平均価格100万円以下になった先代トヨタ アクアだけど、たくさんある中からどれを選ぶのが正解なの?
2021/09/02
重視すべきは「品質」か、それとも「価格」か?
プリウスよりもひと回りコンパクトなハイブリッド専用車として、非常に高い人気を誇ってきたトヨタ アクア。
そのアクアが2021年7月に新型へとフルモデルチェンジされたことで、先代(初代)アクアの中古車事情が少々変わってきました。具体的には、その平均価格が「100万円」のラインを明確に割り込んできたのです。
「低燃費なアクアの中古車が気になるけど、価格がちょい高めなのがネックだな……」と思っていた人にとってはチャンス到来なわけですが、もしも先代アクアの中古車を買うのであれば、「品質」という軸を優先するのか、それとも「価格の手頃さ」を優先するかで、当然ながら選び方は変わってきます。
本稿では「様々な“軸”をもつ人が、なるべく手頃な予算で、なるべく満足のいく先代アクアを手に入れる」ための方策を、いろいろと検討したいと思います。
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トヨタ アクア(初代)×全国「新型登場」と「登場から約10年が経過」のダブルパンチで100万円割れ
まずは中古車価格のデータから見てみましょう。下のグラフをご覧ください。
2019年中は100万円以上をキープしていた先代トヨタ アクアの平均価格は2020年春に100万円のラインを割り、そして2021年には「100万円以下であることが完全に確定した」と言える状況になっています。
ここ1年半ほどで先代アクアの平均価格が下がった理由は、
●約10年前の2011年12月にデビューした「10年選手」なので、さすがにボロい個体(高値が付かない個体)の比率も高まってきた。
●2021年7月に新型が登場することが決定した瞬間から、先代には高値が付きにくくなった。
●2021年7月に新型が登場したことで、新型へ乗り替える人が増えた。
といったところでしょう。
ただ、下の流通量に関するグラフもご覧ください。
今年7月に新型アクアが発売されたことで「先代から新型への乗り替え需要」は確実に発生したはずですが、先代の流通量はさほど増えていません。
これは、新型車というのは発売されたからといってすぐに納車されるわけではなく、納車までにはけっこうな時間がかかるからです。で、納車されるまでは、新型を注文した人も旧型に乗り続けるのが一般的ですので、乗り替えに伴って旧型の流通量が増えるのはもう少し先になります。
具体的には、新型アクアの納車には注文から数えて2~4ヵ月ほどかかっているようなので、先代アクアの流通量が急激に増えるのは、今年の9月から11月頃になるでしょう。
「新型への乗り替えに伴って放出される下取り車はかなり使い古されたものが多いので、それが出てくる前の“今”の方が、質の高い中古車が市場に多いはず!」という見方もあるようですが、そこは何とも言えません。
ただ、大量に発生する下取り車のクオリティが玉石混交であることは間違いありませんので、「現時点の方が取捨選択しやすい」とは言えるでしょう。
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トヨタ アクア(初代)×全国先代アクアの10年間を「仕分け」してみる
全体的な相場動向をおおむね把握した後は、「じゃあ具体的にどの年式のどのグレードを、いくらぐらいで買うのが正解なのか?」という肝心の部分について考えてまいりましょう。
2021年8月下旬現在、先代トヨタ アクアの流通台数は6224台で、価格は総額29.8万~247.7万円、平均価格は83.4万円なわけですが――10年もの長きにわたって作られた車ですので、「全体の数字」を見たところでほとんど意味はありません。もう少し細かな仕分けをしたうえで、それぞれの数字を見る必要があるのです。
約10年間にわたって販売された先代アクアの歴史は、細かくわけようとするとかなり細かく分けることもできるのですが、細かく分けすぎても物事は逆に見えづらくなります。そのため、マニアからの異論はあるかもしれませんが、ある程度大ざっぱに分けてみることにしましょう。
●前期型:2011年12月~2015年10月
途中2014年12月にマイナーチェンジが行われているのですが、そこはあえて無視して、後述する「衝突回避支援パッケージ」が装着されるまでの世代を、本稿では便宜的に「前期型」と考えることにします。
基本となるグレードは「L」「S」「G」「G “ブラックソフトレザーセレクション”」「G “G’s”」の5種類で、それぞれの大まかな特徴は下記のとおりです。
L|法人の営業車やレンタカーなどに適した最廉価グレード。普通の人はあまり選ばないグレードです。
・S|標準的なグレード。さほど豪華ではありませんが、必要な装備はおおむね普通に付いています。
・G|Sをベースに、ステアリングホイールが本革巻きになったり、シート表皮がファブリックではなくスエード調になったりする上級グレード。アクアに「ゴージャスっぽさ」を求める人には向いています。
