スズキ ツイン▲横から見ると全長2735mmという短さが際立つスズキ ツイン

スズキ ツインの中古車は今

2003年1月にスズキが発売した軽自動車のツイン。

その車名のとおりの2人乗りのパーソナルコミューターで、全幅こそ軽自動車枠いっぱいの1475mmだが、全長は2735mmと一般的な軽自動車の3395mmよりも大幅に短いのが特徴。

軽自動車の2シーターというと、S660やコペンといったスポーツモデルが有名だが、ツインは近距離の移動を目的とした実用車。そのため車内のスペースは、2人分の座席とわずかなラゲージスペースのみと割り切られている。

また、市販の軽自動車としては初のハイブリッド車もラインナップし先進性もアピール。

現在、小型のパーソナルモビリティが注目を集めていることを考えると、スズキにはかなりの先見の明があったと言えるだろう。

実際、中古車市場でもその価値が見直されつつあるようだ。

販売期間は約3年と短く初代限りで生産が終了したこともあり、流通台数は110台程度と少ない。

ここからはツインの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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ツイン(初代)の特徴と中古車相場

■ツイン (初代) DATA
生産期間:2003年1月~2005年12月
中古車流通量:約110台
中古車価格帯:20万~110万円
全長:2735mm  ×  全幅:1475mm  ×  全高:1450mm

スズキ ツイン ▲飾り気のないルックスだが、その潔いシンプルさが魅力のツイン

■ツイン(初代)の特徴
ツインの特徴は何といってもその短い全長だ。1800mmという短いホイールベースによって、最小回転半径は3.6mと乗用車としてはトップクラスの小回り性能を誇っている。

軽自動車幅ということもあって、その機動力は圧倒的と言える。

搭載されるパワートレインは、同時期のアルトやワゴンRなどにも搭載されていた660cc直列3気筒DOHCのK6A型を搭載。

ターボ仕様は存在せず、5速MTと3速ATが組み合わされていた。
 

スズキ ツイン ▲インパネはごくシンプルなつくりになっている

一方のハイブリッドモデルは、同じくK6A型エンジンと4速ATトランスミッションの間に小型のモーターを搭載してエンジンをアシストするもので、いわゆるマイルドハイブリッドと呼ばれるものだ。

ハイブリッドバッテリーはリアのラゲージスペースに搭載されるが、現在のハイブリッド車のようなリチウムイオン電池などではなく、バイク用のメンテナンスフリーバッテリーをハイブリッド用に改良したものが搭載されている。

このあたりは、バイクも生産するスズキらしい点と言える。

ただし、新車時価格が「ガソリンA」の49万円に対し「ハイブリッドA」は129万円と倍以上の価格で売り出されていた。

さらに、燃費も「ガソリンA」が26.0km/Lに対し「ハイブリッドA」が34.0km/Lとそこまでの差がなかったことも影響し、ほとんど売れなかった。そのためハイブリッドモデルは、中古車の流通もほとんどない。
 

スズキ ツイン ▲イン各所に取り入れられた丸型のデザインが、優しい印象を与える

エクステリアはシンプルでありながらかわいらしさも感じられる。2シーターということで当然2ドア仕様のみ。

後部はハッチバックではなく、ガラス部分のみが開閉できるガラスハッチを採用している。ラゲージスペースが小さいため、開口部が小さなガラスハッチでも不便に感じるシーンは少ないだろう。
 

スズキ ツイン ▲ガラス部分のみが開閉できるハッチは、狭い場所でも開閉できるというメリットも

グレード体系はガソリンモデル、ハイブリッドモデルともにベーシックな「A」と、装備が充実した「B」を設定。

「A」はエアコンやパワステといった快適装備が非装着となるため注意が必要だ(のちに「ガソリンA」にはエアコン・パワステ付き仕様が追加されている)。

また、ガソリンモデルには2003年6月に上級グレードの「ガソリンV」が追加設定された。エアコンやパワステ、パワーウインドウに加え、エアバッグやABS、同色ミラーや同色ドアハンドルを標準装着されている。

なお、組み合わされるトランスミッションは、「ガソリンA」が5速MT、「ガソリンB」と「ガソリンV」が3速AT、ハイブリッドは全車4速ATとなる。
 

スズキ ツイン ▲全長は短いがシートに座ってしまえば普通の軽自動車と同じ感覚で運転できる

■ツイン(初代)の中古車相場
3年弱の生産期間で、販売台数は1万台ほどと大ヒット車種とはならなかったツイン。

ただ、近年ではその価値が再評価されてきており、状態の良いものは新車価格を上回るものも存在するほどだ。

中古車市場の最安値帯は25万~40万円。このゾーンは走行距離10万kmを超えた物件が中心となる。物件のコンディションによって、価格の二極化が進んでいると言えるだろう。

総額65万円以上の高価格帯には、低走行で状態の良いものの他、カスタマイズが施されたものも存在する。中には、ターボエンジンに換装されるといったハードチューニングがなされたものも見つかった。

市場に流通しているツインの多くがガソリンエンジンの3速ATモデルで、5速MT車は全体の1割ほど。ハイブリッド車に至っては執筆時点で5台以下とかなりの希少車となっている。

MTやハイブリッドにこだわらないのであれば、予算50万円ほどである程度状態の良いものも狙えるだろう。修復歴なしで、走行距離も7万km以下といった物件もヒットする。

今後も同様のコンセプトの車両が出てくる可能性は高くないため、ジワジワと価格が上昇していくことが予想される。狙っているなら早めに行動に移した方が良さそうだ。
 

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※記事内の情報は2021年9月5日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/スズキ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。