日産 ティーダ▲5ナンバーサイズの小さなボディに、大型セダンに匹敵する居住性能とプレミアム性を盛り込んだ日産 ティーダ

日産 ティーダの中古車は今

プレミアムモデルというと、ボディサイズが大きなモデルというのが一般的だ。だが、「高級感ある車が欲しいけれどサイズは小さいものがいい」というニーズもある。

そんな人に向けたプレミアムコンパクトとして開発されたのが、日産 ティーダだ。

当時の日産が積極的に取り入れていた、モダンなデザインのインテリアで都会的でスタイリッシュな空間を演出し、他のハッチバックとの差別化が図られている。

ティーダはデビューから時間がたっていることもあり、現在は予算50万円以内で買える中古車が数多くある。

ここからはティーダの特徴や中古車相場について紹介する。
 

ティーダ(初代)の特徴と中古車相場

■ティーダ(初代)DATA
生産期間:2004年9月~2012年8月
中古車流通量:約310台
中古車価格帯:10万~80万円
 

日産 ティーダ ▲初代ノートより少し早く市場に投入された前期型ティーダ。グリルデザインが前期型と後期型とで異なる

■ティーダ(初代)の特徴
ハッチバックとは思えない広大な室内空間を手に入れて大ヒットしたホンダ フィットに対抗するため、日産は2005年1月に初代ノートを投入した。ティーダはそのノートより4ヵ月早くデビューした、5ナンバーサイズハッチバックだ。

ティーダの最大の特徴は、大衆車のイメージが強いコンパクトハッチバックにプレミアム性を盛り込んだことだった。その思想がいかんなく発揮されているのが、インテリアの質感だ。
 

日産 ティーダ ▲助手席前、ステアリング内などにメタリックを使うセンスが光る

質感を高めるため、露骨にギラギラさせて「どうだ、高級だろう!」と華美な演出をするモデルもあるが、ティーダがとったのは真逆とも言える手法だった。シンプルな中にも他とは違う、特別な雰囲気があるモダンなデザインを採用したのだ。

随所にさりげなくメタリック調の加飾を施すことで高級感を演出し、インパネやドアトリムには高級車が採用するようなソフトな手触りの素材を取り入れた。

シートもコンパクトカーとは思えないような、大きくて厚みのあるものが採用された。シート素材も上質なものを用い、ステッチ処理で高級感を感じられるような雰囲気を演出している。

他にも、センターコンソール付近には、車内をほのかに照らすランプが設置された。
 

日産 ティーダ ▲居住空間はプレミアムセダンのシーマと同程度。後席に前後スライド機構があるので、足元はシーマより広くすることができる

ティーダのもうひとつの特徴が、広い室内空間を生かしたパッケージングだ。

車内長は大型セダンである日産 シーマに匹敵する広さが確保されていて、後部座席に240mmのロングスライド機構を搭載。これにより、後席の足元シーマよりも広く、ミニバン並みの広さにすることもできるようになっていた。

後部座席に厚みをもたせているため、格納時に荷室をフルフラットにすることはできないが、それでも深さのある荷室と後席の前後スライド機構により、たくさんの荷物を積む際でも対応できるだけのスペースは確保されている。

搭載エンジンは1.5L 直列4気筒のみだったが、2005年1月にはパワフルな1.8Lエンジンを追加。1.8L車にはキセノンヘッドランプと、運転席パワーシートなどが装備されている。

トランスミッションはいずれもCVTが採用された。
 

日産 ティーダ ▲座り心地をよくするために、後席も座面、背もたれともに厚みをもたせている。そのため、座面部分を跳ね上げてフルフラットにするダブルフォールディングにはなっていない

2005年4月には、本革&アルカンターラコンビシートや本革巻きステアリング、木目調パネルなどを装備した特別仕様車「インテリアバージョン」を発売。同年12月には、1.5L、1.8Lともに上級グレードの「G」にインテリジェントキーが標準装備になった。

2006年4月には、落ち着いた雰囲気のワイマラナーというカラーをインテリアに使い、本革&アルカンターラコンビシート、木目調本革巻きステアリングなどを備える特別仕様車「モダンコレクション」が設定されている。
 

日産 ティーダ ▲後期型は写真のシャンパーニュゴールドをはじめ、計4色を追加

2008年1月には、マイナーチェンジを実施し、ヘッドライトやグリルまわりのデザインが変更されて外観はより精悍な印象になっている。

インテリアでは、メーターデザインが変更されて視認性が向上。メーター内の燃費表示機能も追加されたことで、エコドライブを意識して走れるようになった。
 

日産 ティーダ ▲中間グレードの「15M」はシートの生地パターンが変更された

2008年10月には、インテリジェントキーとイモビライザーを全グレードに標準装備。カーウイングスナビ搭載車にはETCユニットも標準装備され、円熟のモデルとなっている。

日産 ティーダ ▲デザイン面でも高級感を増した後期型

■ティーダ(初代)の中古車相場
ティーダの中古車は前期型が約50台、2008年1月以降の後期型が約280台と、流通量は後期型にかなり偏っている。

前期型はすでに最終年式の2006年式でもデビューから15年経過しているので、多くが役目を終え廃車になってしまった可能性が高いと思われる。

オススメは、比較的高年式で装備や性能がアップデートされている後期型となるが、もし前期型の顔つきの方が好きなら、決断を急いだ方がよさそうだ。

前期型の価格帯は総額20万~60万円。20万円台の低価格帯では走行距離10万km前後の物件が大半を占めるが、総額50万円前後なら6万km~8万km程度のものも見つけることができる。

▼検索条件

日産 ティーダ(初代)× 前期型 × 全国

後期型もの相場も前期型と大きくは変わらないが、総額60万円以上の価格帯では、最終型に近い年式の物件や、走行距離5万km以下のものも見つかる。

外観にこだわりがなければ、前期との価格差がほとんどなく選択肢の多い後期型から、まず探し始めてみるのがいいだろう。

▼検索条件

日産 ティーダ(初代)× 後期型 × 全国

エンジンは1.5Lと1.8Lの2種類となる。燃費を重視するなら1.5Lがオススメ。

1.5Lで最も流通量が多いのは、中間グレードの「15M」だ。2010年式前後のものだと走行距離5万km程度でも、予算50万円以下で買える中古車が豊富にある。

よりパワフルな1.8Lエンジン搭載の「18G」は、20台弱しか流通していない。相場的には1.5L車と変わらないので、こちらを狙っている人はじっくり探してみよう。
 

▼検索条件

日産 ティーダ(初代)× 全国

※記事内の情報は2021年6月22日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/日産

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL