ダイハツ ネイキッド ▲むき出しのボルト類やドアヒンジなど斬新なエクステリアをもつネイキッドはクロスオーバーSUV軽の元祖かも

時代を先取りしすぎてしまった? ダイハツ ネイキッド

一過性のブーム化と思いきや、すでにすっかり日常に溶け込んだ感のあるクロスオーバーSUV。今や軽自動車から超高級車ブランドまで、幅広い車格のモデルが登場し続けているのはご存じのとおりです。

そんな中、時代を先取りしすぎてしまったモデルが今になって再注目され、価格がジワジワと上昇中となっています。例えば、1999年にダイハツがリリースした「ネイキッド」。

1997年に開催された第32回東京モーターショーに参考出品されたネイキッドは、当初市販化の予定はなかったといわれていましたが、市場からの声を受けて急きょ販売に向けてかじを切りました。

97年時点では軽自動車のサイズは旧規格でしたが、98年に軽自動車規格が改められ、ボディサイズが拡大したことによってネイキッドもコンセプトモデルから大型化。しかし、ルックスはほぼコンセプトカーのままとなっていたのです。

ダイハツ ネイキッド ▲外板のボルトは飾りではなく、オプションとして用意された別パネルに交換することもできた点は、コペンのドレスフォーメーションにも通じるもの
ダイハツ ネイキッド ▲スクエアなフォルムがSUVブームと相まってカスタマイズベースとして注目を集めている

当時のダイハツのベーシックカー、ミラをベースとしながらも、裸の状態を意味するネイキッドという名前のとおり、あえて外板にボルトやヒンジが露出したワイルドなルックスと、180mmに高められた最低地上高によってアグレッシブな印象とした同車は、まさにクロスオーバーSUV軽自動車の先駆けと言えるでしょう。

パワートレインはベースとなったミラと同じく直列3気筒660ccの自然吸気エンジンとターボエンジンを設定し、それぞれにフロアシフトの5速MTとコラムシフトの4速ATを用意。どちらもFF(前輪駆動)と4WDが設定されていたのもミラと同様です。

ダイハツ ネイキッド ▲こちらはターボ仕様のエンジンルーム。インタークーラーが備わるため、ボンネットにはエアスクープが備わる

ただし、内装に関してはミラとは大きく異なり、ルーフ部にはシステムバー(突っ張り棒のようなもの)を装着することができる穴が片側4ヵ所ずつ空いており、ラックやホルダーと組み合わせることもできました。

また、リアシートは折りたたむことはもちろんですが、簡単に取り外すことができ(1脚およそ9kg)より広いスペースを稼ぐことも可能。ドアも前後ともほぼ直角(およそ85度)まで開くことができるため、道具としての使い勝手が大きく向上しているのです。

ダイハツ ネイキッド ▲骨太なエクステリアとは対照的に内装は乗用車的なものだった

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ダイハツ ネイキッド(初代)× 全国

ダイハツ ネイキッドの相場はどんな状態?

そんなネイキッドですが、登場した1999年当時はまだその魅力に気づくユーザーは多くなく、残念ながら登場から4年で生産を終え、直接的な後継車種も登場しませんでした。

しかし、ここ最近中古車価格がジワジワと上昇しているようなのです。

以下、ネイキッドの中古車相場を詳しく見てみましょう。

新車時でも安価なグレードでは90万円台と格安だったネイキッド(ターボモデルでも100万円ちょっとから購入できた)ですが、デビューから20年以上が経過した今、掲載台数は徐々に減少しています。

ダイハツ ネイキッド ▲波はあるものの、徐々に台数は少なくなってきている

それに伴って車両本体価格の平均も、2020年初頭頃から徐々に右肩上がりとなり、2021年7、8月にはとうとう30万円を超えました。

同じような年式のモデルは通常、底値に到達すると平均価格は下がることも上がることもなく、ひっそりと絶滅していくことが多いため、このネイキッドの動きは特殊と言えます。

ダイハツ ネイキッド ▲一方で価格はじわじわと上昇し、30万円を超えている

では、どうしてネイキッドはここにきて値を上げ始めているのでしょうか?