・G“ブラックソフトレザーセレクション”|Gをベースに、シート表皮を合成皮革にしたグレード。
・G “G’s”|トヨタのモータースポーツ関連部署が作ったチューニングカー。普通のアクアが欲しい人にはほとんど関係ありません。
●中期型|2015年11月~2017年5月
運転支援システムである「Toyota Safety Sense C」がGとG“ブラックソフトレザーセレクション”に標準装備され、その他のグレードにもオプション設定された世代を、本稿では便宜上「中期型」と呼びます。
●後期型|2017年6月~2018年3月
2017年6月のマイナーチェンジで外装デザインを大幅に変更し、インテリアにTFTマルチインフォメーションディスプレイが標準装備されるようになった世代を、本稿では「後期型」と呼びます。
●末期型|2018年4月~2019年6月
昼間の歩行者も検知対象とした「プリクラッシュセーフティ」を衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」に採用し、アクセルペダルの踏み間違いによる駐車場などでの衝突被害軽減に寄与する「インテリジェントクリアランスソナー」をオプション設定した2018年4月以降のアクアを、本稿では便宜上「末期型」とします。
●超末期型|2019年7月~2021年7月
2019年7月にはさらなる仕様変更が行われ、「パノラミックビューモニター」が全グレードで選択できるようになり、「リバース連動機能オート電動格納式リモコンカラードドアミラー」が一部グレードで標準装備されるなどしました。この本当に最後の世代を、本稿では「超末期型」と呼ぶことにします。
さて、ここまで「仕分け」を済ませれば、もはや勝ったも同然です。あとはそれぞれの軸(ニーズ)に応じてサクサクと当てはめてまいりましょう。
●軸その1:できるだけいいモノが欲しい
→検索条件=末期型または超末期型×S以上(GRスポーツは除く)×走行3万km以下
→予算目安=総額110万~220万円
多少高めになっても構わないので、できるだけいいモノ(安全装備が充実していて、使用感が少ない中古車)が欲しいのであれば、この条件に合致する先代アクアがいいでしょう。総額200万円以上となる物件もありますが、総額160万円までに限定しても十分探せます。
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トヨタ アクア(2018~2021年)×走行距離3万km以下 ×1.5S×1.5G×全国●軸その2:できるだけ安く、それでいて悪くないモノが欲しい
→検索条件=前期型×S以上(G’sは除く)×走行5万km以下
→予算目安=総額50万~170万円
本当は走行距離の多寡だけで中古車の品質を語ることはできないのですが、まぁいちおうの目安を「5万km以下」に置き、そのうえでS以上の前期型を探せば、コスパに優れるお値打ちな先代アクアが見つかる可能性は高いでしょう。
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トヨタ アクア(2011~2015年)×走行距離5万km以下 ×1.5S×1.5G×全国●軸その3:程よい予算で「好バランスな1台」が買いたい
→検索条件=中期型または後期型×G以上(G’sは除く)×走行5万km以下
→予算目安=総額90万~180万円
末期の世代と比べると運転支援システムのレベルは1段階劣りますが、それでも中期型または後期型のG以上であればToyota Safety Sense C付きであり、走行5万km以下のそれを「そんなに高くはない総額」で見つけることができます。また、G以下の物件であっても、オプション装備としてToyota Safety Sense Cが付いている物件もあります。
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トヨタ アクア(2015~2018年)×走行距離5万km以下 ×1.5S×1.5G×全国このたび発売された新型のトヨタ アクアは素晴らしいコンパクトカーですが(筆者も先日試乗しました)、先代のアクアも、普通に使う分にはまだまだ十分以上に「小気味よく走れる超低燃費なコンパクトカー」であることは間違いありません。
新型の登場により値段が手頃になってきた今、その相対的なバリューは逆に高まったとも言えますし、これから流通量が増えていくにつれて、中古車としてはいよいよ「おいしい時期」がやってきそうです。
こまめにカーセンサーnetをチェックしていれば、必ずや「これぞ!」という1台に巡り合えるはずですので、ぜひ今後も「先代の方」のアクアにご注目いただければと思います。
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トヨタ アクア(初代)×全国※記事内の情報は2021年8月27日時点のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。