3代目BMW X5の平均価格が年初から約45万円ダウン! いよいよ300万円台に突入ということで狙い目を考えてみた
2021/10/25
「中古車としてのベストグレード」はどれだろう?
数あるBMW製SUVの中でも「中核を成す存在」と言えるのは、アッパーミドルサイズの「X5」でしょう。そんなBMW X5の3代目(先代型)が今、まずまずお安くなっています。
具体的には、これまでは「平均価格450万円前後」をしつこくキープしていたのですが、昨年末頃から下方向に振れ始め、今年9月には初めて400万円の壁を突破したのです。
もちろん、だからといって「超お買い得価格になった!」というほどでもないのですが、プレミアム性の高いジャーマンSUVとしては「注目すべき価格帯まで降りてきた」と言うことはできるでしょう。
そこで、本稿では「比較的お安くなった先代BMW X5をこれから買うなら、いくらぐらいの、どんなグレードを選ぶのが得策か?」ということについて考えてみることにします。
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BMW X5(3代目)×全国都会派プレミアムSUVの言わば元祖にあたる存在
まずは先代 BMW X5という車自体についてのおさらいから。
BMW X5は、ご存じのとおりその初代は2000年10月に発売された、今日隆盛を極めているプレミアムSUV全般の「ご先祖さま」とでも言うべきモデル。初代X5の登場によって、それまでは「クロカン」と呼ばれて山の悪路などを走っていた背の高い4WD車が、都会の舗装路に降りてきて、そして大人気となったのです。
今回取り上げる3代目のBMW X5が日本で発売されたのは2013年11月のこと。デザインは、当時BMW本社に在籍していた日本人デザイナー永島譲二氏が担当したもので、クラストップレベルの空気抵抗係数(Cd値)0.31を実現していました。
搭載エンジンはガソリンターボとディーゼルターボとに大きく分かれて、ガソリンの方は3L直6ターボ(最高出力306ps)と、4.4L V8ターボエンジン(同450ps)。ディーゼルエンジンは最高出力258ps/最大トルク57.1kgm/の3L直6ディーゼルターボが搭載されました。駆動方式は全車フルタイム4WDで、トランスミッションはいずれも8速ATです。
各グレードには標準モデルの他に「xLine」と「Mスポーツ」という2つのデザインラインも用意されました。xLineにはステンレスフィニッシャーやアルミ製ルーフレールなどが装備され、Mスポーツは、専用のエアロパーツや電子制御式サスペンション「アダプティブMサスペンション」などを装備したスポーティな仕様となっています。
2015年9月にはプラグインハイブリッドの「xDrive40e」が追加され、その後も細かな一部改良は行われましたが、デザインやエンジンなどを大幅に変更することはなく2019年1月まで販売を続け、同年2月に現行型(G05型)へカタログモデルの座を譲った――というのが、先代BMW X5の大まかなモデルヒストリーです。
パワーユニットは3Lディーゼルターボがイチ推し
さて、そんな先代BMW X5の中古車をこれから買うとしたら、まずは「ガソリンターボか、それともディーゼルターボか?」というパワーユニットの種類を決めなければいけません。
これは、もちろんどちらでもOKはOKなのですが、基本的にはディーゼルターボを選ぶのが正解ではあるでしょう。
理由は、まず第一に「ガソリンターボエンジン搭載モデルは流通量が少なめだから」です。
2021年10月下旬現在、先代X5は全国で131台流通していますが、そのうちガソリンターボエンジン搭載物件は19台しかありません。これだけ数が少ないと「いろいろ見比べたうえで。気に入った1台を選ぶ」という作業はやや難しくなります。
また燃費の面でも、ディーゼルターボエンジンを選んだ方が満足度は高くなると思われます。
3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載するxDrive 35dの場合はカタログ燃費が13.8~14.0km/Lで、実燃費もおおむね街乗りで8km/Lぐらい、高速道路で12~13km/Lぐらいは行くのに対し、同じく3L直6のガソリンターボを搭載するxDrive 35iはカタログ燃費が10.3km/Lで、実燃費は――筆者の経験によれば――街乗りで5~6km/Lぐらい、高速道路でも8km/Lぐらいになります。
まぁ「そのぐらいの燃費でもOKだよ」という人も一部にいらっしゃるかもしれませんが、基本的には、ディーゼルターボを選ぶのが得策であることはほぼ間違いありません。そして燃費の面だけでなく「力感」という点においても、ディーゼルターボエンジンを搭載するxDrive 35dの方が好ましいと感じる人は多いはずです。