原因のひとつとして、これは年月が経過したことで、いわゆる激安車といわれるような物件が淘汰されつつある、つまり、ある程度の良い価格が高めの物件だけが残り始めている状況だということがあげられます。

そしてもうひとつは、折からのクロスオーバーSUVブームと2020年にダイハツからタフトがリリースされたことも相まって注目度が上昇。中古車市場での需要がアップしていることによる値上がりだと考えられます。

併せて、このブームに着目し、ネイキッドをベースにオフロード系のタイヤやリフトアップ、オールペイントといったカスタマイズを実施して販売している店舗が存在していることも価格上昇の一員となっているようです。

そのため、中古車本体価格の価格帯は1000円~100万円弱までとかなり幅広くなっていますが、最も掲載台数が多いのは本体価格15万~30万円の間となっています。

ネイキッドを狙うならどんな物件が狙い目?

前述のとおり、徐々に値を上げ始めているネイキッドですが、今このタイミングで狙うべきはどんな物件か? ここからは、筆者の私が考えるオススメを紹介していきます。

■オススメ1:ターボエンジン × 走行距離10万km以下

登場から20年以上経過したモデルということもあり、市場に流通しているネイキッドもそれなりに走行距離を重ねた物件が多くなってきています。

しかし、SUVとしてガンガン使うことを考えている人もいることでしょう。

そんな方にオススメしたいのは、ある程度走行距離が少ない状態の良いもの、その中でも動力性能に余裕があるターボエンジン搭載車です。

走行距離10万km以下のターボモデルで絞ると、執筆時点では40台ほどがヒットし、7万~8万km台のものが総額50万円台中心に見つかります。

中には5万km未満といった低走行車も見つけることができますが、こちらはややお高めの総額70万円台が中心となっています。


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ダイハツ ネイキッド(初代)×走行距離10万km以下×過給機あり× 全国

■オススメ2:車両本体価格30万円以下 × 走行距離10万km未満

ジワジワと価格が上昇中のネイキッドだけに、まだ安価で狙えるうちに状態が良さそうな物件を狙いたいと考える人には、本体価格30万円以下かつ走行距離10万km未満という条件で探してみるのはいかがでしょうか。

この条件では執筆時点で35台ほどがヒットし、安いものでは総額20万円台から高いものでも総額40万円ほどで狙うことができます。

さすがに年数が経過した車両ですから、購入価格を抑えて残った予算をリフレッシュに使うという選択肢もアリかもしれません。

▼検索条件

ダイハツ ネイキッド(初代)×走行距離10万km以下×本体価格30万円以下× 全国

■オススメ3:Fシリーズ系グレード

ネイキッドというと丸目ヘッドライトのファニーなルックスが特徴的ですが、2002年1月に実施された一部改良のタイミングで角型ヘッドライトを装着した「F」および「ターボF」が追加されました(のちに特別仕様車の「Fスターエディション」も登場)。

これはネイキッドの上級グレードという扱いで、角目ライトの他に大型テールレンズやメッキ加飾の追加、20mm下げられた車高など、通常のネイキッドとは異なる雰囲気が特徴でした。

ダイハツ ネイキッド ▲角型ヘッドライトを備え、上級グレードとして登場した「F」シリーズ

モデルライフ後半に設定されたこともあり、掲載台数は20台ほどと少なめではありますが、より個性を演出したいということであれば狙い目のグレードと言えるでしょう。

それに上級グレードとはいえ、丸目モデルと価格的にほとんど差がない(というよりタイミングによっては少し安いことも!)のも嬉しいポイントです。

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ダイハツ ネイキッド(初代)×走行距離10万km以下×本体価格30万円以下× 全国

このように、登場するタイミングが10年以上早すぎたと言わざるを得ないネイキッドですが、ノーマル状態のものを購入してコツコツと自分好みにするもよし、販売店がカスタマイズを施したものを購入して使い倒すのもよし。

自分のライフスタイルに合わせてチョイスしたいところですね。

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ダイハツ ネイキッド(初代)× 全国
文/小鮒康一 写真/ダイハツ、日刊カーセンサー
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。