クロスポロとポロのスポーツラインのみに採用されたもので、車両重量1180kgの車体に対しては贅沢な内容だ。

1.4L 直列4気筒ガソリン+4速ATを搭載するポロのベースモデルとの違いは明らかで、キビキビした走りが楽しめる。

ボディカラーは専用色を含む全5色が用意され、オレンジとライムの2色はインテリアも同色系のファブリック素材にコーディネートされていた。

マジメ、実用一辺倒な印象のベースモデルとはひと味違う、こうした遊び心やかわいらしさが初代クロスポロの個性だ。

登場から3年後の2009年には、ベースモデルがフルモデルチェンジ。クロスポロも2代目にバトンタッチした。
 

クロスポロ ▲ボディカラーに合わせてコーディネートされたオシャレな内装も人気の理由(写真は海外仕様)

■クロスポロ(初代)の中古車相場
販売期間が短かったために、中古車市場での流通台数は20台前後と少ない。

ただし、中古車平均価格は約40万円と、リーズナブルになっている。

装備内容や仕様の違いはほとんどないので、物件ごとのコンディション、ボディカラーが選ぶ基準となるだろう。

クロスポロはセカンドカーとして使われていることが多いのか、年式の割りに走行距離が少なめの物件が目立つ。

また、オレンジやライム、レッドなど鮮やかなボディカラーの物件が多く、逆にブラックなどのシックな色は少なめ。

クロスポロらしいカラーに引かれるが、赤系や黄色系のボディカラーは経年によって色あせしやすいため、実車ではルーフ部分など見づらい場所もしっかりチェックすることをオススメしたい。
 

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クロスポロ(2代目)の特徴と中古車相場

■クロスポロ(2代目) DATA
生産期間:2010年6月~2018年3月
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:60万~170万円
全長:4000mm × 全幅:1710mm × 全高:1505mm
 

クロスポロ ▲初代より若干大きくなり、顔つきも精悍になった2代目

■クロスポロ(2代目)の特徴
ベースモデルのポロが5代目となったことで、クロスポロも2代目にチェンジ(日本でのデビューは5代目ポロ登場の半年後)。

全長、全幅ともに拡大され、5ナンバー枠を超えた。

ボディ下部をブラックアウト、フロントバンパー中央をアンダーガード風の処理とする手法は初代と同じだが、全体的なデザインは大きく路線変更し、シャープなイメージになっている。

ベースモデルからの車高アップ量は30mmとなるが、そのうち15mmはルーフレール分。フロア高は15mmアップにとどまり、全高も初代より30mmほど低くなった。

初代の特徴だった丸味を帯びたフォルム、かわいらしさが薄まり、精悍さが強調された印象だ。

一方で、エンジンは1.2L 直列4気筒ガソリンへとダウンサイジング。

ただし、シングルチャージャー(ターボ)、直噴による綿密な噴射制御を組み合わせたTSIとすることで、1.8L車に匹敵する最大トルク(175N・m)を実現している。

さらに、トランスミッションには7速DSGが新採用された。DSGはいわばクラッチのないマニュアルトランスミッションで、ダイレクトな駆動力伝達によりキビキビした走りと、低燃費を両立する技術。

コンパクト車にも先進的な技術を積極的に採用する姿勢はフォルクスワーゲンらしいと言える。
 

クロスポロ ▲基本的な内装デザインはベースモデルと共通。ドアトリムやシート表皮の色で差別化された(写真は海外仕様)

8年弱のモデルライフを通して何度かマイナーチェンジが行われたが、最も大規模なものは2014年11月。この変更で燃費を大きく改善、安全装備も充実した。

ボディカラーに新色の「ハニーオレンジメタリック」が追加された点にも注目だ。

■2014年11月 マイナーチェンジ
【エンジン】
・アイドリングストップ機能とブレーキエネルギー回生システムで構成される「BlueMotion Technology」を新たに採用。JC08モード燃費が18.8 km/L から21.9 km/Lに向上
【安全性能】
・プリクラッシュブレーキシステム「Front Assist Plus」、シティエマージェンシーブレーキ、マルチコリジョンブレーキシステムなどを標準装備
【内外装色】
・ボディカラーに「ハニーオレンジメタリック」と「チタニウムベージュメタリック」の2色の新色を追加
・インテリアカラーをボディカラーとコーディネートされた3色に設定変更(「フラッシュレッド」選択時はレッド、「リフレックスシルバーメタリック」選択時はグレー、左記以外のボディカラー選択時はベージュ)

この変更ではサスペンションにも手が加えられ、マイナーチェンジ前のモデルよりもややソフトな乗り味となっている。

さらに、2016年5月にはマルチファンクションステアリングホイール、パドルシフト、オートライトなどの装備が追加され、上位車種のゴルフに迫る豪華な装備内容となった。
 

クロスポロ ▲年を経るごとに装備内容が豪華になっていった2代目クロスポロ

■クロスポロ(2代目)の中古車相場
クロスポロの中古車市場流通台数は60台前後で、その多くが2013年以前に製造されたモデル。

よって中古車平均価格も低めで、90万円強(車両本体価格)となっている。

初代同様に走行距離少なめの物件が多く、100万円以下の予算でも走行距離7万km以下のものがたくさん見つかる。

車体はコンパクトでもボディの剛性感、しっかりした乗り味のサスペンション、ホールド性の高いシートなどは、さすがフォルクスワーゲンというべき品質。

クロスポロはリーズナブルな価格でドイツ車の高いクオリティを体験できる希少なSUVだ。そうした基本的な性能はデビュー直後のモデルであっても変わらない。

先進安全性能にこだわるなら、2014年11月に実施されたマイナーチェンジ以降の物件が狙い目となるが、現段階での流通量は少なめ。特に2017年から生産終了までの年式は極端に少ない。

おそらく今後も流通量が極端に増えることはなさそうなので、パドルシフトなどの装備が充実した後期のモデルを狙うなら早めに決断した方が良さそうだ。
 

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※記事内の情報は2021年11月1日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/フォルクスワーゲン
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。