流通量から考えると推しは「xDrive 35d Mスポーツ」
ということで狙いをxDrive 35dに絞るとすると、デザインラインごとの流通量と中古車価格は下記のとおりとなります。
●xDrive 35d(標準車)|4台|総額330万~420万円
●xDrive 35d xLine|28台|総額300万~510万円
●xDrive 35d Mスポーツ|70台|総額330万~580万円
デザインラインによる下値の差はさほどないようですが、いかんせん標準車は流通量が極端に少なく、ラグジュアリー志向のxLineもやや少なめ。やはり新車時の人気はスポーティなMスポーツに集中していて、その結果として、中古車の流通もMスポーツが中心となっています。
ということは、現実問題として「3Lディーゼルターボエンジンを搭載したxDrive 35d Mスポーツの中から、自分の予算感や好みに合った1台を探し出す」というのが、先代BMW X5を探す際の王道戦略となるでしょう。
仕様や色などの「好み」については各自でお考えいただくしかないのですが、「予算感」に応じて先代X5を選ぶとしたら、選択肢はおおむね下記それぞれのとおりとなるはずです。
●なるべく手頃な予算で手に入れたい!
→総額400万~480万円ぐらいの「xDrive 35d Mスポーツ」
最安値だと総額320万円ぐらいから探すこともできる先代BMW X5ですが、そのあたりのゾーンの個体は正直「プレミアムSUVとしてのプレミアム感」にはいささか欠けることが濃厚に予想されます。
ある程度“いいモノ感”がないことには意味がないのがプレミアムSUVという乗り物ですので、先代X5を「なるべく手頃な予算で……」と考える場合には「総額400万~480万円ぐらい」というのが、ひとつの目安となるでしょう。
このゾーンであれば、コンディションがまずまず良好なxDrive 35d Mスポーツを探し出すことが可能です。
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BMW X5(3代目)×xDrive 35d Mスポーツ×総額400万~480万円未満×全国●もうちょい出せるから、もうちょいイイやつが欲しい!
→総額480万~520万円ぐらいの「xDrive 35d Mスポーツ」
総額480万~520万円ぐらい、つまり「総額500万円前後」のご予算を用意できる場合は、同じxDrive 35d Mスポーツでももう少し全体のコンディションが良く、より充実したオプション装備が付帯されている1台を探すことができます。イメージとしては、下記のようなスペックとなる物件です。
2016年式BMW X5 xDrive 35d Mスポーツ セレクトパッケージ
車両価格480万円/支払総額500万円/走行2.9万km/アルピンホワイト
上記はあくまでイメージですが、まぁだいたいこんな感じです。ちなみに「セレクトパッケージ」というのは、
・電動パノラマ・ガラスサンルーフ
・リアシート・ヒーティング
・12V電源ソケット
・ソフトクローズドア
・ランバーサポート
がセットになったパッケージです。これに加えて「アダプティブ・クルーズ・コントロール」と「全周囲カメラ」も付いている中古車であれば、装備レベルには十分満足できると思われます。
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BMW X5(3代目)×xDrive 35d Mスポーツ×総額480万~520万円以下×全国もちろん、もっともっと高いお金を出して先代X5を買うこともできるのですが、そこまで出すのであれば「……いっそ現行型を買った方が?」という気分にもなってしまいます。そのため、あえて先代の中古車を買うのであれば「総額で500万円前後まで」というのが妥当な線なのでは……と思う次第です。
まぁ、このあたりは人それぞれの価値観によって変わりますので、何とも断言はできません。ただひとつ断言できるのは、コンディションの良い個体をまずまずお安い価格で探すことに成功しさえすれば、先代BMW X5に乗る生活というのは「大変素晴らしいものである」ということです。
ぜひこの機会に、「自分にとってちょうどいいX5」が市場にあるかどうかをチェックしてみることを、強くオススメいたします。
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BMW X5(3代目)×全国※記事内の情報は2021年10月21日時点のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。